小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

アルファベットは素敵なグラフイックデザインになる

2014-11-30 19:49:08 | フックド・ラグ

 アルファベットが字体は装飾的に遊べる場合が多いです

 単純な広告は仮名文字よりもアルファベットのほうがデザイン的に端的に記憶に残ります。小杉小次郎さんの手書きも楽しいですね。

                                      
      アメリカの自動車ショーのポスター          寂しくならないように友達には手を差し伸べよう     小杉小次郎 銀座百点表紙  銀座の恋の物語        
   
        フックド・ラグ制作 伊藤恵子              フックド・ラグ制作 小林 如                  フックド・ラグ制作 平石悦子
    

                            歓迎 日本 デザイン 仲條正義        
                                この本の下にはREMEMBER
                              フックド・ラグ制作 山岸郁子        忘れないでねと書いてありますが、MEM3字のスペースがないとき、
                                                        メンと2字にして REメンBER 英語と日本語の造語。楽しいと思うのは私だけ?
               
                      

        

                                             
                                         
     

 

 

                                

 


フックド・ラグのデザインの面白さ -キルトの幾何学デザインーを更に面白く個性的にデザインする方法ー

2014-11-24 20:30:15 | ものつくり

                                   幾何学模様をさらに個性的に創作、デザインする方法

                                              

                                                                            フックド・ラグ制作 村田春代 
                                    

               

                             この山形デザインは何処にでもあるデザインでよーく見てましう。この2色のパターンから数えきれないデザインが頭を悩ませないで自由
               
にできますね。100通り位のデザインがラグでやると自由につくれます。勿論幾何学であれば布地を変えることで出来ますがピースを直線で
               つなぎ合わせていくのは時間もかかります。しかしラグつくりだとそれが自由に絵具をのせていくようにインスタントにデザインができていきます。
               
え?と思う方は20人位の子供にこの幾何学模様を好きなように色塗りいてもらうと鮮明に理解できますね。
               つなぎ合わせるブロックの直線つなぎを無視できるからです。

                                   

                     フックド・ラフ制作 丸山くみ          フックド・ラグ制作  大月三千代          フックド・ラグ制作  井上直美
               


               キルトブロックのピースを自由に色彩の違う布地で埋めていけば誰一人同じものが出来ず、上のような個性的な面白いデザインができます。
               直線が曲がっても面白くなりますし、いたずら的に愉快なデザインが考え抜かないでできます。その上、ピースの中の模様も自由にクリエイト
               することができます。ブロックが正方形である必要もありません。

 

 


奇跡の1本松-心の1本松、フックド・ラグで表現

2014-11-20 20:03:08 | フックド・ラグ

 ”忘れられない”悲しみと希望を心にとめて残った7万本の中の1本- 「奇跡の1本松」 一目づつ草木染でポスターサイズのフックド・ラグを埋めていった感激の記録です。このフックド・ラグを亡くなった人々と亡くなったものたちへの鎮魂歌として捧げましょう。100年は保存されていてほしいと願います。高橋雄二氏撮影の心を打つほど美しく、いつみても3/11を思い出し、センチメンタルになり心が痛みます。
 岡本登志子さんが易しく
しはないこのイメージをラグ作りに選んでくれました。

 高崎市に住む岡本登志子さんは裏山で集めた草、樹の実、木の皮、くるみ、栗,アカネ、スモモ、ゆず、ヨモギ、桜、ぺんぺん草、など手で摘み濃淡は鉄と酢の焙煎液で煮詰めたりミョウバンを使ったり、いろいろの書物で調べながら試みてくれました。美しい写真もさることながらウールを染めてフックしたラグは胸がつまるほど感動的です。手つくりの温かみばかりでなく、登志子さんのものつくりへの努力は見る人の心を突きます。アメリカで学んだ名も知らず人の作ったラフックド・ラグが、日本で日本人の心をもフックできるのを見るのはやりたいことをやれる幸運と長生きして良かったと思います。

 かつて日本のキルトがいかにアメリカと違うかを選択し、「アメリカが日本のキルトに及ぼした影響」展をアメリカで展示したとき、各新聞や多数の雑誌が書いてくれました。
 中でもある週刊誌の評に「アメリカ人の血の滲んだキルトがひとたび太平洋を渡るとアメリカ人を飛び越える。我々アメリカ人にこれから何をするべきかを教えられる展覧会である」との評がありました
。私の願いが実現していることに、そして評価されたことがとても嬉しく思いました。今私は日本で太平洋を越えて持ち帰ったアメリカンフックド・ラグ作りが日本人の心を、日本の歴史をフックしていることに感慨無量になります。フックド・ラグには写真でも絵画でも感じられない何かがあるのです。手芸の域をを超えています。

 この魅力はいったいなんだろうと考えます。まさしく自然繊維の持つ手芸を越えうる ”手にハートを” の世界だと思います。
写真家の高橋雄二さん、制作者の岡本登志子さん、日本人の心の記録をとどめてくれて有難うございます。

              

      「奇跡の一本松」   高橋雄二氏 撮影       ミキモトホールで展示したフックド・ラグ。      読売新聞2014年10月24日
                                                                                 
制作 岡本登志子 
                        
        

 

 


アミシュの美し物は昔のキルトとフックドラグです。

2014-11-16 17:43:45 | フックド・ラグ

 アミシュの戒律の一つに自分を誇示しないというのがあります。お化粧もよく見せたいという願望、人よりも美しい洋服を着たいと思うのも虚栄誇示に入ります。比較してはいけないのです。

シェーカーは極限の単純美を誇りにしましたがアミシュのプロダクトで美しいものは古いアミシュキルトとフックドラグです。だけといってもよいほどです。集まって作るキルト作りが社交と楽しみになっていました。柄のある布地やデザインは他人と比較することになりご法度でした。20世紀になってウールシャーリーという日本のメリンスのような柔らかいウール地が各色作られ世紀末から1920年後ころまでに作られたアミシュキルトは木綿よりキルティングしやすいこともあって本当に美しいものです。現在はほとんどコレクターや美術館に所有されています。また現在の柄物でビジネスとして作られたキルトはほとんどが美しいものではありません。


               アミシュ デザイン フックド・ラグ 制作 岡本登志子(見事な出来栄えです)


 アミシュはルーテル派新教再組織から分かれてスイスで生まれ、迫害でドイツに移住。キリスト教徒として共同体に忠実で、厳格な規則のある派で創始者メノン シモンズの名前を取ってメノナイトと言われ、メノナイトの一員、ヤコブ アマンは教会の純粋性を保持するために一層保守的なアミシュ派を作り宗教の自由を求めて三百年前にアメリカのペンシルバニアのランカスターに移住しました。
 農耕、牧畜、自給自足の生活をし、
新しい技術や考え方を拒否し近代文明と隔離されたシンプルな暮らしをしています。独自のバイブルの解釈から服装を決め、コミュニティで暮し、謙遜、公平、丁寧にシンプルライフを続けています。自分を引き立てる虚栄心はご法度です。庭の花も競って美しい花を植えません。虫よけのマリーゴールドがふつうです。

 男性は白シャツ、黒ズボンにズボン吊り、黒いジャケット、ジッパはないのでカギホックとボタン、冬は黒いフエルトの帽子、夏はストローハットをかぶります。女性は無地のドレスかスカート、白いブラウス、肌を見せることはしません。アクセサリ―をつけることも厳禁です。白いボンネットで髪を見せません。

 戦争にはいきません。税金を払わないので年金もいただきません。病院もなくコミュニティで病人の面倒を見るそうです。学校は16歳までに生活に必要なすべてを学びます。

数年前、アミシュの小学校に無差別に10人以上の子供に発砲し、射殺しました。犯人もすぐそこで自殺した大事件が起こりました。

そのこと以上に考えさせられたことは、犯人のお葬式に犯人の棺の後を村人たちの列が延々と続いたことでした。大きくニューヨークタイムスにその写真が出ましたが、考えさせられる忘れ得ぬページとして皆がそれぞれの心にとめた事件でした。

 

 

 


シェーカーの残すもの。手に心を。

2014-11-04 23:19:16 | フックド・ラグ

 シェーカーとは18世紀、イギリス北西部のクエーカー教の一派から独立した宗教グループで1758年, Mother Ann Lee がリーダーとなってアメリカで結成されました。
開拓時代の移民は貧困で孤児、捨て子が多く、貧困者や信者も集めてコミュニティを作り自給自足でシェーカーインダストリーを確立しました。

「手にハートを」のコンセプト、労働と心、手を動かす労働こそ神に近づくと彼女の信条を貫き、100年以上継続していました。シャーカーのドアの前には捨て子を置いていく人が多く、子供たちを教育し皆で育てました。1920年ごろには6.000人のシェーカーがいたと言われています。コミューンでは結婚が許されないので継続されず、現在は12か所にシェーカー美術館として残されています。
    

  

生命の木はいろいろのスタイルで書かれました。  ラグ制作:長嶋喜美子    1845年ごろシェーカーのワークショップで作られたもの。           フックド・ラグ制作:藤原一枝

1845年ごろ描かれたシルクスクリーンのシェーカーの生命の木は左右が均等でシェーカーの精神性を表しています。現在もHankockの美術館で購入できます。

 極端に華美を避けた単純なエレガントなスタイルでアメリカで作られた家具の中でも現在は最も高価なものです。



座り終わった椅子は壁に掛けられ、床にはものを置かないシェーカーの簡素な単純美は昔の日本家屋と共通なものがあります。

ローテックの18世紀、袋に入れた種を売り、薬草も売り出したのはアメリカで最初です。、機能的な家具、道具など、多くのパテントもとっています。

ニューヨークのフォークアート美術館で最後の生き残りのシェーカーの講義を聞きました、最初に彼女が言いました。
「私の顔は皺だらけで醜いです。見苦しいといっても構いません。しかし老人だ!とだけは言わないでください」 と。