小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「戦争はやめよう」

2005-05-30 03:12:17 | ニューヨーク暮らしの日々
ー誤解の広告ー 

 ニューヨークのコレクター、レスターグラスナーが集めた第2
次世界大戦中のポスター300枚を見てショックを受け、皆と一緒に
考え、公開する価値があると思った。日本で展示する企画を作り今
年の7月30日から8月の28日まで梅田のスカイビルタワーのミュ
ージアムで展示される。戦後60年を記念し、戦争をもう一度考えな
おし、平和について真剣に考えてみる良いチャンスだと思う。  
 戦時中、「ジャップをぶちのめせ!」「鬼畜米英」など憎しみををお
互いに宣伝し、マスヒステリアを増長させることで戦争の士気をお互
いに高めていた。この展覧会が戦争を知らない子供たちに平和を考
えなおすチャンスになれば、企画は成功だと思う。
 憎しみを宣伝し、広告したのはお互いの国の共通した心理だ。
しかし、アメリカのポスターには、「国のためにボンドを買おう!勝利
の暁には冷蔵庫も家も車も買える快適な時代がやってきます」と企
業が宣伝している。日本人は何も知らされず、将来を考えるチャンス
すらなく「欲しがりません勝つまでは」と宣伝、強要された。 
 憎しみが宣伝され、反抗するすべもなく、多くの無駄な生命
が消えていった。なんという無駄な、誤解の宣伝だったことか!戦争
は二度と起してはいけない!憎んではいけない! 日本人から世界
に平和を発言する時代は今、今でないだろうか。 

(写真は1942年、ルーズベルト大統領の時代、ニューヨークの近代
美術館で公募された戦争中のプロパガンダポスター展で最優秀賞を
取ったポスター)

「志をまっとうした人」

2005-05-20 10:57:19 | ニューヨーク暮らしの日々

ターシャ・テュダーさんの生き方 

ボストンソサエティをにぎわした両親はターシャさん9歳の時離婚。
肖像画家である母親はナサニエル・ホーソンの孫娘に当たる友人
の家にターシャさんをあずけた。そこでターシャさんはクリエイティブ
な暮らしと自由精神を学び取る。自然とともに生きる決心はこのとき
に育まれた。手にハートをこめた手つくりの暮らしは過酷な労働が
強いられるが、90歳の現在も19世紀そのままの暮らしを続けてい
る。
40代で離婚。4人の子供たちを育てた。イラストレーターであり作家
のターシャさんは100冊近くの本を出版している。リチャードブラウン
の撮る写真、美しいターシャさんのガーデンの本は折からの園芸ブ
ームでアメリカでも日本でも大ヒットした。4月末、ターシャさんをヴァ
ーモントの家に訪ねた。4度目の訪問である。最初に訪ねた時は19
83年、迎えに来たターシャさんは羊歯に覆われた細い田舎道を猛
スピードで車を飛ばし、彼女の美しい庭でカモミールティーと手造り
クッキーをご馳走になった。息子が作った50人席の劇場で自作のマ
リオネット劇を高いはしごに登って演じてくれた。まるでメルヘンの世
界だ。しかしこの美しさは労働の賜物である。 「もう私の写真は撮ら
ないでくださいね」と小さくなったターシャさんは言った。今も絵を描き
続けている。
開拓時代はすべてが手造りであった。私たちは忘れられたその世界
に感動する。アメリカの人間国宝だと人々はいう。便利になった21世
紀の今、「ヤンキースピリット」とは、「開拓精神」とは何かをターシャさ
んは我々に教えてくれている。

写真は小林恵さん、コーギーとともに大歓迎と書いてくださった料理本


「ストリートフェア」

2005-05-16 11:57:51 | ニューヨーク暮らしの日々

退屈しないニューヨーク週末はどこかで必ずフェアがある。

今日は9番街のフードフェア
で57丁目から36丁目まですごい人
であった。特に人種のバラエティではニューヨークらしいというの
だろうか。ツーリストは不思議な気分になるだろう。面白いのは肉が
多いことだ。フレンチクレープ、イタリアンソーセージ、オイスター、た
この丸焼き、豚の丸焼き、ブラジルの巨大ステーキなども登場する。
10ドル以内で何でも食べられる各国の庶民の料理ばかり。歩きな
がら食べれるのが楽しいらしい。巨大な玉ねぎを根の方を残してス
イスしたものを麦粉のバッターに浸して揚げげたものは直径25セン
チぐらいの大輪の菊の様。12~3センチもある大きなキノコ、ポルト
ベローを焼いてチーズをのせたものは美味しそうだ。もうスイカも出て
いる。とうもろこしもインディアンのように皮つきを炭火で焼いている。

輸入しなくてもアメリカは大農産国でもあり、季節の違うものが大都
会に集まる。太めのおじさん、おばさんが肉の塊をぱくついているの
を見ると、日本人の寿命が世界一になるのは当然だと思う。


「コミュニティマインド」

2005-05-04 22:39:47 | ニューヨーク暮らしの日々


「近所の助け合い」 
まちに待った美しい5月。ブロックごとにマネージメントは違うが、に
なるとグロックの住人が集まって街路樹の下に花を植えたり抜け
た街路樹を植えたりする。30年前に植えた71丁目のプラタナスの
街路樹は5階の高さまで伸びている。お金を集める人、労働を提供
する人。マネージメントをする人によってストリートの美観が変わって
来る。
会合は教会やシニアシティズンセンターなどが、あき室を提供してく
れる。ストリートにあるレストランからピザが届いたり、個人の雑貨店
から水のボトルが提供されたりする。ブロックには何百軒も住んでい
る人がいるが集まるのはいつも50人ぐらい。結果は住む人ばかりで
なく通行人も楽しませてくれる。
私の住んでいるブロードウエイの角、ウエストサイド70丁目の隣は
カソリック教会。週末にはスープキッチンになり、ホームレスばかり
でなく誰にでも無料でスープやコーヒーを提供している。近所の学校
の校庭は日曜日フリーマーケットにはや代わり。其の収入で校舎を
改善している。 
「3分間の自分広告」会が開かれた。自分は何をしていて何を社
会に貢献していけるか皆で知恵を出し、協力しあう集まりだ。ショッ
ピングのエージェントをしたいというアフリカンアメリカンの女性が、
「人種差別なし。赤、黄色、ブルーの人でも大歓迎です」と発言し笑
いと拍手が湧いた。 驚く位さまざまな職業の人がいて、興味のある
人は連絡しあう。伝統的なアメリかの相互協力、助け合いは今も少
なくなったとはいえ、身近なところで生き続けている。