小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

潮風のキルト展・砂浜美術館2012

2012-11-04 08:20:59 | キルト

審査を終えて・・・

 ー私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です。館長はクジラです。ー

 美しい高知県黒潮町の砂浜美術館のキルト展の審査を始めてから10年がたちました。この審査はほかの審査と
異なり、経験のながさで勝負をすることはありません。下手でもあなたが何を伝えたいか、感動を伝達しているか、
新しいし材料、新しいアイデア、新しい表現などににフォーカスを当てて審査しています。参加し、行動することが
一番重要なことだと信じています。

 感嘆するほどテクニックを駆使している人もいて心から尊敬します。しかし、上手さを伝えたいだけでなく
”やってみよう”と参加してくださることをとても嬉しく思います。これこそがコミュニティ アートの理想の形でないでしょうか。
ほとんどがヴォランティアで設置に朝早くから集まる方々、朝日に映えて松原をバックにそよ風に揺らぐキルト、
細いあぜ道の前はラッキョウの花畑が続きます。参加することがこんなにみなを元気にしていることを知らせれます。

 砂浜美術館は東京からとても遠く高知県の太平洋の砂浜と松原に面した美しい砂浜です。
私が審査を始めてから10年の月日が経ちました。そこに行くにはニューヨークと同じぐらいの時間がかかります。
しかし時間ではない。行動することをモットーとして頑張っています。
 東京に住み始めて2回目の審査、コミュニティのあり方がようやく実感し始めました。
キルトを作った人は必ず見に来ます。キルト作りは時間がかかります。ある程度努力をしないと完成しません。
この達成感が、コミュニティのつながりを作るのだと思います。

 賞を取ったから偉いのではありません。取れなかったからからダメでもありません。下手でも入選し、感動の分かちあいを学びます。
スポーツ精神がコンテストのあり方だと思います。
10年間、参加してくださった方たちから多くの方々から学んだことは私の宝物です。

 ものつくり、作り出すことはつばらしい!参加してくださった方々、ありがとう!
        


松原の後ろは砂浜、その砂浜では毎年春にはTシャツ展のシャツがひらひら風に泳ぎます。砂浜の向こうは坂本竜馬も眺
めたであろう、または船で通ったであろう太平洋が地平線まで続きます。夢を育む風景です。
松原にかけられたキルトの前はラッキョウの花畑、その間のあぜ道がキルト展の花道です。
この道に平行に並ぶ整地された美しいドライブウエイには”おへんどさん”が歩いています。このドライブウエイからキルトを
見てどれが一番インパクトを感じるかも、私の楽しみな審査の方法でもあります。小さなテクニックがいかに重要でないか、
デザインの重要性はなにかを学びます。
    
 富良野のラベンダー畑の表現を空以外はすべて飾りのモールテープで表現しているのも新しい方法です。
右上はアップリケキルトの中を流れる白い川は両面ナイロン合わせでその部分を切り抜いてあります。朝日にその
透明な川の部分が光を受け、川の流れに動きがでて新しい材料の使い方に感嘆しました。
    
左上のキルトはスケッチ教室の方々の楽しいスケッチがアップリケされています。並べ方もチョンと切ってしまった位置づけも
バランスに動きが出ていて楽しいです。右上はもう針を持てなくなった高齢者たちがはさみで花形を切って集め、その上から
ステッチをしたキルトです。皆で作った花畑。なんと美しい花畑の造形でしょうか。すばらしいアイデアですね。
    
 松原の向こうは太平洋、本当にこの色彩を感じる眺めです。スラッシュキルトの手法で景色が見事にアブストラクト絵画
のように表現されています。右上はロンドンにいた御嬢さんに思いをはせてオリンピックの歓喜の鐘の響きまでも表現され
ている秀逸なデザインと思います。
    
 ピースド手法で里山の景色がよくまとまっています。右上は気仙沼からの出品で知らない強みでコットンと荒い織の穀物袋の
ような芯地でまとめています。"なぜだめなの?” まったくその通り。新しい試みはやってみること。新しいことは行動かから始まります。 
皆で学べるキルトコンテストです。 参加する人が試みている新しいムーブメントが始まっています。
楽しいコンテストの審査でした。参加してくださった皆さんありがとう。

2013年、砂浜美術館のキルトコンテストに集まれー!

砂浜美術館キルトコンテスト応募お問い合わせ
http://sunabi.com
tel:0880-43-4915
Email:nitari@sunabi.com     

    
    

 


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1 コメント

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Unknown (栗坂秀夫)
2013-04-02 18:24:41
大変ご無沙汰をしております。
ご連絡をしたいのですが、以前いただいたNYのご住所では戻って来てしまいます。
現在の連絡先をお知らせ下さるようお願いいたします。
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