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公立高校への入学を実現する埼玉連絡会

2017-03-31 | 共生社会のデザイン

今年度のまとめについては添付した資料をご覧ください。

現在の措置願では、知的障害などにより得点がむずかしい人は入れない、

そのことを差別解消法などもできている今、どうやって入れるようにするか、

ということが課題になりますが、北海道で青野ひろむさんが定員内不合格にされているように、
障害の状況によって能力・適性を判断する逆行の動きが強まっていて、
埼玉などでは、それ以前に分けられて障害の重い人の受験もなくなっています。
浅海さんが、個にあった指導をし社会で個性を生かす、といったことを話しましたが、
これは県教育局自体の考えだろうと思います。
それは逆であることをしっかり伝えていかなければならないと感じました。そのほかに、
措置願の提出者が増えているということや、高校での通級についても話しました。
新担当者とも措置願や定員内不合格の数など出してもらいながら、そのあたりの話ができたらと思います。                      

 2017年3月30日

埼玉県教育委員会教育長様

埼玉県教育委員会教育委員長様

                       どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会

                                  代表 斉藤尚子

                         埼玉障害者市民ネットワーク

                                  代表 野島久美子

 日頃より障害のあるなしにかかわらず子どもたちが共に学べるためにご尽力いただき感謝申し上げます。 
障害のある子どもたちが分けられることなく、地域の学校でさまざまな子どもたちと一緒に学校、中学校、
そして高校でも学べるよう、およそ30年間も貴局との話し合いを続けてきました。
昨年4月1日には障害者差別解消法が施行され、
それを機にどのような障害があっても高校への受け入れを進めていくべく、
見直しをしていく必要があるとして他の者との平等を基礎として、
高校教育を希望する人を受けとめていくという課題を掲げ、話し合ってきました。
〔話し合いの経過〕
①   「なぜ一緒に学ぶことが大切なのか」について 
・県としては障害のある子とない子が共に学ぶことをめざすのを前提としながらも、
特別支援教育課からはインクルーシブ教育システムの「多様な学びの場」や「支援籍学習」を進めていきたい、
また、高校教育指導課からは選抜制度が現にある、
義務教育指導課からは限られた中でのきめ細かな指導は厳しい、といった分ける内容の答えが中心になり、
「なぜ一緒に学ぶことが大切なのか」については深められなかった。

②  高校教育を希望する人を受けとめていける募集定員の策定について 
・2016年度入試では、全日制で7500人の不合格者があり、
高校のある市町別に不合格者数を出してみたところ、
特にさいたま市内にある高校は全体で1709人の不合格者が出ている。
国道16号より南の方の人口増があり、倍率が高くなっている。 
・公私比率65:35は変わらず、
教育課程の都合や用地獲得の困難などの理由で学級数もふやせず、
17年度一般入試の全日制では7328人の不合格者が出されている。
*戸田翔陽高校敷地内に特別支援学校などの増設は何故かできる?
③  措置願について
  ・平成29年度入学者選抜実施要項に
“「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を踏まえ”という文言を付け加えた。
また、措置については公正さが保たれ、
“実施可能な範囲において行う”を“その実施に伴う負担が過重でない範囲で行う”に改めた。
1 ・現在の措置願は、
障害によって点数が取れないことの不利益を解消するために「その他の項目」での加点をすることになったものである。
知的な障害については不利益が残っているが、より適切な合理的配慮を研究していかなければならない、という答えに止まった。
・校長段階で判断した措置願の内容は校長が適切に活用しているものとして県では把握していない。
合否結果については個人情報に当たることから公表できないとしている。
・高校教育指導課と協議して特別な配慮を行ったものの内容については公表しているが、
個々の合否結果については個人情報に当たることから公表できないとしている。(報告は受けているか?)
④  中学校向けの説明会や入学者選抜実施要項説明会においての説明について
・障害者差別解消法が施行されたこと、「不当な差別的取扱いの禁止」「合理的配慮の提供」に言及して説明した。
・中学校においては、学力検査以前の高校選択の段階でも障害があることにより不利益な取り扱いがないように指導した。
・高校に対して、「学校説明会への参加を歓迎しないような言動等がないこと」など指示した。
・「中学校として平常の学校生活において配慮している措置」についてもていねいに説明した。
・過重な負担については個々の対応となる。
・県の姿勢については、ノーマライゼーションの理念に基づく教育の推進、措置願のできた経緯や趣旨、
障害のある志願者に対する配慮事項・・・(実施要項)、障害者差別解消法の施行や障害者権利条約の批准などで説明した。
(受け入れについてはっきりと触れたか?)
・「埼玉県立高等学校における障害のある生徒への指導について<参考資料>」を再配布して指導した。
⑤   定員内不合格について・通知の「可能な限り」は削除されず。
・2016年度入試では一般受験で全日制・定時制それぞれ1名ずつ。
定員割れする高校も少なく、定員内不合格も数としては少ないが、0にはなっていない。
・定員内不合格の理由について、解消策を検討するために公開を求めたが、
個人情報なので公表できないという答えであった。
⑥   中学校での指導や評価について 
1・過去には高校入試に合わせて中学校での配慮が行われなくなったという例があったが、
義務教育段階で必要な合理的配慮や工夫をし、
高校入試や高校生活につなげていくのは大事なことである。

[今年度改定されたこと]
1、     入学者選抜実施要項に“「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を踏まえ”という文言を付け加えた。
また、措置については公正さが保たれ
、“実施可能な範囲において行う”を“その実施に伴う負担が過重でない範囲で行う”に改めた。

[今年度確認されたこと]
  1、     現在の措置願は、
障害によって点数が取れないことの不利益を解消するために「その他の項目」での加点をすることになったものであるが、
知的な障害についてはより適切な合理的配慮を研究していかなければならない。

[来年度の課題]
障害の状況などによって分けることなく、高校教育を希望する人を受けとめていく“障害のあることにより、
不利益な取り扱いをすることのないよう”という通知(現在の入学者選 抜実施要項の
「障害のある志願者に対する配慮事項及び配慮が必要な場合の手続き」)で、
“身体に  障害のある”から“障害のある”に変えたり、
措置願が提出された場合は「その他の項目」の得点  として選抜の資料としたりなどは行われるようになってきました。
 しかしながら、全体的には筆記試験で得点の多い順に合格とする現在の入試制度は、
障害により  得点がむずかしい受験者も障害のない者と一緒に学べる制度にはなっていません。
昨年4月1日から差別解消法も施行されていますが、具体策は出されていません。
障害のある人を受けとめていくために制度の見直しと具体策を出すことが緊急の課題と思われます。
次の点について取り組んでいただき、学校現場に指導が届きますよう、お願いいたします。

1、なぜ一緒に学ぶことが大切なのか、
障害のある人も含めた公正公平の捉え方について、「障害者権利条約」の趣旨も含めて検討する。

2、高校を希望する人を受けとめていく姿勢であることを中学校・高校に明確に示す。

3、高校教育を希望する人を受けとめていくための募集定員を策定する。
とりわけ全日制の定員増をする。

4、受験時の配慮について「社会的障壁を除去する」という考え方で、
本人・保護者の希望に沿っておこなう。

5、「その他の項目」だけで加点し選抜の資料とする現在の措置願を見直し、
知的障害など得点のむずかしい人も受けとめる制度にする。

6、義務教育段階で授業や評価における工夫や配慮をし、
高校入試や学校生活にも生かしていくよう、中学校、高校それぞれの入試要項説明会で指導する。

7、定員内不合格をなくすために、
その理由を明らかにし、「社会モデル」の考え方に沿って条件整備をする。
また、「定員内不合格を出さない」と「定員確保する」の違いを認識すると共に、通知の「可能な限り」を削除する。

[継続する課題]
1、    「1987年秋に障害のある生徒たちが高校の門をたたき始めて以来、
これまでの経過の中で県教育局と埼玉連絡会の間で確認されてきたこと」を再度確認する。

2、    障害のあるなしにかかわらず、
公立高校への入学を希望する生徒を受けとめていくために県全体、局全体として取り組む。

3、    本人・保護者から要望があれば、本人にとって必要な受検上の配慮を行う。 

4、    「埼玉県立高等学校における障害のある生徒への指導について
<参考資料>(平成28年1月28日改定) を受け入れのための資料として活用できるように高校現場に説明する。
*毎年担当者が変わり継続した取り組みができないので、複数年で担当できる立場の人が担当するよう検討する。