小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

[リンカーンセンター クラフトショーにて羊毛刈りデモ」

2007-05-30 14:11:29 | ニューヨーク暮らしの日々

「愛されると優しくなる」
 リンカーンセンターの広場でニューハンプシャー州から来ている手
作り毛糸の人が羊毛から毛糸を作るまでのデモをやっていた。

 「羊も愛されている事が分かると信用しておとなしくなります」と集ま
った人たちの前で羊をしばらく撫でてあげる。日本のキレル子供たち
のお母さんに見せてあげたいと思う。

羊はおとなしくしている。

お好きなようにどうぞとばかり,動かしたほうに体をゆだねている。

 「はい,刈り終わりました!」この間10分ぐらい。まるで縫いぐるみ
を動かすように羊の体を動かし、刈り終ると羊は本当にうれしそうに
甘えている。「アメリカの開拓時代の人たちは皆こうやって動物と共
存していたのです。生活の知恵は皆おばあちゃんから習ったんです」
と説明すると、見ていた子供が ”おばあちゃん、知ってる?”と叫ん
だ。向かい側にいたおばあちゃんは「今はじめてみたのよ」と答え、
皆スマイル。
 羊毛を洗って毛糸になるまでのデモで学んだことは,ウールへの感
謝と手の優しさが皆をも優しくすること。「手にハート」の世界にふれ
忘れていた事を改めて考えさせられた、すがすがしい日曜の午後で
あった。


「シエクスピア ガーデンに今 咲いている花」

2007-05-25 04:33:48 | ニューヨーク暮らしの日々

本日:ニューヨーク 2007年5月24日、





 
セントラルパークには花壇といえるところが少ない。なめるように
手入れの行き届いた花園もない。しかし花はいたるところに咲いて
いる。もちろん植えたものでボランティアの人たちが手入れをしてい
るけれども、自然に咲いてくれた花という印象を与えてくれる。
 早春には雪割り草からクロッカス,水仙、チューリップ、スミレ、あ
やめ、勿忘草などに加えて、日本では植物園にでも行かないと見れ
ないような花々も次々に咲く。数え切れない花々の写真も撮った。
 セントラルパークの花々が一年中の日記をつけてくれている。
豪華な花ではなく、自然に花を添えてくれている感じで、なんといって
もパークは
歩く事が楽しい。発見が毎日ある。




 
 


「パーク・氷河期の岩盤」

2007-05-23 13:05:20 | ニューヨーク暮らしの日々

450ミリオン年前の岩の上で遊ぶ





 マンハッタンは地質学的には岩盤で出来た島である。
パークにある岩盤はアパラチャ山脈が出来た450ミリオン年以上前、
氷河期の岩盤である事に驚かされる。
 氷河期の岩盤はつやつや磨いたように滑らかで、流れた溶岩の形
を残した箇所もある。岩盤を視覚的に面白く利用するために何度も
計画が変更された。
 高低のある地形を利用し岩が取り除かれ芝生を作り、大量の土が
ニュージャージー州から運ばれた。
 湿地帯から池を作り、大岩盤は中を爆破してトンネルを作った。
自然の岩盤はまるで彫刻を配してデザインされたように配置的にバ
ランスが取れている。セントラル パークは起伏の変化を楽しめる造
園デザインのマスターピースといわれている。
 毎日歩いても歩いても、飽きる事がない有難い賢明なパークである。

 


「セントラルパークを齧る男」

2007-05-17 23:06:03 | ニューヨーク暮らしの日々

マンハッタンを喰うスティーヴ ブリル(Steve Brill)

 
「おなかが空いて何か食べ物のこと考えてパークを歩いていると
ぶどうの葉を取っていた女性に出会った。ぶどうの葉でご飯を包んで
食べるギリシャ料理を教えてくれた。これが動機になって25年以上
隔週ごとにビッグアップルの公園で食用草を探すツアをオーガナイズ
し、”ビッグアップルからサラダを作る男”と言われている。その男の
ニックネームはワイルドマン。200以上の食用草が生えているという
セントラルパーク、参加者はすでに総計25万人にも及ぶ。」とニュー
ヨークタイムス2分の1ページに記事が出た。
サイトアドレスが紹介されている。
www.wildmanstevebrill.com

 日曜日11:45am~3:45pm,ウエストサイド72丁目パークの入り口に
集合。参加費一人12ドル。(人数による)子供6ドル。時間厳守。昼
食、ノートブック、ペン、水、ポリ袋、マッシュルーム用紙袋、ナイフ、
手袋、害虫用軟膏、帽子など持参のこと。サイン入りワイルドマンの
著書3冊、DVD、来年のスケジュールあり。ウエブサイトを見てくる
事。参加者は電話連絡をする事。申し込んでこない人は15ドル罰金。
次回参加の時支払う。(ニックネームの意味が少し分かりかけた)

いつか参加してみたいと思いつつ、やっと参加が実現した。

 5分前に到着してベンチの腰かけると、隣の赤ちゃんを抱いている
青年が”ワイルドマンのツアに参加ですか?”といったのでお互いに
紹介しあう。彼は弁護士。自然主義者。ベジタリアン。子供をつれて
外に出るのが趣味。生後5ヶ月の赤ちゃんの可愛い事!

 ワイルドマンがやってきた。乳母車の下からノート、ペーパー、本を
出し集金。30人以上集まっている。“おつりなし、ちょっきり下さいッ”
と大きな声で叫ぶ。乳母車の下や両脇にはいろいろのものがぶら下
がっている。一見ホームレス卒業風。突然「トーちゃーん!」と叫んで
転がるように走って現れた3歳ぐらいの女の子に「イエス、バイオレッ
ト ダーリン!」とワイルドマンが答えた。

 グループは彼の先導で歩きだした。ハコベをつまみながら食べて
いる。ジューンベリー(6月のベリーといわれる小さなブドウ状の種が
多い甘いベリー)の花盛り。彼は「花も食べれます」と白いきれいな
花を食べる。皆キリン風情で樹の周りで花の味見。愉快だ。
 タンポポ、山百合、スミレの葉っぱ。(花も食用)クローバー、チッコ
リー、ガーリックマスタードなどを説明しながら歩いているとき、グル
ープの一人がきのこを見つけた。「このきのこは私の前のガーフレン
ドと同じ。毒ですから気をつけて」と説明もなかなかワイルド。ここで
孫かと思われる娘の事情が読める。藤の花を食べ、ごぼうも掘った。
 池のそばに生えるキャットテイル、猫の尻尾というガマの穂をワイル
ドマンは引き抜き「白い根っこの硬い部分を剥き齧るとキウリとズキ
ニを混ぜたような味がします」と説明。
ロシアではコサックのアスパラカスと言われているそうだ。
 スミレが密集しているところで一服。ワイルドマンは娘、バイオレッ
トをスミレの群れの真ん中に座らせ、「私のスミレをたべないでくれ
よッ!」と叫んでいる。
 ここがセントラルパークかと疑うほどひんやりしたランブル〔自然だ
けの道)でスミレの花をつんだ。
 圧巻はなんといっても巨大きのこ。昨夜の雨でにょきにょき出てい
る。やわらかい外側が美味しそう。”コリコリして美味しいんです”と
分け前をもらった。夕食時ソテーにしようかと鍋まで暖めた。しかし、
発狂してもなんだし・・・と思い、私は食べないで捨てた。
つぎの日 ”とても美味しかった!”と参加した素敵な人からメールが
入っていた。



細いのがワイルド ガーリック


 


 


「セントラルパークの橋・アーチ」

2007-05-15 09:39:54 | ニューヨーク暮らしの日々





立体交差道路の始まり
 ある時、”セントラルパークは美しくて、振り向き振り向きつ帰りま
す”と日本の友人に手紙を送った。私は知らなかったが、同じことを
書いて送ったのは明治政府が選んだ最初の留学生の一人、帰国後
専修大学の創始者となった相
馬永胤であった。当時、専修大学
100年誌を編纂していた私の手紙を受けとった友人は驚き、早速
依頼されて相馬永胤の住んでいた学生時代の下宿先をを探し当て
た事があった。日本初の法律をまとめた永胤のNY滞在日記と会計
簿を読むと胸が熱くなる。何よりも大切なのは精神である事を教えら
れる。ブランドの買い物アサリではない。
 
現代の若者たちに読んでもらいたいと思う。同じ感慨でパークを歩
いた100年前の人に思いを馳せながら歩くのも心豊かな散歩になる。

 歴史が分かるとパークの見方も違ってくる。
パークは、ニューヨーク市が1853年当時開発されていない843エー
カーの土地を購入し二人の建築家を最高額(当時の月給$1,500
市長りも高級)で雇用した。1858年~1873年完成まで15年を要し,
すべてが
人工的にデザインされ、人々を楽しませる目的で作られた。

 1858年といえば日本では幕府が日米修好通商条約を結んだ年。
江戸では福沢諭吉が蘭学塾を開いた。その2年後、批准書交換のた
め遣米使節団が渡米している。

 何よりも特別なのは、何処から見ても視覚的に楽しめるように人工
的に高低を作り、太陽の降り注ぐ草わらから木陰まで、そして水ぎわ
から岩のぼりまで、綿密に計算してデザインされている。デザインの
インスピレーションは17世紀のヨーロッパの絵画から影響を受けたと
いわれている。アメリカで最初の立体交差をアーチや橋を使って散歩
道にバラエティをつけている。歩く道は総計93.5kmに及ぶ。橋、アー
チを含めて40あり、キャストアイロン、石、ブリック、御影石、ブラウン
ストンや木製などそれぞれのデザインがすべて異なり、トンネルをくぐ
っているときは上や下の道に気付くことはない。

 セントラルパークはコンくリートジャングルであえぐニューヨーカーに
新鮮な空気を補給してくれるニューヨーク市の肺にあたるところだ。
心身ともにエネルギーが補給され、ニューヨーカーにもっとも愛され、
それぞれ暮らしの物語が入っている大切な宝石箱である。

相馬永胤 参考
 *http://rokugou.cside.com/sensyu001.htm
 *www.koutouclub.net/iikenohitobito2.htm

 


 



 


「無料コミック デイ」

2007-05-08 04:54:03 | ニューヨーク暮らしの日々


本を手からおろせない夢中族のエネルギー
 去年居合せたNYの催事場、ジャビットセンターで熱気を帯びている
セクションがあり、鉄腕トム〔アウトロ ボーイ)のTシャツを着た若者や
忍者の仮装をしているハッピーそうな若者たちが気炎を上げていて
「なにごとか?」と驚いた。

 漫画、コミックは大衆文化の中でも最もアメリカらしいアメリカーナと
いえる。ポップアートにも影響を及ぼしているし、新しい素敵な発想の
グラフイック デザインも多い。

 アメリカの新聞にコミックが出始めたのは1800年代にさかのぼり、
最初の人気は1896年に現れた"イエロー キッド"。人気が出てイエ
ロー ジャーナリズムとまで言われたそうだ。10セントの漫画は子供
たちに大人気をはくし、何百万の子供たちが愛読者となった。
 第1の人気は子供でも買えること。しかし、第2次大戦時、安く買
える楽しみとして特に兵士たちにも人気が広がり、戦後ベビーブーマ
ーが愛読者になり、大人になってもひき続きのファンで、ロイヤーや
大学教授などの知識階級のファンが増たことが現代でのブームの第
2の理由。そしてコレクションがお金になるとのこと。
 元10セントのコミックが大切に保存され、新品に近いものは$1.000
という世界。コレクションの仕方もサブジェクト別、出版社別、続番号、
インデックス付きなど若いリーダーを感激させるファイルを作るという
懲り方。

 5月5日は年に一度のコミック デイ。コミックの最大流通ダイヤモン
ド コミック ディストリビューターがプロモーションで無料でコミックを
提供する日。

 漫画コーナー。殆どが日本の漫画。時間によっては床に座って
読むファンで殆ど通過できない。

 ニューヨークはコミックブック ストアのメッカで40軒以上あるそうだ。
コミックファンの話によれば、最低といわれるコミックストアでもほか
の州より良いとのこと。
 大人が電車の中で夢中で漫画を読んでいる日本や、フランスでは
プルーストの小説もコミック化されている事は世界中が知っている。

 世界中が共有する楽しみだとすると、変化とマーケットの可能性ば
かりでなく、新人類の子供の新新人類たちがこれから創造していくも
のはどういうものだろうか。

参考
 http://www.freecomicday.com


 


「どうしてそんなにパークが好きなの?」

2007-05-04 13:31:09 | ニューヨーク暮らしの日々

セントラルパークのベセスダ テラス
(Bethesda Terrace)

左より59丁目南から110丁目の北まで。幅は5番街からセントラル
パークウエストまで。両端のひと目盛りが1ブロック。



(現在テラス天井の修復中。イギリス製のタイル16.000枚使用)

 
セントラルパークは誰かに話さないではいられないほど、毎日発
見がある素敵なところだ。
散歩するたびに”ああ!幸せ。よくぞ作っくれました”と園芸建築家
のオムすテッド(Frederick Law Olmusted) と建築家でデザイナー
のカルバート・ボー(Calvart Voux)に感謝せずにはいられない。
散歩のあと「今日も幸せでした。ありがとう」と家路につく。

 ある日、日本からのツーリストの青年がシャッターを押してください
といったので、「パーク、美しいでしょう?」というと「まあーですね」
ほかの青年は「いつもテレビで見ていますから」と。
うーん、日本の若者はさめているなー。
どう感じるかで知っているという事と違うと思うけれど・・・

 ベセスダ テラスは72丁目の横断道路の真ん中にあり、テラスの下
をくぐると天使の噴水のある広場に出る。66丁目にあるシエクスピア
の銅像からまっすぐ前に美しいアメリカン エルムの散歩道からエンジ
ェルの翼が見える。緻密に計算されたデザインである。テラスはロマ
ネスク、ゴシックを合わせた古典的装飾のミックスス。サンド ストーン
で出来たテラスの彫刻は同じデザインがひとつもない。彫刻模様だけ
ゆっくり見ていると1日かかる。同じものがあれば80年代に修復された
もの。


 
映画やファッション撮影、ミュージッシャン、ダンスやパントマイムの
パーフォーマンスなど人々のためにデザインされた最も民主的なパー
クである。舞台装置は何処でもできあがっていて無料の素晴らしい舞
台となる。
テラスは動物園の次にセントラルパークの中でもっとも人気
のある所だ。

 セントラルパーク管理局の統計によると人を見て楽しむ人25.1%,
リラックス20%、思索,
考え中が15.6%、パークで何かをする10.7%
読書10.1%、 散策6.1%、日光浴4.5%、待ち合わせ3.9%、 ピクニック
3.3%、寝るところが0.8%。
 週末のアクティビティの統計は
リラックス59.7%、.スポーツ8.7%、水辺2.3%, 自然3.3%, 乗り物7.4%,
音楽5.7% 動物園4.5%, プレイグランド3.7% 通過2.2% となっている。