マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

粋と野暮のはざまの、ほどよき酔い心地

2014-08-10 01:48:02 | Weblog


久々の名古屋は、中日劇場へ。 山本一力の「だいこん」という江戸人情喜劇。

赤井英和の応援に来たのだが、主演石川梨華の母親役の、高橋惠子がよかった。

顔も芝居も声のトーンも全部好き。楽屋で会えるかと淡い期待、だがさっさと帰られたようでガックシ。

ああ、そうさ、アタシなんざただのミーハー。 


      

     




楽屋を辞して、帰りに寄らざるを得ない店がある。 なんだか天気が悪い。

雷鳴と稲光。 前回御園座に来た時も豪雨だった。 今回は雨は持ち堪えたところで、

ひと駅歩いて、お目当ての店へ。 


     
  

         



鼻の効くお方は、もうこの猪口見ただけでわかろうというもの。

こんなビジネス街のまん真ん中に、素晴らしい酒亭がある。 知らない人は名古屋を見直すだろう。

その名を「大甚本店」。


           

       

 

明治40年創業。今年で107年。
100年オーバーの老舗にしか出せない不動の存在感がある。

小皿、小鉢がいっぱい。
好きなのを選んで席に着く。



      



まずはビールをひとくち。



      



初めは外したくないので枝豆。可もなく不可もない、無難なところから。







文句などあろうはずなし。

小烏賊の煮付け。

なぜかここに来たら喰いたくなる。








さ、酒に切り替えよう。 賀茂鶴か菊正宗。

この背の高い染付の徳利が、明治時代のようでまた飲ませる。




       




燗の具合も文句ない。 ぬる燗も飛び切り燗もない。

こういう老舗ではずっとしてきた燗が一番いいのだ。







浅蜊とねぎのぬた。

八丁味噌で食べさせるのが名古屋らしい。

この味、悪くないのだ。








海老と胡瓜の酢のもの。

辛いミョウガが舌をリセットしてくれる。

一つだけ欲をいえば、名古屋弁が聴こえて来ないこと。

ビジネス街ということもあるのだろうが、よそ者率が高いんぢゃないだろうか。

お国なまりの一つも耳に飛び込んで来ないと、わざわざ名古屋に来た面白みがない。









あとは、時節柄しょうがないけど、中国人店員が多いこと。

でも受け答えも、料理に関してもまじめに働いているのは分かった。

なのでこいつは良しとしましょうか。








さあて、ぼちぼち次へ行かねば。
一晩でお腹に入る量など、知れたもん。

「お勘定!」

パチリと五ツ玉の算盤がまたいいなぁ。


世の中、トレンドだかなんだか知らないけれども、ここへ来ると
こざかしいそんなものは瑣末なことだということが分かる。


野暮でもいいではないか、小ざっぱりとして、ぶれないことが一番大事。


いつ来ても、なんだか気持ちのいい店、それが大甚本店。
この酒場があるだけで、名古屋人を尊敬する…は言いすぎか。


今回も、名古屋の酒飲みの懐の深さを垣間見せてくれた。



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