小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「アメリカの流行病・肥満社会・(Obesity)」

2010-02-18 12:50:26 | ニューヨーク暮らしの日々

    太目礼讃・ボッテロも顔負けの太目アメリカ         
     

      
      写真:ミッシェル         
 教育問題で
社会貢献をしているファースト レディ、ミッシェル オバマ
は子供たちの健康食に関心を寄せ脂肪分、糖分、塩分を5カ年計画
で学校給食からコントトロールする予定。
 "月に行ったり、インターネットを発明するようなことでなく、肥満は子
たちの選択でありませんから、親たちが協力して子供たちの健康を守
りましょう”と呼びかけている。ファーストレディが子供の肥満をテーマ
に動き出したのははじめて。

 肥満はまるで流行病のように蔓延し、3人に一人は太りすぎ!
肥満体のためによる病気支出は年間117億 しかも増え続け特に
子供たち6歳から19歳まで1980年以来15%も増えている。
 子供が高血圧、コレストロール、ぜんそく、心臓病などになり、大人の
多くは糖尿病、癌などに掛かる人が増え続けている。

 
ニューヨークタイムスによると各州ともに肥満体が増え、健康保険
問題が国の話題で、肥満体の理由で生じる医療費は無視することが
出来ない。1995年以来、喫煙者は20%減少、その代わり肥満体が
48%も増えている。

 
20%脂肪分を持つ人をオーバーウエイトといい、それ以上をオビー
スト(obesity)肥満体という。アメリカの肥満体は66%。アトランタの病
気予防コントロールセンターの調査によると肥満体は男女半々。 
 第1の理由は食事。すぐ口に入るファーストフードを食べ過ぎバラ
ンスを欠いている。皆で食時をする関心が薄れ、いつでも手軽なものを
食べ、次第に満腹感が麻痺し、脳の指令も麻痺する。ランチ持参のあ
る集まりで肥満体の女性が45センチ大のピザを全部たべてしまい驚
いたことがある。


 第2は運動をしない。セントラルパークでジョッギングする人やサ
イクリングしている人で太っている人を
見かけてことがない。
 地下鉄、バスの中でも肥満体の人は何かしら食べている。
11月に地中海沿岸のクルーズに行った。85%は夫婦ともに肥満体
で、ほとんどがお肉とデザートを大山盛り食べ、朝食に卵4個の目玉
焼きを嬉しそうに食べている人もいて、見ていても心配になった。
  
 栄養価の高い日本食は粗食でもバランスの取れるものがたくさん
あり、ニューヨークのマーケットにもオーガニックコーナーにはわかめ
やヒジキ、お味噌などもあり、伝統のありがたさを日々感謝している。
 どの位太っているかというと写真はまだ動ける人で、公共の一人用
の座席は一人半から二つを占め、硝子戸の前を通ると部屋が暗くなる。
差別でなく本当の話。満腹、飽食はデカダンス、
何も起こらないことを
肝に銘じる必要が狭まれているアメリカである。

(写真・NYで太目さんを後ろから失礼したことをどうぞお許しください。)


 


「フックド・らぐを作ろう!アメリカ式人の集め方」

2010-02-10 12:25:34 | フックド・ラグ

マリリン ボッチャーさんの会(Hooking in・・・Marilyn Bottjer)

会場風景 中写真:右端 Bottjer, Alice, June, 恵、Carrie B.日米展参加者






 ボッチャー先生は1994年以来、1月の最後の金曜日一年に一度
イーストチェスターの教会を借りて
フックド・ラグの集まりをしている。
習いに来ていた教会の女性牧師があいている教会を提供してくれた
ことから始まった。
 教会や学校の教室、運動場など空いている時間を公共に提供し、ス
ペースを役だたせるアメリカのポジティブアイデアは
素晴らしい。
儲けでなく、基本的維持費を出し合うのも、常識になっている。

 
ニューヨーク、コネチカット、ニュージャージーなどの近郊から、各自
ランチ持参で集まり、皆がどんなものを作っているか、いらないウール
や材料をを売ったり、作ったものを床において展示したり、今作ってい
るものをお互い覗き学ぶチャンスを作っている。パイやクッキー、ケー
キ、お茶やコーヒーなども持ちよりで、和やかな雰囲気でそれぞれが
新しいアイデアを得るチャンスでもある。

 ボッチャー先生はPearl McGownで習い、1966年以来イーストチェ
スターの家で友人や小さいグループに教えだし、現在は日本人も多い。
転勤で渡米した人のミセスは働くことができないので最高よい学びの
チャンスだと思う。大いにアメリカのよいことを学んで日本で教えれれ
ば素敵なことだと思う。。ラグ作りばかりでなく、アメリカの暮らしの知
恵も自然に学べるチャンスにもなっている。

 ボッチャーさんは私の企画した日米ラグ交換展に2度も来日した。
「インターナショナル日米ラフ展をやりませんか? 」のお誘いに
「考えたこともなかったけれども、やりたい!」と即答。
ポジティブなことをすぐ受け入れるのもアメリカのよいところ。

 おかげで第1回目の日米ラグ展は銀座東京ガス展示場で、ニュー
ヨークでは最高便利な場所、42丁目のグランドセントラル ステーシ
ョンのメットライフ
、(昔のパンアメリカンビル)の画廊で展示すること
ができた。
 現在インターナショナルに活躍、その貢献によりアメリカのラグ協会
から表彰されている。

 私は1994年、フォークアート美術館で初めてボッチャー先生から
アメリカンフックド・ラグを習った。初めは何も分からず、先生の説明
は概要10分位ですぐ実習。先生は黙って見ているだけ。初めて参
加した生徒も黙々とやっている。ただやるのみ!。初めからいくら言
っても、その通りにはいかないから、自分で発見していくより道がな
い。あとで気がついたけれども考えながらやることを学ばせてくれると
てもいい先生だと思う。
 第一アメリカ人にこうしなさいと言っても
その通りになどやりたがら
ない。子供の時から自分らしさを表現すること、個性の尊重を教育さ
れているからだろう。しかし、キットでそっくりに教える Pearl Mcgown
派は刺繍の好きな人向き。学校の教え方はマニュアルがあり、免状
を出す。アメリカ的教え方ではないがビジネスとしては大成功している。
その教え方を学んだ人で結構うまい人がいるので習作と思えば、そ
れはそれで素晴らしい訓練になっていると思う。
とにかく理屈抜きにやるしかないというのが上達するなるコツだと思
う。

  日本でも週末あいている空間を教育の場として提供する人や、積
極的に求める人がもっと出てきてほしいと思う。私の住んでいるブロッ
クの集まりは教会で、だれかが近くのピザ屋さん、ケーキ屋さん、マー
ケットなどから寄付を集めてくる人が出てきて、楽しいパーティになる。
 皆1分間で何をしているか、協力してほしいことを発表する。「写真家
です。頑張っていますが売れません。写真のブックを机の上にお来まし
たので、見てください」 「私は試みましたが雇ってくれる人がいません
ので、スーパーマーケットの買い物役をしています。お要望の節はお願
いします」 などの売り込みもありとてもアメリカらしい。

 夏など青空教室なども素敵だと思うけれども・・・
リバーサイドパークのスペースを利用して無料のヨガクラスもある。
よいことは
すぐ市がお知らせのスケジュールにいれ、協力している。
前例がないとか、市の施設ですからとか、わかりずらい答えを聞いた
ことがない。希望を持たせ、いつもポジティブなアイデアを歓迎するのも
アメリカのよいことのひとつだ。よいアイデアを分かち合うことはまさしく
アメリカのになっている。

 ラグ教室 お問い合わせ:
ホームスパン:         ℡ 03-5738-3310 中山恵子
ミキモトアカデミー ℡ 03-6226-9870 蓑作(みつくり)美帆

 

 

 


 


「手作りの価値」 キルトとフックド・ラグ

2010-02-05 11:09:12 | フックド・ラグ

手作りと商品の差・たかが手作り、しかし大企業にもなり得るもの
    ー量産フックド・ラグと手作りフックド・ラグの差ー

フックした商品ツール   量産されている毛糸で作った機械製ラグ

 手作りで量産可能なものと出来ないものの差はいろいろの理由があ
ります。
インターナショナル新商品紹介にはアメリカに来てからずっと続けて見
ていますが、ちょっとしたアイデアで商品にもなり、大ビジネスにも広が
ります。手作りアイデアが毎年大きくなっていくものと、消えていくもの
理由もさまざまで、残念と思うもの、当然だなーと思うものなどいろいろ
です。
 
環境とか資金とか、システム、マーケッティング、タイミング、いろいろ
の条件がそろって商品のヒットが生まれますが、それをいかにするかは
多くの場合、クリエイトした人でなく、マーケッティング専門の人がのめり
こむことでビジネスが成功した例も多いのですが、全部自分でやって成
功した人もたくさんいます。
 大抵のアメリカ女性企業家はポケットマネーから始まり、基本的に
キッチンからスタートしています。

デザイン バラエティも多く安く出回っている機械織りマット
     
  私はアメリカに来た初め、まづビジネスと関係なく、特別の知識もな
く作り上げた素晴らしい手作りキルトに関心を持ち、お蔭でアメリカ女
性たちの暮らしのエッセンスを身をもって体験することが出来ました。
美しいベッド掛けを作ると見せたいと誰もが思います。当然ベッドルー
ムが美しいだけでなく、ほかの部屋も美しくしたいと思うことになります。
機能的な住まい作りはアメリカ女性の大好きなマネージメントの発露で
す。
 作っているうちにデザインもどんどん進歩していき、現在残っている
19世紀のキルトはすでにマーケットにでる事が極小になりました。
 1983年に日本で出版された最初のキルト総括本、「アメリカンパッ
チワークキルト事典」(文化出版局:)には500枚以上のキルトの写真
が掲載されていますが、その大部分は現在、美術館所蔵になっていま
す。19世紀せっせと作った作者不明のキルトが美術館に保存され得
るとは誰が考えたことでしょうか。

 キルトと同じころ作られたアメリカン フックドラグはキルトと同時に私
の関心を持ったアメリカで最もアメリカらしいフレーバーのある手作りで
す。キルト同様19世紀の社会現象ともいわれるほど流行しました。

 
この二つの話しをしましたら文化出版局の当時の編集長・今井田
勲さんが 「キルトを先にするといい。それだけよく知っているのなら、自
分で書きなさい」 とキルト事典の出版チャンスをくださいました。
 それから ”キルトってなんですか?” と何百回聞かれたことでしょうか。

 特に男性は女ものや、ビジネスに続がらないと興味をしめしません。
現在キルト関係で大きなビジネスをしている人たちの多くは男性ですが
女性たちにもビジネスに介入出来るチャンスが出来、教師として立派に
自立営業をし自立しているキルターがいますから本当に喜ばしいことで
す。アメリカで学んだ分かち合いの精神、私の出来ること、使命というと
大げさですが、やりたいことは達成されていると思います。
 
 しかし、キルトに遅れること10年以上、フックド・ラグはキルトの様な
計算と企画なしに、自由表現が出来、創作上もっと自由に作れます。
キルトは既にうまい人がたくさんいますので下手だと習いに行かないと
だめかと思いがちです。出来上がると箪笥の肥やしで次の展示まで眠
ってしまいます。アメリカンフォークアートは私たちの様な普通の人、誰
でも作れること、暮らしを豊かにすることが身の上です。

 フックド・ラグは誰でもできる!下手でも嬉しい!やってよかった!
などキルト程大きく広げなくても見せびらかせるチャンスが多いのも楽
しい理由です。キルトはベッドがない理由もありますがラグはすぐ使え、
部屋を楽しく、訪問者にも 「私の作品」 を見てもらえます。

 さて私の言いたいことは手作りの価値観についてです。
 現在ビジネスとしてマスプロダクションのキルトが大量に出回ってい
ます。デザイナーが介入して作ったコピーライト付のキルト、無名の人
の作ったキルトのコピーがインドで、中国で、ガテマラ、ハイチなどで
も作られ、安いものは100%コットンで$50ドル位からあります。ミシン
の技術が発達したこと、作り慣れたこともあって、普段の使用に十分
価値ある実用品です。ラグも機械で、毛糸で作ったものは小さなドア
マットで39ドル位から大量に出回っています。皆で安価なものを共有
できることは結構なことです。ビジネスをやりたい方は可能性絶大です。

 しかし、あなたの作った手作りの価値はお金に代えがたいものです。
お金を得るために作ったものでなくても、下手でも手にハートを込めて
作ったあなたのラグは、たとえ完璧でなくとも宝になります。美術館に
展示される可能性もあります。

 アメリカと日本を巡回した「第3回日米フックド・ラグ展」に出品した
唯一の男性、有吉熙さんがお亡くなりになる前にニューヨークにお
手紙を下さいましたのでみなさんと分かち合いたいと思います。

 「会社を辞めてからラグを作ったことは私の人生をどれぐらい豊
かにしたか計り知れないものがあります。思いもよらない方々にめ
ぐりあい、小さな価値観がどれほど人生を豊かにするかを学びま
した。私の手で作り上げたものが、アメリカでも展示され、孫たち
にも残したという喜びでいっぱいです

 アメリカの展示場でこのことを伝えました。あとからアメリカの作者の
みなさんから ”胸が詰まった、ラグ作りをこれほど愛情を込めて伝
えていただき嬉しかった。” との感想をたくさんの方々からいただきま
した。

 キルトに遅れること何十年でしたが、アメリカ・日本で開催されました
キルト展や、ラグ展は私の半生を豊かに充実したものにしてくれました。
私がやったのでなく皆さんが作ってくれたからこそです。

すでに作っている方、これから初めようとしている方々と嬉しさを分かち
合いたいと思っています。

メイン州立美術館所有   アメリカン
アンティック ラグ 幾何学・花デザイン 19世紀

ニューヨーク アメリカン フォークアート美術館 アンティックショーにて 1/24/2010
 撮影

小林恵のラグ教室:(代理インストラクター7名)
お問い合わせ・ホームスパン・中山恵子・稲船佳代子
渋谷区富ヶ谷1-19-7, コーポラフォレ1F.
電話:03-5738-3310

ミキモトアカデミー:(小林恵指導)
5月19日、6月2日、6月23日
お問い合わせ・ミキモト広報部・蓑作真帆(みつくり まほ)
電話:03-6226-9870