日本の民芸・匠の世界とアメリカンフォークアートの違い
個性を尊重するアメリカでは、あなたらしさが最も評価されます。そして難しくないもの、熟練よりも素朴なもの,個性的な表現ががアメリカのフォークアートの真髄です。背中を見て3年、師匠と同じものが出来てもそれはあまり評価されません。
日本では視覚に入るだけの収穫物を丁寧に手塩にかけて価値観を作り出す技能が尊重されてきました。しかし、限りなく土地が広がるアメリカでの可能性は果てしなく、限られた作物を加工して技を磨き価値観を高める発想よりも安くみなと分かち合える大量生産のアイデアやパテントを取る発想のほうが人々を鼓舞してきました。
移民の国、民衆の国アメリカ、デモクラティックなアメリカでは見て覚える徒弟制度は育まれませんでした。しかしアメリカにも美しいものがたくさんあります。アメリカのコミュニティで育まれた唯一のクラフトは極度に単純化されたデザイン、建築、家具、木工、などの優れたシェーカーのクラフトがあげられます。
同じコミュニティでも、媚びることをご法度としているアミシュは技を競うこともなく、装飾を許
さず、アメリカの伝統から取ったシンプルなデザインを無地で作った美しいアミシュキルトがあります。また、同じ移民のまとまる地区では同じパターンを々作られたところもあります。
隔離された土地で、極度に制限された布地、貧しさから単純化されたデザインの黒人キルトは特別のカテゴリーになるでしょう。
アメリカでもアメリカン シルバーや吹きガラスなど作者不明の単純デザインの美しいクラフトはたくさんあります。そして18世紀、19世紀に作られたサイン入りのアメリカン家具はびっくりするほど高価なものです。今も複製で優れたものもありますが、おもに、アメリカ人は背中を見て習得する技や精神を学ぶのは不得意の様です。
アメリカ人の性格を代表し社会現象を起こした程、多くの数が作られたクラフトはなんといっても、キルトとフックド・ラグです。これほどアメリカらしいものはありません。
その理由はなんでしょうか。それは誰でも作れる程やさしいということです。
キルトやラグ、特にラグはキルトより易しく、表現が自由でこれほど個性的に自分らしさを表現できるものも少ないのでないでしょうか。
両方とも節約精神から作り出され、それぞれの家を誇り高く飾った、おおらかなアメリカンクラフトです。
自分らしさを表現することをマスターし、暮らしのセンスアップのために貴女らしい美意識を持ち、日々の暮らしを楽しみましょう。
ストライプで布地をはいでから自由に長方形につないだキルト. 左)誰でも描けるような花篭のラグ。
フリーハンドで好きな様に作った世界に一つしかない、この作者しかできないラグ。アメリカ人はあなたらしさを評価します。
左)19世紀の素朴なアメリカの手作りで飾る寝室です。 右)ラグは長椅子の背にかけても簡単に動かず装飾効果があります。
お知らせ) 小林恵のラグ実験教室=集まって作る。お互いから学ぶラグ作りの集まり。
5月11日(水曜日)11時~3時半まで 各自お弁当持参のこと
場所・問い合わせ:ホームスパン 渋谷区富ヶ谷1-8-9 飯島ビル2階 千代田線代々木公園出口前のビルディング
電話03-5733-3310 ホームスパン 原/稲船