どうだい、この羽を広げた孔雀が油の中に落っこって、バリッと揚がったような姿は。
目くらましのように、エノキの扇が立ちはだかっているが、この向こうには天ぷらがいろいろと
乗っかっている。
海老2本、舞茸、サツマイモ、しし唐2本。丼は正しい錦手。丼はこうでなくちゃ。
一つ注文させてもらうと、天ぷらの下のもみ海苔は必要ないかもしれん。ならば、海苔の天ぷらを一枚つければいいのでは。
赤だしと香のもの、小鉢。小さな猪口に丼つゆが付いてきて、
「お好みでおかけください」という。 基本は塩味の天ぷらにしてあるようだ。
私などは丼つゆ足らないぐらい。言えば追加もくれるだろうが、そこはしない。
サクサク…サラダ油か白締油かわからんが、実に軽く快適に食べ進む。
ただね、私は東京下町の天丼が好きなんですよ。
濃い丼つゆがかかって、丼に口つけてワシャワシャ食えるヤツが。
天ぷらもごま油を効かせたヤツね。土手の伊勢屋とかあんなの。
あとで油のゲップが出ようが、喉が渇こうが、天丼はめしが食えるのが一番というのが私見。
関西風の天ぷらはどっちかというと、酒を飲むための天ぷらという発展の仕方をしてきた。
ということでいうと、天丼のイメージはくい違うのであるが、
まれにみる優れた天丼屋なのは間違いない。
天丼 ¥850
もちろん完食。あっという間でお別れせにゃならんのはつらい。
ご飯の量は少なめ。男なら大盛りにすべきだろう(+100円で)。
次回は玉子が乗る天とじ丼にしなくてはならんだろう。
天ぷらを揚げる主人。ベストのタイミングでご飯や味噌椀を注ぐ奥さん。
夫婦二人が黙々と働く姿は見ていて清々しい。
こういう店を応援しないではいられない。
若いころ極道したし、お前にもさんざん苦労をかけた…老後は二人で、
誰も知らない町で小さな天丼屋でもやろうぢゃねぇか…と、言ったか言わなんだか。
私よりもうんと年下なので、それはないか。
しかし、なんでここ?というほど、人里離れた場所。
高槻だが、駅くんだりからとっても歩ける話ではござんせん。
昼営業のみ。夜行ったら、寂しいよきっと。
天丼屋 平右衛門 高槻市道鵜町2丁目
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