ブログ「風の谷」  再エネは原発体制を補完する新利権構造

原発事故は放射能による公害。追加被曝阻止⇒放射性廃棄物は拡散してはいけない⇒再エネは放射能拡散につながる⇒検証を!

低周波音公害 汐見文隆医師「この人たちは嘘を言ってるんじゃない」公害は外因性の疾患、原因は外にある

2016-03-22 | 低周波音公害

(管理人より) 低周波音被害者の立場に寄り添い、医師の立場で低周波音被害の研究を続けられた汐見医師が亡くなりました。

汐見医師を追悼し、今日はあらためて情報を共有したいと思います。私は汐見医師のように、常に被害を受ける市民の立場に立ち、原発も低周波音もNO!、公害NO!と言うのがまっとうな医師だと思います。

放射性物質、化学物質、電磁波、低周波音などそれぞれに被害者が存在しますが、「公害」という切り口で、どの現実も直視していくことがまともな世の中を作るきっかけになると私は考えます。

 

低周波音公害と現在医療~汐見文隆~


汐見文隆医師

1924年京都市に生まれる。
1947年京都帝国大学医学部卒業。
1959年和歌山赤十字病院第一内科部長。
1965年和歌山市内で内科医院開業(~2002年)。
1995年第4回田尻賞受賞

 

低周波音症候群―「聞こえない騒音」の被害を問う
汐見 文隆 

アットワークス

 

低周波音被害の恐怖―エコキュートと風車
 
アットワークス

 

原発を拒み続けた和歌山の記録

 

寿郎社


この国に明るい未来はあるのか? より 全文転載させていただきます。  PDFで8ページ分なのでぜひご覧ください。 下線強調は管理人


この国に明るい未来はあるのか ?          2011年 10月 29日 汐見 文隆 (医師 )


‐ 利根川進 マサチューセッツ工科大学 (MIT)教 授

日本の国は官僚が運営 しているが、その多 くは、科学を理解 しない文科系人間だ。科学技術なしに語れない21世紀に、文系出身者による変な行政がはびこっている。MITの経済学部や社会科学の学生が生物学を必須科目として習 っているように、 日本も科学のことがわか る文科系人間を育 ててほしいですね。 一‐2005年 1月 4日毎日新聞 ―

我が国で唯一のノーベル医学生理学賞を授賞された利根川教授と紹介されていますが、 日本人が授賞していたのは自然科学系でも物理学、化学部門であって、 生物や人間にちなむ生命や健康の部 門については、利根川教授一人だけであったというのです。 しかも日本人とは言ってもアメ リカの大学教授であってみれば、日本の大学教育がいかに医学生理部門をなおざりにしているかということです。日本人の生命や健康 は、 この国ではまるでチリやアクタのような扱いを受けているということが、 3.11の東日本大震災によって明 白にな りました。


原発に対する長年の冷酷な対応

想定外 とされる巨大地震 、巨大津波に加 えて、想定外 ?と される 3.11東 京 電力福島第一原子力発電所 の空前の原発事故 によって、人間への被害を軽視 し無視 し続ける官僚主導のこの国の政治体制の欠陥が明らかにな りました。安全だと偽 って、 この世界一の地震大国に、安全性の欠落した原発をせっせ と建設 し続けた誤 りは、その問題点を根本的に問わない限り、 この国に前途はあ りません。

東京大学教授が中心になって推 し進められてきた この国の原発が、亡国の未来を教えています。民衆を不幸に落とし入れた推進者は全員切腹というのが昔から この国の習わしでしたが、そんな責任を取る者もなく、原発の研究がその危険性を明 らかにするところまで到達 していなかったのだ という弁明すらありました。

京都大学原子炉実験所 は京都ではな く、大阪府の南のはずれ 、和歌山市に近い熊取にあります 。東京電力の巨大原発群が東京都 にな く、福 島県にあるのと同 じ理屈のようです。 しか し、熊取の原子炉実験所 には「 熊取六人衆 」と呼ばれる、 原発反対の専門家が複数いま した。現在定年間近の2人が残っておられますが、 助教のまま、つまり万年助手です。教授 に出世することはなか ったのです。

地震国で危険な原発 を推進するのは誤りです。それを主張 された学者 が万年助 手 で、その誤 りを理解できなか った学者が教授になって幅を利かせて先導 しているというこの国の現実 は、 どう考 えても話 しがあべこべです 。危険を理解できない教授陣こそ、万年助手であって当然です。 こんな逆支配体制では、この国が良くなるはずはあ りません。

1970年 代 に和歌山県で も原発建設問題が登場 しま した。県下で も人口の少ない中紀か ら南紀に掛けて、次々と候補地が登場 しま した。関西電力が主導 し、 当時の和歌山県知事以下、和歌山県当局 が尻押 ししま した。 それ は危険ではないか と言 うのが我 々、当時の県下の公害族 の感覚で したが、 原発 に対する知識 もほとんどあ りません。その時、中紀の御坊市 で講演会が開かれ ました。なん と講演 に来 られ たのは東京大学教授 で した。

当時、そんな遠 くの 田舎 まで東京の大先生に講演 に来ていただ くという経験 もな く、遠路来ていただ くにはどれだけの謝礼が必要なのだ ろうかと、貧 しい住民運動族 は驚 きま した。 勿論講演 は「原発推進 」であったようで、伝 え聞いて公害反対住民達 は悔 しい思 いを した もので した。当然巨額 の謝札 は関電 か らなので し ょう。

他方では、熊取 か ら講演に きていただけるという情 報 が入 ってお りま した。謝 礼は要 らないというのです。要 らない と言われてもそんなわけに もい きませんから、せ めて交通費だけでも受 け取 ってくださいということでしたが、何分近距離ですから交通費 といっても知れています。それにチ ョッピ リ色付けしただけが当時の講師方への謝礼で したが、それに係わりな く何人も講演 に来 ていただ きま した。 こうして住民達は原発反対の正しさを学 習 させ ていただい たのです。

しか し、徳川御三家以来の伝統の残 る和歌 山県 では、県 政を司る知事周辺の権 力者 を「えらいさん」と呼び、その力は絶大で したから、住民 に抵抗する力はありません。

「もうアカン」と思われた時、 1979年 3月のス リーマイル島の原発事故 です。それで県の推進 はビタ ッと止 まりました。 しか し、そのほとぼりが冷めるのを待 って、県はまた動 き出しま した。いくら予算を使 ったのか知 りませんが、県の担当の関係各部局で検討して推進 の結論 をまとめるというのです。今度こそはダメだと覚悟 しました。

1986年 4月 、まさに県 の結果が発表されようとした直前、チェルノブイ リ 原発 の大爆発事故が起こりました。県 当局の検討結果は行方不明、使 った税金 はまったくのムダとな りま した。住民運動 の勝利 とい った大げさな ものではな く、 まさに「 神 の助 け 」というほかあ りません。 数年前 、テ レビを見ていましたら、 日本の地図が写 し出 され、全国の原発の位置が示 されま した。 この島国の海岸線の殆 どに原発か記 されてい ま した。

ところが唯一 、紀伊半島の部分が空白なのです。その時、本当に誇 りに思いました。

東日本大震災の次には、南海地震 、それも東海 、東南海の連動 した巨大地震の 予測が報道されています。当然 、紀伊水道を空前の巨大津波が掛け昇 る ことでし ょう。その時そこに原発 がないということは、せめてもの救いです。 昨年関西電力 は「紀伊半島 に原発を 」 と言 い始 めました。 1970年 代 の原発 の予定地を所有 したまま、 まだチャン と温存 していたのです。その費用は長年、 私達 の電気代 か ら出 し続 けられてい たのです。

さすがに 3.11事 故以後 、その話は表に出な くな っています 。関西 の住民はフクシマ とは無関係 と思 ってい ますが、決してそんなことはないのです 。

昨日の東京電力は、いつ明日の関西電力 にならないとは言えないのです 。

いま関西電力の原発は福井県下に集中しています。それも、断層の情報 に包 まれた地域です。そこに大事故 が発生すれ ば、関西の水源である琵琶湖が汚染する 恐れが大 きいのです。京都 、大阪 はどうなるのか。「和歌山県人 は琵琶湖 の水 を 飲んでいないから助か った 」では済 まない国家的な重大問題です。


低周波音被害に対する対応

フクシマの原発事故 はいつ収束するのか、 まだその被害の総額 も定 かにはなっておりませんが、 この国の今後を大 き く左右することになるで し ょう。 しか し、 国や経済界の対応 を見てい ます と、そんなことには素知 らぬ顔 を しています。 長年国家財政 のひどい赤字 が続 く中、人口の減少、老人の増加、そ して若年者の減少 と、暗い未来が約束されてい ます。そ こヘ フクシマの事故 の保証 が如何程 になるか、何年掛 かるかも定 かではあ りません。

もしそ こへ さらに他 の原発事故 が追加 された ら、 この国が もつのか どうか不安 にな ります。 では どうすれば良いのでしょうか。その時 、 これまで完全無視 されて きた この 国の低周波音被害 が念頭に浮かびます。 原発事故 の被害 に比べて低周波音 の国民被害 は まだ小さな ものです 。 このまま放置 し続 けれは どん どん大 きくなる とは思います が、それでも知 れた ものです。 しかし、原発事故 は天災ではない、人災だ と言 っても、天災 (想 定外 ?)の役 割 も2・ 3割程 はあるで しょう。

ところが、低周波音被害の責任 は被害者 には全 くありません。 これ まで人類 が経験 した ことがなか った人工的な長時間 の低周波 音発生機器の誕生によ り、 40年 ほ ど前 か ら次第 に発 生 して きた人類未知の外因性疾患 です。新 しい疾患の出現は 自業 自得 ともい えます。 しかも、 日本語 の特異性か ら、母音や「虫の声 」な ど外 国人 が右脳 で処理 して 切 り捨 てる雑音 を、左脳 (言 語脳 )で 処理 して真剣に 対応するようにな ってい る 日本人 では、 この長期間・長時間の人工的 な低周 波音環境 という人類未知 の経験 に対 して、左脳 に受け入れて しまう確率 が高 いのです 。

低周波音被害 は 日本人特 有 の被害 と言 って もよいほ どです。 それを未知の疾患 だか ら、外国には稀だか らとい って、無視 し続 けて よいので し ょうか。 100%外 因性である低周波音被害 こそ、国の正 しい対応 のモデル と して真正面か ら取 り組み、 100%間 違 ってい る この国の対応 を改 め る ことが、 原発の対応 を改 め るモデルになるのではないか と考 え ます。 では、国は どこで 100%の 間違いを犯 したの で し ょうか。

夏季 に低周波音被害者 に集 まっていただいて集会 を開いたかつての経験 です。 途 中被害者 が冷房 が苦 しいか ら止 めて くれ といい だ しま した。快適 な冷 房 のはず ですが仕方 あ りませんか ら、冷房 を止 めて もらい ま した。実 は気 が付 きませんで したが、既 に会場 が苦 しくて こっそ り逃 げ出 していた被害者 もいたので した。 しか し、私 を含 めて低周波音被害者以外の者は、快適ではあ っても、苦 しくもなんともあ りません。その当時は十分理解 出来 ませんで したが、冷房機器 の稼働 音 こそが、低周波音の長時間の連続音 だ ったのです。

この低周波音 に対 す る感覚 (聴覚 )の 相違 こそ、被害者 と健常者 とを分 け隔 て る基本的な相違点 です。

我 々は 自分 の感覚 で ものを判断す ることが正 しい と教 え られています 。 ところが五感の中で聴覚 だけは、言語 とい う高次の知覚 に対応す るため、それを左脳 に 集約するというように進化 したのです。従 って、低周波音 に対す る聴覚 を 自分の 普通人 の聴覚 で理解 しようとす る と、低周波音被害者 の異常 に鋭敏な知覚 を理解 で きな くな ります。低周波音被害者 を理解 しようとす る良心的 な音響学者 や音楽 家達 も、 自分の感覚 で思索す るのが正 しい と思 い込 んでい ますか ら、 どうして も 理解 す ることがで きないようです。

低周波音被害の理解には「 自分 の感覚 を放棄す る」 とい う日頃の思索 の根源 を 改 めない限 りだめです。それを、文科系の人達 を始 め、物理学的 、化学的な原因から結果を追求 しようとする工学系 の人達 も、わかろうとしないのです 。 こんな程度 の低周波音では、聞 こえないか、少 な くとも苦 しい ことはない というのが、工学者 たちのス トレー トな感覚 です。

その結果 、「大 げ さだ 」、「神経 質 だ 」か ら、「嫌 が らせだ」「 賠償金が 目当てでは 」 と言 う考 え方 しか出てこな いのです。その被害者が神経質 か どうかというのは、当然医学 、心理学 の領域ですか ら、専門外 の工学者が診断すべ き問題 ではあ りません。医師法違反 では ?

その専門領域 を逸脱 した論理 をその まま是認 して、環境省は低周波音被害者 を 「苦情者 」と決 めつ けて今日に到 っております。 医学 は自然科学 の中で、結果から原因 を追求する領域です。 まず最初 の間診 で 訴えを聞 き取 り、それを基本 に して原因を思索 します 。 もしそ こに医師 の個人的 な感覚や思索 を導入すれば誤診の もとにな ります 。

「痛い、痛い 」。「 あなたが い くら痛い、痛い と言 って も、私 は痛 くないぞ 」では医者 は落第 です。十分思索 を重ねた後 、 どう しても原因論 に到達で きない後 に初めて、「 誤診では 」とか、 「仮病ではないか 」とか考えることになります。それ を専門外 の工学者が、始 め から「神経質 だ 」 と決めつけるな ど、あ ってはな らないことです。

しか し、それに この国の官僚 (環 境省 )が 飛 び付 いてい るのですか ら、「科学 を理解 しない文科系人間だ」 と利根川教授がお っしや る通 りです。そして、反省することな く訳 のわからない「低周波音 による心 身に係 る苦情 に関す る参照値 」 (平 成 16年 6月 22日 )な る もの を後生大事 に守 り続 けてい るのです 。 これはまさに 100%の 国家犯罪 です。影響 は小 さくとも、原発問題以上 の明白な犯罪行為 です 。それをいつ まで守 り続 けているのですか。 低周 波音被 害問題 をモデルに、 この国 を根本的に改善すべ き時です。


法層界 ・その他 では

原 因か ら結 果 を追求す るだけの工学者や、科学の ことがわか らない官僚 が悪 い と言 って も、 この国の今 日の惨状 はそれだけではあ りません。純粋の文科系であ る法律 関係者 が強力 にそれ を支 えているのです。 最近 にな って、冤罪 の多 さが次第 に明 らかにな りつつあ ります 。 [殺人者 =死刑 ]と い うのですが、本 当に犯人だ ったのか、実 は冤罪 であ って 真犯人 は別人 であ った として も、死刑実施 によ リー件落着 です。それが この国の 法曹界 の長年 の隠 され た歴史 ではなか ったか とい う疑 いを抱 きます。その裏で、 真犯人 は ヌ クヌ クと余生 を全 うしてい る とい う許 しがた き事態 が結構予想 され る のです。検察 の結論 の 99%が 裁判 で是認 されている と聞けば、 さもあ りなん と 思わないわ けにはい きません。

最近 の足利事件 では、間違 った DNA判 定を厳守 して有罪 を押 し通 しま した。 何人 も殺 した とされ ま したが、結局一人 だけの犯罪立証では死刑判決 にはな り得 ず 、幸 い に も菅家利和 さんは現在 も生存 していましたが、 17年半 もの長 きにわ た り獄舎 に繋 がれ てお られ ま した。 詳 しい こ とは知 りませんが、当然「現場検証 」が行われ たはずです。原告が知 らない現場 な る ものに連 れて行 かれ た際の証言が正 しか ったな どとい うことは、 信 じられない ことです。 どう して「 この陳述 はおか しいなあ 」 とい うこ とにな ら なか ったので し ょうか。

基本 に、文系 と理系 との感覚 の相違 が存在す る と思わな いわ けにはい きません。一審 、三審 、そ して最高裁。すべて 日は節穴 同然 です。 その結果本 当の真犯人 は、何人 も殺 しなが ら検察の追求を受 け る ことな く生 き延 び ることにな りま した。正義 を国が破壊 しているのです。 低周波音被害者 が裁判 や公害等調整委員会の裁定で救済 され た とい う例 を聞い た覚 えは まずあ りません。耐 え られない苦痛 に対する相手側や世間の信 じられな い無理解 に対 し、苦悩 す る低周波音被害者は、 自殺以外 に残 され た唯一 の対策 と して、解決 を法曹界 に求 める しかない と考 えて も、庶民 には慣 れ ない行為 です。

そ こで経済 に余裕がある人であれば、弁護士 に助 けを求 め よ うとします。で も、 それで うま く行 った例 もあま り知 りません。 弁護士 も純粋 の文科系の人間です。気 の毒 な被害者 を助 け よ うとされ る人道的 な人 た ち も多いので しょうが、低周波音被害像 を正 しく理解 す るのには大 きな困 難 があ ります。それは、 自分 の主観 を全面放棄 して被害者 の訴 えを全面的 に受け 入れ る とい うことの困難です、それは弁護士 の 日頃 の行為 とは完全 に異質 です。

用意 され た陳述書 を拝見 しま して も、 さて この被害 は本 当に低周波音被害なの か どうか、私 が拝見 して も首 を捻 らざるを得 ないものが多 い ようです。それでは 裁判官が「 成程 こんな被害があるのだ 」と納得 出来 るはず はあ りません。 低周波音被害 は まだ確認 されていない疾患 ですか ら、音源 だけを指摘 して も、 「 わか りま した 」とはな りません。 ま して原因 (低周 波音 測定値 )を 示 して も、 国が インチキな参照値で切 り捨ててい るのですか ら通 用す るわ けがあ りません。 そ こで原 因か ら結果を求めるのではな く、結果 か ら原 因 に結 び付 けてい く手法 を 陳述 で も取 る しかあ りません。

あ くまで個人の被害 ですか ら、その個人の被害 を時 間系列 に従 って細か く記述 します。同居者 があれば、その個人個人 を独立 して把握 しなければな りません。 同 じ低周波音環境 に生活 してい るのだか ら同 じ被害の はず だ と、その他省略 ある いは混 同は許 されないのです。 この同 じ生活環境で被 害 が個人個人異な る とい う のが低周波音被害の特徴 です。それは右脳受容 が左脳受容 に切 り変わ るのに、時 間的 に も量的 に も大 きな個人差があ るためです。 もし記述 内容 が同一 な ら、低周 波音被害 ではないのではないか と判断す るのが妥 当なのです 。

騒音 は低周波音被害 に対 して、マ スキ ングす る作用 があ ります。騒音 があると 低周波音被害が楽 にな ります。低周波音被害者 は ラジオ、 テ レビな どの音 で苦 し さを紛 らわせてい ます。窓を開めた ら外 か らの騒音 が低下 しますか ら苦 しくな り ます。音 が うるさければ防音すればよい と考 えが ちですが逆効果 です。 防音工事 を音源側に要求 したケー スもよ くあ ります が、無意味 です。 ち っとも 楽 にな らないでないか と再要求すれば、 こんなにや ってや ったのにまだ文句 をい うか、嫌 が らせに違いない と、両者 の関係 は更 に悪化 す るだけです。 こう した低周波音被害の特殊性 と、騒音被害 では考 え られ ない被害の厳 しさを 十分認識 して、対応 を進 めていただ きたいのです。


低周波音被害 の多様 な諸症状に対 して、医療機関を受診 されるのは当然のことです 。結果 か ら原 因を求 める医療 の領域の登場 です。 しか し、本 当に申 し訳 ない ことですが、それで正解 とな った例 も少ない ようで す。何故 で し ょうか ? 医学 の基本では、すべ ての疾患 は二大別 され ます。

(1)外 因性疾患 原因が身体外 にある

(2)内 因性疾患 原因が身体内にある

低周波音被害 は外因性疾患の典型 です。原因を明 らかに してそれを無 くせば、 病気 は治癒 します 。原因 をその ままに して対症療法をい くらや って も、効果がな い とい うのがその原則 です。

音源が停止すれば被害がな くな る。あるいは音源の 影響 しない遠 くへ逃 げ出せば被害 がない とい うのは、誰に も理解 され る外因性 の 証明です。 しか し、それがなかなか通用 しません。 低周波音被害者 の原 因 を明 らかにす るものは、間診以外 にあ りません。その個 人差 や特異性 を、なん として も医師 に伝 えることが必要です。低周波音被害を知 ってい る医師 はむ しろ少ないですか ら、執拗に理解 を求める必要があ ります。

ところが多忙 な医療界 では、間診の軽視 ・簡略化の傾向が指摘 されてい ます。 それでは、医師が低周波音被害を理解で きるはずはあ りません。 CT、 MRI等 、高度 の性能 を持 った高価な医療機器が どんどん医療機 関に購 入 され、内因性疾患の診断 に威力を発揮 しています。それは不十分な問診でも誤診を防止し、正 しい診断 に導 いてくれます。その ことが問診軽視に拍車 をかけていると思うのは、考え過 ぎで しょうか。

他 方低周波音被害 については、原因の客観的証明は低周波音の測定です。その 測定器 は普通 の騒音測定 器 よ りは高価ですが、一般の医療機器のことを思えば、 知れたものです。 しか し、普通 の医療機関はまず所有 してい ません。 しか もそれ は医療機関内で測定 され るのではな く、患者の生活現場、つ ま り往診でなければ 測定できませんから、なおさら医療現場から遠のきます。従 って、患者 の被害が 機械 の測定値 で数値的 に証明 され る機会 も少ないのです。

こうして低周波音被害は空想の世界に送 り込 まれかねません。何としても現実の世界に舞い戻らせねばな らないのです。