20年ぶりぐらいで、千日前の洋食屋「自由軒本店」へ。
創業は明治43年。屋号は初代が自由民権運動に共鳴してとのこと。
東京の簡易洋食の草分け「須田町食堂」(大正13年創業)にも
同じ名前のランチがあった。
今では、放送に適さない合の子ランチ。
これが織田作が「夫婦善哉」に書いた、名物カレー。
ルーがご飯にまぶされ、玉子が落としてある。
こいつをグチャグチャと混ぜて、ウスターソースをかけて食べる。
「う・・・懐かしい味や」昔のことなど知らんのに、そういう気になる。
賛否両論あるが、数年に一回は食べたい味。
サイドオーダーしたチキンンカツ。
肉にもう少し塩を利かせた方がよろしかろう。
この文句は織田作ではなく、うちの先代が考えたものです・・・と
説明されたが、そうでしょうとも。
織田作がこんなもの書くもんですか。
庶民のささやかな娯楽。「楽天地」で遊び、家族で洋食を囲む、或いはたまの休みにキネマのニコニコ大会で腹を抱え、帰りにライスカレーなぞで散財した、そんな丁稚さんたちの気分が蘇る。
クラシックな大衆洋食が食べたくなったら、どうぞ千日前へ。
自由軒本店 中央区難波3
老舗が生き残っていくには、時代に合わせて多少なりとも味を変えていくものですが、こちらは奇跡のように昔のまんまと言えるかもしれません。ですから絣の着物に鳥打帽で風呂敷包みを提げて、雑然としたテーブルに身をおくのが正しいのかもしれません。ボクも東京の客人ならば法善寺さん界隈へとお連れします。懐が暖かければ「喜川」かてっちりの「浅草」辺り、なけりゃおでん「和乃子」や居酒屋「上かん屋」辺りで一杯やって、バー「路」や「238」辺りでハイボールなぞは南地っぽいことになります。