http://www.energia.co.jp/tenken/shimane/pdf/h27_09_kaigi_03.pdf より
原発虚偽記録問題で説明会 NHK島根
松江市にある島根原子力発電所で低レベル放射性廃棄物を処理する際に使う計測器をめぐりうその検査記録が作られていた問題で、中国電力がまとめた調査報告書の案を原発周辺の自治体に説明する会合が開かれ自治体の担当者から中国電力に対して業務管理を徹底するよう求める意見が相次ぎました。
この問題で中国電力は、これまでの調査結果をまとめた報告書の案を、5日に公表していますが7日は島根県と鳥取県のほか、原発から30キロ圏内にある両県の自治体を対象に説明会を開きました。
このなかで中国電力は改めて問題の計測器が機器を一元的に保守管理するシステムの対象になっておらず管理者も作業の進捗状況を確認・把握していなかったことなどを説明した上で再発防止策を示しました。
これに対して、自治体の職員からは、「これまでの対策がなぜ浸透していなかったのか分析すべきだ」とか、「管理者が作業の状況を頻繁に確認できるようにすべきだ」など、中国電力に対して業務管理を徹底するよう求める意見が相次ぎました。
中国電力は、今回の意見などを参考に、最終的な報告書をまとめることにしています。
説明会のあと、中国電力島根原子力本部の長谷川千晃副本部長は「今回出た意見や要望などを反映した上で報告書をまとめたい。ご心配をおかけした地域住民の方々にも何らかの形で説明したい」と話していました。
09月07日 18時23分
(太字マーカーは管理人)
中国電力、低レベル廃棄物搬出手続き不正問題で報告書案
電気新聞 2015/09/08
◆有識者や自治体向けに説明
中国電力は、島根原子力発電所で6月に判明した低レベル放射性廃棄物の搬出手続きに不正があった問題について、調査報告書案をまとめた。松江市で5日開いた原子力安全文化有識者会議に示したほか、7日には地元の島根県、松江市をはじめとする自治体向け説明会も開いた。
報告書案は社内の緊急対策本部に設けた調査班がまとめた。同時に、計画段階から専門性の高い外部第三者が客観的に検証を行い、内容の妥当性とともに、今回の不正に組織的関与のないことを確認した。
再発防止策では統合型保全システム(EAM)の対象を拡大するなど業務管理の仕組みを改善する一方、信頼回復に向けた意識改革を進める「原子力部門人材育成プログラム(仮称)」の策定を打ち出した。(2面)
(太字マーカーは管理人)
(管理人より)
島根原発で低レベル放射性廃棄物を処理する際に「嘘の検査記録」が作られていたというトラブルが6月にありましたが、なんと報告書が出るまでに3か月もかかっています。
しかも、原発のトラブル関連のニュースなのになぜか島根のローカル扱いです。
映画「チャイナシンドローム」では、検査にかかる費用を削減するため、該当箇所は義務付けられているはずの検査が長期に渡って行われておらず、定期検査の結果には不正が施されていた、というくだりがありました。
検査記録がうそだったら、トラブル・事故を防ぎようがありません。ε=(・д・`*)ハァ…
中国電力のHPでどういう扱いになっているか見てみました。
まず 9/7 「島根原子力発電所の不適合情報 (8月後半)」を掲載しました。 より
ここに、島根原子力発電所における過去の不適合の発生状況がずら~と並んでいます。 今までにこんなにトラブルが起きてるってことです!
設備や機器において,本来あるべき状態とは異なる状態になった場合や,定められた手順で本来行うべき行為が行われなかった場合など,広い範囲の不具合が対象となります。
例えば,通常の点検で見つかる計器等の故障等から法律等で報告が義務付けられているトラブルなど,設備・機器の不具合だけではなく,業務手順書からの逸脱等,発電所設備に直接関係ない,業務処理についても不適合対象です。
「不適合」は,必要な処置を行い,本来のあるべき状態に戻します。(参考:不適合管理の流れ)
当発電所における不適合については,発生(発見)した事象を「不適合判定検討会」において審議を行い,その結果「不適合」と判定された事象を本ホームページで公表しています。
不適合事象は重要度に応じて「A~Cのグレード分け」 がされており、今回の問題は、なんと 結局 Aグレード
不適合の管理状況(平成27年8月前半審議分) (PDF) http://www.energia.co.jp/atom/shimane_jyouhou/1508-1.html より
http://www.energia.co.jp/atom/shimane_jyouhou/jyouhou.html#e より
重要度は A>B>C そして クラス1>クラス2>クラス1>ノンクラス
グレード A⇒原子炉施設の設備・機器における不具合事象および人的不適合事象のうち,原子力安全に対する影響が大きい事象
となっています。
では一体どんなことがあったのか、9/7に出された報告書案を見てみます。 ※概要では、調査結果がよくわかりませんでした。
島根原子力発電所 低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計問題に関する調査報告(案) より
なんと3年前から今回のトラブルの原因が作られていました。
↓調査結果では、当該担当者だけが悪かったことにして、組織は関与していないとされていますが(青線囲み) 担当者一人に任せっきりにしていた状態に対して「組織が関与してない」とは、私は言えないと思います。
管理者が確認を怠っているというのは、結果的に問題を放置隠蔽することにもなるからです。
「課長が当該担当者が出した添付書類を確認しないまま承認」しているのに、「組織的関与がない」という判断って・・・・?????
「知ってたら対応した」という意味で「組織的関与がない」という判断にしているのでしょうが、納得がいきません。
原子力推進側の「電気新聞」に「組織的関与がない」と書いてあることで、ますますその判断が中立なものでないという印象を受けます。
今回の不正に「組織的関与はない」という判断をしたのが弁護士です。
高岡優弁護士、 田中雄一弁護士(広島弁護士会)⇒ http://takaoka-law.jp/greeting.html
平成22年の島根原発のトラブルでも 調査結果の評価を担当しています。 http://www.energia.co.jp/corp/active/saisei/rinri/pdf/rinri_h22_2.pdf
高岡弁護士事務所のブログ記事(原発事故後)の内容を見ると、「原発政策はエネルギー政策全体の観点から論じられるべき」という認識のようです。
具体的には書いてないのでこれだけしかわかりませんが、少なくとも被曝や原発事故については2012年の記事にも関わらず、一切言及はありませんでした。
第13回 原子力安全文化有識者会議(平成27年9月5日)
日時:平成27年9月5日(土)13時00分~15時20分
議題: |
島根原子力発電所 低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計問題に関する調査報告(案)について |
〔会議資料〕
- 島根原子力発電所 低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計問題に関する調査報告書(案)(概要) [PDF:92KB]
- 島根原子力発電所 低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計問題に関する調査報告(案) [PDF:11,911KB]
- 添付資料 [PDF:1,453KB]
「原発でトラブルが起きた⇒調査⇒原子力安全文化有識者会議⇒自治体に説明会」 の繰り返しなんですが、原子力安全文化有識者会議とはなんでしょうか?
NHKの報道では、この会議のことを書いていません。
原子力安全文化有識者会議とは
平成22年6月29日,島根原子力発電所の点検不備に係る再発防止対策のうち,「原子力安全文化醸成活動の推進」等に資する体制整備として「原子力強化プロジェクト」(※)および「原子力安全文化有識者会議」を設置しました。
「原子力安全文化有識者会議」は,原子力強化プロジェクト長の諮問機関として,社外有識者を中心に構成しており,「原子力強化プロジェクト」の検討事項等に対し,第三者の視点からの提言をいただきます。
また,提言の概要や原子力安全文化の醸成に向けた取り組み状況について,積極的に公開します。
(※)原子力強化プロジェクト・・・ 原子力安全文化醸成に関する地元の皆さまのご意見や関係会社・協力会社を含めた発電所員の声を収集・分析し,必要となる施策を検討するための社長直属の組織。
活動内容
- 原子力安全文化の醸成に向けた取り組みに対する提言
- 再発防止対策の実施状況の確認・助言
開催頻度
委員
原発好きを公言する作家 豊田有恒 氏や商工会議所など原発を賛成する人や組織の代表が入っています。
そもそも「原子力安全文化の醸成に向けた取り組み」ですから、「原発は危険なのでやめてくれ」というような人ははじめから委員の中には入っていないわけです。
トラブルが起きたとき、弁護士も有識者会議の委員も、果たして第三者として客観的な評価ができるのでしょうか?
どういう形で選出されたのかもわかりません。
これだけトラブルが続くと、ハインリッヒの法則で、大きな事故が起きてしまうのではないかと懸念します。
こんな状態で島根原発の再稼働なんてとんでもないことだと思います。