クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

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11-07 No.29-1

2011年07月28日 15時29分06秒 | Weblog
<NAXOS> 各1枚 ¥1000
8.572554
インス:コンスタンティノープルの陥落
1-4.トルコの民族楽器と声楽のための協奏曲(2002/2009)
5-9.交響曲第2番「コンスタンティノープルの陥落」(1994)
(第1楽章街と壁 /第2楽章アヤソフィア /第3楽章コンスタンティヌス大帝と
メフメト帝のスピーチ/第4楽章レールの上の船 :海上の戦い/第5楽章コンス
タンティノープルの陥落)
10.ピアノ協奏曲(1984)
11.赤外線のみ(1985)
ネヴァ・オズゲン(ケメンチェ)…1-4
ヴェラレッティン・ビジェル(ネイ)…1-4
アリ・ベクタス(ズールナー1)…1-4
セブデット・アクデニス(ズールナー2)…1-4
ビルケント・ユース合唱団…1.2.4/ビルケント交響楽団…1-11
カムラン・インス(指揮…1-9.11、ピアノ… 10)
イシン・メティン(指揮)…10
とことんまで、トルコにこだわる作曲家インス(1960-)。今回のアルバムでも
そのポリシーが炸裂。強烈な音世界を見せてくれます。まずは民族音楽と楽器
を用いた「協奏曲」から。日本でもおなじみのあの音色がふんだんに使われて
いて、妖しい雰囲気満点の音楽となっています。メインの交響曲第2番は、古
代から続いたローマ帝国が滅亡するきっかけとなった 1453年に起きた戦いを
描いたもの。現在のイスタンブルの前身である、東ローマ帝国の首都であった
都市コンスタンティノープルが、オスマン帝国のメフメト 2世の侵攻により陥
落するまでの情景です。こちらは民族楽器は使われていないのですが、東洋的
で哀調を帯びたなメロディや、迫力たっぷりな戦いの場面はイヤというほど耳
に残ることでしょう。最後は無情感を残して曲を閉じます。暴力的な音と打楽
器的な扱いを受けるピアノが面白い「ピアノ協奏曲」、作曲家が編愛する「赤
外線」の音楽、と、どれも興味深い曲ばかり。この人の作品はどれも面白いの
だろうな・・・と期待してしまいます。

8.572786
ボロディン:
1-4.交響曲第1番変ホ長調/ 5-8.交響曲第2番ロ短調
9-10.交響曲第3番イ短調「未完成」
(グラズノフによるオーケストレーション)
シアトル交響楽団
ジェラード・シュワルツ(指揮)
ロシア 5人組の一人、ボロディン(1833-1887)の交響曲です。もともとは科学
者として活躍していたのですが、ムソルグスキーと知りあい、シューマンの曲
を知ってから音楽に興味を持つようになりました。1862年に着手し、作曲に
5年を費やした第1番は、どうしてもメンデルスゾーンやシューマンの影響が感
じられもしますが、ロシアらしさも存分に感じられる完成度の高いもの。もっ
と演奏されても良い作品です。1869年に作曲された第2番は良く知られた作品
で、名演、名盤が凌ぎを削っていますが、この演奏は、かなりすっきりとした
もので、泥臭さを求める人には、ちょっと物足りなさが残るかもしれません。
でも、こういうのもいいですよね?
さて、1884年に着想された交響曲第3番は、完成を見る前にボロディンがこの
世を去ってしまいました。残されたスケッチを元にグラズノフが形にしました
が、本来ならば、変奏曲とフィナーレも付け加えられる予定でした。永遠に聴
くことができないのが残念です。

8.559627
ブレシング・レッスンズ-サクソフォン四重奏のための音楽
1.タネンバウム(1924-2008):サックス四重奏曲(1999)
2-8.サンプソン(1951-):ブレシング・レッスンズ(2002)
9-14.モリル(1938-):6つのバガテル(2004)
15-18.ソーター(1914-1981):
テューバとサクソフォン四重奏曲のための小品(1961)
19.エワゼン(1954-):サクソフォン四重奏曲のための狂詩曲(2004)
全て世界初録音
スコット・メンドカー(テューバ)…15-18
ニュー・ハドソン・サクソフォン四重奏団 (メンバー:ポール・コーエン(ソプ
ラノ・サックス )/アヴィ・ゴールドローゼン(アルト・サックス)/デヴィッド
・デムジー(テナー・サックス).ティム・ルードマン(バリトン・サックス))
気まぐれで刺激的。そんな言葉がぴったりのサックス四重奏。このアルバムは
1987年に結成された「ニュー・ハドソン・サクソフォン四重奏団」の3枚目の
アルバムとなります。彼らは、常に新しいレパートリーを求め、多くの作曲家
たちに新作を依頼し、既に30作以上の作品を手中に収めています。まず、ひね
りの効いたタネンバウムの「四重奏」で始まり、アルバム・タイトルでもある
サンプソンの「ブレシング・レッスンズ(息使いの練習)」で多彩な世界を見せ
てくれます。テナー・サックス奏者デムジーの友人でもあるモリルのジャジー
で即興的な「バガテル」、テューバを吹く人も必聴、ソーターの作品。そして
大御所エワゼンの華麗でエネルギッシュなラプソディ。全て世界初録音です。

8.572410
フェラーラ:
1.前奏曲/2.悲劇的幻想曲/3.嵐の夜/4.ブルレスカ
ローマ交響楽団/フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
イタリアの指揮者、作曲家、音楽教育家であるフランコ・フェラーラ(1911-
1985)の作品集です。イタリア、パレルモに生まれ、幼い頃から音楽を学び、
5歳の時には、ピアノ・ソナタ(のようなもの)を作り上げ、家族を驚かせたと
言います。家族と共にボローニャへ移住、コンソリーニにヴァイオリンを学び、
ノルディオにピアノと作曲を学びます。彼は良きピアニストであり、また素晴
らしいヴァイオリニストでした。イタリア各地で演奏活動を行ううちに、何人
かの指揮者・・・グアルニエリ、トスカニーニ、マリヌッツィ・・・と出会い
衝撃を受けたのです。そしてグアルニエリの奨めで指揮者に転向、1938年に
フィレンツェ歌劇場でデビューし、1944年には聖チェチーリア音楽院管弦楽団
の常任指揮者になります。しかし、その後体調を崩し、後進の指導や映画音楽
の作曲などに専念しました。多くの才能ある指揮者を育て、また多くの映画音
楽を指揮するなど、イタリアの音楽界にとって、なくてはならない人なのです。
ここに収録された 4つの作品は、そんな彼の活動を音にしたかのような劇的で
華麗、そして表現力豊かな力作揃い。そのまま映画が何本も撮れそうな雰囲気
に満ちた佳曲です。

8.572162
C.P.シュターミッツ&ホフマイスター :ヴィオラ協奏曲集
1-3.C.P.シュターミッツ(1745-1801):ヴィオラ協奏曲第1番ニ長調
4-6.ホフマイスター (1754-1812):ヴィオラ協奏曲ニ長調
7-9.ホフマイスター:ヴィオラ協奏曲変ロ長調
ヴィクトリア・チャン(ヴィオラ)/ボルティモア室内管弦楽団
マーカンド・ザーカー(指揮)
マンハイム楽派の傑出した音楽家であるシュターミッツと、出版事業でも知ら
れるホフマイスター。彼らの作品は、どうしても同時代の天才、モーツァルト
の影に隠れがちですが、こうして改めて聴いてみると、その独自性溢れる音楽
には感嘆せずにはおれません。父ヨハンから音楽教育を受け、パリでヴァイオ
リニストとして活躍したシュターミッツの作品は、超絶技巧をふんだんに使っ
た華麗なもの。オーケストラ・パートの充実した書法も魅力的です。かたやホ
フマイスターの作品は、どちらかというと簡潔な書法で書かれ、優雅さが際立
つものです。「すばらしく深く、対話に満ちた音」とボルティモアの新聞評で
絶賛された女性ヴィオリスト、チャンの演奏で。

8.572641
ブライアン:
1-5.古い韻による幻想的変奏曲(1907)
交響曲第20番嬰ハ短調(1962)
交響曲第25番イ短調(1966)MARCO POLO 8.223731より移行盤
ウクライナ国立交響楽団/アンドリュー・ペニー(指揮)
長大で複雑な作品を書くことで知られるブライアン(1876-1972)。このアルバ
ムに収録された 2つの交響曲は、長さの面(だけ)なら比較的取っつきやすいも
のでしょう。1962年に書かれた第20番は予想以上にコンパクトで、洗練された
主題を持ち、表現力豊かです。そして 1966年に書かれた第25番は、より古典
的な構成を持ち、美しいメロディを持っています。しかし・・・ブライアンで
す。一筋縄でいくわけはありません。この楽章の配置を見てください。一つの
楽章はいくつもに細分され、目まぐるしく表情を変化させます。終わると見せ
かけて終わらない。そしていつの間にか別世界へ持っていかれる感覚。これは
病みつきになります。冒頭に置かれた「古い韻による幻想的変奏曲」は、彼の
初期の作品で、シベリウス、 R.シュトラウスなど、当時隆盛を誇っていたた
くさんの作曲家の影響が感じられます。これはこれで微笑ましいものです。

8.572333
ディ・ヴィットーリオ:
1.オーヴェルトゥーラ・レスピーギアーナ(2008)
2-5.シンフォニア第2番「ロスト・イノセンス」(2000)
6.女声合唱のための「アヴェ・マリア」(1998)
7-10.シンフォニア第1番「アイソレーション」(1999)
11-13.クラリネット・ソナタ第1番(1998)
1.11-13…世界初録音
レスピーギ合唱団… 6/ベンジャミン・バロン(クラリネット)…11-13
ニューヨーク室内管弦楽団… 1.2-5.7-10
サルヴァトーレ・ディ・ヴィットリオ(指揮)
第1曲目の冒頭。まさに「おおっ」と叫びたくなるレスピーギへのオマージュ。
音の扉を開けるごとに目まぐるしく世界が変わっていきます。これが何とも気
持ちよいのです。パレルモで生まれ、ニューヨークで美術と古代哲学を学んだ
ディ・ヴィットーリオ(1967-)は、ローマとフィレンツェ、ロンドンで指揮を
始めます。その後ニューヨークでオットリーノ・レスピーギ室内管弦楽団を指
揮し、注目を浴びました。ここに収録された作品は、彼の様々なスタイルを垣
間見せてくれるもので、前述のレスピーギのようなイタリア風のものから、交
響曲第2番に見られるドイツ的な語法、ルネサンス風の和声で書かれた瞑想的
で女性的な「アヴェ・マリア」、ヴィヴァルディからの影響を受けているとい
う「交響曲第1番」、捉えどころのないメロディなのだけど、どこかしら整っ
ている「クラリネット・ソナタ」。全部聴いたら、もう一度最初から聴いて
みたくなる作曲家です。

8.572688
ブレイク:
1.遊び心 Op.594(2008)
2-6.ひと月の夏 Op.611(2010)(牧歌/行進曲/悲歌/スケルツォ/終曲)
7.レダと白鳥 Op.249a(1977)/8-10.弦楽三重奏曲 Op.199(1975)
11.ウォーキング・ジ・エアー(スノーマン組曲より弦楽四重奏版)Op.615(2010)
エディンバラ四重奏団 (メンバー)トリスタン・ガーニー(第1ヴァイオリン)
/フィリップ・バーリン(第2ヴァイオリン )/マイケル・ビーストン
(ヴィオラ)/マーク・バイリー(チェロ)
クラシックの作曲家というよりも映画音楽の作曲家として知られる、イギリス
のハワード・ブレイク(1928-)の作品集です。このアルバムに収録されている
「ひと月の夏」も映画のタイトルであり、もしこちらを観た人ならば、「あ
あ、あれね」とわかるかもしれません。この映画は J.L.カーの原作を元に制
作され、イギリスの田園風景を絡めながら、2人の元兵士たちがそれぞれの仕
事を通じて淡い友情を深めつつ、自分を再発見する物語。どちらかというと
淡々と進むストーリーを彩るのがこの音楽です。弦楽器だけのアンサンブルは、
台詞よりも雄弁に登場人物の心情を表現しています。ドラマティックさはなく
とも、心に浸みる美しさです。そして最後の曲は、アニメにもなった「スノー
マン」のメイン・テーマです。男の子と雪だるまのひとときの友情物語。夢の
ような出来事でしたが、男の子にはマフラーとたくさんの思い出が残されまし
た。誰もが心の底にしまってあるお話に、新しい色を添えてくれるかもしれま
せん。

8.572420
R.アルフテル:室内楽作品集第3集
1-4.弦楽四重奏曲 Op.24(1957-1958)
5-7.チェロ・ソナタ Op.26(1959-1960)/8-11.3つの楽章 Op.28(1962)
12-18.8つのティエント Op.35(1973)
ブレトン弦楽四重奏団 (メンバー:アン=マリー・ノース(第1ヴァイオリン)
/アントニオ・チャルデナス(第2ヴァイオリン)/イワン・マーティン(ヴィオ
ラ)/ベアテ・アルテンブルク(チェロ)) …1-4.8-18/ジョン・ストーク(チェ
ロ)…5-7/フランシスコ・ホセ・セゴビア(ピアノ)…5-7

第1集(8.572418)、第2集(8.572419)で、その類い稀なる世界を見せてくれた
ロドルフォ・アルフテル (1900-1987)。この第3集では、弦楽四重奏曲で幕を
開けます。古典的な4楽章形式を取り、十二音を用いた色彩的な移ろいを伴う、
活動的な第1楽章から何とも魅力的な音楽が展開されます。第2楽章の冒頭で奏
される美しいチェロの調べは周囲の嘲笑めいた音にかき消され、活発なダンス
であるスケルツォを経て、力強い終楽章を迎えます。作曲家が書いた唯一つの
チェロ・ソナタはヒスパニックのリズムに彩られたもので、抒情的な旋律と刺
激的な動きが絶妙に組み合わされた曲。ゆったりとした楽章での暖かい表現は
美しさの極みです。彼の2番目の弦楽四重奏曲である「3つの楽章」と実質的に
3番目の弦楽四重奏曲である「 8つのティエント(試み)」は、この形式の「極
限の姿」を模索する上で生まれたものでしょうか。実験的な音の連なりの中に
も、美しいメロディが散見されるところが、この作曲家の特徴なのかもしれま
せん。

8.572452
スタンフォード:室内楽作品集
1-4.ピアノ三重奏曲第1番変ホ長調 Op.35(1889)/5.伝説(1893)
6.6つのアイルランドの幻想 Op.53より第3番「ジグ」 (1894)
7.6つのアイルランドの幻想 Op.53より第5番「ハッシュ・ソング」(1894)
8-11.ピアノ四重奏曲第2番ハ短調 Op.133(J.ディブル編集 )
世界初録音…5-11
グールド・ピアノ三重奏団
(メンバー:ルーシー・グールド(ヴァイオリン)…1-11/アリス・ネアリー(チェ
ロ)…1-4.8-11/ベンジャミン・フリス(ピアノ)…1-11)/デイヴィッド・アダ
ムス(ヴィオラ)…8-11
雄大な森、はたまた広大な田園地帯。そんな開放的な場所で大きく伸びをした
くなるような清々しい音楽。スタンフォード (1852-1924)の室内楽には、いつ
もそんな雰囲気が漂っています。イギリス音楽の祖、スタンフォードはドイツ
・ロマン派の作風を模範としながらも、アイルランド民謡を取り入れた独自の
音楽を数多く残しました。その中でも室内楽は大きな位置を占め、その叙情詩
的な美しさは、水彩画のような淡い色合いを帯びています。このアルバムに収
録されたピアノ三重奏曲第1番は、ハンス・フォン・ビューローに捧げられて
おり、優雅この上ない作品です。それ以外の作品はこちらが世界初録音。とり
わけ、1913年に作曲されるも、長い間顧みられることのなかった第2番のピア
ノ三重奏曲の秘められた美しさにはため息をつく他ありません。ちょっとブラ
ームス風の響きを感じさせるも、描かれている世界は彼独自のもの。このグー
ルド・トリオの蘇演により、私たちはまた一つの名作を手に入れました。

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