手作りと商品の差・たかが手作り、しかし大企業にもなり得るもの
ー量産フックド・ラグと手作りフックド・ラグの差ー
フックした商品ツール 量産されている毛糸で作った機械製ラグ
手作りで量産可能なものと出来ないものの差はいろいろの理由があ
ります。
インターナショナル新商品紹介にはアメリカに来てからずっと続けて見
ていますが、ちょっとしたアイデアで商品にもなり、大ビジネスにも広が
ります。手作りアイデアが毎年大きくなっていくものと、消えていくもの
理由もさまざまで、残念と思うもの、当然だなーと思うものなどいろいろ
です。
環境とか資金とか、システム、マーケッティング、タイミング、いろいろ
の条件がそろって商品のヒットが生まれますが、それをいかにするかは
多くの場合、クリエイトした人でなく、マーケッティング専門の人がのめり
こむことでビジネスが成功した例も多いのですが、全部自分でやって成
功した人もたくさんいます。
大抵のアメリカ女性企業家はポケットマネーから始まり、基本的に
キッチンからスタートしています。
デザイン バラエティも多く安く出回っている機械織りマット
私はアメリカに来た初め、まづビジネスと関係なく、特別の知識もな
く作り上げた素晴らしい手作りキルトに関心を持ち、お蔭でアメリカ女
性たちの暮らしのエッセンスを身をもって体験することが出来ました。
美しいベッド掛けを作ると見せたいと誰もが思います。当然ベッドルー
ムが美しいだけでなく、ほかの部屋も美しくしたいと思うことになります。
機能的な住まい作りはアメリカ女性の大好きなマネージメントの発露で
す。
作っているうちにデザインもどんどん進歩していき、現在残っている
19世紀のキルトはすでにマーケットにでる事が極小になりました。
1983年に日本で出版された最初のキルト総括本、「アメリカンパッ
チワークキルト事典」(文化出版局:)には500枚以上のキルトの写真
が掲載されていますが、その大部分は現在、美術館所蔵になっていま
す。19世紀せっせと作った作者不明のキルトが美術館に保存され得
るとは誰が考えたことでしょうか。
キルトと同じころ作られたアメリカン フックドラグはキルトと同時に私
の関心を持ったアメリカで最もアメリカらしいフレーバーのある手作りで
す。キルト同様19世紀の社会現象ともいわれるほど流行しました。
この二つの話しをしましたら文化出版局の当時の編集長・今井田
勲さんが 「キルトを先にするといい。それだけよく知っているのなら、自
分で書きなさい」 とキルト事典の出版チャンスをくださいました。
それから ”キルトってなんですか?” と何百回聞かれたことでしょうか。
特に男性は女ものや、ビジネスに続がらないと興味をしめしません。
現在キルト関係で大きなビジネスをしている人たちの多くは男性ですが
女性たちにもビジネスに介入出来るチャンスが出来、教師として立派に
自立営業をし自立しているキルターがいますから本当に喜ばしいことで
す。アメリカで学んだ分かち合いの精神、私の出来ること、使命というと
大げさですが、やりたいことは達成されていると思います。
しかし、キルトに遅れること10年以上、フックド・ラグはキルトの様な
計算と企画なしに、自由表現が出来、創作上もっと自由に作れます。
キルトは既にうまい人がたくさんいますので下手だと習いに行かないと
だめかと思いがちです。出来上がると箪笥の肥やしで次の展示まで眠
ってしまいます。アメリカンフォークアートは私たちの様な普通の人、誰
でも作れること、暮らしを豊かにすることが身の上です。
フックド・ラグは誰でもできる!下手でも嬉しい!やってよかった!
などキルト程大きく広げなくても見せびらかせるチャンスが多いのも楽
しい理由です。キルトはベッドがない理由もありますがラグはすぐ使え、
部屋を楽しく、訪問者にも 「私の作品」 を見てもらえます。
さて私の言いたいことは手作りの価値観についてです。
現在ビジネスとしてマスプロダクションのキルトが大量に出回ってい
ます。デザイナーが介入して作ったコピーライト付のキルト、無名の人
の作ったキルトのコピーがインドで、中国で、ガテマラ、ハイチなどで
も作られ、安いものは100%コットンで$50ドル位からあります。ミシン
の技術が発達したこと、作り慣れたこともあって、普段の使用に十分
価値ある実用品です。ラグも機械で、毛糸で作ったものは小さなドア
マットで39ドル位から大量に出回っています。皆で安価なものを共有
できることは結構なことです。ビジネスをやりたい方は可能性絶大です。
しかし、あなたの作った手作りの価値はお金に代えがたいものです。
お金を得るために作ったものでなくても、下手でも手にハートを込めて
作ったあなたのラグは、たとえ完璧でなくとも宝になります。美術館に
展示される可能性もあります。
アメリカと日本を巡回した「第3回日米フックド・ラグ展」に出品した
唯一の男性、有吉熙さんがお亡くなりになる前にニューヨークにお
手紙を下さいましたのでみなさんと分かち合いたいと思います。
「会社を辞めてからラグを作ったことは私の人生をどれぐらい豊
かにしたか計り知れないものがあります。思いもよらない方々にめ
ぐりあい、小さな価値観がどれほど人生を豊かにするかを学びま
した。私の手で作り上げたものが、アメリカでも展示され、孫たち
にも残したという喜びでいっぱいです」
アメリカの展示場でこのことを伝えました。あとからアメリカの作者の
みなさんから ”胸が詰まった、ラグ作りをこれほど愛情を込めて伝
えていただき嬉しかった。” との感想をたくさんの方々からいただきま
した。
キルトに遅れること何十年でしたが、アメリカ・日本で開催されました
キルト展や、ラグ展は私の半生を豊かに充実したものにしてくれました。
私がやったのでなく皆さんが作ってくれたからこそです。
すでに作っている方、これから初めようとしている方々と嬉しさを分かち
合いたいと思っています。
メイン州立美術館所有 アメリカン アンティック ラグ 幾何学・花デザイン 19世紀
ニューヨーク アメリカン フォークアート美術館 アンティックショーにて 1/24/2010 撮影
小林恵のラグ教室:(代理インストラクター7名)
お問い合わせ・ホームスパン・中山恵子・稲船佳代子
渋谷区富ヶ谷1-19-7, コーポラフォレ1F.
電話:03-5738-3310
ミキモトアカデミー:(小林恵指導)
5月19日、6月2日、6月23日
お問い合わせ・ミキモト広報部・蓑作真帆(みつくり まほ)
電話:03-6226-9870