blog 福祉農園通信・龍神伝心

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3月4日 障害者制度改革埼玉セミナー  

2018-03-05 | 共生社会のデザイン


 障害者制度改革埼玉セミナー Part9が、3月4日与野本町コミセンで開催された。
「障害者基本法改正とバリアフリー法改正ー2つの改正と私たちの暮らし」と題して、
DPI日本会議副議長・尾上浩二さんが講演した。
          
この埼玉セミナーは、
まさに制度改革が進行中の時点から始まり、9回中、実に7回は尾上さんの講演で、
その時々リアルタイムでの国とのせめぎ合いの実相をつかむ機会になってきた。
 今回の講演の中で感じたのは、
国が打ち出してきた「我が事丸ごと」の背後にある「福祉(支援)の過剰」が
新たな分離・排除につながっていること。
尾上さんは、身近な例として、「多機能トイレ」を挙げた。
一般のトイレをそのままにして「車いす用トイレ」を単独に作り、
さらに「多機能トイレ」にしたことにより、
いつも塞がっていて必要な人が入れない状態が起こっている。

 セミナーの前に開いた(一社)埼玉障害者自立生活協会の理事会で話題になった
「第1期障害児福祉計画」に「保育所等訪問支援」の数値目標は
全国どの自治体でも掲げているのに、
その保育所等に障害のある子を受け入れる数値目標は
ごくごく少数の自治体しか掲げていないというウソのような実態もその一例。

高齢者、障害者、そして児童
さらには生活困窮者等々と「福祉(支援)」に一元的に繰り込んでゆくことで、
社会全体が多機能トイレ化されようとしている。その状況の下で、
新型出生前診断が一般診療に解き放たれてゆくことは、
強制不妊手術が行われた優生保護法の時代が、
決して過去のあやまちではすまされないことを示唆している。 
街づくり、子育て、教育、労働、産業、交通など、
本来の施策を、さまざまな人々が共に生きる中身にせず、そこから排除されたり、
特別に分けられたりしてゆく人に対する個別支援で対応すればよいという発想。
いまの保険制度などの原型がかっての戦時体制の一環としてつくられことを思い出す。
 尾上さんの講演の後、

長年マイペースで街で生きてきた障害者・増田純一さんから、
包丁をかざす父親から逃れて家を出て以来の体験や
最近になって常時介助を入れるようになった報告。
その後に、

橋本克己画伯が就学免除で家にこもって育ち、
祖父と昼間二人きりになり煙草の火をおしつけられ初めて暴れたことや、
わらじの会と出会い街に出始めたこと、
現在の老障介護や結婚妄想計画などを語るのを、
私が通訳介助した。

 活発な質疑応答の中に、
小学6年生で脳性まひの息子さんがいる母親から
地元中学に上がるにあたってのエレベーターに関する質問があった。
次世代、次々世代の息吹も感じられた埼玉セミナー Part9。
懇親会も含め、いろいろな人と出会い、情報交換できた一日。

締めはいつもの通り、
自立生活協会副理事長・野島久美子さんから尾上さんへチョコレートのプレゼント。