<Coviello Classics>
COV 31104 \2350
プフィッツナー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調Op.34
ジークフリート・ワーグナー:ヴァイオリン協奏曲
リヒャルト・ワーグナー:夢(ヴェーゼンドンク歌曲集より)
ユライ・チズマロヴィチ(Vn)
WDRケルン放送管弦楽団 マルクス・ボッシュ(指)
録音:2009年ケルン
優れた才能を持ちながらも音楽史上では不遇な立場にある作曲家二人に焦点を
当てたアルバム。R.シュトラウスと並んで、20世紀前半のドイツ音楽界の重要
な作曲家であったハンス・プフィッツナー(1869-1949)。「最後のロマン主義
者」と称され、徹底してドイツ・ロマン主義にこだわり調性的で旋律的な作品
を作り出していました。このヴァイオリン協奏曲は単一楽章の三部構成となっ
ています。後期ロマン派の名残を感じさせる音楽で、スロヴァキア出身のヴァ
イオリニストのユライ・チズマロヴィチが丁寧に濃厚に描き出しています。
チズマロヴィチは1990年から2004年までゲルツェニヒ管のコンサートマスター
を務めた実力派。そして、リヒャルト・ワーグナーの息子ジークフリート・
ワーグナーのヴァイオリン協奏曲も収録。ジークフリートは父親の影から抜け
出せず作曲家としては大きな成功をおさめることはできませんでしたが、オペ
ラなど多くの作品を残しています。このヴァイオリン協奏曲は「交響詩的ヴァ
イオリン協奏曲」とも言われノスタルジックな雰囲気漂う美しい作品です。
またカップリングにリヒャルト・ワーグナー自身の編曲によるヴァイオリンと
オーケストラによる「夢」を収録しています。マルクス・ボッシュとWDRケル
ン放送管も好サポートでチズマロヴィチの演奏を引き立てています。
COV 51103 \2350
ショーソン:ピアノ・トリオ ト短調Op.3
ドビュッシー:ピアノ・トリオ ト長調
シャルル=マリー・ウィドール:4つのピアノ・トリオ
パイアン・トリオ
アレクサンドラ・ノイマン(P)
カール=マグヌス・ヘリング(Vn)
マリン・スメスノイ(Vc)
録音:2009年7月17-20日シュトゥットガルト
ショーソン、ドビュッシー、シャルル=マリー・ウィドールの3人のフランス
の作曲家によるピアノ三重奏曲集。まずショーソンの哀愁帯びた美しいメロ
ディーと抒情的フランス風の香り漂う名品。色彩豊かな光彩を放った傑作とし
て数えられるドビュッシーのピアノ・トリオ。ドビュッシーがパリ音楽院の学
生であった頃の作品ですが、ドビュッシーらしい巧みな色彩表現と若々しい情
感が表れています。フランスのオルガン奏者兼作曲家であるシャルル=マリー
・ウィドール。4つの短い作品からなるピアノ・トリオは独自の感情世界を表
現しています。閃きに満ちた新鮮な解釈でパイアン・トリオの実力を証明した
アルバムです。
<Alba>
ABCD 320(SACD-Hybrid) \1980
エーロ・ハメーンニエミ(1951-):
(1)歌曲集「赤い大地と降りそそぐ雨」(2008)
(2)歌曲集「鳥と風」(1993-94)
(1)ボンベイ・ジャヤシュリ(Vo)
プーングラム・スブラマニアム(ムリダンガム) S・カールティック(ガタム)
ミンナ・ペンソラ(Vn) ヘイッキ・ニクラ(バスクラリネット)
(2)ラウラ・レイスマ(S) ユッカ・ランタマキ(Vn)
ラリマッティ・プネルプロ(Vc)
(1)(2)アヴァンティ!室内管弦楽団 ヨン・ストゥールゴールズ(指)
エーロ・ハメーンニエミ(1951-)。フィンランドの若い作曲家たちが作ったグ
ループ、「耳を開け!」の初代会長を務め、その後、モダニズムを捨て、伝
統的なネオエクスプレッショニスト様式に転向。1990年代の初めからは、イ
ンド古典音楽の要素を取り入れた音楽語法による作品を発表するようになり
ました。ハメーンニエミの新しいアルバムに収録された《鳥と風》 は、その
時代の代表的作品のひとつです。「誕生と死の5つの歌」の副題をもち、フィ
ンランドの民俗詩と古代インドの詩をグレゴリー・ウォレン=ウィルソンが
英訳したテクストをソプラノが弦楽5部の共演で歌い、2人のインド踊り手が
加わるステージで演奏されます。ヨエンスー・フェスティヴァルの委嘱によ
り、1993年から1994年にかけて作曲されました。歌曲集《赤い大地と降りそ
そぐ雨》 は、南インドの古典音楽、カルナータカ(カルナティック)音楽を
代表する女性歌手のひとり、ボンベイ・ジャヤシュリのために作曲された作
品です。タミル語の詩集『Kuruntokai』から選んだ5つの愛の詩をハメーンニ
エミ自身が翻訳したテクスト。ソロヴォーカル、管弦楽、ヴァイオリン・ソ
ロ、バスクラリネット・ソロ、ムリダンガム(南インドの両面太鼓)、ガタム
(壺)の編成。ムリダンガムのプーングラム・スブラマニアムとガタムのS・
カールティックによる即興演奏の織り込まれる音楽です。今日の音楽からタ
ンゴまで、あらゆるジャンルに素晴らしい演奏を聴かせる室内オーケストラ、
アヴァンティ! をヘルシンキ・フィルハーモニックの首席指揮者、ヨン・
ストゥールゴールズ(1963-)が指揮しました。2曲とも世界初録音です。
<EURO ARTS>
20 50349(DVD-Video) \2900
字幕:英、独、仏
トン・コープマン プレイズ・バッハ
【第1部:オルガン作品集】
「覚めよと呼ぶ声が聞え」BWV.645/コラール「来たれ、異教徒の救い主よ」
BWV.659/小フーガ ト短調 BWV.578/コラール「装いせよ、わが魂よ」BWV.654
/トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565-トッカータ
トン・コープマン(Org)
収録:2000年6月16日聖マリア大聖堂、フライブルク
【第2部:アット・ホーム・ウィズ・バッハ】
「エホヴァよ、われ汝に向かいて歌わん」BWV.452/トッカータ ト長調
BWV.916 - Presto/ジョバンニのアリア「お前の心をくれるなら」BWV.518/
「天にましますわれらの父よ」BWV.683/「ある喫煙家の念頭を去来する人生
訓のさまざま」BWV.515/「不実な愛」BWV.203/「ただ愛する神の摂理にまか
す者」BWV.691/「われは満ち足れり」BWV.82/トッカータ ト長調 BWV.916 -
Allegro/「我が身の上を、神よ、み心のままになしたまえ」BWV.514/
「おまえがわたしのそばに居てくれるなら」BWV.508/メヌエット ト長調
BWV Anh.II 116/「すべての善きものの源泉」BWV.445/「照り輝く愛する太陽」
BWV.446/トッカータ ト長調 BWV.916 ? Adagio/「イエス、われらの慰めと命」
BWV.475/メヌエット ト長調 BWV Anh.II 114/「われ汝に喜びあり」BWV.465/
「来たれ、甘き死よ」BWV.478
クラウス・メルテンス(B) トン・コープマン(Cemb)
収録:2000年1月6-8日、ゴーリザー邸ホール、ライプツィヒ
【ボーナス】舞台裏の特典映像
オルガニスト、チェンバリストとしてのコープマンを捉えたバッハ作品集。
第1部ではオルガン作品を、第2部では鍵盤楽器の伴奏でのカンタータや歌曲
集。大聖堂の壮麗なオルガンなど映像としても見所があります。
20 50759(DVD-Video) \2900
字幕:英、独、仏
J.S.バッハ:室内楽作品集
【フーガの技法/ジェルジー・クルターク】
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第1曲」、
「コントラプンクトゥス第2曲」、「コントラプンクトゥス第3曲」、
アンドラーシュ・ミハーイへのオマージュ
(弦楽四重奏のための12のミクロリュード)作品13、
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第4曲」、
「コントラプンクトゥス第6曲」 、リガトゥーラy、
J.S.バッハへのオマージュ、無窮動、
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第9曲」、
遠方よりIII、「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第11曲」、
小オフィチウム(アンドレ・セルヴァンスキーをしのんで)作品28、
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第18曲」、
リガトゥーラ
ケラー弦楽四重奏団
収録:大気科学アカデミー、ブダペスト
【無伴奏チェロ組曲】
無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007
無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011
アンナー・ビルスマ(Vc)
収録:聖バルトロマイ教会、ドルンハイム
ケラー弦楽四重奏団によるJ.S.バッハと現代作品の融合、そしてチェロの名手
・ビルスマによる無伴奏チェロ組曲からの抜粋を収録。ハンガリーの現代作曲
家、ジェルジー・クルタークらに師事したケラー弦楽四重奏団が、バッハの
「フーガの技法」とクルタークの弦楽合奏用作品を取り混ぜて演奏していま
す。スケール感大きく、懐深く響くビルスマの無伴奏も必見です。
20 53299(DVD-Video) \2900
字幕:英、独、仏
サマー・ナイト・ミュージック2003「ラヴ・ソングス」
「ジャンニ・スキッキ」-私のお父さん、ハニー・パイ、白鳥、
時の過ぎゆくままに、
スピーク・ロウ、ふたつの月、アディオス・ノニーノ 他
ディー・ディー・ブリッジウォーター(Vo) ミッシャ・マイスキー(Vc)
ロビー・ラカトシュ(Vn)キングスシンガーズ
ミージア(ファド) クリスティーナ・ガリャルド=ドマス(S)
マイテ・マルティン&ベレン・マヤ(フラメンコ)
ロドルフォ・メデーロス(バンドネオン)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 アンドレイ・ボレイコ(指)
収録:2003年7月マーケット広場、ライプツィヒ
ミッシャ・マイスキーやロビー・ラカトシュ、キングスシンガーズなど世界的
なミュージシャンが集まって行われた野外コンサートの模様。クラシック界
以外にもジャズ・シンガーのブリッジウォーターやフラメンコ、ファドのアー
ティストが出演し「愛」をテーマに名曲を演奏しています。
<BONGIOVANNI>
AB 20020(DVD-Video) \4950
字幕:伊英
ドニゼッティ:「呼び鈴」
ロベルト・デ・カンディア(Br エンリーコ)
アルフォンソ・アントニオッツィ(Bs ドン・アンニバーレ・ピスタッキオ)
ステファニア・ドンツェッリ(S セラフィーナ)
エレナ・ブレシャーニ(Ms ローザ夫人)
マルティーノ・ダミーコ(スピリディオーネ)
マッテオ・ベルトラーミ(指)
G.ロッシーニ交響楽団,フォルトゥーナ劇場合唱団
演出:マウーロ・アヴォガドロ
装置:サルヴァトーレ・シモーネ
衣装:セレーナ・マージ
照明:エミリアーノ・パスクッチ
収録:2010年2月、ファーノ
ドニゼッティは喜劇も得意としていましたが、なかでもファルサと呼ばれる
1幕ものの笑劇には傑作が少なくありません。この「呼び鈴」はドニゼッティ
のファルサの中でも特に人気が高いもの。物語は単純。金持ちの薬局の主人
ドン・アンニバーレは、若く美しい娘セラフィーナと新婚ホヤホヤ、しかし
彼女を諦められない元恋人エンリーコが夜になると変装して何度も薬局を訪
れ初夜の晩を邪魔する。そうこうしているうちに朝になり、ドン・アンニバ
ーレは出張に出かけてしまう。ちなみにタイトルのIl Campanelloとは呼び出
しに用いられる「鈴、ベル、鐘」のことで(女性形のcampanellaは教会などの
立派な「鐘」)、ドン・アンニバーレを邪魔するために鳴らされる呼び鈴を示
します。
こういう話ですから、男二人のキャラクターが立っていないと面白くありま
せん。邪魔する側のエンリーコは、バッソブッフォとして大人気のロベルト・
デ・カンディア。変装はどれも愉快で、ことにパヴァロッティもどきのオペラ
歌手姿は笑えます。気の毒なドン・アンニバーレは、これまたブッフォとして
人気のバリトン、アルフォンソ・アントニオッツィ。伊達男だけれどどこか
間抜けな役作りで、タイプの違うブッフォ二人のダブルボケになっています。
さらに、ステファニア・ドンツェッリのいかにも気の強そうなセラフィーナが
アクセントになっています。
マウーロ・アヴォガドロは、1951年、トリノ生まれの演出家。この上演では、
舞台を1950年代風に据えており、イタリア的な色彩美も映えた優れものです。
イラリア・ナリーチによるクリティカルエディションを使用。
HOC 058 2枚組 \2680
プッチーニ:「マノン・レスコー」
フロリアーナ・カヴァッリ(S マノン)
カルロ・ベルゴンツィ(T デ・グリュー)
ジュゼッペ・ヴァルデンゴ(Br レスコー)
マリアーノ・カルーゾ(T エドモンド,舞踏教師)
アントニオ・カッシネッリ(Bs ジェロンテ)
カルロ・ロマーノ(Bs 宿屋の主人)
ビアンカローザ・ザニベッリ(Ms 音楽家)ほか
ガブリエーレ・サンティーニ(指)
管弦楽団,合唱団
録音:1960年、ナポリ
1960年にナポリ(おそらくサンカルロ劇場と思われます)で上演されたプッチー
ニの「マノン・レスコー」のライヴ録音です。名テノール、カルロ・ベルゴン
ツィのデ・グリューは珍しく、同年暮れにメトロポリタン歌劇場で歌ったライ
ヴ録音が出回ったことがあるだけなので貴重です。マノンを歌うフロリアーナ
・カヴァッリは、1924年生まれのソプラノ。1960年代を中心に活躍しましたが、
録音がほとんど残されていない幻のソプラノ。レスコーを、トスカニーニが
ファルスタッフやイヤーゴに起用したジュゼッペ・ヴァルデンゴが歌ってい
ます。これら名歌手たちを、名匠ガブリエーレ・サンティーニが守り立てて
います。音の状態はあまり良くありませんが、熱のある「マノン・レスコー」
が楽しめます。
GB 5168 \2180
ヴィンチグエッラ:前奏曲集
東洋風前奏曲(6曲)
公園の前奏曲(6曲)
色の付いた前奏曲(12曲)
公園の前奏曲(7曲)
東洋風の前奏曲(5曲)
サンドロ・バルディ(P)
録音:2009年9月,2010年3月
レモ・ヴィンチグエッラは、1956年、ランチャーノ生まれのピアニスト、作曲
家。前奏曲はいずれもサロン風の聞きやすい作風です。サンドロ・バルディは
ボローニャのピアニスト。
<Sub Rosa>
SR 312 \4050
美麗画集仕様
アドルフ・ヴェルフリ:音楽的暗号の解読
第1部)王冠/檻の鳥、リーセン=カナーリ=10m間隔=羽=ヴァイッテ1913
/英連邦カナダの上流・下層貴族のソルトレイク・シーウエストへの船出/
リーセン=カナーリ=10m間隔=羽=ヴァイッテ1913/白鳥、パンドゥーレン
滝/木陰で、スペイン・ローダナス1910/青い音符、天への梯子1915/ネバ
ーアンガー島行進曲/中洲の法規1904
第2部)鯨、餌付1911/喜びと四角/ネバーアンガー島1911/パンドゥーレン
滝行進曲/リーセン=カナーリ行進曲/地理と代数の本第2巻行進曲/行進曲
/オーベルブルク聖アドルフの鐘行進曲/青い音符のよる前奏曲、天への梯子
1915/小島、ネバーアンガー島1911/鳥2/水流/第2巻行進曲/聖アドルフ
の生贄、ゼニスの全智全能の神1904
第3部)鳥3/レア・タンターリア1911/聖マリア聖ハルの最高レーゲントシャ
フト行進曲/聖ウジェーヌ・イザイ/地下室の底で/行進曲1913/聖アドルフ
の旅/ベルンの通りで/ジュノー、黒人の神1904
ボドゥアン・ド・ジャエル(Vn)
とんでもない人物がいました。アドルフ・ヴェルフリ(1864-1930)はスイスの
画家、作家、詩人、図案制作家として、アール・ブリュット(アウトサイダー
アート)すなわち専門教育を受けていない制作者のアートを代表する存在です
が、何と作曲も残していました。経歴がすさまじい。極貧の石工の家庭に生
まれ、幼時に虐待を受けるものの6歳で父が家族を捨て、7歳で母が亡くなると
天涯孤独となりますが、「姦」の字の入るハレンチ極まりない犯罪を3度も繰
り返し(三度目の被害者は3歳!)、1895年に刑務所ではなく精神病院に収容さ
れ、以後生涯をそこで送りました。
精神病院内で1899年から絵を描き始め、1908年からは「揺篭から墓場まで」と
題された3,000ページにわたる小説を綴り始めます。これはヴェルフリ自身の
超自我である8歳の少年ドゥフィが世界中を巡る空想の探検記で、旅した地域
の距離、高度、深度から街、山、川、橋の列挙と複雑な地図まで添えた、とて
も精神を病む人の手から生まれたとは信じがたい精緻なものとなっています。
その物語の挿絵として描き始めたドローイングが、これまた驚く程のマニエリ
スムで、一見マンダラかペルシャの細密画風な独特のオーラとエネルギーを放
ち、気に入る方も多いはずの美しさを示しています。
1916年には誇大妄想も極まり、「聖アドルフ巨大王国」を建設、自らを聖アド
ルフ2世と命名、その王国を祝福してポルカや行進曲などの作曲まで始めます。
病院では、自分が作曲した自らを称える歌をラッパで吹き鳴らしつつ描くヴェ
ルフリの姿が見られたという笑えない話が残されています。
ここに収められた楽曲は、ヴェルフリの残した楽譜をヴァイオリニストで作曲
家のボドゥアン・ド・ジャエルが研究のすえ、自ら音にしたもの。彼は一見適
当に音符を連ねただけのように見えるヴェルフリの音楽に、非常な個性と秩序
を見出したとのことで、演奏も説得力に富んでいます。音楽はかなり珍妙です
が、何やら凄いものが潜んでいるようにも聴こえ、もしかしたら大天才の大傑
作かもしれないと思うようになってきます。さしずめ音楽版「ドグラ・マグラ」
と申せましょう。
美術に興味のある方、既成の価値観を認めない方には是非聴いていただきたい、
二度と手に入らぬ貴重盤。ハードカバー本仕立てで、彼の美術も鑑賞できます。
<haenssler>
94 214 2枚組 \2450
ワーグナー:「ローエングリーン」-遥かな国から
スメタナ:「売られた花嫁」-君を見つけた
プッチーニ:「ボエーム」-二人だけだよ
ビゼー:「カルメン」-花の歌,母からの手紙
ヴェルディ:「オテッロ」-夜もふけた
プッチーニ:「蝶々夫人」-第1幕の愛の二重唱
キーンツル:「エヴァンゲリマン」-幸いである
ベートーヴェン:「フィデリオ」-神よ!ここはなんと暗いのだ
ウェーバー:「魔弾の射手」-森を過ぎ野を越えて
J.シュトラウス:「ジプシー男爵」-気楽な奴だった俺は,
誰が俺たちを結婚させたと?
シューベルト:どこへ? D795-2、夜と夢 D827、愛の便り D957-1、
ガニュメート D544、双子座に寄せる舟人の歌 D360、ミューズの子 D764、
春の想い D686
シューマン:美しい見知らぬ土地 Op.39-6、終わりに Op.25-26、
間奏曲 Op.39-2、春の旅 Op.45-2、二人の擲弾兵 Op.49-1
ベートーヴェン:「遥かな恋人に」 Op.98(全6曲)
チャイコフスキー:愚かなものと言われ Op.25-6、
ただ憧れを知る者だけが Op.6-6、おお、あの歌を歌っておくれ Op.16-4、
なぜそんなに Op.16-5、涙は震える Op.6-4、なぜ? Op.28-3、
騒がしい舞踏会の中で Op.38-3
ペーター・アンデルス(T)
オットー・アッカーマン(指)バーデン=バーデン・フライブルク放送交響楽団
パウル・ブルクハルト(指)バーデン=バーデン・フライブルク放送交響楽団
ハインツ・メンデ(P)
フーベルト・ギーゼン(P)
録音:1952年4月17-19日,1951年7月9日,1946年3月6日,1949年4月17日,
1951年4月23日
ペーター・アンデルス(1908-1954)は、20世紀半ばのドイツを代表する名テノ
ールです。1938年から1940年までバイエルン国立歌劇場に、1940年から1948年
までベルリン国立歌劇場に所属、甘い美声の持ち主でありながら、ドラマティ
ックな役もこなせるレパートリーの広さで人気を博しました。しかし、30代が
第二次世界大戦と重なったこと、戦後活動を活発にしていた46歳の時に交通事
故のため亡くなったことから、その実力はドイツ国内でしかあまり知られませ
んでした。このCDには、南ドイツ放送が所有する貴重な音源が用いられており、
オペラ歌手として、ドイツ・リート歌手としてのアンデルスの素晴らしさが
遺憾なく収められています。
なお、すべてドイツ語歌唱です。
COV 31104 \2350
プフィッツナー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調Op.34
ジークフリート・ワーグナー:ヴァイオリン協奏曲
リヒャルト・ワーグナー:夢(ヴェーゼンドンク歌曲集より)
ユライ・チズマロヴィチ(Vn)
WDRケルン放送管弦楽団 マルクス・ボッシュ(指)
録音:2009年ケルン
優れた才能を持ちながらも音楽史上では不遇な立場にある作曲家二人に焦点を
当てたアルバム。R.シュトラウスと並んで、20世紀前半のドイツ音楽界の重要
な作曲家であったハンス・プフィッツナー(1869-1949)。「最後のロマン主義
者」と称され、徹底してドイツ・ロマン主義にこだわり調性的で旋律的な作品
を作り出していました。このヴァイオリン協奏曲は単一楽章の三部構成となっ
ています。後期ロマン派の名残を感じさせる音楽で、スロヴァキア出身のヴァ
イオリニストのユライ・チズマロヴィチが丁寧に濃厚に描き出しています。
チズマロヴィチは1990年から2004年までゲルツェニヒ管のコンサートマスター
を務めた実力派。そして、リヒャルト・ワーグナーの息子ジークフリート・
ワーグナーのヴァイオリン協奏曲も収録。ジークフリートは父親の影から抜け
出せず作曲家としては大きな成功をおさめることはできませんでしたが、オペ
ラなど多くの作品を残しています。このヴァイオリン協奏曲は「交響詩的ヴァ
イオリン協奏曲」とも言われノスタルジックな雰囲気漂う美しい作品です。
またカップリングにリヒャルト・ワーグナー自身の編曲によるヴァイオリンと
オーケストラによる「夢」を収録しています。マルクス・ボッシュとWDRケル
ン放送管も好サポートでチズマロヴィチの演奏を引き立てています。
COV 51103 \2350
ショーソン:ピアノ・トリオ ト短調Op.3
ドビュッシー:ピアノ・トリオ ト長調
シャルル=マリー・ウィドール:4つのピアノ・トリオ
パイアン・トリオ
アレクサンドラ・ノイマン(P)
カール=マグヌス・ヘリング(Vn)
マリン・スメスノイ(Vc)
録音:2009年7月17-20日シュトゥットガルト
ショーソン、ドビュッシー、シャルル=マリー・ウィドールの3人のフランス
の作曲家によるピアノ三重奏曲集。まずショーソンの哀愁帯びた美しいメロ
ディーと抒情的フランス風の香り漂う名品。色彩豊かな光彩を放った傑作とし
て数えられるドビュッシーのピアノ・トリオ。ドビュッシーがパリ音楽院の学
生であった頃の作品ですが、ドビュッシーらしい巧みな色彩表現と若々しい情
感が表れています。フランスのオルガン奏者兼作曲家であるシャルル=マリー
・ウィドール。4つの短い作品からなるピアノ・トリオは独自の感情世界を表
現しています。閃きに満ちた新鮮な解釈でパイアン・トリオの実力を証明した
アルバムです。
<Alba>
ABCD 320(SACD-Hybrid) \1980
エーロ・ハメーンニエミ(1951-):
(1)歌曲集「赤い大地と降りそそぐ雨」(2008)
(2)歌曲集「鳥と風」(1993-94)
(1)ボンベイ・ジャヤシュリ(Vo)
プーングラム・スブラマニアム(ムリダンガム) S・カールティック(ガタム)
ミンナ・ペンソラ(Vn) ヘイッキ・ニクラ(バスクラリネット)
(2)ラウラ・レイスマ(S) ユッカ・ランタマキ(Vn)
ラリマッティ・プネルプロ(Vc)
(1)(2)アヴァンティ!室内管弦楽団 ヨン・ストゥールゴールズ(指)
エーロ・ハメーンニエミ(1951-)。フィンランドの若い作曲家たちが作ったグ
ループ、「耳を開け!」の初代会長を務め、その後、モダニズムを捨て、伝
統的なネオエクスプレッショニスト様式に転向。1990年代の初めからは、イ
ンド古典音楽の要素を取り入れた音楽語法による作品を発表するようになり
ました。ハメーンニエミの新しいアルバムに収録された《鳥と風》 は、その
時代の代表的作品のひとつです。「誕生と死の5つの歌」の副題をもち、フィ
ンランドの民俗詩と古代インドの詩をグレゴリー・ウォレン=ウィルソンが
英訳したテクストをソプラノが弦楽5部の共演で歌い、2人のインド踊り手が
加わるステージで演奏されます。ヨエンスー・フェスティヴァルの委嘱によ
り、1993年から1994年にかけて作曲されました。歌曲集《赤い大地と降りそ
そぐ雨》 は、南インドの古典音楽、カルナータカ(カルナティック)音楽を
代表する女性歌手のひとり、ボンベイ・ジャヤシュリのために作曲された作
品です。タミル語の詩集『Kuruntokai』から選んだ5つの愛の詩をハメーンニ
エミ自身が翻訳したテクスト。ソロヴォーカル、管弦楽、ヴァイオリン・ソ
ロ、バスクラリネット・ソロ、ムリダンガム(南インドの両面太鼓)、ガタム
(壺)の編成。ムリダンガムのプーングラム・スブラマニアムとガタムのS・
カールティックによる即興演奏の織り込まれる音楽です。今日の音楽からタ
ンゴまで、あらゆるジャンルに素晴らしい演奏を聴かせる室内オーケストラ、
アヴァンティ! をヘルシンキ・フィルハーモニックの首席指揮者、ヨン・
ストゥールゴールズ(1963-)が指揮しました。2曲とも世界初録音です。
<EURO ARTS>
20 50349(DVD-Video) \2900
字幕:英、独、仏
トン・コープマン プレイズ・バッハ
【第1部:オルガン作品集】
「覚めよと呼ぶ声が聞え」BWV.645/コラール「来たれ、異教徒の救い主よ」
BWV.659/小フーガ ト短調 BWV.578/コラール「装いせよ、わが魂よ」BWV.654
/トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565-トッカータ
トン・コープマン(Org)
収録:2000年6月16日聖マリア大聖堂、フライブルク
【第2部:アット・ホーム・ウィズ・バッハ】
「エホヴァよ、われ汝に向かいて歌わん」BWV.452/トッカータ ト長調
BWV.916 - Presto/ジョバンニのアリア「お前の心をくれるなら」BWV.518/
「天にましますわれらの父よ」BWV.683/「ある喫煙家の念頭を去来する人生
訓のさまざま」BWV.515/「不実な愛」BWV.203/「ただ愛する神の摂理にまか
す者」BWV.691/「われは満ち足れり」BWV.82/トッカータ ト長調 BWV.916 -
Allegro/「我が身の上を、神よ、み心のままになしたまえ」BWV.514/
「おまえがわたしのそばに居てくれるなら」BWV.508/メヌエット ト長調
BWV Anh.II 116/「すべての善きものの源泉」BWV.445/「照り輝く愛する太陽」
BWV.446/トッカータ ト長調 BWV.916 ? Adagio/「イエス、われらの慰めと命」
BWV.475/メヌエット ト長調 BWV Anh.II 114/「われ汝に喜びあり」BWV.465/
「来たれ、甘き死よ」BWV.478
クラウス・メルテンス(B) トン・コープマン(Cemb)
収録:2000年1月6-8日、ゴーリザー邸ホール、ライプツィヒ
【ボーナス】舞台裏の特典映像
オルガニスト、チェンバリストとしてのコープマンを捉えたバッハ作品集。
第1部ではオルガン作品を、第2部では鍵盤楽器の伴奏でのカンタータや歌曲
集。大聖堂の壮麗なオルガンなど映像としても見所があります。
20 50759(DVD-Video) \2900
字幕:英、独、仏
J.S.バッハ:室内楽作品集
【フーガの技法/ジェルジー・クルターク】
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第1曲」、
「コントラプンクトゥス第2曲」、「コントラプンクトゥス第3曲」、
アンドラーシュ・ミハーイへのオマージュ
(弦楽四重奏のための12のミクロリュード)作品13、
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第4曲」、
「コントラプンクトゥス第6曲」 、リガトゥーラy、
J.S.バッハへのオマージュ、無窮動、
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第9曲」、
遠方よりIII、「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第11曲」、
小オフィチウム(アンドレ・セルヴァンスキーをしのんで)作品28、
「フーガの技法」BWV1080より「コントラプンクトゥス第18曲」、
リガトゥーラ
ケラー弦楽四重奏団
収録:大気科学アカデミー、ブダペスト
【無伴奏チェロ組曲】
無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007
無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011
アンナー・ビルスマ(Vc)
収録:聖バルトロマイ教会、ドルンハイム
ケラー弦楽四重奏団によるJ.S.バッハと現代作品の融合、そしてチェロの名手
・ビルスマによる無伴奏チェロ組曲からの抜粋を収録。ハンガリーの現代作曲
家、ジェルジー・クルタークらに師事したケラー弦楽四重奏団が、バッハの
「フーガの技法」とクルタークの弦楽合奏用作品を取り混ぜて演奏していま
す。スケール感大きく、懐深く響くビルスマの無伴奏も必見です。
20 53299(DVD-Video) \2900
字幕:英、独、仏
サマー・ナイト・ミュージック2003「ラヴ・ソングス」
「ジャンニ・スキッキ」-私のお父さん、ハニー・パイ、白鳥、
時の過ぎゆくままに、
スピーク・ロウ、ふたつの月、アディオス・ノニーノ 他
ディー・ディー・ブリッジウォーター(Vo) ミッシャ・マイスキー(Vc)
ロビー・ラカトシュ(Vn)キングスシンガーズ
ミージア(ファド) クリスティーナ・ガリャルド=ドマス(S)
マイテ・マルティン&ベレン・マヤ(フラメンコ)
ロドルフォ・メデーロス(バンドネオン)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 アンドレイ・ボレイコ(指)
収録:2003年7月マーケット広場、ライプツィヒ
ミッシャ・マイスキーやロビー・ラカトシュ、キングスシンガーズなど世界的
なミュージシャンが集まって行われた野外コンサートの模様。クラシック界
以外にもジャズ・シンガーのブリッジウォーターやフラメンコ、ファドのアー
ティストが出演し「愛」をテーマに名曲を演奏しています。
<BONGIOVANNI>
AB 20020(DVD-Video) \4950
字幕:伊英
ドニゼッティ:「呼び鈴」
ロベルト・デ・カンディア(Br エンリーコ)
アルフォンソ・アントニオッツィ(Bs ドン・アンニバーレ・ピスタッキオ)
ステファニア・ドンツェッリ(S セラフィーナ)
エレナ・ブレシャーニ(Ms ローザ夫人)
マルティーノ・ダミーコ(スピリディオーネ)
マッテオ・ベルトラーミ(指)
G.ロッシーニ交響楽団,フォルトゥーナ劇場合唱団
演出:マウーロ・アヴォガドロ
装置:サルヴァトーレ・シモーネ
衣装:セレーナ・マージ
照明:エミリアーノ・パスクッチ
収録:2010年2月、ファーノ
ドニゼッティは喜劇も得意としていましたが、なかでもファルサと呼ばれる
1幕ものの笑劇には傑作が少なくありません。この「呼び鈴」はドニゼッティ
のファルサの中でも特に人気が高いもの。物語は単純。金持ちの薬局の主人
ドン・アンニバーレは、若く美しい娘セラフィーナと新婚ホヤホヤ、しかし
彼女を諦められない元恋人エンリーコが夜になると変装して何度も薬局を訪
れ初夜の晩を邪魔する。そうこうしているうちに朝になり、ドン・アンニバ
ーレは出張に出かけてしまう。ちなみにタイトルのIl Campanelloとは呼び出
しに用いられる「鈴、ベル、鐘」のことで(女性形のcampanellaは教会などの
立派な「鐘」)、ドン・アンニバーレを邪魔するために鳴らされる呼び鈴を示
します。
こういう話ですから、男二人のキャラクターが立っていないと面白くありま
せん。邪魔する側のエンリーコは、バッソブッフォとして大人気のロベルト・
デ・カンディア。変装はどれも愉快で、ことにパヴァロッティもどきのオペラ
歌手姿は笑えます。気の毒なドン・アンニバーレは、これまたブッフォとして
人気のバリトン、アルフォンソ・アントニオッツィ。伊達男だけれどどこか
間抜けな役作りで、タイプの違うブッフォ二人のダブルボケになっています。
さらに、ステファニア・ドンツェッリのいかにも気の強そうなセラフィーナが
アクセントになっています。
マウーロ・アヴォガドロは、1951年、トリノ生まれの演出家。この上演では、
舞台を1950年代風に据えており、イタリア的な色彩美も映えた優れものです。
イラリア・ナリーチによるクリティカルエディションを使用。
HOC 058 2枚組 \2680
プッチーニ:「マノン・レスコー」
フロリアーナ・カヴァッリ(S マノン)
カルロ・ベルゴンツィ(T デ・グリュー)
ジュゼッペ・ヴァルデンゴ(Br レスコー)
マリアーノ・カルーゾ(T エドモンド,舞踏教師)
アントニオ・カッシネッリ(Bs ジェロンテ)
カルロ・ロマーノ(Bs 宿屋の主人)
ビアンカローザ・ザニベッリ(Ms 音楽家)ほか
ガブリエーレ・サンティーニ(指)
管弦楽団,合唱団
録音:1960年、ナポリ
1960年にナポリ(おそらくサンカルロ劇場と思われます)で上演されたプッチー
ニの「マノン・レスコー」のライヴ録音です。名テノール、カルロ・ベルゴン
ツィのデ・グリューは珍しく、同年暮れにメトロポリタン歌劇場で歌ったライ
ヴ録音が出回ったことがあるだけなので貴重です。マノンを歌うフロリアーナ
・カヴァッリは、1924年生まれのソプラノ。1960年代を中心に活躍しましたが、
録音がほとんど残されていない幻のソプラノ。レスコーを、トスカニーニが
ファルスタッフやイヤーゴに起用したジュゼッペ・ヴァルデンゴが歌ってい
ます。これら名歌手たちを、名匠ガブリエーレ・サンティーニが守り立てて
います。音の状態はあまり良くありませんが、熱のある「マノン・レスコー」
が楽しめます。
GB 5168 \2180
ヴィンチグエッラ:前奏曲集
東洋風前奏曲(6曲)
公園の前奏曲(6曲)
色の付いた前奏曲(12曲)
公園の前奏曲(7曲)
東洋風の前奏曲(5曲)
サンドロ・バルディ(P)
録音:2009年9月,2010年3月
レモ・ヴィンチグエッラは、1956年、ランチャーノ生まれのピアニスト、作曲
家。前奏曲はいずれもサロン風の聞きやすい作風です。サンドロ・バルディは
ボローニャのピアニスト。
<Sub Rosa>
SR 312 \4050
美麗画集仕様
アドルフ・ヴェルフリ:音楽的暗号の解読
第1部)王冠/檻の鳥、リーセン=カナーリ=10m間隔=羽=ヴァイッテ1913
/英連邦カナダの上流・下層貴族のソルトレイク・シーウエストへの船出/
リーセン=カナーリ=10m間隔=羽=ヴァイッテ1913/白鳥、パンドゥーレン
滝/木陰で、スペイン・ローダナス1910/青い音符、天への梯子1915/ネバ
ーアンガー島行進曲/中洲の法規1904
第2部)鯨、餌付1911/喜びと四角/ネバーアンガー島1911/パンドゥーレン
滝行進曲/リーセン=カナーリ行進曲/地理と代数の本第2巻行進曲/行進曲
/オーベルブルク聖アドルフの鐘行進曲/青い音符のよる前奏曲、天への梯子
1915/小島、ネバーアンガー島1911/鳥2/水流/第2巻行進曲/聖アドルフ
の生贄、ゼニスの全智全能の神1904
第3部)鳥3/レア・タンターリア1911/聖マリア聖ハルの最高レーゲントシャ
フト行進曲/聖ウジェーヌ・イザイ/地下室の底で/行進曲1913/聖アドルフ
の旅/ベルンの通りで/ジュノー、黒人の神1904
ボドゥアン・ド・ジャエル(Vn)
とんでもない人物がいました。アドルフ・ヴェルフリ(1864-1930)はスイスの
画家、作家、詩人、図案制作家として、アール・ブリュット(アウトサイダー
アート)すなわち専門教育を受けていない制作者のアートを代表する存在です
が、何と作曲も残していました。経歴がすさまじい。極貧の石工の家庭に生
まれ、幼時に虐待を受けるものの6歳で父が家族を捨て、7歳で母が亡くなると
天涯孤独となりますが、「姦」の字の入るハレンチ極まりない犯罪を3度も繰
り返し(三度目の被害者は3歳!)、1895年に刑務所ではなく精神病院に収容さ
れ、以後生涯をそこで送りました。
精神病院内で1899年から絵を描き始め、1908年からは「揺篭から墓場まで」と
題された3,000ページにわたる小説を綴り始めます。これはヴェルフリ自身の
超自我である8歳の少年ドゥフィが世界中を巡る空想の探検記で、旅した地域
の距離、高度、深度から街、山、川、橋の列挙と複雑な地図まで添えた、とて
も精神を病む人の手から生まれたとは信じがたい精緻なものとなっています。
その物語の挿絵として描き始めたドローイングが、これまた驚く程のマニエリ
スムで、一見マンダラかペルシャの細密画風な独特のオーラとエネルギーを放
ち、気に入る方も多いはずの美しさを示しています。
1916年には誇大妄想も極まり、「聖アドルフ巨大王国」を建設、自らを聖アド
ルフ2世と命名、その王国を祝福してポルカや行進曲などの作曲まで始めます。
病院では、自分が作曲した自らを称える歌をラッパで吹き鳴らしつつ描くヴェ
ルフリの姿が見られたという笑えない話が残されています。
ここに収められた楽曲は、ヴェルフリの残した楽譜をヴァイオリニストで作曲
家のボドゥアン・ド・ジャエルが研究のすえ、自ら音にしたもの。彼は一見適
当に音符を連ねただけのように見えるヴェルフリの音楽に、非常な個性と秩序
を見出したとのことで、演奏も説得力に富んでいます。音楽はかなり珍妙です
が、何やら凄いものが潜んでいるようにも聴こえ、もしかしたら大天才の大傑
作かもしれないと思うようになってきます。さしずめ音楽版「ドグラ・マグラ」
と申せましょう。
美術に興味のある方、既成の価値観を認めない方には是非聴いていただきたい、
二度と手に入らぬ貴重盤。ハードカバー本仕立てで、彼の美術も鑑賞できます。
<haenssler>
94 214 2枚組 \2450
ワーグナー:「ローエングリーン」-遥かな国から
スメタナ:「売られた花嫁」-君を見つけた
プッチーニ:「ボエーム」-二人だけだよ
ビゼー:「カルメン」-花の歌,母からの手紙
ヴェルディ:「オテッロ」-夜もふけた
プッチーニ:「蝶々夫人」-第1幕の愛の二重唱
キーンツル:「エヴァンゲリマン」-幸いである
ベートーヴェン:「フィデリオ」-神よ!ここはなんと暗いのだ
ウェーバー:「魔弾の射手」-森を過ぎ野を越えて
J.シュトラウス:「ジプシー男爵」-気楽な奴だった俺は,
誰が俺たちを結婚させたと?
シューベルト:どこへ? D795-2、夜と夢 D827、愛の便り D957-1、
ガニュメート D544、双子座に寄せる舟人の歌 D360、ミューズの子 D764、
春の想い D686
シューマン:美しい見知らぬ土地 Op.39-6、終わりに Op.25-26、
間奏曲 Op.39-2、春の旅 Op.45-2、二人の擲弾兵 Op.49-1
ベートーヴェン:「遥かな恋人に」 Op.98(全6曲)
チャイコフスキー:愚かなものと言われ Op.25-6、
ただ憧れを知る者だけが Op.6-6、おお、あの歌を歌っておくれ Op.16-4、
なぜそんなに Op.16-5、涙は震える Op.6-4、なぜ? Op.28-3、
騒がしい舞踏会の中で Op.38-3
ペーター・アンデルス(T)
オットー・アッカーマン(指)バーデン=バーデン・フライブルク放送交響楽団
パウル・ブルクハルト(指)バーデン=バーデン・フライブルク放送交響楽団
ハインツ・メンデ(P)
フーベルト・ギーゼン(P)
録音:1952年4月17-19日,1951年7月9日,1946年3月6日,1949年4月17日,
1951年4月23日
ペーター・アンデルス(1908-1954)は、20世紀半ばのドイツを代表する名テノ
ールです。1938年から1940年までバイエルン国立歌劇場に、1940年から1948年
までベルリン国立歌劇場に所属、甘い美声の持ち主でありながら、ドラマティ
ックな役もこなせるレパートリーの広さで人気を博しました。しかし、30代が
第二次世界大戦と重なったこと、戦後活動を活発にしていた46歳の時に交通事
故のため亡くなったことから、その実力はドイツ国内でしかあまり知られませ
んでした。このCDには、南ドイツ放送が所有する貴重な音源が用いられており、
オペラ歌手として、ドイツ・リート歌手としてのアンデルスの素晴らしさが
遺憾なく収められています。
なお、すべてドイツ語歌唱です。