勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

3月21日は正御影供

2017-03-21 23:12:56 | Weblog
3月21日は、真言宗をお開きになられたお大師様(弘法大師)が、高野山において御入定された特別な日だ。承和2年(835)3月21日、御年62歳のご生涯に幕を下ろされた。

しかし、その後、お大師様がいつまでもこの世に身を留め置かれ、禅定を続けておられていることをご存知だろうか。これは「入定留身」(にゅうじょうるしん)といって、今後56億7千万年後に弥勒菩薩がこの世に下生されるまでの間、身を留めて一切衆生の救済活動を続けておられることを意味している。

お大師様のご尊像には、稚児大師、秘鍵大師、修行大師など21のお姿が伝えられているが、このご尊像は御入定大師といって入定留身を表した最も有名な御影だ。今日は、そのお姿から皆様にお大師様の有難さを汲み取って頂きたいと願い、お話しようと思う。

お姿や持ち物については諸説が伝えられているが、今回は『高野山真言宗檀信徒必携』という書籍をもとに、話を進めたい。

右手には五鈷杵(ごこしょ)という金剛界大日如来の5つの智慧(五智)を象徴する法具をお持ちになり、左手には胎蔵界曼荼羅の慈悲を象徴するお数珠を膝に垂らしておられる。本来はここで金剛界・胎蔵界の両曼荼羅の内容にも触れたいが、ここでは割愛する。

5つの智慧(五智)とは、
・法界体性智(ほうかいたいしょうち)…大日如来の智慧は法界の根本である
・大円鏡智(だいえんきょうち)…丸い鏡に一切が映し出されるように、すべてを明らかにする清浄な智慧
・平等性智(びょうどうしょうち)…差別を離れて平等に照らし見る智慧
・妙観察智(みょうかんさっち)…衆生をよく観察して誤らない智慧
・成所作智(じょうそさち)…御仏がなすべきことを成就させる智慧
をいう。

お大師様は、1182年経過した今でも、高野山・奥の院の「御廟」において禅定の世界に入られ、一切衆生の「闇を破り」、「慈悲を育み」、導いて下さっている。お大師様が今もいらっしゃるとの根強い大師信仰は色褪せることはないだろう。

お数珠を膝に垂らしておられるのは、私達がお大師様におすがりしやすいようにというお心遣いの表れだという。私達が知ると知らざるとに関わらず、今、この瞬間もずっと加持護念して下さっておられることを心得られたい。

真言宗徒の皆様、またお大師様を帰依しておられる皆様、ご尊像を拝する度にこの話を思い出され、皆様の心にお大師様の有難さを留め置かれることをGikoohは祈念している。

南無大師遍照金剛 南無大師遍照金剛 南無大師遍照金剛
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