小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「磨きをかける人」

2005-11-05 22:28:24 | ニューヨーク暮らしの日々
ヴァヨリニストの五嶋みどりさん 

 私の住むところから数分のところに、ニューヨークで一番大きい本
屋がある。「アイ ガット メール」という映画にも出てくるバーンズ&
ノーブルという本屋は朝9時から夜の12時まで開いている。そこで
毎週のように作者や人気者がレクチャーをする。映画の上映にあた
り、ハイライトをサイトで公開するのと似ているアメリからしいプロモー
ションだ。 リンカーンセンターでのコンサートに先駆けてヴァヨリニ
ストのみどりさんがレクチャーをした。9月末ニューヨーク大の大学院、
心理学科を10年かかって卒業した。卒論は”人間の苦しみ、心の
痛み”についてだそうだ。「なぜ痛みについて興味をもったのですか
?」の質問に「痛みを持った人間の方が興味があるし、苦しみを超
えると物事をもっと理解し、感謝できるようになります」と自然体で淡
々と語った。ポニーテールに素顔、普通の白いシャツに黒いジャンパ
ースカート。外側を気にしなくてもキラキラと光る人。1時間の語らい、
レクチャーの終わりには皆の拍手が鳴り止まなかった。 人間みどり
への讃歌だろう。数日後、コンサートに早めに行きドアから覗きみると、
みどりさんは誰もいないホールの舞台で一人で練習していた。コンサ
ートでの拍手は勿論、最近最も感動した経験であっ
た。