芦原橋に珍なるめし屋がある。人よんで「カス丼屋」。界隈でネタに詰まると、ねえちゃんとこへ情報収集にお邪魔する。ねえちゃんったって俺の方が上やけど。先日「カス鍋」を売り出すとのことで試食してきた。なかなかやる。
かつお昆布のだしに各種野菜(明かさぬが、薄切りのジャガイモがいい)が入り、ホルモンとカスが入るのであるが、あっさりして予想以上の美味さ。だしにアクなど浮くものか。最後は黄ぃそば(黄色いチャンポン麺という意味)が入り、出汁は最後まで頂ける。
油カスと天カスは混同してはいけない。一字違いで大違い。牛の内臓中もっとも脂が乗り、効率よく油が取れるのが小腸(コテッチャン)なのである。この小腸を鉄の鍋に入れて火にかけると、自身から滲み出した油で自ら揚がってしまう。
その油の上等なものは食用ヘットとなり、石鹸の原材料にもなる。動物性だから肌にいい。この油を絞ったカスだから油カス。そのまんま。周囲はカリッとして中は半生の油が残る。
一見シイタケの天ぷらか一夜干ししたウツボ(そんなもん見たこたぁねぇか)に見えるだろうが、これが由緒正しい油カスだ。お好みにもうどんにも焼きそばにもたこ焼きにも香ばしくて段違いによくなるから、こいつがまぁ取り合いらしいのだ。
ハリハリ鍋のクジラの替わりに水菜と煮てもよく、油あげとしろ菜の揚げさんの替りにもバツグンの持ち味を発揮するという。少々濃くったって構わねぇ、カスパーティーをしたいもんだ。ねえちゃんはさいぼしも取り寄せておくと言ってくれた。サシの入った半生の桜干し、ホースジャーキー、これもたまらん美味いらしいど。
ねえちゃんは言う。「ビストロ料理の『和牛の頬肉の煮込み』いうたらツラ身や。『テリーヌ』いうたら煮凝りやん」まさに。言葉だけ言い換えて上等みたいなツラして幻惑するのは何だかムカっ腹が立ってくるではないか。トリッパの煮込みいうたらハチノスやし、フロマージュ・ド・テットいうたら豚のツラや。
油カス、焼きそばに入れて焼いて出したら、むちゃウケたで。コクが出る。ま、見も知らないでごちゃごちゃ言わず、まずは食ってみよ、なのである。
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