小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「オバマ ブランド クリスマス」

2009-12-24 14:13:30 | ニューヨーク暮らしの日々

 素朴さの勝利
 人種のるつぼ、人間のモザイクといわれるアメリカ、特にニューヨー
クはその縮小版でいろいろの暮らしがあり、理由も分からず、疑問を
持たずに人々の伝統や習慣を受け入れていることがたくさんある。
 とくにオバマ大統領の公平なヒューマニズムと変革は、言われてみ
れば、”まったくそうだわ” と皆も気がつき 、変革というより、なんでも
ありを自然に皆が認めて来ていると思う。ー初めての黒人大統領ー
に感動し、感涙した人々。しかし、黒い優秀な人が人がたくさんテレビ
に出て来ると白黒黄色など問題でなくなる。差別の根源など全くつま
らないものでも 「それおかしいのでは?」 と皆が言えることは大変革
ともいえる。

 「なんでクリスマスが国のホリデイなの?」「マジョリティがクリスチャ
ンだったから」 しかし 「マジョリティが必ずしも正しくないこの頃、おか
しくなーい?」
 アメリカのエスタブリッシュメントはアイビーリーグを出ること、CEO
になるためにはアングロサクソンが条件であることも崩れてきた。
どこから来たか分からない人でも優秀な人がごろごろテレビや新聞に
出てきて、彼らのユニークなアイデアを称賛するようになり、
皆の考え
方も変わってきた。有名度が説得力でないことぐらいわかっていても
ブランド名と同じくなんとなく納得させられているのはおかしいことだ。
 広告宣伝勝利のブランド物より、自分で価値観を選択する自由を認
める人が多くなったことはすごい変革だと思う。ITのコミュニケイション
がそういう時代を作りだしているのは素晴らしい。
 
 最初にホワイトハウスに住んだジョン・アダムスとアビゲールはクリ
スマスパーティで20本の薪を暖炉にくべたが部屋は暖まらずゲストは
早々と引き上げた。
 ホワイトハウスのデコレーションは次第にエスカレートし、ケネディ時代
がピークだろうか。
 オバマブランドはノンリリジャス。(無宗教)今年のホワイトハウスでの
イースターの卵探しはホモセクシャルが育てている100家族の子供た
ちが招待された様に、詩人やジャズマンなどの無名の人々を紹介する
ことで、かつてない”変革”オバマブランドが出来つつある。今年のホワ
イトハウスのツリーは過去の大統領に送られてきたクリスマスカードを
ぶら下げ豪華さを避けると同時に宗教的装飾を避けている。

 クリスマスらしさを十分に味わえる素朴なアイデアや自分ブランドの商品
ディスプレイは楽しい。クリスマスがなぜ楽しいのか。
クリスチャンでもないのになんとなく楽しむのは不思議なことだ。作られた
便乗雰囲気を楽しむ。おかしいといえばまったくおかしいことだ。
 
樹に豆電気をまきつけた豪華ストリートはどこにでもあり、カメラを向ける
と、日本の六本木のほうがすっと豪華ですべて没にした。
豪華競いは時代遅れということだろうか。

ベイグルをリボンで下げたコーヒーハウスのディスプレイとネクタイのツリー
お金をかけなくても結構楽しさを提供している。

カップケーキ専門店ではゼリー飴の鎖とカップケーキのツリー。
ホットドッグ、ハンバーガー、チーズなどのツリー用の飾り商品にも変化が。


 

 

 


「コミュニケイション」

2009-12-18 11:50:43 | ニューヨーク暮らしの日々

広告はこうでなくては・・・
 ニューヨークに住んでいる友人がマンハッタンに移ってきた。
数日して、早速コンサージュから 「お届けものがあります」 という。
 「私はまだ誰にも知らせていないので何かの間違いでしょう」
というと、
 「いいえ、あなたのアパートの番号と名前が書いてありますよ」
という。届けられたものは、シャンペンとランドリーバッグ(洗濯袋)。
 洗濯屋の名刺が添えてあり、カードには
 「新入居おめでとうございます。洗濯袋は下に御出しいただけました
らドアマンからの知らせで、すぐとりに行くようになっています。ご近所に
なられましたことを歓迎します」
と書いてあった。
 洗濯袋は小さいものだったので
「私は大きい袋がほしい」 というと
すかさず、TDバンクから届いたナイロン布地の大洗濯袋が届けられた。

 TDバンクは現在ニューヨークで大宣伝し、TVでも宣伝しているている
新しいバンクで、洗濯屋に100枚とどいたものだという。
 
この洗濯屋は近所の入居者に ”大歓迎”のカードを送り続け家族
経営で3代続いているとのこと。
 
 あまりいいこともないニューヨークの年末、ニューヨークで無料でもら
えるものは、名刺だけといわれていたけれど、名刺だって今はビジネス
マン関係のみ。先に出すのは恥ずかしい位だ。銀行がサービスしなくな
ってから久しい。銀行の入口に置いてあるものは1ページは書き続け
ることができないインクの少ないペンだけ。それも紐で縛りついていたり
する昨今、
宣伝とお客獲得を考えた人間対人間のよいコミュニケイション
だ。ちょっと手を添えるだけでうれしくなることを宣伝し、コミュニケイション
がよくなる。実はちょっとしたことがうれしいものだ。
 オバマ大統領もテレビで、
〝子供と少しでも一緒にいてあげられる父親になろう。子供時代の小さい
嬉しかったことは忘れられないものです” と家族構成の大事さを宣伝して
いる。もともと宣伝とはそういうもののはず。にくい!と思う広告にもっと
めぐり会いたいといつも思う。

ニューヨークの友人から聞いたちょっとしたいい話です。


「才能教育」

2009-12-09 03:01:06 | ニューヨーク暮らしの日々

 ー若者たちの才能を更にのばすための教育、
  英才
サマーコースー  (Vassar College)

 私のブログ、「アメリカの子供たちの英才教育」2008-8-01:
のブログで友人の兄妹が英才教育をサマーコースで学んだ話を書きま
した。彼たちがまた今年もヴァッサーに3週間のコースをとり、その結果
の話はアメリカの英才教育のレベルもわかり、彼たちの反応で12歳の
妹、14歳の兄たちの成長が読め、本当に楽しいものでしたので分かち
あいのリポートです。

 まず参考までにSIG、(Summr Institute of the Gifted) の略。
Summer Institute of the Gifted and Gifted Education Resources
を検索に入れるといろいろの大学のリストが出てきます。
Vassor Collegeをクリックするとカリキュラムが出てきますので参考にし
てください。

プログラムの概要は
*一緒に生活しながら社会を学ぶ全生徒宿泊システム。
*最高のアカデミック教育が提供され、社会的、感覚的など、大人にな
  るための想像力を学ぶ。
*アカデミックプログラムが主で、共同生活から能力、興味、決断心や
  才能を皆と分かちあうことを学ぶ。
*生徒は責任感、積極性など皆で協力し、尊敬しあうことを学ぶ。
*そのほかアカデミック、アート、リクリエイションなどの学科も用意され、
   60のコースから各75分間の授業を選択できる。またクラス後の特別
   指導学科も用意されている。3週間で寄宿料を含めて6.000ドル。
   (アメリカでも安い金額ではない)入学許可はすべての学科が95点以
   上であることと、入学
希望者のエッセイから選択され、入学が許可さ
   れる。参考:
http://giftedstudy.org

昨年このコースをとった兄妹に2回目の感想を聞いてみました。

Matthew Cocco(写真提供:Gerry Cocco & Cathy Cocco)
今年、14歳、9年生と小学6年生(来年の9月、Matthew は高校へ、
Julia は中学に入学します)
           
マシュウ, 
ヴァッサー コースの一番良いと思うところは?
 *アイビーリーグらしい佇まいで、先生たちも誇りに満ちていること。
好きな学科は?
 *好きな学科は哲学。難しいことをやさしく説明してくれ、素晴らしい
  説明で生徒同士がコミュニケイト出来るように仕向けられています。
  クラスは、話し合いからを学び、興味をそそり、もっと知りたい意欲
  を湧かせてくれます。
興味深く学んだこと、3つあげてみてくれる?
 *①高さを計るとき、飛ばしたゴルフ玉の高さで計ってはいけない。
   正確に計りなさい。
  ②実際に0も分けることが出来る。しかし、特別な条件のみ。
  ③ある者は刑務所のガードがたった一人でも、建築物をよく知り、
   機能を把握していれば逃げることが出来る。  この3つ。
大学入学には役立った?
 *ハイスクール教育よりも上級で、カレッジのクレジットをとるのは易
  しいと思えた。
毎日どんなスケジュール?
 *カウンセラーからの知らせで7.00起床。それまでにシャワーを浴び
  て起きていなければならない。朝食は7.45~8.45まで。クラスは9時
  から始まり、12時のランチタイムまで授業。午後のクラスは1時か
  ら5時まで。その後リクリエイション、休みがあり、6時ディナー。
  7時から夜のプログラムが1時間あり、その後は自由時間。リクリ
  エイションタイムは水泳、テニス、アート&クラフト、または図書館で
  過ごす。ある時はジャグラーや魔法などのパーフォーマンスもあり
  ダンスをしたり楽しみも多かった。
先生がたは?
 *生徒のことを考えてくれる教育法で、生徒によって変え、その時々
  で学ぶことが多かった。
来年も行きたい?
 *勿論。友達にも会いたいし、新しいサマーコースが楽しみ。3週間
  エネルギッシュな日々、友人とも楽しかったし、素晴らしい経験だっ
  たよ。  -Matthew Cocco-

           
Julia Cocco 12歳 (9月から小学校6年生)
なぜヴァッサーに今年もいきたかったの?
 *だってお友達や先生に約束したし・・・新しい人と逢うこと。別れる
  時は姉妹みたいになるもの。
どのクラスが一番好き?
 *代数学が断然好き。だってハリス先生はとても愉快な人だし代数
  学を楽しく、やさしく教えてくれるもの。それと、お金のマネージ学,
  化学、DNA, ディテクティブのクラスなど。
嫌いなクラスは?
 *別になかったわ。
学んだもので好きなもの3つあげてみてくれる?
 *新しいスペル・・・Polytetrafloroethelene,)( (化)重合体の一つの
  タイプ)、Deoxy-Ribo(デオキシリポ)、Nucleic Acid (核酸)などのス
  ペルを学んだこと。
次の勉強に役立った?
 *レベルの高い代数学を学んだこと。若し中学で法医学のクラスが
  あれば、たくさん学んだので ”次に進みましょう”といえるわ。
Juliaのカウンセラーのサラーは?
 *カウンセラーの中でもとても良い人。とても厳しいけれど彼女のル
  ールを破ら ない限り、好きなようにさてくれたわ。
ヴァッサーに行って良かったことは?
 *食べ物、クラス、先生たち、学究的、社会的寄宿生活、お父さんや
  お母さんと離れられたこと、素晴らしい友人たちができたことなどだわ。
やれなかったことで残念に思うことはなーに?
*何もないわ。
 ”こういうことが出来た、何をしたかではない。これからどうするかを
 考え、現在に生きなさい” は私のモットーですから。         
 -Julia Cocco-

 去年は親指を口に入れ、キティちゃんの縫いぐるみを抱いていた
Julia です。Matthewはピアノレッスンも受け、楽器が数種類こなせま
す。二人の両親は特に教育熱心で、大人と同じ会話を子供たちとして
います。
     
Matthew & Julia Cocco, Vassar College にて。

 自立することを子供の時から身につける教育です。
NY 近郊で日本の子供たちのサマーキャンプに見学に行った時のこと
です。日本学校のカウンセラーが ”子供の親たちに、別れるとき振り
向かないで帰ってください ”と父兄に注意しました。ある子供はワン
ワン大泣きし母親は子供を胸に抱き締め、ついに連れて帰りました。
母子の深いつながりだと、私がいなければ子供が可哀想だと思う母
の子供は自立しません。マシュウとジュリアをヴァッサーに送り届け
た時、ドアに入るまで見ていようとしたら二人とも、”バイバイ!” と
車を降りると直ぐに走り出し、ふりむきもせずドアに消えたそうです。
(協力:Gerry Cocco & Cathy Cocco)

 ” 将来を考えて、現在何を出来るか考えなさいがモットーです”
と言った時はジュリアを見直しました。私が小学6年生の時は戦争は
いやだ!と思って暮らしていた。その当時は大人だって自分の人生を
考えられなかったと思います。戦争が終わって過去を忘れ現在を一生
懸命働くことを日本人は自ら学びました。そのおかげで今の日本があ
ります。そのことを自分の子供たちに現在伝えられているでしょうか。




 

 

 


 


「セントラルパークの詩人」

2009-12-04 13:02:38 | ニューヨーク暮らしの日々

瞬間の美しさを作る詩人

 セントラルパークのベセスタ広場で、アフリカンアメリカンのお兄さん
がバブル用石けん水?を入れたバケツに2本の棒を差し込み、静か
に持ち上げて風船を作っている。風が風船を舞い上げてくれる。
虹色をした美しい風船が子供たちの頭の上に舞い降りてくると、子供
たちは歓声をあげ、風船に飛びつきすぐ消えていく。
 上のテラスで見ていた10歳ぐらいの子が大声で叫んだ。 
”風船を壊しちゃだめーっ!” と。それでも子供たちは風船を追いか
けて飛び上がり、すぐ消えていった。


 私の横にいたテラスの上から叫んだ子供のそばに風船が飛んできた。
彼女は飛び上がって風船に触り、消えてなくなった。
 隣の母親が子供に叫んだ。
”あなたは言ってることと、やっていることが違うじゃーないのっ!”
夢の様な虹の地球に触ってみたい気持ちもよくわかる。
 皆にこにこ微笑んで、この雰囲気を楽しんでいる。

 バブルマンのそばには、お金を集める缶も箱も置いてない。ベストの
下に縞シャツを着ている少し太めのバブルマンにテラスから降りて聞い
てみた。
”いつもやっているの?” 「うん。曇りだけれど、今日の風向きは最高
なんだよ」 ”皆楽しんでいるわ”  「僕も楽しいんだよ」
”お金あつめないの?” 「うん、皆がたのしめばいいんんだよ。こんな
風船びよりはめったいないんだよ」

 楽しみを作ってくれる風の詩人。彼はお金を作るためでもなく、子供の
ように無心で風船を作り、人々を楽しませていた。
不況のニューヨークでも楽しいことに巡り合うチャンスがある。
 すがすがしい午後のひと時。

 註)エンジェルの噴水があるベセスタ テラスはセントラルパークの東西
72丁目を横断するパークのメイン見せ場で、59丁目からまっすぐに伸び
た、プロムナードの突き当たりになる。セントラルパークの立体交差デザイ
ンがよくわかる最も人気のある場所。