ブログ「風の谷」  再エネは原発体制を補完する新利権構造

原発事故は放射能による公害。追加被曝阻止⇒放射性廃棄物は拡散してはいけない⇒再エネは放射能拡散につながる⇒検証を!

【追悼】アレクセイ・ヤブロコフ博士 日本の人々へのメッセージ「皆さんは真実のためにたたかわなくてはならない」

2017-01-12 | ヤブロコフ講演文字おこし

(管理人より)昨日、アレクセイヤブロコフ博士の訃報が伝えられました。

日本でも著名なロシア人生物学者、アレクセイ・ヤブロコフ氏が死去 2017年01月11日  より

放射能被害の専門家として原発に反対しつづけ、日本でも有名なロシア人生物学者のアレクセイ・ヤブロコフ氏(83)がモスクワで死去した。ヤブロコフ氏は晩年、長く苦しい闘病生活を送っていた。

喪失感が大きくて言葉になりませんが、ヤブロコフ博士は福島原発事故の後、日本で2回講演会をされたと思います。おそらく体調が良くない中、日本の人のために大切なことを伝えてくださったのだと思います。2度の来日の講演会に関しては、当ブログで両方とも文字起こししました☟ので、ぜひ読んで頂きたいと思います。 

2012年 【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

2013年 『チェルノブイリ被害の全貌』出版で来日 

5/18 『チェルノブイリ被害の全貌』刊行記念ヤブロコフ博士講演会(東京) 文字おこし(講演部分)

5/20ふくしま集団疎開裁判の会 ヤブロコフ博士 郡山講演会 文字おこし(講演部分)


2012年の来日時(『チェルノブイリ被害の全貌』出版前)の様子が動画になっているものを、今回文字起こししました。編集されて字幕がありますが、通訳があるところに関しては 通訳の言葉を入れています。その他は画面上の字幕からです。私に出来ることはブログで発信することだと思い、感謝の気持ちを込めて今回記事にしました。

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌
アレクセイ・ヤブロコフ著
岩波書店

 


アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」

脱原発世界会議2でのアレクセイ・ヤブロコフ博士(ロシア科学アカデミー、生物学者)の発言より、チェルノブイリ原発事故の健康被害に話を絞って再構成した。

撮影、編集、荒川俊児 制作 映像ドキュメント

動画【文字起こし】 

私たちがいま議論すべきは、何がいま危険なのかということです。私たちの役割は安全な状況をいまつくりだすことです。私は(チェルノブイリ原発事故後の)影響を研究してきました。チェルノブイリ原発事故から25年、26年たって本当のこと偽りのないデータを得ることができました。偽りのないデータというのは1キュリー/k㎡に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです。

※1キュリー/k㎡=3万7000ベクレル/㎡(空間線量に換算すると自然放射線も含めて年約1ミリシーベルト)

5キュリー/k㎡に住む人々ではさらに増大します。

※5キュリー/k㎡=18万5000ベクレル/㎡

健康被害は汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します。このことを考えるべきです。今考えなくてはならない最も重要なことはどうしたら福島原発事故の影響を最小化できるかということです。

Nuclear Free Now 脱原発世界会議2
アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」
2012年12月15日〜16日 東商ホール、日比谷公園 「チェルノブイリから学ぶ」と題した2つのセッションでの発言より原発事故の影響に話を絞って再構成したものです。

(チェルノブイリ原発事故の影響について)本日お話しするのは、そのごく一部になります。討論の時に追加の話ができればと思います。 

お話しするのは「市民社会にとってチェルノブイリの教訓とは」ということです。これは日本にとっても重要なことだと思います。

この本ははじめロシアで、のちに米国で出版され昨年ウクライナ版が出ました。現在日本語訳が進められています。来年(2013年)には出版されると思います。

この本はチェルノブイリ原発事故の影響について独立した立場から行われた最大かつ最新の研究成果と言えます。そのなかから紹介します。

これはチェルノブイリ後のガン発生率で、上の線が高汚染地域、下の線が低汚染地域です。

ガン発生率は汚染が高くなるにしたがい、明確に高くなります。5年あるいは数年すると、ここ日本においても同様のことが起こります。

様々な疾患、障害がチェルノブイリの放射線被曝により起こりました。これは福島の放射線被曝でも起こりうることです。

血液、循環器系の疾患、内分泌系の疾患、免疫系疾患、呼吸器系疾患、泌尿生殖路、生殖障害、骨格系、骨減少症や骨粗鬆症、中枢神経系の障害(前頭・側頭・後頭・頭頂葉の変化)

低い線量であっても被曝が何年にもわたると頭脳に変化が起こります。チェルノブイリの放射線が頭脳を破壊したはっきりした証拠があります。

白内障だけでなく硝子体破壊など様々な眼球の異常。消化管の疾患、先天性奇形、異常。数百、数千という通常では生じない追加的な症例があって、典型的な放射線障害です。

この他、チェルノブイリの大惨事による影響としては、早期老化があります。放射線被曝に典型的にあらわれる症状です。子どもが歳をとった人にようになり、大人も実年齢以上に歳をとってみえます。

突然変異もあります。突然変異は重要で、個々人の被曝レベルを把握するうえで鍵にもなります。

突然変異は血液検査によって(どれだけ突然変異が起こっているか)数えることができます。

これは高被曝したリクビダートルと呼ばれる事故処理・除染作業労働者の家庭と汚染のなかった地域とで比較したものです。

 

事故処理作業労働者の家庭の流産発生率を見るとチェルノブイリ後、2~3年で減ってはきますが、1年後は妊娠してもほぼ半数が流産する事態となりました。

これは子どもの水晶体の混濁を示したものです。典型的な放射線障害で、放射線は眼球の水晶体を痛めます。ベラルーシの子どもの水晶体の混濁と体内セシウム量を示したものでご覧のように関連しています。

これは甲状腺ガンの発症率を示したものです。

 

 

これは乳ガンの発症率です。乳ガンはチェルノブイリ後10年たってから増大しました。特に15キュリー/k㎡以上の高汚染地域では10年後から急激に上昇しているのがわかります。

日本においても同じ状況になると思います。

原子力の専門家、IAEA(国際原子力機関)の専門家や当局者は人々に対して「放射線恐怖症」だと語ります。そんなのは被曝による病気ではなく心理的要因によるものだと主張します。「放射線恐怖症」だと言うのです。しかしそれが心理的要因によるものなら、なぜカエル、ツバメ、野ネズミ、松の木に人と同じように健康障害や突然変異があらわれるのでしょうか。

原子力の専門家や業界紙は本当のデータを出しません。そこで私たちは公式統計をもとに本当のデータを導き出すしかありません。

これがそのひとつの例です。

乳幼児死亡率は、チェルノブイリ後数年にわたって上昇しています。これはドイツとポーランドの乳幼児死亡率について標準値からの偏差を示したものです。ロシアやベラルーシ、ウクライナのような高汚染地域ではありません。にもかかわらずこのように統計的にも明確な影響が乳幼児死亡率に出ています。

1986年以降、予期しない乳幼児死亡率の上昇がみられます。

チェルノブイリ以外に、ノルウェー、フィンランド、スイス、ドイツなどで乳幼児死亡率が上昇した理由が見つかりません。

 

これは日本です。2週間前に発表されたもので、日本の厚労省の公式統計を集計したものです。ごらんのように福島原発事故2か月後と9か月後に新生児死亡率が明らかに上がっています。

これは福島原発事故による影響なのですが、興味深いのは、この統計は日本全国のもので、福島に近いところだけではなく全国レベルで福島原発事故の影響が出ていることです。

東京やその他の地域、北の地方、南の地方と注意深く調べるべきです。通常ではないデータが出てくると思います。

これはロシアの6つの高汚染州と、その近くの6つの低汚染州の死亡率です。15年間にわたる死亡率の推移は見た目からも統計学的にも差異を示しています。

汚染があるかないかによって死亡率には劇的な違いがあります。なぜこれが起こったのかその理由を証明するのは不可能です。しかしこれはもちろんチェルノブイリ事故の結果なのです。

チェルノブイリ地域で植物、動物、微生物を調査すると、そのほとんどで高いレベルの突然変異を示しています。

これは明らかにチェルノブイリの結果です。ここ日本でも同じです。私はチェルノブイリ周辺のチョウや鳥などの調査結果を知っていますが、これは福島原発周辺にもあてはまります。

福島原発事故でも同じ影響が出ます。それは生物多様性の減少、高い突然変異率、ゲノム不安定性といった動植物への被害です。

チェルノブイリ・ゾーンにはじめて訪れると一見すると動植物がなんと繁茂しているんだと思うかもしれません。

人はいないけれどたくさんの動物がいて植物が茂っています。しかし、すべての植物は染色体になんらかの損傷をもっています。すべての動物はチェルノブイリゾーンではあまり繁殖しません。ほとんどは他の地域から移入してきたのです。チェルノブイリ・ゾーンは「ブラックホール」のようなものです。繁茂しているのではなく、動物が引き寄せられ入り込むブラックホールなのです。

チェルノブイリの大惨事が明らかにしたのは、原子力産業は原子力発電によって地球を危機に陥れることもいとわないということです。

そして理論的にも実際にも原子力発電は核兵器に匹敵する危険を人類と地球にもたらすということです。

ご清聴ありがとうございました。

 

質疑での発言から 

Q:「ガン以外の病気について」

A:私は事故の影響という点から言うと、ガンはその10分の1の意味しか持っていないと思います。放射線を被曝したあらゆる人体の組織・器官は、異常をあらわしますので、これについてはそれぞれの器官について、どういった異常があらわれるかということをみなければなりません。言葉を変えて言えば、放射線被曝して、なんの影響も被らないような器官というものはありません。それから影響の程度に関して言いますと、大量の放射線を短期間に浴びるか、あるいは低線量の放射線を長期間に渡って浴び続けるかという違いがあります。

Q:「事故の影響を減らすためには」

A:チェルノブイリの経験では、事故の悪影響というのは5年以内にあらわれます。そして平均的な被曝線量は基準といったものは、何も意味を持ちませんから、個人的な、個人に対する健康調査が必要です。二つの方法で検査を行わなければなりませんが、まず第一は血液検査で、血液を調べることによって、染色体の突然変異がどの程度起こっているか調べることができます。それからもう一つはホールボディーカウンターによる個々人の検査で、放射線核種を多く取り込んでいる人に対しては、緊急に措置をこうじなくてはいけませんが、そのための方法はいろいろあります。

 

日本の人々へのメッセージ

私からの短いメッセージです。皆さんは真実のためにたたかわなくてはならない。健康のためにたたかわなくてはならない。原子力をなくすためにたたかわなくてはならない。

政府とたたかわなくてはならない。なぜなら政府と原子力産業はあらゆるところで、私の国だけでなく、すべての国で、米国で、ここ日本で、データを隠蔽しようとするからです。

原子力産業と政府は、人々を恐れています。真実を恐れています。

なぜなら真実はとても不愉快なものだからです。

真実は原子力技術は恐ろしく危険であり、コストは異常に高く、プラスよりもマイナスばかりだということです。

これが私からのメッセージです。

 

 

市民ひろばワークショップテント 2012年12月16日 日比谷公園  より

ヤブロコフ博士

私たちがいま、議論すべきは「何がいま危険なのか」ということです。私たちの役割は、安全な状況をいまつくりだすことです。

私は(チェルノブイリ原発事故の)影響を研究してきました。チェルノブイリ原発事故から25年、26年たって本当のこと偽りのないデータを得ることができました。

偽りのないデータというのは1キュリー/k㎡に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです。

危険な放射線のレベルとはチェルノブイリの経験から明白なのは、もし毎日浴びて、それが何年にもわたるなら 1キュリー/k㎡以上の場所で危険です。特に子どもは危険です。

チェルノブイリ事故の直後からソ連内だけでなく、周辺諸国も含めて乳幼児死亡率が上昇しました。流産も増えました。

ヨーロッパでは出生の男女比が変わるということも起こりました。ここ日本でも同じ影響が出ることになります。

(汚染地域では)2年のあいだに白血病が増えました。先天性奇形・異常の比率も上昇しました。様々な種類の奇形が起こりました。

ダウン症も増加しました。こうしたことは最初の2年のあいだに起こりました。

その後、4年経つとガンが出はじめました。甲状腺ガンです。6年とか10年たつと肺ガンやその他のガンが増えました。

皆さんも近い将来、同じ問題に直面することになります。

今考えなくてはならない最も重要なことは、どうしたら福島原発事故の影響を最小化できるかということです。


【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

2013-05-25 | ヤブロコフ講演文字おこし

管理人より

たくさんの方に2013年5/18のヤブロコフ東京講演文字おこしを拡散していただきました。ありがとうございました。関連アクセスが多いので、昨年アップした当ブログ記事の「2012年の12/14のヤブロコフ博士日本講演 文字おこし①~⑤+質疑応答」をひとつにまとめて、後日にネットに出された資料を追加し再掲します。  よろしければご活用ください。

FoE Japan  http://www.foejapan.org/energy/evt/121214.html  

当日資料はこちら⇒ http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/121214_y.pdf

文字おこしでは、上の資料から切り取って講演の流れにそって掲載しました。

2012年 12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会 

「低線量被ばくの健康影響:国際機関の放射線安全概念を問う」

講演部分【文字おこし】 11:04~ 

私にとって、ここで皆さんにお話をすることは、とても嬉しいことですし、この講演は私にとって大変重要なものであります。私は生物学者であり、大統領に対する生物学担当官(?)でした。私は10年以上にわたってチェルノブイリ事故の影響について研究しています。そして私は日本にとってチェルノブイリの本当の影響がどういうものであったかということを知るのが非常に重要であるということがわかっています。

私のチェルノブイリに関する本は、最初ロシアのサンクトペテルブルグで、それからアメリカのニューヨーク、そしてウクライナのキエフで出版されました。そして、この本が3ヶ月か4ヶ月後には、日本で岩波書店によって出版されるということをお伝えしております。チェルノブイリが示したのは、「低線量放射線というものが重要ではない」というふうに思われていましたけれども実際には非常に大きな意味を持つということです。明日、私はチェルノブイリの影響についてお話をしますが、今日ここでは低線量被曝の影響についてお話をしたいと思います。そして、私がこれからお話しますことは、ニューヨークで出版される雑誌「health&solution」に掲載されることになっております。口上が長くなりましたけれども、これから私の報告をさせていただきます。 

福島とチェルノブイリに関して、なぜ原子力推進論者たちと普通のまともな人たちとの間に論争が起こっているのでしょうか?原子力推進論者たちは、「1mSv/人/年という低線量被曝は人間にとって危険ではない」、と言っています。そして日本においては、「20mSv/人/年でさえも危険ではない」、と言われているそうですが、これはもう気違い沙汰です。

実際のところは、公式に計測されたと言われている放射線量というものは計測不可能なものです。そして、ここに放射線量についての8つの前提が書かれております。これから8つの前提の一つ一つに検討を加え、これが間違っているということを証明したいと思います。

最初の2つの前提。これは実践的に全く不可能なことですし、それ以下のものは科学的に不正確です。

第1の前提とは、「実効線量というのは、内部被曝と外部被曝の総和である」というものです。しかし、チェルノブイリにおきましても福島におきましても、あまりにも様々な放射線核種が放出されたために、それを全て計上するというようなことは不可能です。原子力推進論者たちが、基準として放射線核種として取り上げているのは、ヨウ素131とセシウム137だけです。しかし、チェルノブイリ以後、ウクライナの首都であるキエフには、あちこちにセシウム137がありますが、キエフにとって放射線核種として重要なのはセシウム137ではないのです。

 それから福島の後、どういった放射線核種が放出されているか見てください。ヨウ素やセシウム以外にどれだけたくさんの放射線核種が放出されたか、これは非常に強力なものですが、こうした放射線核種については取り上げられていないのです。ですから原子力推進論者たちが、内部被曝や外部被曝の影響を考慮するとかいっても、このセシウム以外の放射線核種について取り上げていないのに、どうやって内部被曝を考慮することができるのかわかりません。 

ギリシャではチェルノブイリの降下物として、放射性銀、つまりセシウム137だけではなく他の放射性核種、ギリシャの場合ですと、放射性銀についても考察しなくてはいけないわけですが、これは福島に関しても同じことが言えます。

それから放射線、X線ですとかガンマ線、ベータ線についてなんですけれども、これについてはどのようにして計上することができるというんでしょうか?このように①で取り上げられている「内部被曝と外部被曝を合計する」ということは、理論的には可能であっても実際問題としては不可能ではないでしょうか。 

では内部被曝についてですが、内部被曝というものは、それぞれの人がどれだけ水を飲んだか、どれぐらい牛乳を飲んだかといったことによって決まります。内部被曝に関しては、それぞれの放射線核種が体内にどれぐらいとどまっているかという平均値を求めなければなりませんが、放射線核種によっては5日しかもたないものもありますし、80日存続するものもあります。

非常に長い半減期を持っているもの、たとえばストロンチウム85は骨髄の中に入ると50年そこにとどまっています。ストロンチウム85に関して言いますと、平均寿命は2~3ヶ月です。

それと、もうひとつの大きな科学上の誤りは、チェルノブイリ事故が起きてからの最初の年には被曝量が減少しました。というのは放射性物質が土壌の中に降りていたからです。それと同様に今こちらの福島でも同じことが起きています。つまり被曝線量の減少ということが起きています。

しかし、5年後には汚染はまた広がってきます。なぜかというと土壌に入った放射性核種は根の成長といっしょにまた上がってくるからです。たとえばストロンチウムは半減期30年ですけれども、根っこによって吸い上げられて表面に出てくるんです。 

つまり、最初に見られた放射線核種が、別の放射線核種にとって変わられていくというチェルノブイリで起きたことが福島でも起きるでしょう。セシウムやストロンチウムは、10年~15年という半減期を持つものですけれども、それ以外にもっと半減期が短いけれども強い作用を起こす放射能を持つものがあります。

先ほどのギリシャでもホットスポット状の地図を見ましたけれども、地表から10m(?)下がったところの放射性濃度というのは十何倍にも多かったり少なかったりすることがあります。

ですから住民にとっての1mSv/人/年という平均値あるいは基準値というものは、全くのおとぎ話であって放射線量、被曝量というのは人によって非常に違うものです。原子力屋の測定によると、それぞれの放射線核種の生物学的影響は、1~20までにランク付けされます。しかし、人間の体内での放射線の影響というのは、細胞や臓器の状態によっても変わってきますので、平均値ということ自体が不可能なことです。

それから、前提の⑤番ですね、臓器の相対的な放射線感受性のことで、生殖腺の0.2.から皮膚0.001まで、というようなことが、原子力屋によって言われていますが、これもまた科学的ではなく、臓器の放射線感受性というのは人によって非常に違っていますので、これはあまりにも単純化され過ぎていると言えましょう。それからもうひとつの「1mSv/人/年は許容できるレベルである」それが科学的に正しくないというもう1つの理由は、この放射線の影響を受けるモデルとして考えられているのが、20歳、体重70kgの健康な白人男性が仮想的なモデルとされているからです。

 

 

※ファントム=モデル、型

こうした平均的なファントムのような人というものが存在するのではなくて、人によって放射線感受性というのは非常に違っていまして、14%の人たちが放射線に対して、それほど感受性が強くないとすれば、20%の非常に強い感受性を持った人々がいるというふうにも言えるわけです。ですから人の放射線に対する感受性というのは非常に違っております。それから民族的な違いというのも、たとえばモンゴロイドであるとかあるいはアングロサクソンであるとか、そういった民族種の違いといったものも放射線に対する感度の違いをもたらします。それと、もうひとつの科学的でない前提は、放射線量がすごく影響に反映するということです。

放射線量と生物学的影響が存在するのはこのまっすぐの線のラインのところだけです.

 

20mSv/人/年であるとか、それ以上の放射線量になりますと、放射線量と生物学的影響というのは比例する関係になりますが、より低線量の場合は線量が小さくても、生物科学的影響は大きいので直線的な影響ということにはなりません。もうひとつの、原子力推進派たちが言っていることで大きな誤りは、「放射線の影響によって起きる病気というのはガンとほかのわずかな病気だけである」ということです。 

 

今ここでは一つ一つあげませんが翻訳の方にあると思うんですけれども、要するに慢性疾患や遺伝子性疾患だけではなく、非常に放射線というのは病気に対する大きな影響力を持っています。

この中でも特に顕著なものについて申しますと、この放射線の大きな影響というのは老化を早めるということです。 これはある年齢の人たちが、その実際の年齢よりもずっと老けてしまうということです。たとえば除染作業員の外見というのは、パスポートに書いてある年齢よりも7・8歳上に見えます。

第2の結論ですが、「人間によって許容できる放射線レベル」、つまり先程から出てます1mSv/人/年というのは、信頼できる科学データに基づいていないということです。

 

※コーホート=出生や職業、地域など、ある共通の特性(因子)をもつ観察対象集団のこと。

この放射線リスクモデルは、広島・長崎の原爆生存者のデータに基づいております。しかし、この日本人の被爆者たちのデータというのは最初から捏造されていたということを言わねばなりません。というのは、この広島・長崎の原爆生存者のデータというのは、1950年からはじめて統計化されたものだからです。

それまでに1950年までに何万人もの人々がすでに亡くなっています。そしてこの1mSv/人/年ですとか20mSv/人/年という放射線安全概念というのは、もともとは戦場によって、兵士が何時間かあるいは、何日間か生き延びられればいいということを前提とした上での数字だということです。

それから原発作業員の放射線防護に関しては、労働現場においては、どういった放射線核種があるかということがわかっているわけですから、より簡単に想定できるものです。 

そこで第3の結論としましては、こういった公式の放射線被曝に関する概念といったものは、チェルノブイリですとか福島の人々に対して用いるには適切なものではないということです。

このあと、私の手元に2枚のスライドがありますが、今までお話して来たような理論的な専門から離れて実際的にどうなっているかということを見てみましょう。

2週間前に私のドイツの友人である、アルフレッド・コルブレイン博士という人がドイツの雑誌に発表したんですが、この論文のタイトルというのは、「福島における乳幼児の死亡」というものでした。コルブレイン博士が用いたデータは、日本の厚生労働省によるものです。皆さんもこのデータを見ることができます。そして今どういうことになっているか見てみましょう。 

これは2002年からの日本における乳幼児の死亡数です。

 福島の事故が起きた直後、それから2ヶ月後に乳幼児の死亡数が非常に増加しております。この今までの平均的な値から離れているということは、これは偶然ではなくて実際の統計上の事実です。私は強調したいと思いますけれども、日本全体にとって、このデータは何を意味するんでしょうか。

これは日本全体の乳幼児死亡数の分布なんですけれども、東京では、この平均値からの増加というのはもっと大きいものです。そしてコルブレイン博士の論文によれば、南ドイツのバイエルン地方においてもチェルノブイリ事故の2ヶ月後および10ヶ月後に同じような乳幼児死亡率の増加が見られたということです。 

2番目の図ですが、これは出産数です。真ん中の太い線が日本の平均値を表しております。

それが福島の事故から9ヶ月経って日本の出産数は非常に減少しております。今この論文は発表されたばかりですので、いろんな方面から検討されるでしょう。そして福島の精度がないという別の説明がされるかもしれません。しかし私は福島の事故以外の説明はありえないと考えています。

南ドイツの強度に汚染された地域でもこれと全く同じ統計が見られました。これまで話したことから、そしてこのグラフから、みなさん自身で判断していただきたいと思います。

この自分の発表の中で私は、「低線量被曝は危険ではない」という概念について、ずっと批判をしてきたわけですけれども、実際にこの2つのグラフによっても、「低線量被曝は危険だ」ということが示されているのではないでしょうか。 

私は細かいところは、みな端折ってお話しましたのでもしご質問があれば、お返事しようと思います。


 

1:04~あたりから質疑応答

Q:内部被ばくを考える市民研究会の川根と申します。中学校で理科の教諭をしております。ヤブロコフ先生の著書が出ることを心待ちにしておりました。今回の事故で東京でもヨウ素とともにテルル核種が大気中に舞ってきております。テルルについて先生のお考えをお聞かせください。核種の危険性とか・・・

A:非常に重要な核種です。テルルもヨウ素と同様に甲状腺に対して作用します。

Q:蓄積するということですか?

A:甲状腺に蓄積されるということですが、この甲状腺腫瘍というのは良性であることが多いというようなことが言われますけれども、実際にはそんなことはなくて、甲状腺腫瘍が悪性のものにゆっくり移行します。そしてチェルノブイリにおいては4年後に甲状腺ガンがたくさん発生しています。

それからチェルノブイリのときに、最初に目立った症状として出てきたのは白血病です。それから目の水晶体が曇るということです。そして、被曝してから数時間後には染色体異常が始まりました。ちなみに突然変異というのは、個人の被曝をはかる場合の非常にわかりやすい標識です。それぞれの人がそれぞれの突然変異というものを持っています。

Q:ギリシャの汚染分布図なんですが、これはなぜ、セシウムと放射性銀が違うのかということと、これはどこが調査したのかということと、どんな影響があるかの3点です。

A:(最初の汚染地図がどうして違うのかということに関してはまだ、答えていただいてないですけど)、放射性銀の作用については、わからないということです。今度出版される本には、放射性銀だけではなくて、ギリシャのいろいろな核種による汚染地図が載っているということです。どうしてギリシャについて関心を持たれたのですか?

Q:日本でもギリシャと同じように放射線核種によって分布が違うのではないかと思ったからです。


 

Q:最後のグラフの説明がわからなかったのでもう一回お願いします。横軸は何年から統計をとっているのでしょうか?乳幼児の死亡率なんですけれども事故の前から上がってるってことでしょうか?

A:2002年から今までのデータです。左端が2002年です。増えたのは福島の事故のあとからということです。点線のあと。

 


 

Q:エイトビットニュースの沢田と申します。今日本では2つ大きく議論がありまして福島の方でも、汚染の状況はひどいけれどもなかなか移住ができないと思っている方、また同じく東京も移住したほうがいいと思ってるかもしれないけど、本当に移住しなきゃいけないのか、危機感がわかってないというところがあります。こういう議論の中、福島も東京も含めて、先生の目から見て、移住すべきか否か、どういう対策を取ったらいいかメッセージいただけますか?

A:チェルノブイリの事故で、示されたことは移住したということが全ての人にとってよかったというわけではないということです。高濃度汚染地域というのは非常に複雑な形をしております。高線量地域からはすぐに避難すべきだと思いますから、今すぐに汚染地図を作るべきだと思います。それと今言い落としましたが、それは20km圏とかそういう同心円状のところというのではなくて実際に高線量の地域から避難移住しなくてはいけないということです。みなさんもご存知かもしれませんが、アメリカ人が上空から福島を見たときには50km圏からは自国民は移住させるということを決めたわけです。チェルノブイリの教訓というのは、放射能汚染の中に生活することになった人々の生活をいかに楽にするかということです。血液検査を行って誰が実際に被曝しているかを明らかにすることです。それからもちろん定期的にホールボディカウンターで検査を受けなくてはいけません。(たぶん口の粘膜?)その細胞を調べることで被曝の程度を調べることができるそうです。

Q:高濃度の地域に関しては避難すべきだと?高濃度と判断するのは空間線量か土壌汚染なのかという指標の二つと、先生はどこの数値から高濃度とおっしゃられてるのでしょうか?

A:空間線量で地面から1mのところです。これが標準的な空間線量を図る地点です。

Q:そこで数値としては何以上ですか?

A:チェルノブイリの基準から判断しまして555kbq/m2 です。これ以上の地帯は高汚染・・しかし、チェルノブイリからまだ25年しか経っていないわけですので、仮に先ほど言った数値以下でも長く続けば危険なことに変わりはありません。これは、科学的なというより私が感じていることなのですが、1平方キロメートルあたり0.1キュリーとか0.2キュリーであっても危険であり、そこから逃げ出すべきだと思います。1キュリーの放射線のもとでは食品においても、様々な検査(生検?)が必要になってきます。

司会:先ほどヤブロコフさんが言った555kBq/m2というのは、ご存知の方も多いと思うんですが、チェルノブイリの避難区域の避難の義務ゾーンが555kbq/㎡以上です。今、0.1キュリーでも不安だとおっしゃった・・・そのキュリーと・・・ちょっと説明していただいてよろしいですか?

川根先生:昔はキュリー/k㎡という単位だったんですが今はベクレルを使っています。ベクレル/㎡です。1キュリー/k㎡は3.7万ベクレル/㎡、1キュリー/k㎡は3.7万ベクレル/㎡です。kBq ってあまり好きじゃないので万にしちゃってますけど、kBqになおすと37kBq/㎡。1キュリー/k㎡は37kBq/㎡

司会:ちなみに37kBq/㎡というのはチェルノブイリ避難区域の一番下のゾーンの下限ですね。

A: 1キュリー/k㎡のもとでも、食物に対してどういうふうに、お湯で煮てから食べないといけないかとか、きのこでもどの種類のは食べてよくてどの種類は食べていけないとかベリー類についても同様です。私はこちらの方面の専門家ではないですが、これについては非常に多くの文献があります。

Q:先生が言われた0.1キュリー/ k㎡でも危ない・・・?

司会:一番下のゾーンの下限のさらに1/10でも不安だということですね・・

 

A:0.1より少なければ危険ではないという・・。

Q:1986年から1991年、チェルノブイリの事故からソ連の解体までのあいだで、どのように思われたり、旧ソ連の体制の中で、先生の立場で、チェルノブイリのことを今のように話せたのかどうか聞きたい。(質問概要)

A:チェルノブイリ事故のあと、広島に原爆が落とされた時と同様に、3年半のあいだは完全に秘密にされていました。ソ連の最後の大統領だったゴルバチョフは、ソ連邦の崩壊の原因のひとつはチェルノブイリ事故であったと認めています。このチェルノブイリについて語ることができるようになったのは、この事故が起きて5年経ってから、ようやく話ができるようになりました。

Q:先ほど0.1キュリー/ k㎡以上は危険だというお話をされていましたが、東日本にはたぶん、セシウムだけで1万ベクレル/㎡を超えるところが点在している状況だと、実際1万ベクレル/㎡程度の土地でチェルノブイリの経験でどのぐらいの健康被害が生じているかというのを教えていただきたい。

A:実際には0.3キュリー/k㎡というのがみられた場所というのはなくて、0~1キュリーまでの地点ということで、1キュリー/k㎡のところでは様々な臓器の障害がみられます。そしてこのいろいろな臓器における変化というのは、すぐに見出されたというものではなくて8~10年後に医者によって見つけられたものです。

Q:年齢と被曝の感受性について示したグラフ(ゴフマン説)はどう思うか?

A:ゴフマンは私が考えるには、違うことを言っていると思うんですけれども、ロシアにはゴフマンより前からクレムカルスカヤ(?)という人が放射線の人体に対する影響というものを研究していまして、その中で、まず第一に子供ですけれども、子供と妊娠した女性そして老人にとって放射能の作用が大きいというふうに言っています。もちろんいくつかの面において、たとえば精巣に対する放射線の影響は、老人はあまり受けないわけなんですけれども、それは老人にとってあまり問題ではないということになります。 


調査報告 チェルノブイリ被害の全貌
アレクセイ・ヤブロコフ 他

岩波書店

目次
 
日本語版序:いま本書が邦訳出版されることの意味(崎山比早子) 
まえがき/はじめに/序論 チェルノブイリについての厄介な真実
第1部 チェルノブイリの汚染――概観
第1章 時間軸と空間軸を通して見たチェルノブイリの汚染
第2部 チェルノブイリ大惨事による人びとの健康への影響
第2章 チェルノブイリ事故による住民の健康への影響
第3章 チェルノブイリ大惨事後の総罹病率と認定障害
第4章 チェルノブイリ大惨事の影響で加速する老化
第5章 チェルノブイリ大惨事後に見られたガン以外の各種疾患
第6章 チェルノブイリ大惨事後の腫瘍性疾患
第7章 チェルノブイリ大惨事後の死亡率
第2部結論
第3部 チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響
第8章 チェルノブイリ事故後の大気,水,土壌の汚染
第9章 チェルノブイリ由来の放射能による植物相への悪影響
第10章 チェルノブイリ由来の放射能による動物相への悪影響
第11章 チェルノブイリ由来の放射能による微生物相への悪影響
第3部結論
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
第13章 チェルノブイリ事故に由来する放射性核種の体外排出
第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策
第4部結論
第15章 チェルノブイリ大惨事の25 年後における住民の健康と環境への影響
日本語版あとがき チェルノブイリからフクシマへ
主要用語解説/後記・謝辞(星川淳)

用語解説 https://docs.google.com/document/d/1xDRQv10iM84G3n5dkkVVrbHFBcQEQg__EtU_9vYhq_I/edit?pli=1

この用語解説は大変便利です。これを印刷しておけば読み進めていくことがずいぶん楽になると思います。


 

新装版 人間と放射線―医療用X線から原発まで―
ゴフマン
明石書店
目次

放射線と人の健康
放射線の種類と性質
ガンの起源
放射線によるガンと白血病
放射線と発ガンの定量的関係の基礎
放射線によるガンの疫学的研究
乳ガン
年齢別のガン線量
ガン線量の具体的な適用
部分被曝と臓器別ガン線量

線量-反応関係と「しきい値」

内部被曝と被曝線量の評価方法

アルファ線による内部被曝:ラジウムとラドン娘核種

人工アルファ線放出核種:プルトニウムと超ウラン元素

プルトニウムの吸入による肺がん

プルトニウム社会における肺がん

原子力社会がもたらす被曝とその影響

自然放射線、生活用品、職業による被曝

医療用放射線による被曝

白血病

体内被曝による先天的影響

放射線による遺伝的影響

 


5/20ふくしま集団疎開裁判の会 ヤブロコフ博士 郡山講演会 文字おこし(講演部分)

2013-05-24 | ヤブロコフ講演文字おこし

(oldblue管理人より)

2013年5月20日(月) 福島県郡山市  郡山市総合福祉センター

ふくしま集団疎開裁判の会 郡山連続講演会【第2回 チェルノブイリ被害の全貌~福島への教訓】

 講師 アレクセイ・V・ヤブロコフ博士

 Ustream録画再配信はこちら⇒   http://iwj.co.jp/wj/open/archives/80157

 

講演部分 (00:33:21~1:28:35) 文字おこし 

こんばんは。今日は書を出してくださいましてどうもありがとうございます。皆様と一緒にこの場にいることができるということを嬉しく思います。ではこの本がそもそも誕生した経緯というものを少しお話しをさせていただきます。

2005年つまりチェルノブイリの事故から20年経とうとしている時でありますけれども、IAEA国際原子力機関そしてWHO世界保健機関がチェルノブイリ事故の報告書という大変厚い本、報告書を出しました。その報告書に書かれていたことというのが、私を含めた私の友人達が、自分の目で見、自分の耳で聞いてきたことと余りにかけ離れていたということに驚いたわけであります。

そこで私たちは、自分たちで独自の本を書こうということを決意いたしました。私はソビエト時代から国会議員をつとめ、そしてもともと生物学者であります。またロシアという自分の国の市民であるという自覚を持っています。

そして私が友人と呼んでいる人たちでありますけれども、例えばワシーリ・ネステレンコという人がいます。この人は物理学者であり、ソビエト時代の移動式の原子炉というものが設計された時の、設計の総責任者をつとめた人であります。

そういった人たち特にこのワシリー・ネステレンコさんと一緒に、中心になって自分たちで(聞き取り不能)できたこと、そういう事実をまとめた本を作ろうと決意したわけであります。その後、福島の原発で事故が起きたわけであります。そしてあの事故、それ以降の日本で起きていること、状況ということはチェルノブイリの事故のあとにソ連で起きたことの繰り返しであるという点があまりにも多いわけであります。そこでチェルノブイリの教訓ということを今一度私たちが思い出し、そして噛み締めるということはとても大きな意味があるのではないかと今私は思っています。

さて、日本語版が先日出たわけであります。沢山の方が翻訳をしてくださいました。その翻訳に従事してくださった人々、ひとりひとりに深く心からのお礼を申し上げたいと思います。純粋に翻訳の期間だけで1年半かかったという大変大きな作業であり、とても忍耐強く作業をしてくださいました。そしてまたこの本を日本語で日本で出してくれた日本の出版社にも心からお礼を言いたいと思います。

さて、今日のこの会に参加してくださっている皆様には、主催者のみなさまから私の以前の報告のスライド集というものを日本語にして配布をしていただいております。これは私が今日講演するにあたりまして大いに助かるものでありますので、チェルノブイリのことについてはもちろんお話をしたいと思いますけれども、福島、そして今後福島を含めて、日本でどうなるのか、何をすればいいのかということに、より多くの時間を割く講演会にしたいと思います。

さて、これから私は座ってお話をさせていただきたいと思います。足の膝が痛みますので。長く立っているとちょっと辛いので座ってお話をさせてください。

さて、私たちがこの本を作るにあたりまして、参考にしたもともとの文書の数でありますけれども、チェルノブイリについて4万点あるいはそれ以上の本というものが出されていますけれども、当然その全てを把握する、目を通すというのは不可能でありました。しかしそのうちの5千点に関しては私たちは実際に参考にしました。

そしてチェルノブイリの事故以降、世界で出版をされた、チェルノブイリの事故その影響についての本という中でも最も幅の広いものを網羅した本というのが私たちの本であるということを自負しております。

そしてこの日本語版でありますけれども、本を手にとった方は既にお分かりかと思いますけれども、索引がありません。これは残念なことでありますけれども索引を作るということは、技術的にも難しいことでありますし、またページ数が増えてしまうということで出版社の方からのいろいろな意見もあったというふうに聞いておりますが、しかし電子の形で、ネットを参考にすれば索引を見ることができるというふうに今後の作業でしていってくれるという話を聞いています。

索引(用語解説) https://docs.google.com/document/d/1xDRQv10iM84G3n5dkkVVrbHFBcQEQg__EtU_9vYhq_I/edit?pli=1

さて、これから私、具体的な例をいくつか挙げて説明をしたいと思います。この場で説明をする例はごく数が限られたものでありますけれども、本を見ていただければ非常にたくさんの例が載っているということが分かっていただけると思います。さてガンの罹病率でありますけれども、全世界で伸びている、増えているという事実は確かにあります。しかし放射線による汚染度が激しければ激しいほど、ガンの罹病率が高いということはこの数字が示しています。これは岩波の本の140pに挙げられている図6.2であります。

 

さて、こちらはチェルノブイリの事故のあとの甲状腺のガンの罹病率ということで、ベラルーシの例になっております。いま左下のグラフで説明をしたわけでありますけれども、これは岩波の本では139pの図の6.1ということになっておりまして、この直線になっているのが、甲状腺がんの発症の推測の伸びで、将来こうなるという推測の数字であったわけであります。実際どうだったかと言いますと、その上になっていますね。白い丸い点を結んだという状態になっております。従ってもともとの予測よりもはるかに伸びた、発症の数が増えたわけです。

こちらは岩波の本の158pの図の6.21 乳がんの罹病率でありますけれども、チェルノブイリ以降の汚染に関しましても、汚染の著しい地域、それほどでもない地域といって、地域ごとにスポット状も含めて異なっておりまして、日本でも福島以降、汚染の状況というのは各地域によって異なっているわけであります。このグラフが示しているのは、この上の大変にガンの罹病率が伸びている州、日本の県に当たりますけれども、そこは汚染が著しかったところであります。従って汚染が著しいところでは、乳がんの罹病率もはるかに高くなっているということを事実があらわしているわけであります。

さてチェルノブイリ以降でありますけれども、罹病率が高まったというのは、癌がもちろんそうでありますけれども、癌による罹病率の高まりというのは、すべての罹病率の高まりの中の10~15%に過ぎません。つまり癌以外の病気の罹病率、発生率というのも、チェルノブイリ以降は高くなり、これは日本でも同じ状況になると私たちは考えています。

 

これは岩波の本では97pに載せられています図5.9、ロシアの一つの州を例にとった流産率の比較であります。これはリクビダートルとロシアで呼ばれているのが、チェルノブイリの発電所の事故のあと事故処理に当たった人たちのことであります。

そのロシアのひとつの州における、リクビダートルの家庭における流産率とその州の平均の数字を比較したものであります。そして見てみますと、このリクビダートルの家庭においては、最初の年は流産率が非常に高くて、そして通常の平均の数字までに戻るには5年~6年かかったのであります。このソビエトのチェルノブイリの事故以降、事故処理に当たったリクビダートルという人たちは医学的な健康追跡調査がかなり良く行われて、またデータもきちんと残っていたというケースであります。

 

 

 これは先天性の発生異常ということで、大変に悲しい事実であるわけですけれども、これはウクライナのある地区でありますので、州、日本の県に当たるものの中のまたもうひとつ小さい地域ということで、これは具体的にルギヌイ地区というところで、人口2万人のところであります。そこで生まれた先天性の異常のある新生児の数の実数でありまして、86年4月のチェルノブイリ事故以前は、2万人あたり多くても5人のそういった子供たちが生まれていたわけですけれども、チェルノブイリの事故以降ですけれども、急激にそういった先天性異常のある子供が生まれる実数が上がりました。そして事故から5年、6年経った1992年に著しく、そういった写真にみるような異常のある子供たちの生まれる数が増えました。そしてそれ以降も、事故以前よりは高い実数というのが出ているわけです。

 

さてこちらでありますけれども、先天性異常のもうひとつの例、21トリソミーつまりダウン症候群ということになります。これは岩波の本では65pに出ているものであります。上のグラフがベラルーシ、下のグラフが西ベルリンであります。これはチェルノブイリの事故のちょうど9ヶ月後に、ダウン症の子供が生まれる率というものが急激に高まったということがこのグラフそれぞれに示されています。そして事故から何年経ったあとでも、事故以前よりはダウン症の子供が生まれる率が高いということがこの数字で示されています。

そしてこちらは、チェルノブイリ以降に起きた健康障害、そして罹病率というものの中の水晶体の混濁、そして両方の目の水晶体が同時に混濁するというものであります。これはチェルノブイリの事故以降、このグラフに関しては、岩波の本の112pにあげられている、「ベラルーシの子供における両眼性の(両方の目の)水晶体の混濁」ということですけれども、この現象というのは日本でも必ず起きる、すでに起きているかもしれませんし、必ず起きると思いますので、こういった水晶体の混濁ということに関しても、子供さんたちに関して注意を払って下さい。

 さて、こちら英語にはなっていますけれども、チェルノブイリの放射線照射に由来するところの障害というので、たとえば一番最初に書いてあるのが、血液と血管系の病気が出てくる、内分泌系の病気も出てきます。免疫系、呼吸器系、消化器系ということで、ほとんど体の全てにわたるところに障害が出てくるということが事実としてあがっています。

さてこちらは、岩波の本では171pに書かれております「乳児死亡率の変化」の異常な状態であります。

つまり1才未満の子供たちの死亡率ということで、左側のグラフがドイツ、右側がポーランドであります。両方ともソビエトではないヨーロッパの国ということになりますけれども、それぞれチェルノブイリの事故から1年後になりますけれども、この乳児の死亡率というものが異常に高くなっているというのがこの斜線でかかれているところであります。

これは統計的にとられた数字ということ、そして予測の数字というのが横の点線で書いてあるわけですけれども、予測の許容範囲の最大数字、それをはるかに超える乳児死亡率というものが出てきたのが、チェルノブイリの事故から1年後であります。

さてこちらもまた、新生児の死亡率ということで、岩波の本では171p、172pにあげられているものです。先ほどお見せしたグラフというのは、学術的な報告書のグラフであります。

こちらに関しては4つの国、ノルウェー、スイス、スウェーデン、フィンランド、それぞれの国の政府が毎年出している国民の生活に関する統計という数字、それをグラフにしてみたものであります。それぞれの国で、実線そしてチェルノブイリの事故以降の何年間かは点線で書かれているのは、新生児の死亡率の予測図ということであります。

それぞれの国で新生児の死亡率は年々下がっていくということが予測されていて、チェルノブイリの事故以降の期間というのは、その予測通りになっている訳ですけれども、1986年のチェルノブイリの事故以降のおよそ5年~6年間というのは予測の数値よりもはるかに高い新生児の死亡率となっております。この直線が点線になってる部分の上の部分というのがその期間であります。

そして私たちはWHO世界保健機関に対しまして、チェルノブイリの事故以降、ヨーロッパのいくつもの国々において新生児の死亡率が異常に高くなった期間が明らかにあると、これを説明してくださいと求めているわけですけれども、いまだに回答はもらっていません。

さて、こちらの図でありますけれども、とても重要なグラフであると思います。岩波の本では179pに載っている図の7.22でありますけれども、これはロシアの6つの州、日本の県に相当する6つの、特にチェルノブイリの事故による汚染が著しかった州とそれ以外の地域というものをくらべたものでありますけれども、これはその死亡率をくらべたものであります。

これを見てみますと基準というものでありますけれども、1平方キロメートルあたり1キュリーというものをこえた地域においては、死亡率というものが非常に高いということを示しています。 

そしてこちらのグラフでは事故以降の13年間というものが主なこの図で示される領域になっているわけでありますけれども、この比率というものを、あるいは指数というものを元に、では全世界でチェルノブイリの事故の影響で亡くなった人は合計何人いるのかということを私たちは計算しました。これはサンクトペテルブルグで出版された本で私たちが書いたものでありますけれども、これはもちろん計算は概算ということになりますけれども、しかしチェルノブイリの事故以降20年間で、80万人から100万人が全世界で事故があったがために亡くなったという数字を私たちは計算の数値として出しました。 

そして、これはロシアの地方をくらべたわけでありますので、チェルノブイリ以降の放射線による汚染の状況以外の条件というものはみな同じであるわけです。つまり経済的な生活水準や、社会保障がどう整備されているか、また医療機関がどういう形で整っているかということはロシアの地域で同じであるわけです。 

原子力関連施設そして原子力産業のさまざまな機関で仕事をしている医学の専門家、あるいは実際のお医者さんたちという人たちがたくさんいるわけですけれども、そういう人たちに対して、私を含めた私たち研究者が、「この事実を説明してください、放射線による汚染以外にこういった死亡率の、あるいは死亡数の違いというものが説明できますか」と何回も問いかけているんですけれども答えはもらっていません。

さて、この原子力産業の人たちが、私たちのような研究者の研究内容に反論するにあたって始終言うことは、次のようなかたちであります。

「確かに汚染が著しい地域においては、さまざまな病気の罹病率というものは増えてはいる、ただそれは人々のあいだに‘放射線恐怖症’というものがあり、放射線を怖がるがためにひとりひとりが自分を心理的に追い詰めてそのために自ら病気を引き起こしているのだ」というふうに言うわけです。

しかし例えばチェルノブイリの事故のあとで、放射線による汚染が著しい地域では、カエルやツバメ、あるいはノネズミというものが生息を続けており、人間に見られるのと同じような病気の症状、体の様々な障害というものをみせているわけです。カエルやツバメに放射線の恐怖症があるでしょうか?ないですね。

そしてチェルノブイリの事故によって放射能で汚染されている地域というのは程度の多少にかかわらず、動植物や微生物といったものに突然変異率が高いということが結果として出ています。そして汚染度がより高ければ高い程そういった突然変異の率が高いということもすべての調査結果が示しています。

さて、ではチェルノブイリの教訓に移りたいと思います。 

教訓その1「放射線の状況というものは安全です」という当局の公の宣言を決して信用してはいけない。」

教訓その2「空気・水・食料品に関して政府から独立した形で放射能をモニタリングするシステム、体制を確立しなければいけない。」 

教訓その3「体内の放射線核種ということに関して、つまり内部被曝に関して政府から独立したモニタリングを確立しなければいけない。」

ということです。

IAEA国際原子力機関、これはなぜ嘘をつくのでしょうか?そしてWHO世界保健機関、ここもなぜ嘘をつくのでしょうか?

これは1959年にWHOとIAEAが協定を結んだからであります。この協定があるがために、WHOはヒポクラテスつまり医者の誓いというものに反した形で、放射線の被害、放射線が人に害を与えるという状況があった場合は、IAEAとの話し合いなくして、そこからの了承を得ることなくして事実を公表してはいけないという義務を負ってしまったからです。

WHO国際保健機関でありますけれども、本部はジュネーブにあります。この写真の後方に見える建物ですけれども、6年前からこのジュネーブのWHOの本部の前では、毎日毎日でありますけれども、ピケがはられています。これはWHOに対しまして、「自分たちの医師の誓いというものを思い出してください」「チェルノブイリについて嘘を言い続けるのをやめなさい」「チェルノブイリについて真実を語ってください」ということを求めるものであります。

私もジュネーブに行くたびに、このピケに参加してるんですけれども、一番最近参加した時には、このWHOに対して、「チェルノブイリと福島についての真実を述べなさい、嘘をつくのはやめて欲しい」という言葉に変わっていました。

スイスそしてジュネーブを訪れる機会がある方もいらっしゃると思います。そのときはここの団体と事前に連絡をとって、自分もピケに参加すると言っていただき、1時間でもいいのでこのピケのメンバーになって連帯感を表明してくれれば大変に助かります。つまりWHOに対して、彼らが嘘を恒常的についているという状態に反対をする、真実を語ってくれと求めるピケについても参加してください。

さて、チェルノブイリ以降のこういった機関の行動というものでありますけれども、それを思い出してみたいと思います。「危険というものはありません、将来も危険な事態にはなりません」ということを言い続けていたわけです。そして事故が発生してから7年、8年、10年経ってはじめて、「いや、危険はありました、そしてそれ以降の危険というものもあったわけであります」ということを言うわけです。

そして福島の事故以降、どうだったかといいますと、こういった組織というものは、「危険はありません、そして今後の危険もないでしょう、少なくとも目に見えるような危険はないんです」と言っているわけです。ですから将来、「かつては間違ったことを言っていました」ということになると思います。

さて、それでは福島についてお話をしていきたいと思います。もちろんチェルノブイリについて忘れることなくということであります。福島についてお話をしていきましょう。こちらでありますけれども、新生児の死亡率というものであります。この左側の2つの上と下のグラフというのが日本について、そして右側がドイツについてということになります。

これは私の知人であるところのドイツ人の学者アルフレッド・カルブレインという人が、日本の公式の統計の数字を使って作成したグラフであります。ドイツに関して、この縦の点線になっているのが、チェルノブイリの事故が起きた1986年の4月であります。その事故から1年後、統計的に予測できる数字よりも、はるかに高い新生児の死亡率になっているわけです。

左二つのグラフを見てみますと、この点線になっているのが2011年3月の福島の事故であります。その事故から1年の間ですけれども、新生児の死亡率が、これは日本全体の数字でありますけれども、統計的に予測できる数字よりも高いものになっているわけです。

さて、こちらでありますけれども、出生数、つまり、生きて産まれた子供たちの数の変化ということであります。左の縦2つが福島県、そして右側の縦2つがキエフ市、ウクライナの首都のキエフということになります。

キエフを見てみますと、1987年、チェルノブイリの事故のあとから9ヶ月後というのが縦の実線が引いてあります。福島県に関しては2012年の年の初め、ですからちょうど福島の事故のあとから事故後9ヶ月後の数字ということになります。どちらを見ても、生きて産まれた子供の数というのが、事故から9ヶ月後に著しく減っているというのが数字であらわれています。

さて、岩波から日本語訳ができた私たちの本に書かれています、チェルノブイリの事故のあと何が起きたのかということを手引書として活用して、日本の未来について予測をしますと次のような形になります。これはチェルノブイリの事故のあとに実際に起きたことで、日本ではこれから1年、2年、3年後に起きるということになります。

まず染色体の突然変異というものが増えます。先天性の異常というものも件数として増えていき、また新生児の死亡というものも高くなるでしょう。白血病というものも増えていきますし、またさまざまな形でのさまざまな臓器の癌というものも増えていくと予測されます。

そして男子の精子の数については減少していき、また生まれる子供の性別の比率が変化をして、男の子が生まれる率というものが減少をしていくと、いうことが必ず日本でも起きると私は考えます。 

さて、チェルノブイリの事故と、そして福島の事故それ自体をくらべてみますと、事故によって放出された放射性物質というものは福島の事故の場合チェルノブイリの1/2である、1/3であるということが言われています。 

しかし、私たちが注目すべきなのは、どれだけ放出されたかということではなくて、それが実際どれだけ人に影響を与えるかということであると思います。人口の数、人口密度ということをくらべてみますと、チェルノブイリ地区の周辺に住んでいる人々の数よりもはるかに2倍3倍の数の人々が福島には生活をしているわけであります。

チェルノブイリの事故の影響というもので、予測がつかなかったもののひとつについてお話をしたいと思います。これは土壌などの汚染ということでありますけれども、事故から7年8年経ちますと汚染の度合いというものが落ち着いてくるだろうというふうに予測され、実際そうなっていたわけであります。しかし、事故から7年8年経つと突然でありますけれども汚染度が高まったという地域がいくつも出てきました。なぜなのだろう、謎であったわけですけれども、その謎は簡単に解けました。放射性の核種というものが土壌のより深いところに落ちていったわけでありますけれども、事故から7年8年経ちますと植物の根がたくさんある深さにまで達してしまって、植物の根が放射性物質を吸い上げて地表に出してしまって、汚染度が高くなったという事実がありました。

さて、それでは今後でありますけれども、個人のそして社会全体の健康に関する指標というものについて考えていきたいと思います。「平均的なミリシーベルトは~である」という数字を当局は出したがるわけでありますけれども、それは各個人の健康に関する基準とはなりえません。それぞれの人がどれだけ今後健康であるかということを判断するというのは、具体的な事実、数字で判断ができます。それは各個人の染色体の状況について検査をする、また目の水晶体の状態について検査をするということで、費用がかかるということはありますけれども、しかし出る結果というものは本当に正確なものであります。

また、たとえば唇の組織の表面を検査する、あるいは尿を検査する、男性に関しては子供も含めて、精子の状態というものを検査するということになります。そうすればその個人個人がどれだけ被曝を受けているのか、そしてどこに受けているのか、そして今後どうすればいいのか、何もしなければどうなるのかということが正確に分かるわけです。従ってその「平均的なミリシーベルト」という数字を基準にはしないでいただきたいと思います。

さて、そのミリシーベルトでありますけれども、10ミリシーベルトであるのか、20ミリシーベルトであるのか、あるいは1ミリシーベルトであるのか、ということで基準を当局は動かしたりするわけでありますけれども、こういった数字は各個人個人のリスクというものを判断する材料にはなりません。といいますのは、地域全体の、かなり大きな地域のすべての人にとっての平均的な環境数値ということしか意味しないからです。

そしてこの公式の見解というものは、被曝線量というものを基準にしたがるわけでありますけれども、それも事故当初の最初の数時間、最初の何日間の被曝線量はいくつであったかということを過去にさかのぼって測ろうとするわけであります。ですから、たとえば事故当初あるいは事故後の数日間、あなたはどれだけ屋外にいましたか、何時間いましたか、何時間何分いましたかということを問うわけですけれども、それを個人個人が覚えているということ自体が不可能だと考えるべきであります。

またホットパーティクルと呼ばれる放射性の微細な物質でありますけれども、それがどこに落ちているかというのは、たとえば2mの距離が離れていれば、癌にその後なるような非常に強いものである場合もあるし、2m離れれば弱くなってしまうものであるかもしれない。そして地域全体の汚染度ということに関しましても、スポット的になっているので、たとえばこの会場ぐらいの面積のところが非常に汚染されてるという場合はありえます。

でもそこから何十メートルか離れてしまうと、あるいは100メートル離れると、人体に与える影響というものはないに等しいというほど影響が弱まるということも考えられるわけであります。

そしてそもそもシーベルトというものは、3種類か4種類の放射性核種だけを念頭に置いて測ったものでありますけれども、事故が起きますと、そして実際に事故が起きたわけですけれども、何十という種類の、もしかすると何百という種類の放射性核種が放出されて、そういったもの全体をまとめて考える、そしてデータを収集するということがそもそも不可能であります。

従ってその「平均的な線量」というもの、それは大きな病院の平均気温はいくらだから各病人に影響はない、あると言うのと全く同じで意味がないと私は考えます。 

 

さて、個人ひとりひとりの放射線の負荷というのがどれだけあるかということを正確に測るということは可能であります。 

まず、歯のエナメル質というものを少しの量で測ることができます。これはレンガにしろタイルにしろ、その結晶構造を持っているというものは、放射線が通過すると変化をするということがありますので、このテストによって誤差が10~15%で、どういう放射性物質が体を通過していったかということが自分の歴史、ヒストリーというものがわかります。

また染色体でありますけれども、染色体、これは被曝をすると数時間で染色体というものが変化をします。そして安定した異常と不安定な異常というものが起きて、不安定な異常というものは数年間で消えますけれども、染色体の安定的な異常というものはずっと残ります。ですから、これも検査することによって、どれだけ個人に放射線で負担がかかっているかということを測ることができます。

また目の水晶体の混濁ということも、これもどれだけ放射線で体に負担がかかっているかということを正確に測るということを可能にします。またホールボディカウンターというものがあるわけですけれども、これもとても有効であります。確かにホールボディカウンターというのはガンマ線のみしかチェックできないんですけれども、それでもガンマ線というものを基準にして、この個人の全般的な状況というものを理解することができます。

そして子供に関しては、体重1kgあたり20ベクレルであると、そして大人であれば成人であれば体重1kgあたり50ベクレルであれば、何らかの措置をとらなければいけないという基準であると私は思います。どういう措置を取るべきかというのは、さまざまな本、手引書というものが出ています。

さて、チェルノブイリの事故でありますけれども、この影響というものは7世代に及ぶというふうに言われています。福島に関しましても複数の世代に関して、この事故の影響というものが実感として感じられる、そういった影響があるだろうということを考えています。

さて、知識というものは力を与えてくれるといいます。確かに恐ろしい事態が起きたわけですけれども、いたずらに怖がる必要ないと私は考えます。正しく行動するということが必要であるわけです。つまりなんの危険もないと言っている人たちに踊らされては決していけないわけであります。恐ろしい事態が起きてしまったと、そして危険というものが現実にあり、なおかつ危険に対処する方法は具体的にあるのだという知識を身につけて行動していくということが大切であると思います。

さて、チェルノブイリの事故、そして福島の原子力発電所の事故この2つの事故の教訓でありますけれども、私はこれを言わないわけにはいきません。

これは「原子力の平和利用」と言われている原子力発電でありますけれども、核兵器が人類にもたらす危険と同等の危険を実際にすでに人類にもたらしてしまっている、そのことを福島が完全に証明してみせたということであります。

さて、昨日そして今日の日本で出ている新聞などで、日本の政府が複数の原子力発電所の再稼働というものを計画しているということを読んでいます。これは正気の沙汰ではありません。狂気である、狂っているというふうに私は思います。

といいますのは、正常に運転されていると言われている原子力発電所に関しても周囲の人々、自然に対して異常な脅威を実際に生み出しているということを証明している事実というのが実にたくさんあるわけです。このテーマに関して私は独自の、また別個の講演をレクチャーをよめる、それだけの十分な資料が集まっているわけです。

さて、これからは皆様の質問に答えていきたいと思います。講演という形で全てをカバーすることはできませんので、皆様から出てくる質問に答えるという形で補足的に追加的にお話ができるというふうに思っています。


調査報告 チェルノブイリ被害の全貌
 アレクセイ・ヤブロコフ 他
岩波書店

 

 


5/18 『チェルノブイリ被害の全貌』刊行記念ヤブロコフ博士講演会(東京) 文字おこし(講演部分)

2013-05-20 | ヤブロコフ講演文字おこし

『チェルノブイリ被害の全貌』刊行記念ヤブロコフ博士講演会  講演部分 文字おこし

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌
アレクセイ・ヤブロコフ 他
岩波書店

 

日時: 5月18日(土)午後6時30分~
会場: 星陵会館
主催: チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト
共催: ピースボート、グリーンピース・ジャパン、FoE Japan、グリーン・アクション、原子力市民委員会    
協賛: 岩波書店
解説: 崎山比早子
司会: おしどりマコ

講演部分(0:25:35~)のみ講演内容 文字おこし

 親愛なる友人の皆様、こんにちは。今日このようなかたちで、私の本が日本語で日本で出版されたということを記念するかたちで、皆様にお会いできる、そして日本語版の私の本を皆様にご紹介できることをとても嬉しく思います。

さて、私共でありますけれども、ロシア、ベラルーシ、ウクライナそして広くヨーロッパでありますけれども、チェルノブイリの発電所の事故が起きたあと、大変悲しい経験というものをしたわけであります。

よく言われることでありますけれども、自分の経験に学ぶことができないのは愚か者であると、賢い人間というものは他人の経験から教訓を得ることができると言われておりますので、私たちが20何年前をはじめとして積んできた悲しい経験ということ、恐ろしい経験をお話したいと思いますので、ぜひそのことから教訓をくんでいただければと思います。

そして今日の私の講演の時間でありますけれども、大変限られたものでありますので、すべてお話するということは到底無理でありますので、かなりかいつまんだかたちでの、つまりいろいろなポイントを話すことができずに終わる講演会になるかと思いますので、疑問に思う点、あるいは、さらにより詳しく私がここの会場で皆様に話して欲しいということがあれば、是非ともご質問という形で寄せていただければと思います。

そして最後にお詫びでありますけれども、私、膝が痛いので申し訳ありませんが座ってお話しをさせていただきます。

 

さて、チェルノブイリに関しての学術的な本という形に、それなりにまとまった形になっている研究論文、そして本というものは、全世界で3万~4万種類は出ているかと思います。私たちが研究したチームとして、この本を書くにあたって実際にきちんと読んだのは約5000点であります。 

そして、この本『チェルノブイリ大惨事~人と環境への影響』でありますけれども、1番最初の形、第1版という形で出たのがロシアのサンクトペテルブルク、2版目でありますけれども、それが2009年にアメリカのニューヨークで出ました。そして2011年ウクライナの首都のキエフで出て、そして今回、日本の首都東京で出版されたわけです。 

 

 さて、チェルノブイリそして福島の事故に共通している点でありますけれども、これは放射性の降下物が落ちた形というのが、まだら状になっているということであります。これは例として、私の本の19pにあげている図でありますけれども、ギリシャ全土であります。ギリシャを例としてスライドでお見せすることにしたのは、チェルノブイリからもかなり距離として離れているし、ロシアからもそれなりに距離として離れているからであります。

そして福島の事故のあとの放射性降下物も、こういった形で、まだら状に斑点状になっているわけであります。こういった降下物に関して、一様ではないということは、とてもよくないことであります。

といいますのは、100メートル離れただけで、その濃度というものが3倍~4倍、あるいは1/3、1/4というかたちで変わってしまうからであります。そして、こちらの例としてギリシャ2つ地図をあげたわけですけれども、上の方が銀125であります。そして、下がセシウム137ということなので、放射性の降下物でありますけれども、放射性核種であっても種類が違いますと、同じところでも違った濃度で落ちてくる、沈着するということが如実に分かるわけであります。

そして、こちらの右側の図でありますけれども、曲線で表されているもの、様々な種類の放射性核種でありますけれども、チェルノブイリの事故でも福島の事故でも、何十種類、何百種類というものが飛び散ったわけでありますけれども、大変短い時間でありますけれども、量が変わってしまうわけですね、はかってみると1日1日と量が減少しておりますので、当初はどれだけのものが、どれだけの濃度で落ちてきたのかということを再現復元するというのが大変難しいわけです。

従いましてそのシーベルト、ミリシーベルト、20ミリシーベルトだ、どうのこうのとその線量の数値をあげること自体が無意味であるというのも、このグラフからもわかっていただけると思います。

さて、こちらのグラフでありますけれども、チェルブイリの事故が起きてから数年後に、どのような形でガンの発生率、ガンの罹病率が推移していったかということを示しているグラフであります。

上の白いほうが、これは本では140pの図の6.2でありますけれども、この一番上の白い□になっているところがブランスク州という地域で、これは相当に汚染度の強かったところであります。真ん中は汚染度がより弱かったロシアのある州であって、一番下がロシア全体ということになります。

そして、このグラフからわかるのは、汚染がひどければひどいほど、ガンの罹病率というものは高くなるということであります。ここでグラフに表したガンは、固形癌であります。つまり血液のガン以外のガンというものであらわしたわけであります。

従いまして、ここに関しても、線量の数字がいくらであるかという数字をあげるということ自体が無意味であるということになるわけです。これはチェルノブイリの事故以降、主に例としてはロシアで起きたことなんですけれども、同様のことが皆様の国でも今後起きるということです。

さて、ではガンの中でも一番最初に罹病率が増えるという形の動きを示すのが、甲状腺ガンということになります。チェルノブイリの事故後は4年後に甲状腺ガンの発生率というものが増えました。

日本ではこれから1年後に、こういう状況になっていくと思います。そして、こちらのグラフで示したのは、ベラルーシとウクライナということでチェルノブイリの事故の影響なわけであります。つまり甲状腺ガンの罹病率がふえているということでありまして、ただ、もちろんこれに対しては反論があって、「ガンの発生率というものはチェルノブイリの事故といったようなものがなくてもガンの発生率は増えている」という意見があるわけですけれども、ただそれに関しましては、左下のグラフを見ていただきたいと思います。

これに関して、ガンが単純に増えるというのであれば、まっすぐな直線となって増えてるんですけれども、この左下のグラフは、本では139pの図の6.1でありますけれども、明らかにチェルノブイリの影響があるので、いわゆる自然にガンが増えるものよりも、もっと大きな形でガンが増えているわけであります。ですから、これは明らかにチェルノブイリの影響であります。

そして甲状腺ガンが増えましたのは、チェルノブイリ以降、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアに限られたことではありません。こちらで例として見せているのはギリシャとルーマニアという、チェルノブイリからは、より距離が離れているところの具体例となります。

さて、こちらは乳がんでありますけれども、乳がんの罹病率に関しましても、これも確実にチェルノブイリ以降伸びましたし、この日本でも増えていくということを私は考えております。

こちらでお見せしているデータでありますけれども、これはベラルーシ政府の公式な統計数字であります。ここからも汚染がより強い地域ほど、乳がんの罹病率が増えているということがわかります。そして事故後8、9、10年経つと、乳がんの罹病率が飛躍的に伸びているということがわかります。

 

で、こちらはお見せしたグラフは本の183pの図1にのってるものでありますけれども、これは先天性の異常、先天性の奇形というかたちの新生児が生まれた状況でありまして、これは86年のチェルノブイリの事故の2年後からでた数字であります。

これはウクライナのジトミールという州のルギヌイ地区、これは人口4万人でありますので日本で言えば県よりもはるかに小さな県の中の各地区という小さな単位でありますけれども、そこで具体的に出た数字であります。こういった子供たちが生まれました。

 

現在アメリカで、チェルノブイリ事故に由来するところの東ヨーロッパ全体における先天性の異常児についての本、専門書というものが、現在出版準備が行われています。

さて、こちらでありますけれども、これは岩波から出た本では112pにあります図の5.11でありますけれども、これは被曝の量が小さいものであっても、目の水晶体の混濁が起きるということを示したグラフであります。

この水晶体の混濁は、後には白内障にとつながるものでありますけれども、このセシウム137の量というもので表されてありますけれども、これが大体25ベクレル/kgを超しますと、水晶体それも両方の目の水晶体の混濁というものが著しく伸びるわけであります。

さて、こちらは岩波の本では65pの図の5.2と5.3に書かれたものでありますけれども、21トリソミーいわゆるダウン症候群でありますけれども、その発生率ということで、上のグラフがベラルーシ、下が西ベルリンであります。ちょうどチェルノブイリの事故から9ヶ月後にダウン症候群の子供の出生が増えたということが示されているものであります。そして実際にチェルノブイリの事故の9ヶ月後に、このような現象があったということを語っているデータは実は数多くあります。日本に関しましても、これはもうすでに福島以降過去のことになっていますので、こういったデータは必ずあるはずです。

 

さて、こちらでありますけれども、チェルノブイリの事故のあと、その放射線の照射に由来するところの健康障害というものであげてあります。こちら英語でありますけれども、本の中には詳しく述べてあります。まず、その一番最初の3つだけを読み上げますと、血液心血管系そして内分泌系、糖尿病も含めて、免疫系といったことで健康障害というものが起きています。そして本の中には、それぞれの各系統の病気に関しまして、何十もの具体的な例というものが書いてあります。

そして被曝の健康への影響ということで着目すべき、もうひとつの点でありますけれども、 老化が早まるということであります。子供たちが老人のようなかたちになってしまうと。また高齢者に関しては、高齢の度合い、老化というものがより早く進むということであります。

また生まれる子供の性別の比率というものがかわりまして、男の子の生まれる率というものが減少します。つまり男の子として受胎したものが出生、生きて生まれるというところまで行き着かない割合が増えてしまうということであるわけです。またひとりの人間であっても複数の病気を抱えるという状況が生まれます。

 さて、こちらは 本では97pに書いてあります図5.9でありますけれども、これはチェルノブイリの事故処理に当たった人たちの家族と、同じ地区のそうではない平均的な家庭の流産率というものを比べたものであります。

このチェルノブイリ原子力発電所の事故処理に当たった人たちのことをロシア語でリクビダートルと言ってるわけでありますけれども、もちろん福島原子力発電所の事故処理に当たった人達もいたわけですけれども、チェルノブイリの事故処理に関しましては80万人という非常にたくさんの人が事故処理に従事しました。

そして彼らに関しては、その医学的な追跡調査というものがかなり良く行われていましたのでデータもかなり残っています。そこで、ここに示された事故処理以降2年間は流産率が非常に高かったということがわかるグラフであります。

さて、こちらが幼児死亡率に関してでありまして、本の171ページにあげているグラフであります。ドイツとポーランド、左がドイツで右がポーランドでありますけれども、そのチェルノブイリの事故にまさに由来するところの幼児死亡率が急激に上がった時期があったということが統計上も確実に意味があるという数値になって跳ね返っております。

さて、こちら幼児死亡率でありますけれども、4つの国、本文では171ページと172ページにあるグラフで、左上がノルウェー、右上がスイス、左の下がスウェーデン、右の下がフィンランドという4つのヨーロッパの国でありますけれども、幼児死亡率を示したものであって、これは学術書からとった数字ではなくて、それぞれの国が通常通り統計として発表している数字をただ単にグラフにのせてみたということであるわけです。

この直線が、幼児死亡率が下がっているということなんですけれども、ただチェルノブイリ事故の1986年から2年間というものが、その普通に下がるべき幼児死亡率の線を、はるかに超えて上がっているということがよくわかります。そしてそれぞれ国が違うわけですので、説明できる原因はただ一つ、チェルノブイリの事故ということであります。

さて、こちらでありますけれども、これは死亡率に関してでありまして、日本語版では179pの図の7.22であります。

これは事故後20年、ロシアの6つの州、日本のちょうど県にあたるものを、汚染度の高い6つの州と汚染度が相対的に低い6つの州の死亡率を比較したものであります。その結果、汚染度が強かったところに関しましては、死亡率が上がっているということが統計的に有意な数字としてあらわれているものであります。1平方キロメートルあたり1キュリーというものであったわけですけれども、そしてこの数字というものを数式として全世界の人口に当てはめて計算をしてみますと、チェルノブイリに由来する追加的な死者というものは、全世界で80万人~90万人という数字を出すことができます。

 

さて、原子力発電の推進派の人たちは、そういった被曝による影響というものはそもそも意味がないと、いわゆる「放射線恐怖症」というものにとりつかれた人間が心理的に自分を病に追い込むのだという反応が、みなさんご存知のものがあるわけですけれども、ただ人間と同じような現象が、ハタネズミ、ツバメ、カエル、また一般のネズミというものに起きているわけですね、そういった動物が「放射線恐怖症」にとらわれるということはありませんので、推進派の意見というものには根拠がないと私は考えます。

 

さて、チェルノブイリの教訓に移りたいと思います。教訓はいくつもあるわけですけれども、そのうちのいくつかだけをとりあげますと、

まず、教訓その1

放射能の状況は安全ですという当局の宣言を信用してはいけません。

そして教訓その2.

空気大気・食品・水に関しましては独立した放射能モニタリングを確立しなければいけません。

そして教訓その3

放射性核種の中で、体内に取り込まれてしまった放射性核種の独立した形でのモニタリングを確立しなければいけません。

 

さてそれでは、研究者も含めて私のような人間と、公式の発言、たとえばWHO世界保健機構の見解のあいだに違いがあるのはなぜかということでありますけれども、これはWHOとIAEA国際原子力機関の間に協定が結ばれているからであります。

そのことによりまして、WHOは医師の誓い、ヒポクラテスの誓いというものに背く形で、原子力発電のロビーと相談することなくある種の事実というものは公表してはいけないということになっているからであります。

そして私がジュネーブを訪れるたびにWHOの本部前の、こういった毎日8~18時まで行われておりますピケに参加をしております。これは数人しか参加はしないことが常なわけでありますけれども、しかし6年以上毎日必ず誰かが抗議の形で立ってます。これはWHOにとって恥ずべきIAEAとの協定を破棄しなさいということを訴えるものであります。

そして、この写真の右側に写っている人がネステレンコ博士であります。ネステレンコさんでありますけれども、つい最近亡くなってしまった方であります。彼は移動式の原子力発電所の設計の総責任者でありました。つまり、その輝かしい研究者であったわけですけれども、チェルノブイリ事故が起きた後、その原子力のために自分を捧げるということを一切放棄いたしまして、チェルノブイリの子供たちに自分のすべての活動を捧げると決めた人であります。かつては、アンドレイ・サハロフ博士も、ソ連の水爆の父と言われた人でありますけれども、水爆実験が成功した後、これではいけないということで水爆の禁止活動に身を捧げたことが同じように知られています。

さて3ヶ月前、今年2013年の2月でありますけれども、WHO世界保健機構が福島の影響についてのレポートというものを発表いたしました。その趣旨というものは、恐ろしいことというのは今後特になにも起きないと、確かに若干のガンにかかる人は増えるであろうけれども統計的に反映されるような数字ではないし、そもそもガン患者が増えるということも特に起きないのだといってるわけですけれども、これを信じてはいけません。

さて、日本で既に何が起きているかということを表している数字であります。幼児の死亡率であります。左側が2002~2012年の日本、右側が1980~1994年のドイツということで 、ドイツに関してはチェルノブイリの事故のところに線が引いてあるわけでありますけれども、幼児死亡率がチェルノブイリ事故以降、統計的に現れる形で増えました。

この両方の数字、日本に関してもドイツに関しても、これは、それぞれの国の公式の統計数字であります。日本に関しては、これは日本全土、日本全国の数字であります。これも点線で福島事故のところをさしてありますけれども、それ以降、幼児の死亡率が増えたということがよくわかります。ということで、WHOは嘘をついても仕方がないと私は思います。

さて、こちらでありますけれども、これは、出生数、生きて生まれた子供の数は減っているということを示すものであります。これはウクライナに関してチェルノブイリ事故の9ヶ月後、日本に関しましては福島県でありますけれども、福島事故後の9ヶ月後でありますけれども、これらのそれぞれの数字も、それぞれの国が通常通り統計をとっていてそれにあらわれた数字であります。研究者がどこからか集めてきてわざわざ集めてわざわざ載せた数字というものではありません。

この両方を見ても、チェルノブイリ事故の9ヶ月後に起きたことと同じような現象が、福島事故の9ヶ月後に実際に福島県で起きたということがわかります。

たとえば、チェルノブイリを例として、手引きとして活用して考えますと、日本を待っているものは何かということになります。まず、染色体の突然変異というものが既に増えているわけであります。

また先天性の異常がある子供が生まれることも、2011年の末から既に日本では起きております。また、幼児及び周産期の死亡というものもすでに起きておりますし、現在もこれは起きております。

白血病に関しても既に増えているし、今後も増えていきます。他のがん、つまり固形癌に関しましてはあと数年後に罹病率というのが増えていきます。チェルノブイリの事故のあと起きた状況というものは、福島の事故以降すでに起きているし、今後も起きていきます。

さて、それでは、もうひとつの良くない事実、何年か後に皆様の目に見え、出てくる事実に関してであります。

これは、汚染というものは、公式の見解などに関しましても、半減期というものがあるのだし、土壌深くに放射性核種というものが埋まってしまうし、汚染というものは年々小さくなるものだということが現在言われていると思います。

チェルノブイリの事故後もそう言われていましたし、その時点では私のような研究者たちもそう思っていたわけです。しかしチェルノブイリの事故後8年~10年経ちますと、かつては汚染に関しては心配はいらない、あるいは、それほど心配はいらないと言われた地域で汚染度が増したわけです。それは植物の根というものが沈殿していった放射性物質に到達し、それを吸い上げる形で地表に出してしまった。日本でもそれと同じ現象が必ず起きると思います。

さて時間がありませんので用意してきたスライドをかなり省きますけれども、最後に何をなすべきか、そして何をすることができるかということで、私のお話を締めくくりたいと思います。

出来ることは、いくつもあります。何よりもまず体内に取り込まれてしまった放射性核種を測定するということはできるわけであります。ただ、それを政府などの公のプログラムというものは実行はしていないわけですけれども、測定することはできます。ですから、それをどう排泄させていくかということも、できるわけであります。

ということで、原子力発電所の事故の教訓ということ、最後にもうひとつ言いたいことがありますけれども、

原子力の平和利用が原子力発電であると言われますけれども実は、人類と環境にとってに対する脅威、実際に起こしてしまう恐ろしいことというのは核兵器に劣ることはない、というのが私の意見です。 

ではご清聴ありがとうございました。(1:04:31 まで)

質疑応答部分は こちらをどうぞ⇒アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会5/18質疑応答(内容書き出し)

 

5/24 追記 

 5/20に行われた 郡山での講演会の講演部分文字おこしもできました。殆どは同じですが、こちらのほうがやや多いと思います。福島の方に向けてヤブロコフ博士が話しておられることがわかる講演内容となっていると思います。↓ 

5/20ふくしま集団疎開裁判の会 ヤブロコフ博士 郡山講演会 文字おこし(講演部分)

 

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌
 
岩波書店

【目次】 

http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0238780/ より

日本語版序:いま本書が邦訳出版されることの意味(崎山比早子) 
まえがき/はじめに/序論 チェルノブイリについての厄介な真実
第1部 チェルノブイリの汚染――概観
第1章 時間軸と空間軸を通して見たチェルノブイリの汚染
第2部 チェルノブイリ大惨事による人びとの健康への影響
第2章 チェルノブイリ事故による住民の健康への影響
第3章 チェルノブイリ大惨事後の総罹病率と認定障害
第4章 チェルノブイリ大惨事の影響で加速する老化
第5章 チェルノブイリ大惨事後に見られたガン以外の各種疾患
第6章 チェルノブイリ大惨事後の腫瘍性疾患
第7章 チェルノブイリ大惨事後の死亡率
第2部結論
第3部 チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響
第8章 チェルノブイリ事故後の大気,水,土壌の汚染
第9章 チェルノブイリ由来の放射能による植物相への悪影響
第10章 チェルノブイリ由来の放射能による動物相への悪影響
第11章 チェルノブイリ由来の放射能による微生物相への悪影響
第3部結論
第4部 チェルノブイリ大惨事後の放射線防護
第12章 チェルノブイリ原発事故による食物と人体の放射能汚染
第13章 チェルノブイリ事故に由来する放射性核種の体外排出
第14章 チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策
第4部結論
第15章 チェルノブイリ大惨事の25 年後における住民の健康と環境への影響
日本語版あとがき チェルノブイリからフクシマへ
主要用語解説/後記・謝辞(星川淳)

用語解説 https://docs.google.com/document/d/1xDRQv10iM84G3n5dkkVVrbHFBcQEQg__EtU_9vYhq_I/edit?pli=1

この用語解説は大変便利です。これを印刷しておけば読み進めていくことがずいぶん楽になると思います。

大惨事から27年、北半球全域を覆った放射能による死者数は約百万にのぼり、その環境被害は今も進行中である――。多年にわたる調査研究と五千以上の文献資料に基づき、被害の全貌を示すデータを系統的に呈示した本書は、衝撃的な真実を告げる警鐘の書であり、フクシマ以後を生きる私たちにとって必携の報告書である。

ロシア・ウクライナ・ベラルーシ現地の膨大な記録を総覧し、「死者数98万5000人」という衝撃的な数字を報告した決定版データ集、待望の翻訳。
 
◆アレクセイ・V・ヤブロコフ博士
1933年、モスクワ生まれ。ロシア科学アカデミー評議員、ロシア環境政策局創設者。
アメリカ芸術科学アカデミー名誉会員、国際海洋哺乳類協会名誉会員、環境政党連合グリ­ーン・ロシア代表。動物学、核問題、農薬問題などの分野で著作多数。
 
 

【動画】2012年12月アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」【字幕】

2013-01-17 | ヤブロコフ講演文字おこし

アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」

 Nuclear Free Now 脱原発世界会議2
アレクセイ・ヤブロコフ博士「チェルノブイリの教訓」
2012年12月15日〜16日 東商ホール、日比谷公園

脱原発世界会議2でのアレクセイ・ヤブロコフ博士(ロシア科学アカデミー、生物学者)の発言より、チェルノブイリ原発事故の健康被害に話を絞って再構成した。

ヤブロコフ博士は、ガンは健康被害の一部にすぎないとして、様々な疾患・障害の増大を報告、長期にわたって住み続けると1キュリー/km2(3万7000ベクレル/m2)­以上でなんらかの健康被害が出ていると語った。
この汚染レベルは、空間線量に換算すると自然放射線も含め年1ミリシーベルト程度である。

ここ日本でも同様のことが起こるという博士の警告を受けとめてほしい。チェルノブイリの現在は福島原発事故の26年後でもある。

⇒Nuclear Free Now 脱原発世界会議(http://npfree.jp/

映像ドキュメント.com(http://www.eizoudocument.com/


【文字おこし】12/14 ヤブロコフ博士日本講演 質疑応答部分 

2012-12-24 | ヤブロコフ講演文字おこし

 

2013/5/25 追記

 

2012年12/14のヤブロコフ博士東京講演ですが当記事では文字おこしを4分割していました。読みにくかったため1つにまとめ、動画から撮った画像でなく、後日アップされた当日配布資料から、講演の流れに沿って差込み、編集し直しました。

 

ですのでこちらをご覧ください。↓

 

【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

 


 

 

管理人より

通訳の方のできるだけそのまま文字にしています。間違いなどありましたら、コメント欄よりお知らせください。

 


 ブロコフ博士12/14講演 質疑応答部分 文字おこし  青色はヤブロコフ博士

 

 

1:04~あたりから

Q:内部被ばくを考える市民研究会の川根と申します。中学校で理科の教諭をしております。ヤブロコフ先生の著書が出ることを心待ちにしておりました。今回の事故で東京でもヨウ素とともにテルルが大気中に舞ってきております。テルルについて先生のお考えをお聞かせください。核種の危険性とか・・・

A:非常に重要な核種です。テルルもヨウ素と同様に甲状腺に対して作用します。 

Q:蓄積するということですか? 

A:甲状腺に蓄積されるということですが、この甲状腺腫瘍というのは良性であることが多いというようなことが言われますけれども、実際にはそんなことはなくて、甲状腺腫瘍が悪性のものにゆっくり移行します。そしてチェルノブイリにおいては4年後に甲状腺ガンがたくさん発生しています。それからチェルノブイリのときに、最初に目立った症状として出てきたのは白血病です。それから目の水晶体が曇るということです。そして、被曝してから数時間後には染色体異常が始まりました。ちなみに突然変異というのは、個人の被曝をはかる場合の非常にわかりやすい標識です。それぞれの人がそれぞれの突然変異というものを持っています。

Q:ギリシャの汚染分布図なんですが、これはなぜ、セシウムと放射性銀が違うのかということと、これはどこが調査したのかということと、どんな影響があるかの3点です。 

A:(最初の汚染地図がどうして違うのかということに関してはまだ、答えていただいてないですけど)、放射性銀の作用については、わからないということです。今度出版される本には、放射性銀だけではなくて、ギリシャのいろいろな核種による汚染地図が載っているということです。どうしてギリシャについて関心を持たれたのですか? 

Q:日本でもギリシャと同じように放射線核種によって分布が違うのではないかと思ったからです。 

Q:最後のグラフの説明がわからなかったのでもう一回お願いします。横軸は何年から統計をとっているのでしょうか?乳幼児の死亡率なんですけれども事故の前から上がってるってことでしょうか? 

A:2002年から今までのデータです。左端が2002年です。増えたのは福島の事故のあとからということです。点線のあと。

Q:エイトビットニュースの沢田と申します。今日本では2つ大きく議論がありまして福島の方でも、汚染の状況はひどいけれどもなかなか移住ができないと思っている方、また同じく東京も移住したほうがいいと思ってるかもしれないけど、本当に移住しなきゃいけないのか、危機感がわかってないというところがあります。こういう議論の中、福島も東京も含めて、先生の目から見て、移住すべきか否か、どういう対策を取ったらいいかメッセージいただけますか?

A:チェルノブイリの事故で、示されたことは移住したということが全ての人にとってよかったというわけではないということです。高濃度汚染地域というのは非常に複雑な形をしております。高線量地域からはすぐに避難すべきだと思いますから、今すぐに汚染地図を作るべきだと思います。それと今言い落としましたが、それは20km圏とかそういう同心円状のところというのではなくて実際に高線量の地域から避難移住しなくてはいけないということです。みなさんもご存知かもしれませんが、アメリカ人が上空から福島を見たときには50km圏からは自国民は移住させるということを決めたわけです。チェルノブイリの教訓というのは、放射能汚染の中に生活することになった人々の生活をいかに楽にするかということです。血液検査を行って誰が実際に被曝しているかを明らかにすることです。それからもちろん定期的にホールボディカウンターで検査を受けなくてはいけません。(たぶん口の粘膜?)その細胞を調べることで被曝の程度を調べることができるそうです。 

Q:高濃度の地域に関しては避難すべきだと?高濃度と判断するのは空間線量か土壌汚染なのかという指標の二つと、先生はどこの数値から高濃度とおっしゃられてるのでしょうか?

A:空間線量で地面から1mのところです。これが標準的な空間線量を図る地点です。

Q:そこで数値としては何以上ですか?

A:チェルノブイリの基準から判断しまして555kbq/m2 です。これ以上の地帯は高汚染・・しかし、チェルノブイリからまだ25年しか経っていないわけですので、仮に先ほど言った数値以下でも長く続けば危険なことに変わりはありません。これは、科学的なというより私が感じていることなのですが、1平方キロメートルあたり0.1キュリーとか0.2キュリーであっても危険であり、そこから逃げ出すべきだと思います。1キュリーの放射線のもとでは食品においても、様々な検査(生検?)が必要になってきます。 

司会:先ほどヤブロコフさんが言った555kBq/m2というのは、ご存知の方も多いと思うんですが、チェルノブイリの避難区域の避難の義務ゾーンが555kbq/㎡以上です。今、0.1キュリーでも不安だとおっしゃった・・・そのキュリーと・・・ちょっと説明していただいてよろしいですか? 

川根:昔はキュリー/k㎡という単位だったんですが今はベクレルを使っています。ベクレル/㎡です。1キュリー/k㎡は3.7万ベクレル/㎡、1キュリー/k㎡は3.7万ベクレル/㎡です。kBq ってあまり好きじゃないので万にしちゃってますけど、kBqになおすと37kBq/㎡。1キュリー/k㎡は37kBq/㎡ 

司会:ちなみに37kBq/㎡というのはチェルノブイリ避難区域の一番下のゾーンの下限ですね。 

A: 1キュリー/k㎡のもとでも、食物に対してどういうふうに、お湯で煮てから食べないといけないかとか、きのこでもどの種類のは食べてよくてどの種類は食べていけないとかベリー類についても同様です。私はこちらの方面の専門家ではないですが、これについては非常に多くの文献があります。 

Q:先生が言われた0.1キュリー/ k㎡でも危ない・・・? 

司会:一番下のゾーンの下限のさらに1/10でも不安だということですね・・

 

 

A:0.1より少なければ危険ではないという・・。 

Q:1986年から1991年、チェルノブイリの事故からソ連の解体までのあいだで、どのように思われたり、旧ソ連の体制の中で、先生の立場で、チェルノブイリのことを今のように話せたのかどうか聞きたい。(質問概要) 

A:チェルノブイリ事故のあと、広島に原爆が落とされた時と同様に、3年半のあいだは完全に秘密にされていました。ソ連の最後の大統領だったゴルバチョフは、ソ連邦の崩壊の原因のひとつはチェルノブイリ事故であったと認めています。このチェルノブイリについて語ることができるようになったのは、この事故が起きて5年経ってから、ようやく話ができるようになりました。 

Q:先ほど0.1キュリー/ k㎡以上は危険だというお話をされていましたが、東日本にはたぶん、セシウムだけで1万ベクレル/㎡を超えるところが点在している状況だと、実際1万ベクレル/㎡程度の土地でチェルノブイリの経験でどのぐらいの健康被害が生じているかというのを教えていただきたい。 

A:実際には0.3キュリー/k㎡というのがみられた場所というのはなくて、0~1キュリーまでの地点ということで、1キュリー/k㎡のところでは様々な臓器の障害がみられます。そしてこのいろいろな臓器における変化というのは、すぐに見出されたというものではなくて8~10年後に医者によって見つけられたものです。 

Q:年齢と被曝の感受性について示したグラフ(ゴフマン説)はどう思うか? 

A:ゴフマンは私が考えるには、違うことを言っていると思うんですけれども、ロシアにはゴフマンより前からクレムカルスカヤ(?)という人が放射線の人体に対する影響というものを研究していまして、その中で、まず第一に子供ですけれども、子供と妊娠した女性そして老人にとって放射能の作用が大きいというふうに言っています。もちろんいくつかの面において、たとえば精巣に対する放射線の影響は、老人はあまり受けないわけなんですけれども、それは老人にとってあまり問題ではないということになります。


 

 【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ①~⑤

http://bit.ly/UblzuJ

http://bit.ly/Ublqrq

http://bit.ly/UblmI0

http://bit.ly/TD4eJY

http://bit.ly/TD4Hfo

ヤブロコフ博士 参考資料  2012/12/15 

http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/121215_a.pdf 

市民社会にとってのチェルノブイリ原発事故の教訓 アレクセイ・V・ヤブロコフ

 

追記 木下黄太さんのブログから転載

http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/33b64dce43ee725d274402f7bbc13a59

It's really a pity that nobody is conducting studies on chromosomal aberrations in Japan. I can hardly believe it. Chromosomal aberrations are one of the objective indexes of radiation exposure.

Genetic studies for chromosomal aberrations were started several months after the Chernobyl accident by researchers at the Institute of General Genetics of USSR Academy of Science in Moscow. All liquidators were covered at the initial study. Several months later, multiple genetic institutes from Minsk and Kiev joined, covering the evacuees and later thousands of inhabitants in all contaminated territories. Hundreds of scientific papers have been published as a result of these genetic studies

 

日本で染色体異常の検査が行われていないとは、本当に残念な事です。信じ難い事です。
染色体異常と言うのは、被ばくの客観的指標のひとつなのです。

チェルノブイリ事故の数ヵ月後に、染色体異常を調べるための遺伝学研究が、モスクワのソビエト連邦科学アカデミーの一般遺伝学研究所の研究者達によって始まりました。一番最初に行われた研究は、清掃作業員全てが対象でした。数ヵ月後に、ミンスクとキエフの複数の遺伝学研究所も参加し、まずは避難した住民達が対象となり、そして後には全ての汚染地域に居住する何千人と言う住民が対象となりました。こういった遺伝学研究の成果として、今までに何百と言う科学研究論文が発表されてきています。(翻訳:平沼百合)

 ヤブロコフ博士は、また、次のような検査も提案されています。歯のエナメル質のEPR線量測定法--Electron Paramagnetic Resonanceまたは電子スピン共鳴。チェルノブイリによってロシアで一番汚染がひどかったBryanskで行われている頬粘膜上皮細胞の変化の追跡調査。

 


【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】⑤

2012-12-21 | ヤブロコフ講演文字おこし

2013/5/25 追記

2012年12/14のヤブロコフ博士東京講演ですが当記事では文字おこしを5分割していました。読みにくかったため1つにまとめ、動画から撮った画像でなく、後日アップされた当日配布資料から、講演の流れに沿って差込み、編集し直しました。

ですのでこちらをご覧ください。↓

【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

 


 

 

49:51あたり~

この放射線リスクモデルは、広島・長崎の原爆生存者のデータに基づいております。

しかしこの日本人の被爆者たちのデータというのは最初から捏造されていたということを言わねばなりません。

というのは、この広島・長崎の原爆生存者のデータというのは、1950年からはじめて統計化されたものだからです。

それまでに何万人もの人々がすでに亡くなっています。そしてこの1mSv//年ですとか20mSv//年という放射線安全概念というのは、もともとは戦場によって、兵士が何時間かあるいは、何日間か生き延びられればいいということを前提とした上での数字だということです。

それから原発作業員の放射線防護に関しては、労働現場においては、どういった放射線核種があるかということが

わかっているわけですから、より簡単に想定できるものです。

 

そこで第3の結論としましては、こういった公式の放射線被曝に関する概念といったものは、チェルノブイリですとか福島の人々に対して用いるには適切なものではないということです。

  

 

 

このあと、私の手元に2枚のスライドがありますが、今までお話して来たような理論的な専門から離れて実際的にどうなっているか見てみましょう。

2週間前に私のドイツの友人である、アルフレッド・ケルプライン博士という人がドイツの雑誌に発表したんですが、この論文のタイトルというのは、「福島における乳幼児の死亡」というものでした。ケルプライン博士が用いたデータは日本の厚生労働省によるものです。皆さんもこのデータを見ることができます。そして今どういうことになっているか見てみましょう。

 

これは2002年からの日本における乳幼児の死亡数です。

 

 

 

福島の事故が起きた直後、それから2ヶ月後に乳幼児の死亡数が非常に増加しております。

 

この今までの平均的な値から離れているということは、これは偶然ではなくて実際の統計上の事実です。

私は強調したいと思いますけれども、日本全体にとって、このデータは何を意味するんでしょうか。

これは日本全体の乳幼児死亡数の分布なんですけれども、東京ではこの平均値からの増加というのはもっと大きいものです。

そしてケルプライン博士の論文によれば、南ドイツのバイエルン地方においてもチェルノブイリ事故の2ヶ月後および10ヶ月後に同じような乳幼児死亡率の増加が見られたということです。

 

2番目の図ですが、これは出産数です。真ん中の太い線が日本の平均値を表しております。

 

 

それが福島の事故から9ヶ月経って日本の出産数は非常に減少しております

いまこの論文は発表されたばかりですので、いろんな方面から検討されるでしょう。

そして福島の制度がないという別の説明がされるかもしれません。しかし私は福島の事故以外の説明はありえないと考えています。

南ドイツの強度に汚染された地域でもこれと全く同じ統計が見られました。

 

 

これまで話したことから、そしてこのグラフから、みなさん自身で判断していただきたいと思います。

この自分の発表の中で私は、「低線量被曝は危険ではない」という概念についてずっと批判をしてきたわけですけれども、実際にこの2つのグラフによっても、「低線量被曝は危険だ」ということが示されているのではないでしょうか。

 

私は細かいところは、みな端折ってお話しましたのでもしご質問があれば、お返事しようと思います。

 

 


 

【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ①~⑤

 

http://bit.ly/UblzuJ

http://bit.ly/Ublqrq

http://bit.ly/UblmI0

http://bit.ly/TD4eJY

http://bit.ly/TD4Hfo

 

 


ヤブロコフ博士 参考資料  2012/12/15

 

http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/121215_a.pdf

 

市民社会にとってのチェルノブイリ原発事故の教訓 アレクセイ・V・ヤブロコフ

 

 

 

アルフレッド・ケルプライン博士 関連参考記事

 

木下黄太さんのブログ

http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/95b9bfbec0e065b54396a67b1684901d

 

 

Eisbergの日記

 http://d.hatena.ne.jp/eisberg/20110518/1305711941

 

 

放射線防護専門誌「放射線テレックス」12月号

フクシマ事故後の日本での新生児の死亡率
http://donpuchi.blogspot.de/

 

 

 

 

 

 


【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】④

2012-12-21 | ヤブロコフ講演文字おこし

2013/5/25 追記

2012年12/14のヤブロコフ博士東京講演ですが当記事では文字おこしを4分割していました。読みにくかったため1つにまとめ、動画から撮った画像でなく、後日アップされた当日配布資料から、講演の流れに沿って差込み、編集し直しました。

ですのでこちらをご覧ください。↓

【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

 

 


 

37:06~

 

しかし、人間の体内でも放射線の影響というのは、細胞や臓器の状態によっても変わってきますので、平均値ということ自体が不可能なことです。

 

 

それから、前提の⑤番ですね、臓器の相対的な放射線感受性のことで、生殖腺の0.2.から皮膚0.001まで、というようなことが、原子力屋によって言われていますが、これもまた科学的ではなく、臓器の放射線感受性というのは人によって非常に違っていますので、これはあまりにも単純化され過ぎていると言えましょう。

それからもうひとつの「1mSv//年は許容できるレベルである」それが科学的に正しくないというもう1つの理由は、この放射線の影響を受けるモデルとして考えられているのが、20歳、体重70kgの健康な白人男性が仮想的なモデルとされているからです。

 

 

 

こうした平均的なファントムのような人が存在するのではなくて、人によって放射線感受性というのは非常に違っていまして、14%の人たちが放射線に対してそれほど感受性が強くないとすれば、20%の非常に強い感受性を持った人々がいるというわけです。ですから人の放射線に対する感受性というのは非常に違っております。それから民族的な違いというのも、たとえばモンゴロイドであるとかあるいはアングロサクソンであるとか、そういった民族種の違いといったものも放射線に対する感度の違いをもたらします。

それともうひとつの科学的でない前提は、放射線量がすごく影響に反映するということです。

放射線量と生物学的影響が存在するのはこのまっすぐの線のラインのところだけです.

 

 

 

20mSv//年であるとか、それ以上の放射線量になりますと、放射線量と生物学的影響というのは比例する関係になりますが、より低線量の場合は線量が小さくても、生物科学的影響は大きいので直線的な影響ということにはなりません。

もうひとつの、原子力推進派たちが言っていることで大きな誤りは、「放射線の影響によって起きる病気というのはガンとほかのわずかな病気だけである」ということです。

 

 

 

今ここでは一つ一つあげませんが翻訳の方にあると思うんですけれども、要するに慢性疾患や遺伝子性疾患だけではなく、非常に放射線というのは病気に対する大きな影響力を持っています。

この中でも特に顕著なものについて申しますと、この放射線の大きな影響というのは老化を早めるということです。 これはある年齢の人たちが、その実際の年齢よりもずっと老けてしまうということです。 

たとえば除染作業員の外見というのはパスポートに書いてある年齢よりも78歳上に見えます。

 

2の結論ですが、「人間によって許容できる放射線レベル」、つまり先程から出てます1mSv//年というのは、信頼できる科学データに基づいていないということです。


 【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ①~⑤

http://bit.ly/UblzuJ

http://bit.ly/Ublqrq

http://bit.ly/UblmI0

http://bit.ly/TD4eJY

http://bit.ly/TD4Hfo

 

 


【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】③

2012-12-21 | ヤブロコフ講演文字おこし

2013/5/25 追記

2012年12/14のヤブロコフ博士東京講演ですが当記事では文字おこしを4分割していました。読みにくかったため1つにまとめ、動画から撮った画像でなく、後日アップされた当日配布資料から、講演の流れに沿って差込み、編集し直しました。

ですのでこちらをご覧ください。↓

【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

 


 

 

23:12~ 

 

 

 

 

ギリシャではチェルノブイリの降下物として、放射性銀、つまりセシウム137だけではなく他の放射性核種、ギリシャの場合ですと、放射性銀についても考察しなくてはいけないわけですが、これは福島に関しても同じことが言えます。

 

それから放射線、X線ですとかガンマ線、ベータ線についてなんですけれども、これについてはどのようにして計上することができるというんでしょうか?

このように①で取り上げられている「内部被曝と外部被曝を合計する」ということは、理論的には可能であっても実際問題としては不可能ではないでしょうか。

 

では内部被曝についてですが、内部被曝というものは、それぞれの人がどれだけ水を飲んだか、どれぐらい牛乳を飲んだかといったことによって決まります。

内部被曝に関しては、それぞれの放射線核種が体内にどれぐらいとどまっているかという平均値を求めなければなりませんが、放射線核種によっては5日しか持たないものもありますし、80日持つものもあります。

非常に長い半減期を持っているもの、たとえばストロンチウム85は骨髄の中に入ると50年そこにとどまっています。ストロンチウム85に関して言いますと、平均寿命は23ヶ月です。

 

 

それともうひとつの大きな科学上の誤りは、チェルノブイリ事故が起きてからの最初の年には被曝量が減少しました。

というのは放射性物質が土壌の中に降りていたからです。それと同様に今こちらの福島でも同じことが起きています。

つまり被曝線量の減少ということが起きています。

 

しかし、5年後には汚染はまた広がってきます。なぜかというと土壌に入った放射性核種は根の成長といっしょにまた上がってくるからです。たとえばストロンチウムは半減期30年ですけれども、根っこによって吸い上げられて表面に出てくるんです。

 

つまり最初に見られた放射線核種が、別の放射線核種にとって変わっていくというチェルノブイリで起きたことが福島でも起きるでしょう。セシウムやストロンチウムは、10年~15年という半減期を持つものですけれども、それ以外にもっと半減期が短いけれども強い作用を起こす放射能を持つものがあります。

 

 

  

先ほどのギリシャでもホットスポット上の地図を見ましたけれども、地表から10m?下がったところの放射性濃度というのは十何倍にも多かったり少なかったりすることがあります。

 

 

 

 

ですから住民にとっての1mSv//年という平均値あるいは基準値というものは、全くのおとぎ話であって放射線量、被曝量というのは人によって非常に違うものです。

 

原子力屋の測定によると、それぞれの放射線核種の生物学的影響は、120までにランク付けされます。

 

 

 


 

【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ①~⑤

http://bit.ly/UblzuJ

http://bit.ly/Ublqrq

http://bit.ly/UblmI0

http://bit.ly/TD4eJY

http://bit.ly/TD4Hfo

 

 


【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】②

2012-12-21 | ヤブロコフ講演文字おこし

2013/5/25 追記 

2012年12/14のヤブロコフ博士東京講演ですが当記事では文字おこしを4分割していました。読みにくかったため1つにまとめ、動画から撮った画像でなく、後日アップされた当日配布資料から、講演の流れに沿って差込み、編集し直しました。 

ですのでこちらをご覧ください。↓ 

【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)


 

 

 

 

18:21~ 

 

最初の2つの前提。これは実践的に全く不可能なことですし、それ以下のものは科学的に不正確です。

1の前提とは、「実効線量というのは、内部被曝と外部被曝の総和である」というものです。

しかし、チェルノブイリにおきましても福島におきましても、あまりにも様々な放射線核種が放出されたために

それを全て計上するというようなことは不可能です。

原子力推進論者たちが、基準として放射線核種として取り上げているのは、ヨウ素131とセシウム137だけです。

しかし、チェルノブイリ以後、ウクライナの首都であるキエフには、あちこちにセシウム137がありますが、キエフにとって放射線核種として重要なのはセシウム137ではないのです。

 

 

 

 

 

それから福島の後、どういった放射線核種が放出されているか見てください。

 

 

 

ヨウ素やセシウム以外にどれだけたくさんの放射線核種が放出されたか、これは非常に強力なものですが

こうした放射線核種については取り上げられていないのです。

ですから原子力推進論者たちが、内部被曝や外部被曝の影響を考慮するとかいっても、このセシウム以外の放射線核種について取り上げていないのに、どうやって内部被曝を考慮することができるのかわかりません。


 

【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ①~⑤

 

http://bit.ly/UblzuJ

http://bit.ly/Ublqrq

http://bit.ly/UblmI0

http://bit.ly/TD4eJY

http://bit.ly/TD4Hfo

 


【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】①

2012-12-21 | ヤブロコフ講演文字おこし

2013/5/25  追記

 

2012年12/14のヤブロコフ博士東京講演ですが当記事では文字おこしを4分割していました。読みにくかったため1つにまとめ、動画から撮った画像でなく、後日アップされた当日配布資料から、講演の流れに沿って差込み、編集し直しました。

 

ですのでぜひこちらをご覧ください。↓

 

【再掲】2012/12/14 ヤブロコフ博士東京講演会低線量被曝の健康影響(文字おこし)

 


 

 

 

 

 

 

(管理人より) 通訳の方の言葉をそのまま書き起こしています。間違いなど気づきがございましたらコメント欄からお知らせくださいませ。

 


 

 

12/15  アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会

 

「低線量被ばくの健康影響:国際機関の放射線安全概念を問う」

 

講演部分【文字おこし】①11:04~ 

 

 

私にとって、ここで皆さんにお話することは、とても嬉しいことですし、この講演は私にとって大変重要なものであります。

私は生物学者であり、大統領に対する生物学担当官(?)でした。私は10年以上にわたってチェルノブイリ事故の影響について研究しています。そして私は日本にとってチェルノブイリの本当の影響がどういうものであったかということを知るのが非常に重要であるということがわかっています。

私のチェルノブイリに関する本は、最初ロシアのサンクトペテルブルグで、それからアメリカのニューヨーク、そしてウクライナのキエフで出版されました。そしてこの本が3ヶ月か4ヶ月後には、日本で岩波書店によって出版されるということをお伝えしております。

「チェルノブイリ」が示したのは、「低線量放射線というものが重要ではない」というふうに思われていましたけれども実際には非常に大きな意味を持つということです。

明日私はチェルノブイリの影響についてお話をしますが、今日ここでは低線量被曝についてお話をしたいと思います。

そして私がこれからお話しますことは、ニューヨークで出版される雑誌「health&solution」に掲載されることになっております。口上が長くなりましたけれども、これから私の報告をさせていただきます。

 

福島とチェルノブイリに関して、なぜ原子力推進論者たちと普通のまともな人たちとの間に論争が起こっているのでしょうか?

原子力推進論者たちは、「1mSv//年という低線量被曝は人間にとって危険ではない」、と言っています。

そして日本においては、「20mSv//年でさえも危険ではない」、と言われているそうですが、これはもう気違い沙汰です。

実際のところは、公式に計測されたと言われている放射線量というものは計測不可能なものです。

そしてここに放射線量についての8つの前提が書かれております。

これから8つの前提の一つ一つに検討を加え、これが間違っているということを証明したいと思います。

 

 

 

 

 

  

<以下、動画上の資料アップが見切れているため不明なところがあります。青文字は資料の書き出し>

 

ここから

20121214

低線量被曝の問題:公的な放射線安全概念の不正確さ

アレクセイ・ヤブロコフ ロシア科学アカデミー、モスクワ(yablokov@voxnet.ru

 

●放射線安全に関する現在の制度は「実効線量」概念に基づいている。

国家の放射線安全基準は「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)と国際放射線防護委員会ICRP)の勧告に基づく。

これらの組織は許容できる放射線レベル(1年間に100万人に一人の追加的死亡)を1mSv//年としている。

 

●放射線安全の基本的な線量の概念は、必ずしも満たされない いくつかの前提に依存している。

 

    個人の実効線量は全ての放射線核種から生じる内部被曝と外部被曝の合計である。

    外部被曝レベルは、電離した環境において時間の経過により計算され、内部被曝は水・空気・食べ物を通じて体に入る放射線核種の量を通じて計算される。

    それぞれの放射線核種の影響は時間と空間において一定である。

    X線、すべてのγ放射体とβ放射体の生物学的効果は「1」、低速中性子「1」、α放射体と超高速中性子は「20

    相対的な放射線感受性:性腺の0.2から皮膚の0.001まで

    20歳で体重70kgの健康な白人男性の平均的な体の均質のファントム(「仮定の人」)人体への放射線影響のモデリングを認める。

    放射線量が高いほど、生物学的影響が高くなる。

    低線量被曝に関する研究が、ガン疾患およびいくつかの遺伝子疾患のみを考慮に入れているが、これらは数百万人に数人しか生起せるのが困難である。

 

●①~②の立場は計算上、非現実的であり、③~⑧は科学的に不正確である。

 

ここまで

 


 

【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】 ①~⑤

http://bit.ly/UblzuJ

http://bit.ly/Ublqrq

http://bit.ly/UblmI0

http://bit.ly/TD4eJY

http://bit.ly/TD4Hfo

 


 http://chikyuza.net/n/archives/28723  より

 ★アレクセイ・ヤブロコフ博士 プロフィール★

1933年モスクワ生まれ。モスクワ州立大学卒業。生物学博士号(海生哺乳類)取
得。ソ連科学アカデミー動物形態学研究所。28の集団生物学、進化生物学、放射
線生態学、環境政策に関する本の著者
74年~ソ連・ロシア科学アカデミー客員
88年~91年ソ連水産省の魚類学委員会議長
89年~91年ソ連最高会議生態委員会副議長ソ連人民代議員
91年~93年生態・公衆衛生に関するロシア大統領顧問
92年~93年ロシア領周辺海域への放射性廃棄物処理問題に関する国家委員会議長
93年~97年 ロシア国家安全評議会省庁間生態安全委員会議長
93年~05年ロシア環境政策センター創立者および代表
98年~ロシア科学アカデミー生態緊急問題に関する科学評議会副議長

主な著書:
“Variability of Mammals” (1976); “Nuclear Mythology” (1997); “Non-invasive Study of Mammalian Populations” (2004), “Pesticides – the Chemical Weapons that Kill Life (The USSR Tragic Experience)” (2004); “Russia: Health of the Environment and People” (2007); “Chernobyl: Consequences for People and Environment” (2007, 2009, 2011);
“Ecological Review of a Nuclear Industry” (2009); “Pro and contra a Nuclear Energy” (2012).

96年からアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員
08年から国際海生哺乳類学会会員
欧州放射線リスク委員会(ECRR)の共同設立者
05年「緑のロシア」政党主席

★ご参考:
☆『チェルノブイリ―大惨事が人びとと環境に及ぼした影響』の翻訳プロジェク
トウェブサイトより http://chernobyl25.blogspot.jp/p/blog-page_10.html

「1986年4月26日に起きたチェルノブイリ事故の被害をめぐっては、国連、IAEA
(国際原子力機関)、WHO(世界保健機構)などにより「直接的な死者は50人、
最終的な死者は4000人」といった過小評価が公式化されてきましたが、実態はは
るかに深刻です。なかでも、ゴルバチョフの科学顧問を務めたロシアの科学者ア
レクセイ・ヤブロコフ博士を中心とする研究グループが2009年にまとめた報告書
『チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(Chernobyl:
Consequences of the Catastrophe for People and the Environment)は、英語
だけでなくロシア、ウクライナ、ベラルーシ現地の膨大な記録や文献から、犠牲
者数を少なくとも98万5000人と見積もっています。日本大震災と津波が引き金と
なった福島原発事故により、私たちはチェルノブイリに匹敵する放射線被曝が日
常化する時代を生きなければならなくなりました。“フクシマ後”の日本人がチ
ェルノブイリ被害から学ぶには、その真相を知る必要があります。」
(星川 淳さん/作家・翻訳家/一般社団法人 act beyond trust 事務局長)

☆同書について紹介している映像(30分)日本語字幕付き
http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/info/chernobyl-a-million-casualties/