時々刻々変わり行く街、私には迷走しているように見える街・阿倍野。
そこで一人孤塁を守る酒亭、それが『明治屋』。
こんな店が無くなるようでは、もう大阪も終わりである。
既にまわりは完全に商店がなくなり、今や風前の灯。
この店壊すっていうなら、オレ、立てこもりたい。
松竹海老の清酒を口に含んで「プワァッ!」棒っきれ持った右の腕に
吹きかけると勿体ないので、ゴクッと飲んで、
「強制代執行でもなんでもきやがれ」と仁王立ちするだろう。
今どき、こんな神棚がある店なくしたら、バチ当たるぜぇ~。
あいにく満席で、突き当りの一席しかない小上がりに腰を下ろした。ここはまた特別席。ちょいと招き猫か福助になった気分だ。小さなちゃぶ台挟んで、オッサン二人差し向かう。「鏡餅どけましょうか」「何言ってんの、これがいいのよぉ!」こういうちまちました感じで飲むのが、しみじみ日本人なんだな。何回書いてんだろ、この店のことを。ああ、何回でも書かぁ。
きずし、湯豆腐、しゅうまい…燗酒となんと相性のいいこと、何をかいわんや。たかだか二十数年、それも飛び飛びにしか来てないくせに、
もう戦前から通ってる客みたいな心持ちになってくる。
すぐ側の阿倍野斎場で成仏できぬ魑魅魍魎よ、式神たちよ。
「明治屋」になんかあった時にゃ頼みます。
映画ポルターガイストみたいに、この辺一体の地盤、ぐっちょんぐっちょんにしてやって下さい!
なんて書けば、近所の人から怒られるかぁ?