blog 福祉農園通信・龍神伝心

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CILわらじ総合協議会・拡大会議

2017-02-12 | 共生社会のデザイン


 CILわらじ総合協議会・拡大会議@くらしセンターべしみ。
 2003年の支援費制度から2006年の障害者自立支援法の頃、
ちょうど埼玉県レベルでは、土屋前知事の全障害児普通学級籍宣言や
重度障害者を含む障害者就労支援のための実地調査を
障害者団体に委託する事業などが行われたり、
全身性障害者介護人派遣事業の継続をめぐるせめぎあいが行われていた時期に、
この総合協議会は3名の専従職員を擁する組織的実体をもち事業展開をしていた。
 その後の状況の変化により、CILわらじ総合協議会は専従職員をもたず、
事業も縮小した。今日参加した顔ぶれの中には、10数年前を知らない者も多く、
「CILとは?」、「総合協議会とは?」と問われても答えようがないという者も少なくなかった。
ただ、彼らも含めて、
「外とつながる活動」という認識はほとんどが共有していた。

さらに、
NPO法人共に生きる街づくりセンターかがし座の代表理事である吉田久美子さんは、
養護学校卒業後在宅でPCのアルバイトなどをしていたが、
かっての総合協議会事務局専従体制立ち上げ当時、
呼びかけに応じて初めて関わったのだと述べていた。
 現在は月一回「CILわらじ事務局会議」が行われており、
そこに参加している障害者たちに会議で話し合われていることを聞いたところ、
一様に「市や県のこと(委員会、施策)」、「イベント(合宿、バザー等)」と言う。
通常のピラミッド型の組織の場合、
これらの取り組みを集約する場は理事会や運営委員会ということになろう。
しかし、ここでは、各事業部門の職員のみならず利用者、
さらには事業部門に属さない個人でも平等に参加可能な場で、
たとえば障碍者施策推進協議会や自立支援協議会、
総合県交渉、JIL、ピープルファーストについて語り合っていることが確認された。

私自身は軸足をNPO法人障害者の職場参加をすすめる会の事務局に置いており、
これらの日常活動には顔を出せない。
だが、日常活動に関わる人々によって毎月行われている「CILわらじ事務局会議」が、
現に実施しているさまざまな事業活動の枠を超えて、
 

共に生きる地域をめざそうと活動していることを、おおざっぱには確認できた。
だからこそ、埼玉障害者市民ネットワークや(一社)埼玉障害者自立生活協会、
どの子も地域の公立高校へ埼玉連絡会などの活動に
さまざまな人々が参加する土壌が育っているのだと実感できた。
 私からは、生活クラブ生協越谷支部地域協議会、仕事おこし懇談会inこしがや、
NPO法人障害者の職場参加をすすめる会、
ケアシステムわら細工が共催して4月から1年間にわたり実施する予定の
介護人派遣養成講座「うんとこしょ」の計画について報告した。
CILわらじ総合協議会は、
いずれより多くの人々、グループに呼びかけ、「総会」を行うということなので、
「うんとこしょ」でのネットワークとも響き合う関係ができればと思う。
 高度成長とその後の長期不況期のグローバリゼーションを通し、
地域はきめ細かく分け隔てられ、解体してゆく地縁・血縁・職縁を補うべく
教育、福祉、医療をはじめさまざまな支援制度が拡大した。
が、それがまた更なる分離につながり、支援制度を膨張させ、
破たんへの悪循環に陥ろうとしている。
津久井やまゆり園の事件は、こうした地域の出口なし状況の深化と通底している。

厚労省は「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)を発表して
この危機に対処しようとしているが、
いまさら「公的支援の『縦割り』から『丸ごと』への転換」と言っても、
所詮これまでの市場化の延長でしかない以上、状況はまずます悪化せざるをえない。
 大事なことは、人と人が街で出会い、互いを知り、一緒に動く、それを通して街を見直すこと。
そこから暮らしや仕事を組み立て直してゆくこと。「うんとこしょ」のような試みは大きな意味がある。
 そして、週末でもキャジラは埼玉障害者市民ネットワーク事務局の夜間相談窓口として勤務中。

   by山下浩志