ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

林秀卿(イム・スギョン)、「従北」、「セッカル(色)論」等々・・・ (上)

2012-07-05 23:48:23 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 1991年、私ヌルボの初の海外旅行先は北朝鮮でした。
 その時のことは、本ブログの過去記事でもすこし書きました。(→コチラコチラコチラ。)

 旅行中、いくつかの外国人(日本人?)向け土産店でたくさん並べられていたのが2人の人物の石膏像でした。
 1人は、当時30代後半以上の日本人なら誰もが知っていたプロレスの英雄力道山。彼が実は現北朝鮮領内(咸鏡南道)出身ということは、すでにかなり知られていたので、とくに意外なことではありませんでした。

 ところが、もう一方の若い女性の像は誰なのか、私ヌルボもすぐにはわかりませんでした。
 北朝鮮オタクが何人もいるような団体なので、話を聞いているうちに、彼女の名前がイム・スギョンだということを知りました。漢字だと林秀卿
 その2年前(1989年)に、国禁に反して平壌を訪れた韓国の女子学生で・・・、という説明を聞いて、「ああ、あの学生か」と思い出しました。それが林秀卿について強く印象づけられた最初でした。
 彼女は北朝鮮で歓迎され、金日成とも会って話をし、北朝鮮当局の反対を押し切って板門店から韓国に戻り、即座に逮捕されました。
 この間の彼女の動静は大きく報道され、とくに韓国の進歩陣営からは彼女は「統一の花」とよばれて英雄視(アイドル視?)されました。
 ウィキの説明によると、その後5年の懲役刑判決を言い渡され、3年4ヵ月に服役した後、1992年に特赦で釈放されました。

 今、ネット上に1991年当時の彼女の石膏像の画像がないか検索してみましたが、ヒットは0。今にしてみれば買っておいてもよかったな、と思ってみても後悔先に立たず。田中裕子に目元が似ていて、楚々とした雰囲気ながらもしっかりした顔つきで、好印象ももったのですが・・・。
 しかし、1989年彼女が平壌市民を前に演説をしている場面の画像が、ある韓国サイトにありました。

         
   【聴衆の表情からも、彼女が歓迎を受けたことがわかります。当時20歳。今の顔が見たい方は画像検索すれば見つかります。】

 さて、それから21年経った今年6月初め。実に久しぶりに韓国紙に彼女の名前が大きく載っているのを見てビックリ。
 そのニュース記事がまた「あれまあ」といった内容。以下、日を追って見てみます。
 あ、前提として、この4月に行われた総選挙で、彼女は最大野党の民主統合党の比例代表候補者として立候補し、当選した新議員であるということをご承知おき下さい。

○6月1日
・ソウル市鍾路区の飲食店で、偶然居合わせた脱北者の大学生ペク・ヨセフさんに酒に酔って暴言。「変節者」とか「どこの馬の骨か分からない脱北者のガキが転がり込んできて、大韓民国の国会議員に言い掛かりをつける気か」等々。
○6月3日
・1日の林秀卿議員とのやりとりをペク・ヨセフさんがフェイスブックで公表。テレビ朝鮮のインタビューで詳細を語る。
・午後林議員は資料を配布。「青年が秘書らに“北朝鮮にいれば、その場で銃殺だ”と言ったのを聞き、一瞬感情が高ぶってあのようなことを口走ってしまった」と説明し謝罪。また河泰慶(ハ・テギョン)議員を「変節者」と非難したのは「かつて共に学生運動をしていたにもかかわらずセヌリ党を選択したからだ」と説明した。
・その河泰慶議員は「林議員は私が北朝鮮人権運動を行っていることに大きな不満を感じているようだ」とコメントした。
○6月4日
 各紙とも詳しい報道が続く。
・「ハンギョレ」は3日の時点で暴言の内容等を詳しく伝え(→日本語)、4日の社説でも「うわべだけの謝罪はだめ」と(意外に)厳しい論調。
○6月5日
 脱北者たちの声が保守紙を中心にいろいろ報じられます。
 「東亜日報」の「林秀卿議員、あなたこそがその変節の功労者」、「朝鮮日報」の姜哲煥記者(強制収容所からの脱北者)によるコラム「林秀卿氏が進むべき道」、北朝鮮と韓国で林秀卿氏に会った脱北者・朴相学氏による「韓国の従北主義者は良心の裏切り者」と題した「朝鮮日報」の寄稿等々。
 また渦中の人・ペク・ヨセプさんも「北朝鮮では林秀卿を変節者と呼ぶ」と題した「中央日報」の記事で北朝鮮での林秀卿のことを記しています。
 それらを通して、北朝鮮の人たちが訪北した時の彼女をどう見たか、ということを簡単にまとめるとおよそ以下の5項目になります。

 ①満20歳という若い女性が統一のために困難を乗り越えて訪朝したという事実だけでも感動した。  
 ②用意した原稿を読み上げるような型にはまった演説ではなく、自分自身の言葉で自然なスピーチをした。
 ③チマチョゴリではなく、Tシャツ、ジーンズにスニーカーという姿は北韓住民に新鮮な衝撃だった。
 ④北朝鮮政府という「お上」の意向に逆らって(!)板門店から韓国に戻るという意志を貫いた。
 ⑤北朝鮮の人々は、彼女が板門店から韓国側に入った瞬間に銃殺されるか、捕えられてほどなく死刑に処されると思っていたから、その分彼女を英雄視する気持ちが強まった。


 ・・・ところがその後の報道で、彼女は投獄されたものの死刑にならず、獄中で本も読んでいるとか、彼女の家族も捕えられたりしていないこと等を知って、北朝鮮の人たちは「アレレ!?」と韓国社会について自分たちが思っていた(思い込まされていた)ことの修正せざるをえなくなります。それが上記の「林秀卿議員、あなたこそがその変節の功労者」という言葉の意味するところです。

※ペク・ヨセプさんの名前から推察すると、キリスト教関係の脱北援助を得て韓国に来たのかな? 北朝鮮での元々の名前ではないと思われます。彼が韓国に来てからについての「朝鮮日報」のインタビュー記事」で、次のような体験を語っています。彼が入学した韓国外国語大学で、ある教授が自己紹介の中で自分がいかに北朝鮮に詳しいかを強調しつつ、北朝鮮関連の情報を4つのルートすなわち朝鮮中央放送や「労働新聞」など北朝鮮メディア、中国に住む朝鮮族と脱北者、韓国や米国から得ていると説明したので、ペクさんが手を挙げて4つのうち最も確実な情報は何かを尋ねところ、教授は「最も確かなものは「労働新聞」で、最も信じられないのは脱北者だ」と語ったとのことです。ペクさんは「その言葉を聞いた瞬間、血が逆流し、講義を聞くのをやめようとも思ったが、それでは自分が卑怯な人間になると思い、最後まで受講することにした」と語っています。

※この6月5日の時点で、ヌルボが愛読しているブログ<大塚愛と死の哲学>では「林秀卿氏の今は昔」という記事をupしています。(これに林秀卿氏の昔と今の写真もあります。)

 さらに長くなりそうなので、この後は(下)に続くということにします。

 → <林秀卿(イム・スギョン)、「従北」、「セッカル(色)論」等々・・・ (下)>
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[6月29日(金)~7月1日(日)]

2012-07-03 21:59:55 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 この1週間は映画を1本も観なかったなー、・・・って、それがフツーの日本人か。
 6月30日は東京まで行きながら、その日オーディトリウム渋谷で「鳳仙花~近く遥かな歌声~」を上映していたことを知ったのは帰宅後だったしなー(涙)。
 6月22日の「トガニ 幼き瞳の告発」の試写会&シンポジウムも気がつくのが遅すぎたしなー。孔枝泳作家と少しでも話したかったのになー(悔涙)。
 7月1日(日)は東京国立近代美術館フィルムセンターで今井正監督の「あれが港の灯だ」を上映しているのは知っていたけど行けなかったしなー。なんとか7日(土)には行かなければ・・・。
 それから、すぐ近所なのにSSFFも今回は悲しいかな全然行けなかったし・・・。
 こういうフツーじゃない上映は機会を逃さないようにしないとダメだなーということを痛感しています。あーあ・・・。

 さて、SARUさんのtwitterを見ていたら、先週かなり詳しく紹介した韓国のドキュメンタリー「二つの扉(두 개의 문)」について、DAUMとNAVERの評点の差が大きいというtweetがありました。先週のDAUMのネチズンの評点は9.3。NAVERは4.0を下回るほどだったようです。現時点ではDAUMは5.9に急落、NAVERは4.30。かなり差がつまったとはいえ、他のメディア同様、ここでも政治的立場が明らかな作品の場合は、数字にそれが現れるということですね。具体的には、左派色の強いDAUMの場合は、進歩陣営の立場からの作品には高い評点がつくというわけです。そして評点の中身をみると、「小さな池」等と同様、10点と1点の両極が多くなるという傾向があることがわかります。

 さて、韓国映画の現況。長く人気を維持した「建築学概論」に続いて「私の妻のすべて」も400万人を越えましたが、その後はどうもどんぐりの背競べといった感じ。そんな中で一般的(芸能ニュース的)に注目!というのが「RAIN vs チャ・テヒョン、8月超大作映画で対決!」という記事。「R2B:リターン・トゥ・ベース」「風と共に去りぬ」がその2本で、空軍戦闘機飛行士の愛と友情を描いた前者ではRAI(ピ)Nが韓国最高の戦闘操縦士たちの特殊飛行チームの最年少操縦士として活躍し、後者では時代劇初挑戦のチャ・テヒョンが天才的な戦略家として西氷庫(氷を保存した倉庫)の氷を盗むための作戦を展開するということのようです。私ヌルボは、超大作といわれても別になんとも心騒ぐことはないんですけどね・・・。

         ★★★ Daumの人気順位(7月3日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①おばあさんは1年生(韓国)  9.7(44)
②ヤコブへの手紙  9.5(23)
③語る建築家(韓国)  9.5(46)
④アンニョン、ハセヨ!(韓国)  9.5(45)
⑤第七の封印  9.3(23)
⑥オモニ(韓国)  9.3(21)
⑦石打ち刑  8.7(36)
⑧ミックマック  8.7(54)
⑨Delicacy  8.6(40)
⑩フランス特殊部隊GIGN  8.5(46)
    エールフランス8969便ハイジャック事件~

 今回の初登場は⑩「フランス特殊部隊GIGN ~エールフランス8969便ハイジャック事件~」のみ。この長~~いタイトルのフランスのアクション、実は昨2011年11月日本公開済みとか。しかしシアターNの例とショーのみの上映だったそうで、全然知りませんでした。1994年12月武装イスラム集団が起こした実際のハイジャック事件を題材に、フランス特殊部隊GIGNが解決するまでを描く骨太アクションだとか。そういう事件があったことさえ脳内から消えている・・・。最初から認識していなかった? 原題は「Forces spéciales」で、韓国題は英題そのままの「스페셜 포스」。

【専門家による順位】

①第七の封印  9.0(2)
②メランコリア  8.3(6)
③The Future  8.0(1)
④二つの扉(韓国)  7.8(5)
⑤アベンジャーズ  7.7(7)
⑥嵐が丘  7.7(4)
⑦よその国で(韓国)7.6(6)
⑧The Cabin in the Woods  7.5(4)
⑨レッドマリア(韓国)  7.5(2)
⑩アルマジロ  7.3(3)

 新登場は⑥と⑧の2作品。
 ⑥「嵐が丘」は、もちろんあのE.ブロンテの小説の映画化で、1939年から数えて9度目?(吉田喜重監督作品も含めて。) 今回のアーノルド監督作品は2011年ベネチア映画祭の金オゼッラ賞(撮影賞)受賞作で、映像美に注目!だそうです。またヒースクリフを黒人という設定にしたことの他、画面サイズが1.33:1のスタンダードサイズということが特色ということで、予告編(→コチラ)を見るとナルホドです。韓国題は「폭풍의 언덕(暴風の丘)」。韓国における世界の名作小説のリスト及びタイトル等については、本ブログ過去記事「韓国の世界文学全集」を参照されたし。(→コチラ。) 日本公開は未定のようですが、E.ブロンテの姉C.ブロンテの「ジェーン・エア」の(たぶん)4作目の映画が今上映されていますね。ヌルボは観に行こうかなと思案しているうちに首都圏の上映館は残り少なになってきました・・・。
 ⑧「The Cabin in the Woods」はアメリカのホラーSF。5人の大学生(男3女2)が休暇で遊びに行った森の中の小屋で、次々と恐ろしい事が起こる・・・。このテのよくありがちな設定の娯楽作品を専門家筋が評価するというのは何かあるのかな? この映画を観た人のブログ記事には「ホラーというよりスプラッター」で、「「ハァ?」って感じのオチで、登場する人物のどれにも惹かれ」ず、「一体どんなタイプの人がこの映画を「面白い」って思えるのかしらん?気が知れん」とボロクソのメタメタがさらに続いて、最後に「終わった後「・・・なんやねん!!!」という胸糞悪さ」でしめくくり。かえってちょっと観てみたくなった? 日本公開決定って、エッ来年なの!? 韓国題は「캐빈 인 더 우즈」。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[6月29日(金)~7月1日(日)] ★★★

         「アメイジング・スパイダーマン」が圧勝!

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(31)・・アメイジング・スパイダーマン・・6/28 ・・・・・・・・・・・・1,421,132・・・・・・・・・1,698,361 ・・・・・・・・15,209 ・・・・・1,114
2(2)・・後宮:帝王の妾(韓国)・・・・・・・・・・6/06・・・・・・・・・・・・・・122,703・・・・・・・・・2,452,996 ・・・・・・・・18,044・・・・・・・318
3(3)・・マダガスカル3・・・・・・・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・・・・・120,474・・・・・・・・・1,443,567 ・・・・・・・・11,241・・・・・・・397
4(5)・・私の妻のすべて(韓国)・・・・・・・・・5/17・・・・・・・・・・・・・・111,179・・・・・・・・・4,385,697 ・・・・・・・・32,727・・・・・・・240
5(20)・・The Cabin in the Woods・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・・・・99,846 ・・・・・・・・・・131,337 ・・・・・・・・・・・996・・・・・・・287
6(1)・・ミスGO(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・88,557 ・・・・・・・・・・551,829 ・・・・・・・・・4,036・・・・・・・309
7(4)・・ごますりの王(韓国) ・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・68,542 ・・・・・・・・・・432,359 ・・・・・・・・・3,076・・・・・・・272
8(7)・・チャ刑事(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・・・・・・21,181・・・・・・・・・1,325,854 ・・・・・・・・・9,661・・・・・・・114
9(6)・・ロックアウト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・・・・・・6,886 ・・・・・・・・・・457,094 ・・・・・・・・・3,338 ・・・・・・・・84
10(11)・・2度の結婚式と・・・・・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・・・・・5,584・・・・・・・・・・・・34,694 ・・・・・・・・・・・404・・・・・・・173
       1度の葬式(韓国)
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 初登場は1・10位の2作品。
 しかし数字を見ると1位「アメイジング・スパイダーマン」の週末動員数は2位「後宮」の10倍以上。一方最近公開された韓国映画「ミスGO」「ごますりの王」は早々と失速、「チャ刑事」も「後宮」もパッとせず。
 1位「アメイジング・スパイダーマン」は日本でも6月30日から始まっています。日韓ともに出足好調。満足度は日本の「ぴあ映画生活」74点、韓国の「DAUM映画」7.2、同「NAVER映画」7.62、・・・とまあこんなもんです。
 10位、「2度の結婚式と1度の葬式」は、イケメン医師((キム・ドンユン)=実はゲイと、妻の同僚医師(リュ・ヒョンギョン)=実はレズビアンの偽装結婚夫婦。ところが結婚10年目(!)に、夫は運命の彼氏(?)(ソン・ヨンジン)に出会い、恋に落ちる、・・・というロマンチック・コメディなのだそうです。キムジョ・グァンス監督自身同性愛をカミングアウトしたことで有名とのことです。ナヌナヌ、男同士のベッドシーンがあるの!? ふうーん。原題は「두 번의 결혼식과 한 번의 장례식」。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・二つの扉(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・4,933 ・・・・・・・・・・・・・15,665 ・・・・・・・113・・・・・・・・・・25
2(1)・・Delicacy・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・・・・・3,791 ・・・・・・・・・・・・・21,666 ・・・・・・・166・・・・・・・・・・20
3(3)・・よその国で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・5/31 ・・・・・・・・・・・・・・・1,012 ・・・・・・・・・・・・・28,971 ・・・・・・・224・・・・・・・・・・・9
4(6)・・まさかそんなはずはない(韓国)・・・6/21 ・・・・・・・・・・・・・・・・・220 ・・・・・・・・・・・・・・1,197・・・・・・・・・・9・・・・・・・・・・・3
5(7)・・The Future・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/17 ・・・・・・・・・・・・・・・・・190 ・・・・・・・・・・・・・10,116・・・・・・・・・82・・・・・・・・・・・2

 初登場は4位「まさかそんなはずはない」だけ。
 今年13回全州国際映画祭シネマショーケース部門に招請され好評だったという作品。
 お笑い芸人とつき合っていたものの振られてしまった女優、数々のスキャンダルを引き起こした結果、所属事務所から恋愛禁止令を命じられる。仕事場で男たちから求愛は続くがその気にはなれず、周りで続々と誕生するカップルを見ては心を痛めている。そんな彼女の唯一の癒しが、仲の良い先輩であるサンスンの歌だけ。その歌を聴きながら、無名のギターリストの演奏にひかれる。
 一方、名もない35歳のミュージシャン。結婚情報業者に行っても断わられてしまった彼はある日、映画の音楽の依頼を受ける。映像の中に出てくる女優に心をとめる・・・。
 そしてこの2人出会いの先は・・・、という物語のその先はヌルボにもわかりません。原題は「설마 그럴리가 없어」。
 5位「The Future」は5月22日の記事で紹介しました。韓国題は「미래는 고양이처럼」です。
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朝鮮戦争に国連軍兵士としてはるばるやってきた多くのトルコの若者たちは・・・・

2012-07-02 17:40:10 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 もう1週間経ってしまいましたが、先週6月25日、6.25(朝鮮戦争)62周年記念式典の中継をKBS1テレビで見たら、式典の最初が国連旗・太極旗そして国連軍として参戦した21ヵ国の国旗入場式でした。
 朝鮮戦争に国連軍として参戦したといえば、まずはアメリカを思い浮かべ、それ以外の国々は首を傾げる人が多いのではないかと思います。私ヌルボもそうでした。
 少し認識が変わったのは、5年ほど前だったか、釜山のUN記念公園(国連墓地)を訪れてからです。

 ウィキの<朝鮮戦争>の項目に載っていますが、アメリカの他の参戦国20ヵ国の国名を見ると、その中には意外に思う国々もあります。
 たとえばルクセンブルク、エチオピア、コロンビア、南アフリカ共和国など。
 そしてUN記念公園で、とくに目にとまったのがトルコ兵士たちの墓です。トルコからは約4600人の兵が派遣されましたが、→コチラの記事によると、朝鮮戦争で戦死したトルコ兵士は721人。これはアメリカ、イギリスに次ぐ多さで、うち462人の墓が戦死者墓地にあるそうです。

        
       【UN記念公園内のトルコ軍戦死者の墓域。】

 <かつて日本は美しかった>というブログ中に記事によると、「トルコ兵の勇猛ぶりは名高く、・・・ロシア嫌いのトルコ人は「朝鮮戦争を戦うことによって、日本を共産化から防いだ」という認識があるようで、彼らの一つの誇りになっている」とか、「朝鮮戦争から帰国するトルコ兵士たちは日本に立ち寄り親日感を増して帰国したといいます」などと記されています。

 朝鮮戦争とトルコについての韓国サイトの記事を見ても、ほとんどがトルコ軍の勇猛を称えたり、トルコに対する感謝の念を表したものです。

 しかし、私ヌルボが考えたのは、なぜトルコから遥か離れた朝鮮半島に4600人もの兵を派遣したのか、ということ。

 もしかしたら、ずっと昔からのロシアに対する敵愾心が関係するのかな、と思いました。
 これもさるブログ記事で知ったことですが、小室直樹・渡部 昇一「自ら国を潰すのか―「平成の改革」その盲点を衝く」(徳間新書)には「第二次大戦に際して、トルコは伝統的友好国の日独に遠慮して、最後まで『宣戦布告を渋った』」そうで、その結果「落とし前をつけさせる意味」で「朝鮮戦争参戦国としては、非欧米圏以外では最大の派兵を要請された」とあるそうです。
 この所説がどこまで正しいのかは未確認です。

 トルコ以外でも、エチオピアにしろコロンビア等々にしろ、朝鮮戦争参戦について当然それぞれの事情があったはずですが、すぐにはわかりません。

   
  【国名の列の右に派兵者数・戦死者数・UN墓地埋葬者数。下方、国連軍総計の下は非戦闘要員・無名勇士・大韓民国・総計。】

 6.25記念式典の中で、高校3年の女生徒が朝鮮戦争に従軍した祖父への手紙を朗読する場面がありました。祖父に対する敬愛とともに、連合国軍への感謝と、安保意識の重要性等が述べられていました。
 また、韓国内で6.25関係の催しがいろいろある中に、生徒による作文というのがあって、優秀作に選定されたものをネット上で読んだことがあります。その作文も、やはり国連軍として参戦した外国に対して感謝を述べたものでした。

 これらを聞いたり読んだりして違和感を覚えたのは、日本の平和教育との大きな差異です。
 戦争の悲惨さの実態や、戦争の過程や背景を学ぶことから、同様の悲劇が繰り返されることのないことがめざされる日本と、今も終わっていない(=休戦中)朝鮮戦争の中で、当時の韓国軍・国連軍の軍事行動を肯定的に捉えるしかありえない韓国の違いが如実に現れていると思いました。
 韓国の児童・生徒の皆さんにも、今はもっと多様な視点から学んでほしいものですが・・・。

 ヌルボがUN記念公園墓地でトルコ兵士の墓を前にして最初に想像をめぐらせたことは、男性皆兵制のトルコでいやおうなく兵士として派遣され、戦死した20~25歳の若者本人、あるいは遺族の心情はどんなものだったのかな、ということでした。墓石に記された名前や、戦死した日や場所等を読んでいくと、言いようのない痛切な思いにとらわれました。
 いくらその後称えられるようなことになっても、かけがえのない命は、文字通り何ものにも代えがたいものです。
 戦争に殉じた人々の魂の慰霊が「英霊を称える」という色彩を強めるほど、戦争の悲劇性が隠蔽されてしまう・・・。そんな懸念が、上述の朝鮮戦争の記念行事だけでなく、日本の靖国問題についても、また北朝鮮の朝鮮戦争についての教育内容等についてもわき上がってきます・・・。

★今年2月李明博大統領が中東を歴訪しました。その中で、「聯合ニュース」によると、国賓としてトルコを訪問した際、6日首都アンカラの韓国公園を訪れ、朝鮮戦争参戦記念塔に献花、黙禱したとのことです。そこでは、毎年、参戦記念行事や参戦兵士の追悼式が開かれているそうです。
 李大統領がそこで朝鮮戦争の写真を見学していた時、偶然出会った朝鮮戦争で戦死したトルコ軍兵士の未亡人と息子を慰労した、というエピソードも伝えています。

※李明博大統領トルコ訪問の関連記事を見ると、その訪問の意図が一目でわかります。
 「トルコとの原発交渉 今月中に代表団派遣=韓国」「韓国とトルコ 第三国市場への共同進出で積極協力」「韓・トルコ大統領会談 戦略的パートナー関係樹立へ」「李大統領がトルコ首相と会談 トップセールスで成果」「韓国 トルコと原発事業再交渉へ=日本に逆転受注か」「韓国とトルコ 20億ドル火力発電所建設でMOUへ」「韓・トルコ首脳 上半期中のFTA妥結を目指す」
※2月6日には、李明博大統領はJYJのジェジュンと一緒ににアンカラ大学に行って学生たちと懇談会をもち、夜もともにトルコ大統領の晩餐会に招待されました。関連ブログ記事→コチラ

★エチオピアから派遣された兵士たちは、帰国後、1974年のクーデター後社会主義体制となった中で苦しい生活を強いられたとかで、韓国では今もエチオピアに対し学用品の支援や、(華川郡による)参戦兵士の子・孫のための奨学金制度が行われています。(関連記事→コチラなど。)
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