朝、窓を開けると、朝の空気がス~ッと入ってきた。外は霧雨。
うう、寒む。湖上はまさに薄墨を流したような、モノクロームの世界。
さっさと起きて湖の周囲を散策するのもいいし、露天風呂に入るのもいいが、少し酒の残った頭で布団の中でまどろむ道を選ぶ。
9時、遅めの朝食。
鯖のかぶら鮓、汲み上げ湯葉に実山椒、
ふぐ卵巣のへしこ、きゃら蕗の佃煮、梅干・・・
ほとんどが自家製。山椒も湖畔の山懐に自生している。
誰いうともなく、「ビール下さい!」
鍋で熱々の氷魚(ひうお)の卵とじ。これを取り分けてくれる。
氷魚とは琵琶湖で取れる稚鮎のこと。
昨夜の祭りのあと。左から二番目、ボーヌ・ロマネ2001なんて呑みましたっけ?記憶から抜け落ちているしメモも取っていない。完全に酔っていたようだ、情けない。
がしらの味噌汁。頬肉をせせったりしながら、また一杯いけるなぁ。
ふぐ卵巣のへしこ。1年塩で漬け込み、その後2年糠に漬ける。へしこは若狭地方に古くから伝わる保存食だ。こんか漬(小糠漬)とも言う。
へしこを初めて食べたのは、能登半島の民宿「さんなみ」だった。
そのままだと猛毒の卵巣も、こうして手間隙かけることで格好の酒の肴となる。近江米のメシが旨い。シメはこいつでお茶漬け。
食後、バックヤードの熟れ鮓工房を拝見。
土産土法。日本の何処にも真似のできない地元のものを見つけて、
手をかけて手作りの味を提供する。作業としては大変だろうが、
小さな民宿が生き残って行く方法が、ここ「徳山鮓」や「民宿さんなみ」などにはある。
気がつくと空も明るく晴れていた。
さぁ、発つとするか。
駅では女将さんの笑顔が。
そして反対側では虹が我々を見送ってくれた。
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