クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

11-11 No.20-1

2011年11月19日 12時21分50秒 | Weblog
<NAXOS> 各1枚 ¥1000
8.572403
グリーグ:管弦楽作品集 第6集 弦楽オーケストラのための音楽・抒情組曲
1-2.2つの悲しい旋律 Op.34(傷ついた心/春)
3-4.2つのメロディ Op.53(ノルウェーの旋律/初めての出会い)
5-9.組曲「ホルベアの時代より」Op.40(前奏曲/サラバンド/ガヴォット/アリ
ア/リゴードン)
10-11.2つの抒情小品 Op.68(山の夕べ/ゆりかごの歌)
12-14.2つのノルウェーの旋律 Op.63(民謡風に/.牛飼いの歌と農夫の踊り)
15-18.抒情組曲 Op.54
(羊飼いの少年/ノルウェーの農民行進曲/夜想曲/小人の行進)
マルメ交響楽団
ビャルテ・エンゲセト(指揮)
NAXOSの人気シリーズの一つ、グリーグ(1843-1907)の管弦楽作品集の第6集で
す。汲めども尽きぬ北欧メロディの宝庫、今作も心洗われるような美音揃いで
す。この作品集のいくつかは、原曲がピアノ曲であったり、またノルウェーの
民族音楽に起源を見ることができます。最初に置かれた「2つの悲しい旋律」
は、もともと歌曲からの編曲で、「春」(過ぎし春)の哀切なメロディはとりわ
け有名ですが、この曲はノルウェイではしばしば葬儀の時にも奏されるもので、
原曲の歌詞は、年老いた人が、この世を去る前の最後の春を迎え、風景や暖か
い陽光に感謝の祈りを捧げている詩であることを知る人はあまりいないのでは
ないでしょうか?他のどの曲も、北欧の豊かな自然を感じさせる、ちょっと胸
が痛むものばかり。とびきりの弦の調べは、人の声をも凌駕します。

8.572658
ショスタコーヴィチ:交響曲 第6番&第12番
1-3.交響曲 第6番 ロ短調 Op.54
4-7.交響曲 第12番 二短調「1917年」Op.112
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァシリー・ペトレンコ(指揮)
いつもの如く、ペトレンコは容赦なくムダな贅肉を切り落としていきます。
残った部分は本当に美味しそうな赤身だけ。曲にまつわる(とされる)エピソー
ドに目を向ける暇もありません。第12番の最終楽章の開放的な音楽も、もしか
したら全く別の意味が込められているのかも。

8.572523
ブゾーニ:ピアノ協奏曲 Op.39
1.第1楽章 序奏と入祭唱/2.第2楽章 おどけた曲/3.第3楽章 厳粛な曲
4.第4楽章 イタリア風に(タランテラ)/5.第5楽章 賛歌
ロベルト・カッペッロ(ピアノ)/ルカ・マレンツィオ合唱団/ローマ交響楽団
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
イタリアの作曲家、フェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)が書いた唯一のピアノ
協奏曲は、史上稀に見る破天荒なものでした。全5楽章、演奏時間は約80分、
そして終楽章には男声合唱が入るというこの曲、もちろんピアノ・パートは演
奏困難を極め、その上、曲もイマイチまとまりがなく、初演時ドイツの批評家
からは「イタリア的な要素が入ってる」と言われ、イタリアの批評家からは、
「ワーグナー風であり、終楽章もドイツ語だ」と批判される始末。歌詞はなん
とアラーの神を讃えていたりしますし・・・。日本では、その存在は知られて
いたものの、なかなか演奏される機会がなく、ようやく2001年になって、あの
超絶技巧で知られるアムランがようやく全曲初演を行ったというまさに珍曲中
の珍曲ですが、この多種多様なものが流布する現在では、とりわけ奇異な存在
と位置づける必要もありませんね。1976年、ブゾーニ国際ピアノコンクールで
優勝した真のブゾジーニ弾き、カッペッロの納得の演奏でどうぞ。

8.572666
アゼルバイジャンのピアノ協奏曲集
1-3.アミーロフ(1922-1984)&ナジーロヴァ(1928-):
アラビアの主題によるピアノ協奏曲(1957)
4-6.アディゲザロフ(1935-2006):ピアノ協奏曲第4番(1994)
7.トフィク・クリーエフ(1917-):ガイターギ-踊り(1958/1980)
8.バダルベイリ(1947-):ピアノとオーケストラのための「海」(1977)
9.バダルベイリ:スーシャ(2003)
ファルハド・バダルベイリ(ピアノ)…1-3.7.8
ムラド・アディゲルザルザーデ(ピアノ)…4-6
ジョアン・ロジャース(ソプラノ)…9
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ドミートリー・ヤブロンスキー(指揮)
南コーカサス地方に位置する共和国、アゼルバイジャン。数多くの国と接して
おり、多彩な文化の行き交う生命力溢れる国として知られています。多くの音
楽家を育んでいることでも知られ、ここに収録された4人の作曲家の興味深い作
品を聴いただけでも、その豊かな文化的土壌を感じることができるでしょう。
アミーロフはもともと民族楽器の奏者であり、父親が民謡歌手です。NAXOSレ
ーベルでも既に2枚の作品集がリリースされていますが、ここでは同郷のピア
ニスト、ナジーロヴァと2人で仕上げた作品を。異国文化漂う力強い作品です。
アディゲザロフも民族音楽の影響を強く受けた人で、カラーエフにピアノを学
び、現代最高の作曲家として賞賛されています。彼のピアノ協奏曲も、伝統音
楽「ムガム」の影響を強く受けていて、どうにもこうにもたまらないほどの胸
苦しい音楽を繰り出してきます。クリーエフは、他の人とは若干違い、ジャズ
の影響なども受けている変わり種。このガイターギは、あのイスラメイを思い
起させるような快活な曲。ピアノ、打楽器、オーケストラがどんちゃん騒ぎを
繰り広げます。バダルベイリは監督&俳優シャムシ・バダルベイリを父に持ち、
1967年にスメタナ・ピアノ国際コンクールで3位を受賞したことで、国際的な
活動を始めました。その後、数々の賞を取りながら、作曲も行い、1991年から
はバクー音楽アカデミーで教えています。「スーシャ」はアゼルバイジャンの
古代都市ですが、現在でもこの地の文学と音楽の象徴とされ、ここで起きた
人々の紛争という悲話を、声とオーケストラで語るという小品。涙が一筋頬
を伝うかもしれません。

8.572506
トランペット編曲集
1-4.ドビュッシー(1862-1918):
ベルガマスク組曲(前奏曲/メヌエット/月の光/パスピエ)
5-7.シューマン(1810-1856):幻想小曲集Op.73
8-10.ブラームス(1833-1897):クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調Op.120
11-14.バーバー(1910-1981):4つの歌(尼僧はヴェールをとる/年老いし男の秘密
/この輝かける夜に/夜想曲)
※全てC.モリスによるトランペット編曲
クレイグ・モリス(トランペット&フリューゲル・ホルン)
ヴァレンティーナ・リシッツァ(ピアノ)
トランペットの名手、クレイグ・モリス自身の編曲で新たに生まれ変わった4曲
の名作です。最初のドビュッシーの「ベルガマスク組曲」は、ピアノのために
書かれた曲ですが第3曲目の「月の光」はオーケストラで演奏されることも多
いものです。しかし、ここではトランペットとピアノという全く違った色合い
で、この名曲が供されます。シューマンの幻想小曲集はヴィオラやチェロ、
オーボエ、クラリネットなどで奏され、またブラームスのソナタはもともとク
ラリネットかヴィオラで奏されるために書かれていますが、トランペットとい
うのは、前例を見ないのではないでしょうか。そしてバーバーの4つの恋の歌
も、トランペットと言うのは全く新しい切り口でしょう。しかしながらどの曲
もあまりにもぴったりはまっていて、全く無理のない音楽として仕上がってい
るのには驚く他ありません。ここでピアノを担当しているリシッツァも知る人
ぞ知る名手。まさに「新しい音の海への船出」という言葉がぴったりのステキ
な1枚です。

8.571276
イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション第3集
ニュー・ライン・ピアノ
1.ブークーレシュリエフ(1925-1997):アルキペルIVOp.10
2.カスティリオーニ(1932-1996):カンジアンティ
3.ブローウェル(1939-):ピアノとフォルテのソナタ
4.ミマールオール(1926-):セッション
イディル・ビレット(ピアノ)
お待ちかね、ビレットによる現代作品集です。一言で現代と言っても、その音
楽はとても幅広いのですが、ここでビレットはなかなか興味深い作品をぶつけ
てきました。ビレットは1972年にFinnadarレーベルへ録音を開始したのですが、
ここは、ワーナー傘下で現代音楽(とりわけ電子音楽)有数のアトランティック
・レコードと提携関係にあったため、当時活躍していた現代作曲家たちがこぞ
ってLPをリリースしていたのです。そんな関係で、彼女も最先端の音楽を奏す
ることになり、この1976年録音の希少盤が出来上がることになったのです。
トッカータの進化系のようなブークーレシュリエフやブローウェルの作品は、
いかにも彼女らしいと頷けますが、ミマールオールの「セッション」もなかな
かの大作です。この曲はルイジ・ノーノばりのテープを用いた扇動的な作品で、
時としてピアノの音色が頭から飛んでしまうかのような、多元的な音楽で(この
作品はビレットのために書かれています)、機械的に処理されたオーケストラ
の響きなどを巻き込みながら、コラールにも似たピアノの音色で終焉を迎え
ます。

8.572631
ロシアのヴァイオリン協奏曲集
1.コニュス(1869-1942):ヴァイオリン協奏曲ホ短調(1898)
2-4.ワインベルク(1919-1996):
ヴァイオリンと弦楽のためのコンチェルティーノ(1948)…世界初録音
5.アレンスキー(1861-1906):ヴァイオリン協奏曲イ短調(1891)
セルゲイ・オストロフスキー(ヴァイオリン)
ボーンマス交響楽団/トーマス・ザンデルリンク(指揮)
チャイコフスキーの伝統を脈々と受け継ぐロシアのヴァイオリン協奏曲を3曲
投入した「ロシア好き」にはたまらない1枚です。アレンスキーの作品は、そ
のチャイコフスキーの影響が強く感じられる抒情的な曲。1891年に書かれ、名
手レオポルド・アウアーに献呈されています。アレンスキーの弟子であったコ
ニュスの作品は、初演者クライスラーは擁護したものの、他のヴァイオリニス
トは目もくれませんでした。しかし、かのハイフェッツが愛奏したことで現在
に至る人気を得ています。やはり哀切で情熱的な気分に満たされた熱い音楽で
す。ワインベルクの作品はよくショスタコーヴィチと比較されますが、この
1948年に作曲されたコンチェルティーノは、彼の有名なヴァイオリン協奏曲よ
りも10年前に書かれたものであり、ショスタコーヴィチだけでなく、ミャスコ
フスキーやプロコフィエフなどの新古典派の影響も感じられる濃い作品です。
数多くの受賞歴を持つオストロフスキーの「素晴らしい音色」は世界中で賞
賛を浴びています。

8.559701
ハンソン:
1-3.交響曲第2番「ロマンティック」Op.30(1930)
4.永遠の光(ルクス・エテルナ)Op.24(1923)
5.モザイク(1958)※DELOS原盤
スーザン・グルキス(ヴィオラ)…4/シアトル交響楽団
ジェラード・シュウォーツ(指揮)
第1集(8.559700)を聴いてもわかるように、ハンソン(1896-1981)はアメリカの
作曲家とは言え、その根底にはまるで「シベリウスの血」が流れているかのよ
うです。この第2番の交響曲は彼の最も有名な作品ですが、ここでもその傾倒
ぶりがよくわかります。冒頭の抒情的な弦の扱いや、独特の和声、そしてホル
ンのファンファーレ。これらはまさに北欧由来の音楽と言っても過言ではあり
ません。しかし、聴き進めるにつれて、もっともっと現代的で広がりのある世
界に包みこまれていく快感をわえるのがハンソンを聴く楽しみなのかもしれま
せん。「ルクス・エテルナ」ではパレストリーナへの関心が伺われます。1957
年に作曲された「モザイク」は、指揮者ジョージ・セルのために書かれたもの
で、ハンソンが愛した変奏曲形式が用いられています。全編重厚な弦の響きに
覆われた豊かな音楽です。

8.572673
ホリデー・クラシックス
1.チャイコフスキー(1840-1893):組曲「くるみ割り人形」Op.71a 小序曲
2.グルーバー(1787-1863):きよしこの夜(G.シュワルツ編)
3.ヘンデル(1685-1759):水上の音楽組曲第1番HWV348より第3楽章「アレグロ」
4.シュワルツ(1947-):グリーンスリーヴス変奏曲
5.チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」Op.71a 行進曲
6.パッヘルベル(1653-1706):カノンニ長調
7.レドナー(1830-1908):ああベツレヘムよ(S.ジョーンズによる管弦楽編)
8.ヘンデル:水上の音楽組曲第1番HWV348より第8楽章「ブーレー」
9-10.チャイコフスキー:
組曲「くるみ割り人形」Op.71a 「金平糖の踊り」「トレパーク」
11.ヨ(1886-1943):バンビーノ(B.ハウスマンによる管弦楽編)
12.ヘンデル:水上の音楽組曲第1番HWV348より第9楽章」ホーンパイプ
13.伝承曲:コヴェントリー・キャロル(B.ハウスマンによる管弦楽編)
14.チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」Op.71a 花のワルツ
16.ホプキンス.Jr(1820-1891)/伝承曲:
われらは来たりぬ-クリスマスおめでとう
シアトル交響楽団/ジェラード・シュワルツ(指揮)
何となく耳にすることはあるのだけど、じっくり聞くことはあまりない・・・。
そんな超名曲、それもクリスマスにまつわる曲を中心に集めた1枚です。とは
いえ、良くあるようなコンピレーションではありません。このアルバムのため
に名指揮者シュワルツが新録音を発動したのです。なんともゴージャス!まる
で静粛なコラールのように金管で奏される「きよしこの夜」の冒頭部分などは、
背中がぞくぞくするほどの美しさです。一味違う味付けの施された「ああベツ
レヘムよ」にも心洗われますし、クリスマスといえばおなじみの「くるみ割り
人形」の組曲も絶妙に挟み込まれています。夏のイメージがある「水上の音楽」
は隠し味でしょうか。心憎い1枚です。

8.572598
アイアランド:
1-3.ピアノ協奏曲変ホ長調/4.伝説/5.第1狂詩曲嬰ヘ短調
6.牧歌…世界初録音/7.小春日和…世界初録音/8-10.海の牧歌
11-13.3つの踊り(ジプシーの踊り/田舎の踊り/刈り取りの踊り)
ジョン・レナハン(ピアノ)
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団…1-4
ジョン・ウィルソン(指揮)…1-4
アイアランド(1879-1962)の唯一のピアノ協奏曲は、彼の有力な後援者であった
ヘレン・パーキンのための書かれたものです。1930年に作曲されその年の10月
2日にヘレンの手によって初演されています。その演奏会が大変成功を収めたた
め、以降多くのピアニストたち(クリフォード・カーゾン、モーラ・リンパニ
ー、アイリーン・ジョイス、ジーナ・バッカウアー、そしてアルトゥール・ル
ービンシュタンら錚々たる顔ぶれ)がこの曲を演奏し、「イギリス人による最
高のピアノ協奏曲」とまで呼ばれました。その後、アイアランドは第2番の協
奏曲の作曲を計画し、それは「伝説」と言う名前を付けられた単一楽章の作品
として成就しました。こちらも同じくパーキンに捧げられ、彼女は1934年に
BBC交響楽団、エイドリアン・ボールト指揮でこの曲を初演しました。現在は
すっかり忘れられてしまった作品ですが、この機会に再評価されるのではない
でしょうか。

8.572772
グバイドゥーリナ:
1.バヤン,パーカッション,弦楽のための「ファハヴェルク」(2009/2011)
2-6.シレンツィオ ※1…世界初録音
ゲイル・ドラウグスヴォル(バヤン)
アンデシュ・ルーグイン(パーカッション)…1/トロンハイム交響楽団…1
オイヴィン・ギムセ(指揮)…1
ゲイル・インゲ・ロツベルグ(ヴァイオリン)…2-6
オイヴィン・ギムセ(チェロ)…2-6
ロシア、タタール自治共和国出身の女性作曲家、グバイドゥリーナ(1931-)。
幼少時から作曲家を目指し、モスクワ音楽院でニコライ・ペイコとヴィッサリ
オン・シェバリーンに作曲を学びます。あまりに独自の音を模索したため、当
時のロシアではなかなか受け入れられなかった彼女を擁護したのがショスタコ
ーヴィチであったことは、その後の彼女の経歴に少なからずの示唆を与えたこ
とは間違いなく、以降の彼女の作品は、楽器の使い方も音の使い方もまるで類
をみない特異なものでした。1980年代にクレーメルがヴァイオリン協奏曲を
「ソ連」の外で演奏したことで、名声が飛躍的にあがり、世界的評価を受ける
ことになります。2011年、彼女の80回目の誕生日を記念して、作曲家立ち合い
のもと、このアルバムに収録された「ファハヴェルク」の世界初録音が行われ
ました。彼女が愛するロシアのアコーディオン「バヤン」の音色で始まる神秘
的な作品は、何かを強く訴えかけてくること間違いありません。

8.571273
イディル・ビレット/コンチェルト・エディション 第4集
リスト:
1-5.ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調/6-11.ピアノ協奏曲 第2番 イ長調
12.死の舞踏 ニ短調
イディル・ビレット(ピアノ)
ビルケント交響楽団/エミール・タバコフ(指揮)
爆裂系が好きな人にぜひオススメ。リスト(1811-1886)の2つの協奏曲と「死の
舞踏」です。ビルケント交響楽団を率いるのは、あの名指揮者タバコフ。ビレ
ットの独特な風味を引き立てる実に絶妙なバックを付けています。どうしても
力任せに押し切る演奏が多くなりがちなこれらの曲ですが、ここでは、細部に
まで目の届いた細やかな音を楽しむことができるというものです。リストの有
り余るエネルギーの炸裂と、全編に渡る小気味よいまでのピアノの超絶技巧を
ぜひお楽しみください。どちらかというと地味な扱いを受けてしまう第2番の
楽しさにも、改めて開眼できるかもしれません。笑ってしまううくらに「すご
い」死の舞踏の冒頭もぜひ。

8.571280
イディル・ビレット/コンチェルト・エディション 第5集
チャイコフスキー:
1-2.協奏的幻想曲 ト長調 Op.56
3-5.ピアノ協奏曲 第2番 ト長調 Op.44(原典版)
イディル・ビレット(ピアノ)
ビルケント交響楽団/ホセ・セレブリエール(指揮)…1-2
エミール・タバコフ(指揮)…3-5
最近のビレットはますますその技巧に磨きをかけているようで、このアルバム
から聞こえてくる音楽も芳醇の極みと言えるでしょう。まず、チャイコフスキ
ー(1840-1893)の秘曲、協奏的幻想曲は1884年に書かれた2楽章形式からなるピ
アノ協奏曲です。どうしても彼のピアノ協奏曲は第1番以外はあまり耳にする
機会がないのだけれども、実はどれもなかなかの力作であり、なぜ人気が出な
いのか不思議に思う人も多いのではないでしょうか。この演奏、とにかくセレ
ブリエールが指揮するオーケストラが絶品。ひたすら力強く曲を盛り上げます。
第2番は1879年から1880年にかけて作曲され、N.ルビンシテインに献呈された
もので、こちらもとても美しく技巧的なのですが、第2楽章のチェロとヴァイ
オリンの二重奏があまりにも長すぎて、ジロティがカットしてしまったりと、
少々不幸な生い立ちを持つ曲です。ただ、少々残念なのは、どちらの曲も、
美しいメロディが多すぎること。あまりの美メロの連続に、どこを「お気に入
り」にすればよいのかわかりません。

8.572334
フレイタス・ブランコ:
1-4.ヴァイオリン・ソナタ 第1番(1907)
5-8.ヴァイオリン・ソナタ 第2番(1938)
9.ヴァイオリンとピアノのための前奏曲(1910)
カルロス・ダマス(ヴァイオリン)
アンナ・トマシク(ピアノ)
ポルトガルの詩人、フェルディナント・ペソアがその作品を発表した時、その
モダニズムはまだ国内で理解されることはなく、ある意味預言者のような役割
を果たしていていたといわれています。音楽もまた然り。ブランコ(1890-1955)
より少し前に生まれた作曲家、アルフレード・ケイルやビアンナ・ダ・モッタ
は明らかにフランスとドイツ音楽の影響を受けていて、それを足掛かりにポル
トガルの近代音楽の基礎を築いたため、後に続くブランコらの初期の作品も、
明らかに「フランクの落とし子」である風貌を兼ね備えていたのです。ここで
聴ける第1番のソナタの冒頭は、まさにフランクそのもの。しかしブランコは
その後に独自の路線を歩み、第2番のソナタでは、はっきりと個性を打ち出す
ことに成功しています。その間をつなぐ「前奏曲」のもどかしいまでの美しい
音楽は、一皮むけようとする作曲家が身を震わせている姿を見るかのような淫
靡な喜びすら感じさせます。

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