町場に育った者の特権とでもいうのか、幼少の頃から買い食いは好きだった。甘いものも嫌いではなかったが、実質的なたとえば肉屋の店頭で揚げるコロッケなんちゅうのは、ほん心安いものだった。
今だに肉屋の店頭を素通りできないのは困ったもんだ。
杉浦茂画伯の作品に「コロッケ5円の介」なる忍術使いが登場するが、我らの時代はすでにレートが違い、行きつけの駅前の肉屋では2個15円だった。それでもバカ安や。へぎの舟に揚げ立てのアツアツを入れてもらい、緑のハトロン紙を上に乗せ、新聞紙で巻いて、輪ゴムでパチンとめた。そう、昔は何でも新聞紙だったのだ。
歩いて家まで12,3分。誘惑に駆られて開けると、ラードの匂いがプ~ンとし、道々頬張りながら帰ると、丁度なくなる頃家に着いた。
その安いコロッケは芋の中に肉らしきものが入っているのだが、よくよく見ればそれはジャガイモの皮なのであって挽肉なんかぢゃない。まんまと長いことひっかかっていた。
益田太郎冠者という粋人が書いた「コロッケの歌」は
浅草オペラ屈指のヒット曲となった。
♪ ワイフもらって嬉しかったが、おかずは年中コロッケ・・・
後年、小坂一也や五月みどりも歌った。
大正7年の作というから、まだ洋食は新風俗で、コロッケは肉屋の店頭で売られるようなものではなく、ベシャメルソースのクリームコロッケではなかったかなどと推察される。真相は藪の中、油の中だ。
独り身の頃、コロッケ作ってみたが、一度茹でたジャガイモをつぶしてバットに広げて冷まさねばならず、これを怠ると破裂してしまうので、これになかなか時間がかかった。
やっぱりまぁ、買い食いが手っ取り早い。
天神橋商店街、名代のコロッケ屋。ここのは打ち合わせや楽屋見舞いに使われることも多い。
先日、京唄子師匠の差し入れのご相伴にあずかり、それを言うと、
「よく100個、200個と買って行って下さいます」という。
コロッケはそのままで十分、芋の甘さが際立つ。
右の大判なのはハムカツ。これにはウスターをドップリとかけて辛子塗り、コッペパンあればキャベツと挟んでガブッ、と行きたい。
コロッケ中村屋 大阪市北区天神橋2
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一個、10円。
リンゴも一個10円。
中村屋のハムかつねえ・・・ソースじゃばじゃばで一度食べてみたい。
子供の時、せこがになんかもおやつだったよね~。
なんぼでも売ってた。大きな顔して割烹の一品料理として出てくるもんだから。
メバチマグロまで将来が危ぶまれるようになってきた。鎖国しかありません。