小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「アメリカンキルトから学ぼう」

2006-11-18 00:20:48 | ニューヨーク暮らしの日々

「アメリカンキルトから学ぼう」 
 
 まだ日本にキルトの本当の意味が紹介されていなかった1980年
の初めに、私は「アメリカンパッチワークキルト事典」を文化出版局
出版した。「アメリカンキルト」(白水社)にはキルトとアメリカ人の暮ら
しを書いている。あれから20年以上の月日が経ち、キルトとは何かと
説明する必要がないほど日本にキルトは浸透している。

 手造りが暮らしの基本であった頃、倹約精神から使用可能な布地
を継ぎ足し、寒さをしのぐためにベッド掛けが作られた。19世紀の終
わり産業革命が起き、アメリカコットンが安く手に入るようになってか
らアメリカ中にキルト作りが流行した。ただ作るだけでなく寒さをしのぎ、
部屋を美しくする目的と機能を兼ねていた。 そして病む人には皆で
作ったキルトを贈り、教会の資金調達や遠くへ移住する人には心を込
めて作られたキルトが贈呈された。 

 コミュニティの相互扶助のためにキルトを通して集まりを持ったこと、
お互いに助け合った開拓時代のこの協力がアメリカの伝統となり現在
でも育まれていることがアメリカンキルトの基本精神になっている。

   
 布地の素晴らしい伝統を持つ日本で、現在、美しいキルトが沢山作ら
れている。しかし、実際のところ多くは展示会のために作り、部屋を美し
くする目的でもなく、協力の結果出来たものでもなく、押入れに眠ってい
るのが現状のようだ。 お互いの競争や、ビジネスになっていることは
一つの発展する動機になり喜ばしいことだと思うが、最もアメリカらしい
もの、キルトに込められた本当のアメリカ精神をキルトから学んでいるだ
ろうか?
  
 
アメリカでは重い荷物をも持っている人には助けの手が伸び、席はす
ぐ譲られる。日本の若者は年寄りを前に立たせて眠りこけ、重いものを
持っている人を押しのける。 注意すれば殴られる。寂しい日本だ。  
 今の日本は協力し輪を作ること、助けあうことを忘れたのだろうか。
最近の問題、子供のイジメの本質は大人たちの社会の反映のような気
がしてならない。 

参考 小林恵著:
 「アメリカン パッチワーク キルト事典」
           http://books.bunka.ac.jp/
              「アメリカン・キルト 草の根で社会を動かす針と布」 
                http://www.hakusuisha.co.jp

 


 「私の住いの近くの散歩道」

2006-11-08 08:02:46 | ニューヨーク暮らしの日々

 私の住いはマンハッタン島を斜めに走るブロードウエイ
の70丁目、ハドソン河沿いのパークとセントラルパーク
の中間にあり、幸せな散歩道がどちらも3分以内でいける。
(写真の上部がハドソン河)ハドソン河沿いは72丁目から
79丁目までクラブ アップル並木の美しい散歩道であった
が、現在市の計画で工事が進み、バッテリーパークからジ
ョージ ワシントン ブリッジまで繋がるハドソン河沿い
に歩ける散歩道になる予定である。 今のリンカーンセン
ターが立つ前はスラムで、その裏になるハドソン河沿いは
ゴミ捨て場でホームレスのた
まり場であった。

   
 ホテル、カジノ、不動産業、レストラン他、お金を作る
ことを教えるサイト大学も持つ大金持ち「交渉のマスター」
といわれているダーノルド トランプが、市から土地を1ド
ルで買い、その見返りに地区を開発しパークを作って市に
寄付をした。住民たちは「断然反対!」のピケを貼り、喧々
諤々大騒ぎであったが、今は公園がほぼ出来上がり、新し
いトランプブルバードも出来、文句を言った住民も散策を
しんでいる。ゴミ捨て場を開発したことでアパートの住民
の家屋税は10年間無税。ブロックごとに出来たトランプ
ビルに住む人はこの恩恵に浴している。

   
 
ハドソン河に沿った新しい散歩道はデザインされた美し
い草道とベンチが続き、市民はハドソン河の日没の散歩を
楽しんでいる。
 旅行者にも散歩を楽しんでもらいたい美しいところだ。

 


 「私の住いの周辺」

2006-11-04 03:07:37 | ニューヨーク暮らしの日々


 
私の住いの周辺、歩いて10分以内にはリンカーンセンター(オペラ
ハウス、フイルハーモニックなどNYの文化センター)、ジュリアード音
楽学院、映画館が14、NYでも有名なグルメマーケットのフェアウエイ、
チッタレーラ、ボルドーチなど、レストランも数えきれないほどある。
    
 15分あればタイムワーナーの地下にあるホールフードや自然博物
館にもいける。船舶が交通機関であった当時はハドソン河に船着場
があり、ウエストサイドは盛場であった。この界隈にはシャリアピンや
カルーソが住んでいたアーチスト専用アパートや豪華な建造物が立
ち並び、金持ちたちが住んでいたことを証明する立派な銀行もある。
現在も銀行が11もある。戦前まで温泉マーク?であった同じデザイ
ンのビルがブロックごとにあるのも繁華街を忍ばせている。
   
72丁目の地下鉄駅とアンソニアホテル 両方とも(歴史保存建造物) 

交通は5地区へ行く地下鉄、バスも8本あり最も便利なところである。
72丁目の地下鉄の駅は歴史保存建造物になっている。すぐ近くに
ABCテレビ局、今住む私のアパートが建つ前はテレビ局のアートデパ
ートメントで2階建の美しいビルが建っていた。住いに関する専門店も
数軒あり、特別のものでない限り10分以内で暮らしに必要なものが
すべて手にはいる。
  
グレイシャス ホーム ウエストサイドには暮らしに必要なもの何でもそろっている。
 
コロンバス アヴェニュー70丁目   ジュリアード音楽学院前の小公園


 「住まいの広さ」

2006-11-02 05:14:22 | ニューヨーク暮らしの日々

 
 セントラルパークの木陰で一人で本を読む人やベンチに座って自
然と対話している人を見るたびに考ええさせられる。日本で多発して
いるイジメの本質は密集した生活から生まれているのでないだろうか。
大人でも子供でも夢を持つ人、心で宇宙を遊べる人は他人のイジメ
などに考えが及ばない。
 アメリかで最も素晴らしいと思うのは住いのスペースである。
一人の住む空間が法律で決まっているわけではないが、人間らしく
生きるために不自由を感じないスペース、充分なクローゼット、キッチ
ン、トイレと一緒になったバスルームなどは基本的に確立している。 

 マンハッタンの中ほど、ウエストサイドに住む私はアルコブというド
アのない寝室スペースを含むスタジオ、ワンルームに住んでいる。
同じスペースの日本のアパートに住む友人と比較して、便利さと快
適さは比較にならない。世界第2の経済大国 「美しい日本」の庶民
の住いが快適となるように、住宅産業改革が行われるように願って
いる
。