小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

良くなりたいと願う願望

2016-07-29 16:15:30 | 暮らしのジャーナル

 誰でも良くなりたいと望み、誰かの役に立ちたいと願う

 熱中症で自分がわからなくなり、5カ年もホームに入っていた大好きな姉が亡くなりました。
 その数日前、もう食欲も、自分で噛むこともできなくなった姉の流動食を1時間半もかかって口に流し込んでいると
「僕が変わります」とヘルパーさんが代わってくださいました。まだお若い男性がどうしてこんな仕事を選んだのか不思議に
思って訪ねると 「僕はプログラマーで朝から夜中までコンピューターの前に座ったままでした。人と話したい!生きている人の役に
立ちたいと思ったのです」
と答えました。 
 死を目の前にした姉の前で多感な時代を戦争で破れた世代の姉を見ながら美しい花も必ず散るのだ、皆必ず死ぬのだとごく
当たり前のことでしたが思いを新たにしました。


                  かなえたい夢もあった
                  変わりたい自分もいた
                  悲しみの向こう側に誰かの笑顔が見える
                  私は何を残したろう
                  花は咲く
                  悲しみの向こう側に・・・・・・・・・ 


 とてもいい歌だと思う。2011年3月11日の2か月前に47年も住んだニューヨークから帰国してショッキングな地震が起きました。
震災は
日本人たちの思考を変えたと思います。もう島国ではない。世界観を持つようになった日本人。
 今私はアメリカ・フックドラグを教えています。お若い方もいらっしゃるけれどほとんどは子育てが終わって自由を得た人たちが集まり
です。 
自分発見の能力を発揮し作品を作っています。下のラグは処女作です。ミキモトでのラグ展に展示したものです。
 100%ウール。100年以上持ちます。私たちが死んでもこのラグの花たちは生き続け、部屋を美しく飾り、人々を倖せ
にしてくれます。

         
               制作:大津律子              制作:奥井周子
         
            
              制作:大久保史子             制作:小林惠               

          
        人を倖せにし、役に立つものを残す・・・ものつくりのすばらしさを改めて感じるこの頃です。

 

                  

                   

 


意識の差

2016-07-19 15:27:39 | 暮らしのジャーナル


暮しのエッセンス 日本とアメリカ 暮しの経験から生まれる世界観…捉え方の相異

      

   七夕祭りは日本のフォークアートとしても視覚的にも伝説的に素敵なアイデアだ。
  東京駅の銀の鈴前にはそれぞれの願いを込めた願いごとが”よろしくねっ” とぶら下がっていた。   曰く
  「痩せますように」 「5体満足の子が生まれますように」 「髪がふえますように」 「早く結婚できますように」 
  「経営が巧くいきますように」 「 楽な仕事がしたい」 「裕ちゃん大好き!」 「世界が平和でありますように」 
  「来月までにやせて水着が着れます様に」 「良い人が見つかりますように」 「素敵な彼と会えますように」 
  「夫が甘やかしてくれますように」 「彼と結婚できますように」 「彼が指輪がをくれますように」

  願いを込めて祈るのは世界中同じ。外国では❤の立体手作りや、歩けるようになると小さな足の摸形を奉納するとか。
  1999年できた紐育のダウンタウン、チャイナタウン近くの美術館のコンセプト、有名でなければ美術館展示は
  しないという伝統を破り権威主義を無視し、民衆に開放した一般参加型民主的美術館、”NYC NEW MUSEUM”
  で展示された”心を込めて”のリボン展。各自の希望を紙に書き、眼の前で即時リボンに印刷。
  リボンに希望を乗せた画期的展覧会では

  「アメリカに新時代がきますように」 「アブガニスタンに平和が来ますように」
  「人々が学びながら暮らせますように」 「USAはほかの国と戦争をしませんように」 「HIVが世の中から消えます
  ようように」 「地球の何処でも暮らせるように移民という言葉がなくなりますように」 「「どこかにより素敵な縁がある
  ことを望むのはやめたわ」 「どこでも暮らせる独立心を持ちたい」 「NYで暮らしていけますように」 「NYで成功
  できますように」 などなど。このリボンが美術館壁面いっぱいに飾られた。最後の日には皆に渡された。

  

   2015年アメリカのタビーキャット108匹展を谷中の延命院で開催したとき、そのリボンは生徒たちの猫ちゃん
  の首を飾った。
  
  猫制作・和田知佳                          猫制作・斉藤智恵子
   
  猫制作・三宅愛子                         猫制作・植田美和子

 

  

  

  
   

   

   

 

   


クレマチスの丘 心が洗われる憩いの場所

2016-07-18 07:18:10 | 暮らしの詩

   美しい自然を見ると神様がいると信じてしまう。
しかし、人間がデザインして作られたものには感動させられ、
        人間賛歌を聞く思いになる。

 クレマチスの丘を訪ねた。美しい庭園と彫刻と空間、開かれた空。
全てが美しい。本当に来てよかったと思った。広大な敷地にベルナール・
ビュフェ美術館、ロベール・クートラスのコレクション、
井上靖文学館などが
点在し、庭園には現代イタリアを代表するジュリアーノ・ヴァンジの彫刻が自然
と融和し彫刻の周りを歩けるのも楽しい。

 1970年のはじめ私の友人の姪が創設者、岡野喜一郎の息子さんと私の親友の姪
が東京で結婚し、新婚旅行の途中NYの私のアパートによってくださった。
「父がビュフェ美術館を建てましたからぜひ訪ねてください。ご案内しますよ」
と。あれから40年以上もたった。

    オリジナル自画像・渡辺良重
   

    
ラグ制作:岡本志子      

 訪ねた理由は2014年11月、銀座ミキモトでのフックド・ラグ展覧会で”デザ
イナーの作品をフックする”というテーマでフックド・ラグを作り、キギのアート
ディレクター
でありクリエイターでもあった渡辺良重さんが自画像をわざわざ描
いて提供してくださり、今回のクレマチス展覧の案内状をいただいた。パートナ
ーの植原亮輔さんとご一緒に作ったビニールの花入れが初めてニューヨークのモ
ダンアートで売り出された時、素敵なアイデアで優れた商品だと感心した。
 その時誰が作ったかは気にしなかったがヨーロッパの何処の美術館にもスペイ
ンの小さいピカソの生家美術館にまで 並べてあり、私もイタリア旅行には野原の
花をビニール花瓶にいれ楽しんだりした。
その創作者が商品化したときの記事を読んだときは一人の発想より違う発想で植
原さんと具現化したことを知った。美術館の窓をふさぎ自然光線に映えるこの花
瓶は今も世界中に君臨している現代の
傑作アートプロダクトだと思っている。
    
           
 クレマチスの丘散策は、優れたアート空間を振り向きつつ歩ける幸福をとどけてくれる。