魚ヘンに日、四、又と書いて、鰻。 その文字に始まるのか、大阪には「菱」のついた鰻の老舗が多い。
「ひし好」、「菱富」、「菱竹」、「ひし屋」、「菱東」など。 考えりゃ不思議だな。
さて、こちらは菱ではない店。 地下鉄、野江内代(のえうちんだいと読む。なんでや・・・?)
駅を上がってしばし。
風に乗って、香ばしい匂いが鼻をかすめれば、もう近い。
何年か前に、こんなきれいな店になった、旭区の「魚伊」。
と、同時に、天神橋筋商店街に出店したり、繁盛けっこうなことである。
うざく 800円 鰻ときゅうりのざくざくの酢の物。
こういうので、陽の高い時分から一杯やってると、こたえられない。
酒もなかなか名酒が揃っているのに、こういうゴテゴテした徳利は苦手。
もっとすっきりした器で飲ませてほしい。アタシら酒飲み、飲めりゃいいってもんぢゃない。
東京に行ってから、鰻のうまさを知った。
バイトしたりなんかしてたのに、不幸な話である。
関東式は一杯やりながら待った。南千住「尾花」などでは1時間近くかかった。
それでもきちんと手をかけている証左なのだろうと、焦らず酒舐めながら待った。
串打ち8年、焼き一生などという言葉がある。炭の放射熱の前で大変な仕事だ。
ところが、関西の地焼きの場合は待たせない。
基本、蒸しの時間なく、次々に焼きあげていくのだから早い。
鰻に関しても、関西人は天下一品のイラチなのである。
こっちは1600円だったかの鰻重。
ぼくはどうもとり澄ました重箱が苦手で、丼を持って食べたいと常日頃思っている。
うな重 特上2300円 美しく食欲をそそる飴色。
鰻は温度が重要となる料理だ。ご飯は上等なのを炊き立てで、できるだけ熱々で出さねばならない。
これは塗りだが、瀬戸物の丼の場合、蒸し器などで温めておかねば面白くない。
これを一気呵成にいただく。 食べてから少々の粉山椒はよろしかろう。
下手に最初からかけると、「うちの鰻ははなから山椒かけるほど、泥くさくねぇぞ!」などと
怒鳴られる店もあるので注意されたし。 奈良漬の数切れあれば言うことなし。
三分の一ほどは、円生師匠譲りの、徹底的に混ぜ合わせる鰻めしにする。
こればかりはお里が知れる状態なので見せられない。
肝吸いは無いと寂しいが、あっても感動したことがない。
よく見りゃドザエモンみたいだし、ありゃなんとかして、もっと画期的な吸い物にならないもんかな。
テイクアウトできるコーナーもあり、半助なんぞを買って、焼き豆腐と葱を一緒に炊き込むと、おつな肴になる。
魚伊 大阪市旭区高殿4
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます