小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

ニューヨークの思い出をフックする

2014-09-19 14:18:51 | フックド・ラグ

  私のお気に入りの写真からラグを作る。

 ニューヨークのメトロポリタン美術館の野外彫刻ルーフガーデンは私のお気に入り。ガーデンから住み慣れたマンハッタンの四方を眺めるのは実に楽しい。
入口にロダンの”考える人”の彫刻があり、ほとんどの新彫刻展は新鋭作家のものが多く、彫刻の隙間を通して眺めるマンハッタンは如何にも新しさに燃えているマンハッタンだ。バーにあるマティニグラスを通してウエストサイドを見ると住んでいたアパートや周辺が見え、自分を遠くから眺めるような、時が止まったようにも見える。ラグ展を企画した2013年夏、この写真からラグを作ると面白いだろうと想像した。この場所行ったことのない人は「これ、なーに?」 「難かしそう!」 とかほとんどの生徒は無感心でA1に拡大した原画は何か月もは残っていた。好きなデザインのラグをほとんどの生徒が作り始め、半分以上はできていた頃、残った中の1枚にやりたいといってくれたのはピアニストの白川美知代さん。口数が少なくいつも静かにしていることが多い。マンハッタンに行ったことがない。ある日いろいろの話をすると俄然イマジネーションがわき、ピアニストの彼女は ’ト音記号’ まで入れてくれた。出来上がったのが右端のラグ。100年は持つと言われるフックド・ラグ。思い出のそばにいてくれるようでとても嬉しい。
           
           ちょっとシュールなこの写真は現実か夢か、私の大好きな写真。曇った日であった。 真ん中は白川美知代さんの途中作
 品    完成したフックド・ ラグ制作・白川美知代

 セントラルパークは東側はイーストサイド5番街、西側はセントラルパークウエストという東西のメインストリートがセントラルパークを挟み59丁目からハ-レムまで垂直に走っている。
建造物のデザインは5番街より西側が俄然美しい。東に住めないお金持ちのユダヤ人たちが競って有名建築家に頼んで5番街の後から作った結果だと聞いた。72丁目セントラルパークウエストの中ほどにあるダコタはシンガーミシンのゲストハウスで建造した当時は最果ての地だったのでダコタと命名された。59丁目、5番街角のプラザホテルと同じ建築家を雇っている。


左端のビルにはミアフェロー、彼女の母親も住んでいた。二つのタワーのあるビルは1930年代に建てられ。この地区は歴史建造物地域に指定されている。3番目の写真の
まん中に72丁目角のダコタハウスが見える。右端には美しい自然博物館がある。

 これらの写真はメトロポリタン美術館(80丁目~85丁目まで)彫刻のルーフガーデンからウエストサイドを眺めた風景。私の住んでいたところから3分でパークに出る 。セントラルパークほどよくできているパークは世界にないと思う。ありとあらゆる人たちの憩いの場所で生きている幸せを誰もが実感できるパークだ。白川美知代さんが ’ト音記号’ をフックしてくれたのも体験の分かち合いだと思う。

  

  フックド・ラグ展のお知らせ:  

  かぎ針で作る暮らしのアート
フックド・ラグが奏でる、日々の喜び
日時:2014年10月22日~11月11日まで
   11.00~19.00   
場所:  ミキモト本店  6階ミキモトホール 中央区銀座4-5-5 ℡・03-3535-4611
主催:株式会社ミキモト
協力:一般社団法人 日本フックド・ラグ協会・ トヨタ
入場無料
 
           

ラグ参考書:「アメリカンフックド・ラグ」小林恵著2002年主婦と生活社
暮らしの手帳60号&61号フックド・ラグ特集

小林恵 ホームページ:

http://www.ny-apple.com
                         

 

 

 


やれば出来る。誰でもできる! 証明します。

2014-09-13 10:27:59 | フックド・ラグ

時代を作るには長い月日がかかる。

 何かをしようと志す人には誰でも長い間寂しい日々が続きます。寂しいと思っていなくても目的があれば細い道を歩き続けられます。
人は知らないものに反応を持ちません。自分が素晴らしいと思っていてもそのものが語りだすまでなかなか伝わらないものです。
火がついてもパっと燃え上って消えてしまう物もありますが、消しても、踏んでもまた燃え上がる火元でなければ伝承するのは易しいことでもなさそうです。

 私は人間の持つ人間力に感動したり、コミュニケイションの大切さ、巡り合いの不思議さを思うとき、誰の心にも神様が宿っているような気になります。
自分の知らないものを疎んじる、誰かがよいと言えばよいと思う有名を崇める有名社会では、私たち普通の人間には一歩一歩やる、やれば出来ると信じるのが
自分で自分を作り出す人間力だと思います。

 2011年秋のことです。砂浜美術館のキルト展の審査でとても考えさせられることが起きました。キルターでなくとも誰でも驚くような稚拙な花火のキルト、2枚綴りが展示されました。
布地を切りっぱなしで1センチ位の大きな縫い目で回りを縫い、中心にはテルテル坊主の時に作る頭を寄せ合ってくっつけてあります。
こころをこめて一生懸命キルティングしたキルトは努力だけでもそれなりの尊敬できる価値があります。ぶつぶつ縫いは美しくてもダメか。悩みました。

    

大賞はあげれないけれど、表現賞は上げたいと思いました。2011年、震災の数年前の年だと思います。ダイビングからウエットスーツで展示を見ていた方が、つぶやきました。
「私も作ってみたいなー」と。 「アラ誰でもできるのよ」というと 「私針も持ったことないのです!」 「大丈夫。誰でもやればできるのよ!」 「え?ほんとうですか?」という短い会話をしたのを
覚えています。
 私はキルトを展示してある畦道をはなれ、ラッキョウの花畑を超え遠くからキルトを眺めてみました。70年代地域に分配された町作りの分配金で美しいドライブウエイを整備し、ここには「美術館はありません。美しい砂浜の自然が砂浜美術館です」というコンセプトで誕生したというドライブウエイからキルトを眺めると、一番目立ったのは花火のキルトでした。 ー遠方から眺めてみるー 膝の上で作らずビジョンを持つことの大切さを学びました。

 数年がたち、ミキモトでのフックド・ラグ展が近づきました。ポスターサイズのラグ60枚の展示です。この花火のインパクトが忘れられず、ポスターサイズのラグの下絵をたくさん作り花火も入れました。好きなデザインをくじ引きで生徒が選択しました、その結果、福田節子さんが2枚続きのこの花火のデザインを選びました。1枚でも大変と思いますから初めから2枚続きに挑戦したのをとても嬉しく思いました。いろいろな思いをを結ぶ素敵な感動的ラグを福田節子さんが丁寧に作ってくれました。

 
 最近の調査で花火のキルトを教えたの松木由子さん。3月11日の震災のショックを受けた大方高校生と一緒に夜空に大きな花火をあげて慰めたいという気持ちで作ったそうです。現在松木さんは砂像アーチストとして活躍中です。繋がりの楽しさ、不思議さを感じますね。皆で元気を分かち合いたいと思います。

                                              花火のフックド・ラグ制作: 福田節子                                 

                         
                                                       
お知らせ

かぎ針で作る暮らしのアート MIKIMOTO Cultural Exhibition News フックド・ラグが奏でる、日々の喜び 

日時:2014年10月22日(水)~11月11日(火) 11.00~19.00
場所:ミキモト本店 6階ミキモトホール 中央区銀座4-5-5  ℡:03-3535-4611
主催:株式会社ミキモト  協力:一般社団法人日本フックド・ラグ協会: トヨタ

*入場無料・開催中無休


 
 
 

 

 


 


 

 

 
 


 

 


皆川明さんの「わたしちゃん」ユニークネスの尊重

2014-09-05 22:13:17 | フックド・ラグ

私のわたしチャン:可愛いの遷り変わり

 2013年、so-enに実物大型紙付のユニークな人形が掲載された。作者は皆川明さん。
禿げ頭。ほんの少し残った髪の毛を大切にのばしているのこれから作ろうという人形ではかつてないアイデアだ。
片足も少しはずれ。イケメンでない人形がなぜかとても可愛い。「この人形可愛いわねー」とページを渡すと山下和子さんは早速作ってプレゼントしてくれた。

我が家の一員になった”私ちゃん”早速いろいろの場所にに飾られることになった。

 

 
我が家に”私ちゃん”の登場ラララ・・・  家中の何処にいてもいいよ    ここもいいわね    100年以上年上だけれど弟と一緒  ヘアースタイルを変えると・・  ビキニ水爆スタイル、流行

にさきがけて
 
ウン!なかなかなもん      アメリカの鳥ちゃんとも仲良し ガラスのキューピーちゃんとも仲良くしようね  私ちゃんのプリントと19c.のスペイン陶器とマッチしていてここもい場所ねー

山下和子さんは仲間と一緒に私ちゃんを誕生させた   私ちゃんのラグデザインをこんな風にしたいなーと思っていると山下和子さんは早速「わたしの家族の”私ちゃん”」ラグをお見事に完成した。
髪の毛もちゃんと遺伝しているわね。

 フックドラグはやる気があれば誰でもつくれ、なんでもデザインになるの。デザインをしたことがないし、私できるかしらと心配した人も見事なラグを完成させます。やればできると言うことです。下手にできても、見る人も、作る人もなぜかいとおしくなります。テクニックはローテック。かぎ針とウドン状に細く切ったウールを荒織り芯地の下からひきあげ、裏はランニングステッチで埋めていくだけ。
”フックする”とはかぎ針で引き上げるという意味で、コツを会得すれば、デザインはあなたらしくそのままでいいんです。これではどうだ!と気張らないのが皆の心を温めます。ここがキルトと違う点です。

キルトは経験年数が証明のようになっていますね。確かに経験年数が多いと尊敬できる匠の世界に到達していますね。キルト作りは正確に完成させネバならないことです。

しかし、両方ともフォークアートです。自分らしく楽しく作れ、自分発見をしていければいですね。髪の毛が少なくても、手足の長さが違っても、イケメンでなくとも可愛いと思うのと同じことなの。感じたまま、そのままが素敵です。”手にハートを”の世界です。自分の世界を創作し暮しを楽しみましょう。

お知らせ:

   かぎ針でつくる暮らしのアート
  フックド・ラグが奏でる、日々の喜び・ フックド・ラグ展

日時  2014年10月22日(水)~11月11日(火) 11.00~19.00  開催中無休

場所  ミキモト本店 6階ミキモトホール 中央区銀座4-5-5

展示枚数  ポスターサイズ ラグ 60点

主催  株式会社ミキモト

入場無料

協力  株)トヨタ:  一般社団法人日本フックド・ラグ協会: 

 *フックド・ラグをもっと知りたい方へ: 暮らしの手帖60号と61号を参照してください。または小林恵著 「アメリカンフックド・ラグ」主婦と生活社 2002年