<audite>
=ドイチュラントラジオ・クルトゥーア=
AU 95631 \2280
モノラル
「イーゴリ・マルケヴィチ / ベルリンRIAS録音集」
(1)シューベルト:交響曲第3番ニ長調D.200
(2)ファリャ:バレエ「三角帽子」第2組曲
(近所の人たちの踊り / 粉屋の踊り / 終幕の踊り)
(3)ルーセル:バレエ「バッカスとアリアーヌ」Op.43より第2組曲
(4)ムソルグスキー=マルケヴィチ編:6つの歌曲
(子守歌 / おしゃべりかささぎ / 夜 / 星よ、いずこ?/ いたずら小僧 /
ドニエプル川で)
(4)マーシャ・プレディト(S)
イーゴリ・マルケヴィチ(指)RIAS交響楽団
録音:(1)1953年3月2日(4)1952年3月6日以上、
ベルリン・ティタニア・パラスト(ライヴ・モノラル)
(2)(3)1953年2月27日&3月2日ベルリン=ダーレム、
イエス・キリスト教会(スタジオ・セッション・モノラル)
ベルリンRIAS収録によるドイチュラントラジオ・クルトゥーアの正規音源から
の復刻で、すべて完全初出の内容。キエフ生まれで、20世紀を代表する指揮者
として活躍したイーゴリ・マルケヴィチ(1912-1983)はユニークな経歴の持ち
主。コルトーにピアノをナディア・ブーランジェに和声と作曲を師事して、両
大戦間期には将来を嘱望された作曲家としてバルトークやミヨーからも称賛を
受けるほどでしたが、戦後は指揮者に転身、数多くの世界的なオーケストラか
ら迎えられました。
モントゥーとシェルヘンについて指揮を学び、現代的な感覚を備えた名匠とも
いわれるマルケヴィチですが、幅広いレパートリーとその客観的で冷静なアプ
ローチは作曲家としての経験から培われたものといえるのかもしれません。こ
のたびのRIAS響との録音は、まさにそうした面を反映している内容といえます
が、現状では入手できるカタログが必ずしも十分とはいえない状況を考えると、
ファンには歓迎されるものと思われます。
マルケヴィチとゆかりあるディアギレフの依頼で書かれ、マルケヴィチ自身大
のお気に入りだったファリャの「三角帽子」や、ルーセル作品では独特のリズ
ムと色彩感がとにかく強烈で、アルバム中屈指の聴きもの。さらに、極度に洗
練されエレガントと評されたシューベルトも異彩を放っています。なお、マル
ケヴィチ自ら編曲を手掛けたムソルグスキーでは、1945年の初演時と同じキャ
ストというのも注目。プレディトはシャリアピンに見出された1912年ラトヴィ
ア出身のソプラノで、ムソルグスキーやチャイコフスキーの歌曲をレパートリ
ーにしていました。
<ORFEO D'OR>
ORFEOR 767092 2枚組 \4160
プッチーニ:「蝶々夫人」
セーナ・ユリナッチ(S 蝶々夫人)
エルマンノ・ロレンツィ(T ピンカートン)
コスタス・パスカリス(Br シャープレス)
ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms スズキ)
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S ケイト・ピンカートン)
ペーター・クライン(T ゴロー)
他
ベリスラフ・クロブチャール(指)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団,合唱団
録音:1961年3月15日,ウィーン国立歌劇場でのライヴ
ORFEOがまた素晴らしい録音を掘り出しました!1961年3月15日にウィーン国立
歌劇場で上演された「蝶々夫人」のライヴ録音です。蝶々さんを歌うのはセー
ナ・ユリナッチ。彼女は1957年にウィーン国立歌劇場にデビューしたときに
蝶々さんを歌って大絶賛され、しばらく「ウィーンの蝶々さんといえばユリ
ナッチ」と決まっていたほどの当たり役でした。ピンカートンには、ウィーン
国立歌劇場で20年以上に渡って活躍したイタリア人テノール、エルマンノ・ロ
レンツィ。シャープレスにはギリシャ出身で、1960,70年代にヴェルディ・バ
リトンとして活躍したコスタス・パスカリス。スズキはウィーンのベテラン
メッゾ、ヒルデ・レッセル=マイダン。そしてケイト・ピンカートンがまだ23
歳のグンドゥラ・ヤノヴィッツ!驚くべきは名匠ベリスラフ・クロブチャール
の指揮。40年に渡ってウィーン国立歌劇場の指揮者として活躍したクロブチャ
ールですが、元々1953年5月15日に「蝶々夫人」を指揮したことが始まり。故
郷の先輩で師匠のマタチッチ譲りのスケール雄大なプッチーニには、泣かずに
はいられません!
ORFEOR 768093 3枚組 \6240
プッチーニ:「三部作」
「外套」
「修道女アンジェリカ」
「ジャンニ・スキッキ」
ゲルト・アルブレヒト(指)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団,合唱団
録音:1979年2月11日
「外套」
レナート・ブルゾン(Br ミケーレ)
マリリン・チャウ(S ジョルジェッタ)
ウラディーミル・アトラントフ(T ルイージ)
ハインツ・ツェドニク(T ティンカ)他
「修道女アンジェリカ」
ピラール・ローレンガー(S 修道女アンジェリカ)
シェシュティン・マイヤー(Ms 公爵夫人)
マルガレーテ・ベンス(A 修道院長) アクセル・ギャル(S 修道長)
チェスラワ・スラニア(Ms 修練長)他
「ジャンニ・スキッキ」
ワルター・ベリー(Bs ジャンニ・スキッキ)
ソーナ・ガザリアン(S ラウレッタ) ヨルディ・ラミーロ(T リヌッチョ)
ハインツ・ツェドニク(T ゲラルド)
マリヤーナ・リポヴシェク(Ms チェスカ)
エーリヒ・クンツ(Bs スピネッロッチョ医師)他
プッチーニの「三部作」は、どれも個性たっぷりの1幕ものオペラ3つをまとめ
た面白い作品ですが、歌手を大人数揃えなければならないので、一挙上演はな
かなかありません。この録音は1979年にウィーン国立歌劇場が一挙上演した時
の録音。さすがはウィーン、国際色豊かな面々を集めています。「外套」では、
イタリアの名バリトン、ブルゾンに、ドイツ系アメリカ人でシュトゥットガル
トで活躍したチャウ、そしてソ連の強靭テノール、アトラントフというビック
リのキャスティング。「修道女アンジェリカ」では、スペインの名花ローレン
ガーと、スウェーデン人メッゾのマイヤーの南北対決。一方、「ジャンニ・ス
キッキ」では、タイトルロールのベリーを始め、ウィーンで活躍していた人が
集められています。スピネッロッチョ役は、なんとクンツ!もうすぐ70歳にな
ろうという頃です。また「外套」では、日本人として初めてウィーン国立歌劇
場の専属歌手になった白石敬子の声がちょっとだけ聞けます。
<ALIA VOX>
AVSA 9865(SACD-Hybrid) \2750
「ケルティック・ヴァイオル-アイルランドとスコットランドの音楽伝統に捧
ぐ」
1アイルランド民謡:「音楽の司祭/スコットランドのメアリー」
2キャプテン・サイモン・フレイザー(1773-1852):
ニール・ガウ(1727-1807)のための「カレドニアの叫び」
(「スコットランド山岳地方と島嶼部特有の歌と調べ」1816年刊より)
3アイルランド民謡:「スカリフのユーモア」
4ナサニエル・ガウ(1766-1831):
ストラススペー「アラステア・マクアラステア」
5ライアンの大コレクション:「トム・ブリッグのジグ」
6ライアンの大コレクション:ジグ「ザ・グロビー(ゴビー)・オウ」
7ライアンの大コレクション:「モイラ卿/人力車」
8アイルランド民謡:「サッカウのジグ」
9スコットランド民謡:「艱難辛苦こそ我が運命」
10ウィリアム・マーシャル:
「キーサック礼拝堂」(1822年のコレクションより)
11キャプテン・サイモン・フレイザー:
「グードワイフは彷徨い人を入れる」(前掲書より)
12ジェイムズ・マクファーソン(1675頃-1700):
「マクファーソンの哀歌と変奏」
13スコットランド民謡:リール「トゥーロッホゴルム」
14スコットランド民謡:「可愛いペギー」
15作曲者不詳:
「それはエディンバラの街の1ハロン以内でのことだった」
(プレイフォード刊「イングランドの舞踏教師」(1696)より)
16キャプテン・サイモン・フレイザー:「若く麗しいメアリー」(前掲書より)
17アイルランド民謡:「ダウドのリール」
18スコットランド舞踏:
「レディー・メアリー・ヘイのスコットランドのリズム」
19トゥールロッホ・カロラン(1670-1738):「カロランのいとまごい」
20ドニゴール(ドネガル)民謡:「ガスティのうかれ騒ぎ」
21ライアンの大コレクション(スコットランド民謡):「移民のリール」
22トゥールロッホ・カロラン:「オーウェン・ロウ・オニールの哀歌」
23W.B.レイバーン(1835-1886)第3巻:「ベアトリス王女」
24スコットランド民謡:「チャーリー王子のエディンバラへの最後の一瞥」
25アイルランド民謡:「上の階へ旅行しな」(シングル・ジグ)
26ウィリアム・マーシャル:
「ギプトンのマクファーソン夫人」(1822年のコレクションより)
27アイルランド民謡:「タットルの(リール)」
28ナサニエル・ガウ:「彼の2人目の妻の死への哀歌」
29アイルランド民謡:「間抜け穴の中の雄ガチョウ(間抜け)」
ジョルディ・サヴァール(トレブルGamb)、
アンドルー・ローレンス=キング(アイリッシュHrp、プサルテリウム)
録音:2008年6月25&26日、9月7&8日、10月6&7日
カタルーニャ州ジローナ県、エル・ポルト・ド・ラ・セルヴァ近郊、
サン・ペール・ド・ローデス修道院
ケルト系のガーンジー島が故郷であるローレンス=キングと組んだ今回の録音
は、サヴァール初のケルティック・アルバム。1枚全て民族音楽系統の曲を集
めたのも、サヴァール初の試み。この録音では、2本のトレブル・ヴァイオル
(ガンバ)と1本のトレブル・フィドルを使い、伴奏の有無やどの楽器を使って
いるか、調弦をどうしているかで、全体を8つのセクションに分けています。
各曲は、スコットランドの歴史を背景に持っているものが多く、例えば、24曲
目の「チャーリー王子」は、本名チャールズ・エドワード・スチュワート。彼
は、王位を請求してジャコバイトの乱を起こしたジェームズ=フランシス=エド
ワード(自称ジェームズ8世)の息子にして、名誉革命で追放されたジェームズ
7世(2世)の孫になります。この曲は、チャーリーが引き起こしたカローデンの
戦いが背景となっています。
<Quindecim>
QP156 5枚組 \6750
<ギターとオーケストラのための>
南の協奏曲
<ギターとハープシコードのための>
ソナタ、前奏曲
<ギター独奏>
「ラ・フォリア」の主題による変奏曲とフーガ
カベソンの主題による変奏曲とフーガ
クラシック・ソナタ「ソルを讃えて」
ロナンティック・ソナタ「シューベルトを讃えて」
南方ソナティナ
ソナタ「メキシコ」
24の前奏曲、メキシコ風スケルツィーノ、マズルカ、ルンバ、エストレリータ
ほか
マヌエル・ロペス・ラモス、ラファエル・ヒメネス、デュオ・パボン・レイエ
ス、グリエルモ・ゴンザレス・フィリップス、アレハンドロ・モラ、エルネス
ト・マルティネス、アルトゥーロ・エルナンデス、ヘラルド・ディアス・デ・
レオン、ビクトル・ガルドキ、パウル・ザンブラノ(Gt)
<BelAir>
BAC 046(DVD-Video) 2枚組 \5150
字幕:英独仏伊西
チャイコフスキー:「エウゲニ・オネーギン」
マリウス・キーチェン(Br エウゲニ・オネーギン)
タチアーナ・モノガローワ(S タチアーナ)
マルガリータ・マムシロワ(Ms オルガ)
アナトーリ・コチェルガ(Bs グレーミン公)
ほか
アレクサンドル・ヴェデルニコフ(指)
ボリショイ歌劇場管弦楽団,合唱団
演出:ディミトリ・チェルニャコフ
衣装:マリア・ダニロワ
収録:2008年9月,パリ,ガルニエ宮
6月に来日する名門ボリショイ歌劇場、その来日演目にもなっている「エウゲ
ニ・オネーギン」のDVDが登場。スターリン時代から用いられていた伝統的な
舞台を捨て、2006年9月にチェルニャコフが新演出を担当、その新しい精神の
舞台作りはすぐに話題になり、2年後のパリでの引っ越し上演も大成功を収め
ました。チェルニャコフは、全ての場面を館の広間の中に据えて、大劇場オペ
ラ化してしまった「オネーギン」を、チャイコフスキーが意図したような室内
オペラへと戻しています。合唱の一人一人の表情まで徹底させたような繊細で
密度の濃い舞台作りだからこそ、決闘の場面すら室内という大胆さも大変な説
得力を持ちえています。
オネーギンには、いまやメトでも大変な人気のポーランド出身のバリトン、キ
ーチェン(ポーランド語に近い発音だとクフィエチェン)。オネーギンを当たり
役にしているだけに、歌のみならず容姿、演技にいたるまでオネーギンそのも
の。モノガローワは来日公演でも歌う、ロシアでも一番のタチアーナ歌い。グ
レーミンにはコチェルガと、ベストのメンバーが組まれています。
細かい部分にまでこだわった舞台作りだけに、優れたカメラワークで細かい演
技まで見ることのできる映像は、劇場で見るのとはまた違った良さがあります。
来日公演をご覧になる方も、ご覧になられない方も、近年最も出色の「オネー
ギン」をぜひ!
<Profil>
PH 07048 2枚組 \4250
モノラル
「エディション・シュターツカペレ・ドレスデン第23集 / ワーグナー:オペラ
からの名場面集2」
[CD 1]
「ワルキューレ」(ハイライト)
第1幕第1場より
前奏曲 /「このかまどが誰のものであろうと」/「冷たい水が元気づけてくれ
ました」/「不幸な男をあなたは元気づけて下さった」
第1幕第2場より
「かまどのかたわらに,疲れきったこの人を見つけました」/「フリートムン
トと名のることは許されません」/「力強い狩人が私たちに」/「わしは荒々し
き一族のことを知っている」
第1幕第3場より
「父が約束したひとふりの剣」/「お客人、おやすみですか?」/「館の男たち
がすべてこの部屋に集まっていました」/「冬の嵐は去り」/「寒い冬の日々に
私が憧れていた春こそあなたです」/「おお、無上の喜び!幸せの女よ!」/
「ジークムントは私の名,私こそはジークムントだ!」
マルガレーテ・テッシュマッハー(S) マックス・ローレンツ(T)
クルト・ベーメ(Bs)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
[CD 2]
「ワルキューレ」より
第3幕「さらば,勇ある輝かしき子よ!」(ヴォータンの告別)
ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「タンホイザー」より
第2幕「おごそかなこの広間よ」(歌の殿堂)/
第3幕「マリア様、願いをお聞き入れください」(エリーザベトの祈り)
マリアンネ・シェヒ(S・エリーザベト)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「さまよえるオランダ人」より
第1幕「あらしと悪しき風に追われ」/
第2幕「遠く忘れられた古い時代の中から」
クルト・ベーメ(Bs) ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
クルト・シュトリーグラー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
第2幕「リラの花がなんとやわらかく」
ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
クルト・シュトリーグラー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「ジークフリート」より第1幕「雲の高みへ」
ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「神々のたそがれ」より第1幕「輝かしい生命の心地よい熱情」
マックス・ローレンツ(T) ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
クルト・シュトリーグラー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
ドレスデンにおけるワーグナー演奏の伝統は、作曲家自身がザクセン宮廷のカ
ペルマイスターを務めていた1840年代にまで遡ります。この時期には1842年に
「リエンツィ」、1843年には「さまよえるオランダ人」、1845年に「タンホイ
ザー」がドレスデンでそれぞれ初演されています。
Profilより復刻されるワーグナー録音はシュトラウスのオペラと同様に、こう
したドレスデンのめぐまれた背景を強く感じさせるもの。伝統のオケを随える
のはベームの後任としてシュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督を務めたエ
ルメンドルフ(1891-1962)、ドレスデンに生まれ当地で学び、当劇場のコレペ
ティートアや指揮者も務めたシュトリーグラー(1886-1958)。なにより、往年
のドレスデンのベスト・メンバーらの存在感も圧倒的なものがあります。
なお、シリーズの恒例として、充実のブックレットには劇場、舞台風景、公演
ポスターなどの写真がふんだんに掲載されているのもうれしいところです。
=ドイチュラントラジオ・クルトゥーア=
AU 95631 \2280
モノラル
「イーゴリ・マルケヴィチ / ベルリンRIAS録音集」
(1)シューベルト:交響曲第3番ニ長調D.200
(2)ファリャ:バレエ「三角帽子」第2組曲
(近所の人たちの踊り / 粉屋の踊り / 終幕の踊り)
(3)ルーセル:バレエ「バッカスとアリアーヌ」Op.43より第2組曲
(4)ムソルグスキー=マルケヴィチ編:6つの歌曲
(子守歌 / おしゃべりかささぎ / 夜 / 星よ、いずこ?/ いたずら小僧 /
ドニエプル川で)
(4)マーシャ・プレディト(S)
イーゴリ・マルケヴィチ(指)RIAS交響楽団
録音:(1)1953年3月2日(4)1952年3月6日以上、
ベルリン・ティタニア・パラスト(ライヴ・モノラル)
(2)(3)1953年2月27日&3月2日ベルリン=ダーレム、
イエス・キリスト教会(スタジオ・セッション・モノラル)
ベルリンRIAS収録によるドイチュラントラジオ・クルトゥーアの正規音源から
の復刻で、すべて完全初出の内容。キエフ生まれで、20世紀を代表する指揮者
として活躍したイーゴリ・マルケヴィチ(1912-1983)はユニークな経歴の持ち
主。コルトーにピアノをナディア・ブーランジェに和声と作曲を師事して、両
大戦間期には将来を嘱望された作曲家としてバルトークやミヨーからも称賛を
受けるほどでしたが、戦後は指揮者に転身、数多くの世界的なオーケストラか
ら迎えられました。
モントゥーとシェルヘンについて指揮を学び、現代的な感覚を備えた名匠とも
いわれるマルケヴィチですが、幅広いレパートリーとその客観的で冷静なアプ
ローチは作曲家としての経験から培われたものといえるのかもしれません。こ
のたびのRIAS響との録音は、まさにそうした面を反映している内容といえます
が、現状では入手できるカタログが必ずしも十分とはいえない状況を考えると、
ファンには歓迎されるものと思われます。
マルケヴィチとゆかりあるディアギレフの依頼で書かれ、マルケヴィチ自身大
のお気に入りだったファリャの「三角帽子」や、ルーセル作品では独特のリズ
ムと色彩感がとにかく強烈で、アルバム中屈指の聴きもの。さらに、極度に洗
練されエレガントと評されたシューベルトも異彩を放っています。なお、マル
ケヴィチ自ら編曲を手掛けたムソルグスキーでは、1945年の初演時と同じキャ
ストというのも注目。プレディトはシャリアピンに見出された1912年ラトヴィ
ア出身のソプラノで、ムソルグスキーやチャイコフスキーの歌曲をレパートリ
ーにしていました。
<ORFEO D'OR>
ORFEOR 767092 2枚組 \4160
プッチーニ:「蝶々夫人」
セーナ・ユリナッチ(S 蝶々夫人)
エルマンノ・ロレンツィ(T ピンカートン)
コスタス・パスカリス(Br シャープレス)
ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms スズキ)
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S ケイト・ピンカートン)
ペーター・クライン(T ゴロー)
他
ベリスラフ・クロブチャール(指)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団,合唱団
録音:1961年3月15日,ウィーン国立歌劇場でのライヴ
ORFEOがまた素晴らしい録音を掘り出しました!1961年3月15日にウィーン国立
歌劇場で上演された「蝶々夫人」のライヴ録音です。蝶々さんを歌うのはセー
ナ・ユリナッチ。彼女は1957年にウィーン国立歌劇場にデビューしたときに
蝶々さんを歌って大絶賛され、しばらく「ウィーンの蝶々さんといえばユリ
ナッチ」と決まっていたほどの当たり役でした。ピンカートンには、ウィーン
国立歌劇場で20年以上に渡って活躍したイタリア人テノール、エルマンノ・ロ
レンツィ。シャープレスにはギリシャ出身で、1960,70年代にヴェルディ・バ
リトンとして活躍したコスタス・パスカリス。スズキはウィーンのベテラン
メッゾ、ヒルデ・レッセル=マイダン。そしてケイト・ピンカートンがまだ23
歳のグンドゥラ・ヤノヴィッツ!驚くべきは名匠ベリスラフ・クロブチャール
の指揮。40年に渡ってウィーン国立歌劇場の指揮者として活躍したクロブチャ
ールですが、元々1953年5月15日に「蝶々夫人」を指揮したことが始まり。故
郷の先輩で師匠のマタチッチ譲りのスケール雄大なプッチーニには、泣かずに
はいられません!
ORFEOR 768093 3枚組 \6240
プッチーニ:「三部作」
「外套」
「修道女アンジェリカ」
「ジャンニ・スキッキ」
ゲルト・アルブレヒト(指)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団,合唱団
録音:1979年2月11日
「外套」
レナート・ブルゾン(Br ミケーレ)
マリリン・チャウ(S ジョルジェッタ)
ウラディーミル・アトラントフ(T ルイージ)
ハインツ・ツェドニク(T ティンカ)他
「修道女アンジェリカ」
ピラール・ローレンガー(S 修道女アンジェリカ)
シェシュティン・マイヤー(Ms 公爵夫人)
マルガレーテ・ベンス(A 修道院長) アクセル・ギャル(S 修道長)
チェスラワ・スラニア(Ms 修練長)他
「ジャンニ・スキッキ」
ワルター・ベリー(Bs ジャンニ・スキッキ)
ソーナ・ガザリアン(S ラウレッタ) ヨルディ・ラミーロ(T リヌッチョ)
ハインツ・ツェドニク(T ゲラルド)
マリヤーナ・リポヴシェク(Ms チェスカ)
エーリヒ・クンツ(Bs スピネッロッチョ医師)他
プッチーニの「三部作」は、どれも個性たっぷりの1幕ものオペラ3つをまとめ
た面白い作品ですが、歌手を大人数揃えなければならないので、一挙上演はな
かなかありません。この録音は1979年にウィーン国立歌劇場が一挙上演した時
の録音。さすがはウィーン、国際色豊かな面々を集めています。「外套」では、
イタリアの名バリトン、ブルゾンに、ドイツ系アメリカ人でシュトゥットガル
トで活躍したチャウ、そしてソ連の強靭テノール、アトラントフというビック
リのキャスティング。「修道女アンジェリカ」では、スペインの名花ローレン
ガーと、スウェーデン人メッゾのマイヤーの南北対決。一方、「ジャンニ・ス
キッキ」では、タイトルロールのベリーを始め、ウィーンで活躍していた人が
集められています。スピネッロッチョ役は、なんとクンツ!もうすぐ70歳にな
ろうという頃です。また「外套」では、日本人として初めてウィーン国立歌劇
場の専属歌手になった白石敬子の声がちょっとだけ聞けます。
<ALIA VOX>
AVSA 9865(SACD-Hybrid) \2750
「ケルティック・ヴァイオル-アイルランドとスコットランドの音楽伝統に捧
ぐ」
1アイルランド民謡:「音楽の司祭/スコットランドのメアリー」
2キャプテン・サイモン・フレイザー(1773-1852):
ニール・ガウ(1727-1807)のための「カレドニアの叫び」
(「スコットランド山岳地方と島嶼部特有の歌と調べ」1816年刊より)
3アイルランド民謡:「スカリフのユーモア」
4ナサニエル・ガウ(1766-1831):
ストラススペー「アラステア・マクアラステア」
5ライアンの大コレクション:「トム・ブリッグのジグ」
6ライアンの大コレクション:ジグ「ザ・グロビー(ゴビー)・オウ」
7ライアンの大コレクション:「モイラ卿/人力車」
8アイルランド民謡:「サッカウのジグ」
9スコットランド民謡:「艱難辛苦こそ我が運命」
10ウィリアム・マーシャル:
「キーサック礼拝堂」(1822年のコレクションより)
11キャプテン・サイモン・フレイザー:
「グードワイフは彷徨い人を入れる」(前掲書より)
12ジェイムズ・マクファーソン(1675頃-1700):
「マクファーソンの哀歌と変奏」
13スコットランド民謡:リール「トゥーロッホゴルム」
14スコットランド民謡:「可愛いペギー」
15作曲者不詳:
「それはエディンバラの街の1ハロン以内でのことだった」
(プレイフォード刊「イングランドの舞踏教師」(1696)より)
16キャプテン・サイモン・フレイザー:「若く麗しいメアリー」(前掲書より)
17アイルランド民謡:「ダウドのリール」
18スコットランド舞踏:
「レディー・メアリー・ヘイのスコットランドのリズム」
19トゥールロッホ・カロラン(1670-1738):「カロランのいとまごい」
20ドニゴール(ドネガル)民謡:「ガスティのうかれ騒ぎ」
21ライアンの大コレクション(スコットランド民謡):「移民のリール」
22トゥールロッホ・カロラン:「オーウェン・ロウ・オニールの哀歌」
23W.B.レイバーン(1835-1886)第3巻:「ベアトリス王女」
24スコットランド民謡:「チャーリー王子のエディンバラへの最後の一瞥」
25アイルランド民謡:「上の階へ旅行しな」(シングル・ジグ)
26ウィリアム・マーシャル:
「ギプトンのマクファーソン夫人」(1822年のコレクションより)
27アイルランド民謡:「タットルの(リール)」
28ナサニエル・ガウ:「彼の2人目の妻の死への哀歌」
29アイルランド民謡:「間抜け穴の中の雄ガチョウ(間抜け)」
ジョルディ・サヴァール(トレブルGamb)、
アンドルー・ローレンス=キング(アイリッシュHrp、プサルテリウム)
録音:2008年6月25&26日、9月7&8日、10月6&7日
カタルーニャ州ジローナ県、エル・ポルト・ド・ラ・セルヴァ近郊、
サン・ペール・ド・ローデス修道院
ケルト系のガーンジー島が故郷であるローレンス=キングと組んだ今回の録音
は、サヴァール初のケルティック・アルバム。1枚全て民族音楽系統の曲を集
めたのも、サヴァール初の試み。この録音では、2本のトレブル・ヴァイオル
(ガンバ)と1本のトレブル・フィドルを使い、伴奏の有無やどの楽器を使って
いるか、調弦をどうしているかで、全体を8つのセクションに分けています。
各曲は、スコットランドの歴史を背景に持っているものが多く、例えば、24曲
目の「チャーリー王子」は、本名チャールズ・エドワード・スチュワート。彼
は、王位を請求してジャコバイトの乱を起こしたジェームズ=フランシス=エド
ワード(自称ジェームズ8世)の息子にして、名誉革命で追放されたジェームズ
7世(2世)の孫になります。この曲は、チャーリーが引き起こしたカローデンの
戦いが背景となっています。
<Quindecim>
QP156 5枚組 \6750
<ギターとオーケストラのための>
南の協奏曲
<ギターとハープシコードのための>
ソナタ、前奏曲
<ギター独奏>
「ラ・フォリア」の主題による変奏曲とフーガ
カベソンの主題による変奏曲とフーガ
クラシック・ソナタ「ソルを讃えて」
ロナンティック・ソナタ「シューベルトを讃えて」
南方ソナティナ
ソナタ「メキシコ」
24の前奏曲、メキシコ風スケルツィーノ、マズルカ、ルンバ、エストレリータ
ほか
マヌエル・ロペス・ラモス、ラファエル・ヒメネス、デュオ・パボン・レイエ
ス、グリエルモ・ゴンザレス・フィリップス、アレハンドロ・モラ、エルネス
ト・マルティネス、アルトゥーロ・エルナンデス、ヘラルド・ディアス・デ・
レオン、ビクトル・ガルドキ、パウル・ザンブラノ(Gt)
<BelAir>
BAC 046(DVD-Video) 2枚組 \5150
字幕:英独仏伊西
チャイコフスキー:「エウゲニ・オネーギン」
マリウス・キーチェン(Br エウゲニ・オネーギン)
タチアーナ・モノガローワ(S タチアーナ)
マルガリータ・マムシロワ(Ms オルガ)
アナトーリ・コチェルガ(Bs グレーミン公)
ほか
アレクサンドル・ヴェデルニコフ(指)
ボリショイ歌劇場管弦楽団,合唱団
演出:ディミトリ・チェルニャコフ
衣装:マリア・ダニロワ
収録:2008年9月,パリ,ガルニエ宮
6月に来日する名門ボリショイ歌劇場、その来日演目にもなっている「エウゲ
ニ・オネーギン」のDVDが登場。スターリン時代から用いられていた伝統的な
舞台を捨て、2006年9月にチェルニャコフが新演出を担当、その新しい精神の
舞台作りはすぐに話題になり、2年後のパリでの引っ越し上演も大成功を収め
ました。チェルニャコフは、全ての場面を館の広間の中に据えて、大劇場オペ
ラ化してしまった「オネーギン」を、チャイコフスキーが意図したような室内
オペラへと戻しています。合唱の一人一人の表情まで徹底させたような繊細で
密度の濃い舞台作りだからこそ、決闘の場面すら室内という大胆さも大変な説
得力を持ちえています。
オネーギンには、いまやメトでも大変な人気のポーランド出身のバリトン、キ
ーチェン(ポーランド語に近い発音だとクフィエチェン)。オネーギンを当たり
役にしているだけに、歌のみならず容姿、演技にいたるまでオネーギンそのも
の。モノガローワは来日公演でも歌う、ロシアでも一番のタチアーナ歌い。グ
レーミンにはコチェルガと、ベストのメンバーが組まれています。
細かい部分にまでこだわった舞台作りだけに、優れたカメラワークで細かい演
技まで見ることのできる映像は、劇場で見るのとはまた違った良さがあります。
来日公演をご覧になる方も、ご覧になられない方も、近年最も出色の「オネー
ギン」をぜひ!
<Profil>
PH 07048 2枚組 \4250
モノラル
「エディション・シュターツカペレ・ドレスデン第23集 / ワーグナー:オペラ
からの名場面集2」
[CD 1]
「ワルキューレ」(ハイライト)
第1幕第1場より
前奏曲 /「このかまどが誰のものであろうと」/「冷たい水が元気づけてくれ
ました」/「不幸な男をあなたは元気づけて下さった」
第1幕第2場より
「かまどのかたわらに,疲れきったこの人を見つけました」/「フリートムン
トと名のることは許されません」/「力強い狩人が私たちに」/「わしは荒々し
き一族のことを知っている」
第1幕第3場より
「父が約束したひとふりの剣」/「お客人、おやすみですか?」/「館の男たち
がすべてこの部屋に集まっていました」/「冬の嵐は去り」/「寒い冬の日々に
私が憧れていた春こそあなたです」/「おお、無上の喜び!幸せの女よ!」/
「ジークムントは私の名,私こそはジークムントだ!」
マルガレーテ・テッシュマッハー(S) マックス・ローレンツ(T)
クルト・ベーメ(Bs)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
[CD 2]
「ワルキューレ」より
第3幕「さらば,勇ある輝かしき子よ!」(ヴォータンの告別)
ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「タンホイザー」より
第2幕「おごそかなこの広間よ」(歌の殿堂)/
第3幕「マリア様、願いをお聞き入れください」(エリーザベトの祈り)
マリアンネ・シェヒ(S・エリーザベト)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「さまよえるオランダ人」より
第1幕「あらしと悪しき風に追われ」/
第2幕「遠く忘れられた古い時代の中から」
クルト・ベーメ(Bs) ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
クルト・シュトリーグラー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
第2幕「リラの花がなんとやわらかく」
ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
クルト・シュトリーグラー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「ジークフリート」より第1幕「雲の高みへ」
ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
カール・エルメンドルフ(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
「神々のたそがれ」より第1幕「輝かしい生命の心地よい熱情」
マックス・ローレンツ(T) ヨーゼフ・ヘルマン(Br)
クルト・シュトリーグラー(指)
シュターツカペレ・ドレスデン
ドレスデンにおけるワーグナー演奏の伝統は、作曲家自身がザクセン宮廷のカ
ペルマイスターを務めていた1840年代にまで遡ります。この時期には1842年に
「リエンツィ」、1843年には「さまよえるオランダ人」、1845年に「タンホイ
ザー」がドレスデンでそれぞれ初演されています。
Profilより復刻されるワーグナー録音はシュトラウスのオペラと同様に、こう
したドレスデンのめぐまれた背景を強く感じさせるもの。伝統のオケを随える
のはベームの後任としてシュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督を務めたエ
ルメンドルフ(1891-1962)、ドレスデンに生まれ当地で学び、当劇場のコレペ
ティートアや指揮者も務めたシュトリーグラー(1886-1958)。なにより、往年
のドレスデンのベスト・メンバーらの存在感も圧倒的なものがあります。
なお、シリーズの恒例として、充実のブックレットには劇場、舞台風景、公演
ポスターなどの写真がふんだんに掲載されているのもうれしいところです。