4月28日の記事「申京淑の小説「オンマをお願い」がアメリカで好評」に対して、「韓国の小説を読みたいな~と思っているのですが、何を(誰を)読めばいいのか悩んでいて、ヌルボさんのこの記事にあたりました」というコメントをいただきました。
で、私ヌルボなりに考えてみました。
まず一般的に、「何か韓国書を読んでみたい」という方には、小説(とくに純文学)という、内容も表現も難しいジャンルの本よりも読みやすく、充実した読後感を味わえる本は他にたくさんあるので、ソチラをまずお薦めしたいと思います。
たとえば、漫画ではカンプル)(강풀。韓国で映画がヒット中の「あなたを愛しています(그대를 사랑합니다)」の他「馬鹿(바보)」や「26年(26년)」等々がおススメ。
そしてこれも映画化されたホ・ヨンマン(허영만)の「食客(식객)」シリーズ全27巻。韓国の食文化だけでなく、各地の方言も出てきます。
チョン・ヨンシク(정연식)の「月色の靴(달빛구두)」は親子の世代にわたる歴史を背景にした恋愛と友情をテーマにした文学的(?)漫画で、心を打たれました。
ノンフィクションではハン・ビヤ(한비야)の紀行文。ヌルボが読んだのは「風の娘、わが地に立つ(바람의 딸 우리 땅에 서다)」。
読みやすいといえば子ども向きの本。本ブログ4月7日の記事にも書いたように、ことわざ等々韓国語の勉強になる本もあります。
※ことのついでに、韓国語のなぞなぞの例は→コチラ。
小説でも、少年向きのものは読みやすくてネライ目ですね。最初にすごく感動したのは、国民的同様「故郷の春」の作詞者・李元寿(이원수)の「星(별)」という朝鮮戦争関連の短編集。その中の「山越え山(산 너머 산)」という作品はぜひ多くの人たちに読んでほしいです! 小説「モンシル姉さん」や絵本「こいぬのうんち」で有名な権正生(권정생)が書いた李元寿の伝記が「私が住んでた故郷は(내가 살던 고향은)」で、これもお薦め。まさに現代の韓国を描いた金呂鈴(김려령)「ワンドゥギ(완득이)」は爽やかな読後感で、映画化されることになって今撮影中?
李文烈(이문열)のような韓国を代表する作家も「하늘길(天への道)」という読みやすく、しかも深~い作品を書いてます。韓国サイトの読者評にも「쉬운글! 많은 생각!」とありました。
・・・ということで、やっと本題の小説について。実は本格的な小説は、一昨年やっと韓能5級合格というヌルボはまだそんなに多くは読んでなくて、そもそも語る資格があるのか、と自分でも疑問がイッパイ。
その点を承知していただいて、具体的にヌルボ推薦の作家や作品名を挙げるのではなく、小説を中心に良書を見つけるアタリのつけ方をいくつか挙げてみます。
①まず一番の方法は、実際に手にとって見てみること、・・・って当たり前ですか(笑)。
実はこのヌルボ、話題になる前に申京淑「オンマのために」や孔枝泳「るつぼ(도가니)」を購入したのは、書店(職安通りのコリア・プラザ、ソウルの教保文庫)でとくに裏表紙の惹句を読んで興味を持ったからです。上記の「ワンドゥギ」も同様です。
②韓国の新聞の読書欄から情報を得る。
ごく一例をあげると→こういう記事とか・・・。2009年12月3日の記事で紹介したカン・ジヨンの「新文物検疫所」という超オモシロ本を購入したのは「東亜日報」のパク・ソニ記者の記事を読んだのがきっかけでした。新聞の現物が手近になくても、インターネットで見られます、・・・って、ヌルボもそんなにマメにチェックしてるわけではありませんが・・・。
③教保文庫、YES24、アラディン等の韓国の書籍通販のサイトから情報を得る。
特にベストセラーとか、推薦書とか。まあ純文学のベストセラーを見ても日本作家とか他の外国作家の作品がやたら多いんですけどね。韓国人作家の作品については、本&著者の紹介に加え、レビューがけっこう役に立ちます。
④韓国文学を紹介している日本のサイトを参考にする。
たとえば、翻訳家よしはらいくこさんのブログ<韓国ブックカフェ>の中の「韓国の小説」「韓国のエッセイ」等。それから新潟大学の波田野節子先生の運営している「新潟で韓国と北朝鮮の現代小説を読む会」のリスト。
ヌルボが愛読しているブログ「晴読雨読ときどき韓国語」では、多くの韓国書を読んだ感想が載せられています。
子ども向きの本なら<韓国朝鮮子どもの文学&オリニネット>が絶対!
残念なのは、1990年代頃までの韓国の文学史を総合的に叙述したサイトはあっても(例えば三枝壽勝先生関係の→コチラや、→コチラ)、21世紀に入ってからの韓国文学を俯瞰するようなサイトがなさそうなことです。
⑤Innolifeのサイト中の書籍の通販は、各書籍に説明が詳しくついている点がいいです。また、同じInnolifeの「出版会だより」も大いに参考になります。
⑥韓国の文学賞受賞作をチェックする。
李箱文学賞・東仁文学賞・萬海文学賞など。どんな作家のどんな作品が注目されているか、とりあえず名前や作品名は頭に(なんとなく)入ります。
⑦韓国の現代作家たちについて書かれた本を読んで情報を仕入れる。
もちろんこんな本は和書にはないです。ヌルボが入手したのは、「詩人ウォン・ジェフン(원재훈)が会ったわれわれの時代の作家21人の幸福論」という副題のついた「私はひたすら文章を書き本を読んでいる間だけ幸福だった(나는 오직 글쓰고 책읽는 동안만 행복했다)」という本。作家21人の内訳は→コチラ参照。
おっと、この本まだ半分くらいしか読んでないということに今気づいた・・・。
⑧4月21日の記事「韓国の「今」の作家たち」で紹介した、2004年からYES24が実施している「ネチズン推薦 韓国の代表作家・若手作家」などから、今韓国の読者たちに人気の作家を知る。
上記文中で書名を具体的に挙げた本はどれも★5つですが、実際に購入したもののツンドクになったままの本や、読んだけどイマイチだった本はその倍以上はあるかも・・・。そんなもんでしょ。日本の本と同じで・・・。ま、本といい映画といい、試行錯誤を繰り返して目が肥えていくんですね。と最後に逃げを打って終わりにします。
あ、もうひとつ、
⑨韓国小説の翻訳書から情報を得る。というのがありましたね。たとえば「いま、私たちの隣りに誰がいるのか」には7人の若手作家の短編と、1991年に始まった日韓作家会議のこと等を記した中沢けいさんの一文も寄せられていて興味深いです。
で、私ヌルボなりに考えてみました。
まず一般的に、「何か韓国書を読んでみたい」という方には、小説(とくに純文学)という、内容も表現も難しいジャンルの本よりも読みやすく、充実した読後感を味わえる本は他にたくさんあるので、ソチラをまずお薦めしたいと思います。
たとえば、漫画ではカンプル)(강풀。韓国で映画がヒット中の「あなたを愛しています(그대를 사랑합니다)」の他「馬鹿(바보)」や「26年(26년)」等々がおススメ。
そしてこれも映画化されたホ・ヨンマン(허영만)の「食客(식객)」シリーズ全27巻。韓国の食文化だけでなく、各地の方言も出てきます。
チョン・ヨンシク(정연식)の「月色の靴(달빛구두)」は親子の世代にわたる歴史を背景にした恋愛と友情をテーマにした文学的(?)漫画で、心を打たれました。
ノンフィクションではハン・ビヤ(한비야)の紀行文。ヌルボが読んだのは「風の娘、わが地に立つ(바람의 딸 우리 땅에 서다)」。
読みやすいといえば子ども向きの本。本ブログ4月7日の記事にも書いたように、ことわざ等々韓国語の勉強になる本もあります。
※ことのついでに、韓国語のなぞなぞの例は→コチラ。
小説でも、少年向きのものは読みやすくてネライ目ですね。最初にすごく感動したのは、国民的同様「故郷の春」の作詞者・李元寿(이원수)の「星(별)」という朝鮮戦争関連の短編集。その中の「山越え山(산 너머 산)」という作品はぜひ多くの人たちに読んでほしいです! 小説「モンシル姉さん」や絵本「こいぬのうんち」で有名な権正生(권정생)が書いた李元寿の伝記が「私が住んでた故郷は(내가 살던 고향은)」で、これもお薦め。まさに現代の韓国を描いた金呂鈴(김려령)「ワンドゥギ(완득이)」は爽やかな読後感で、映画化されることになって今撮影中?
李文烈(이문열)のような韓国を代表する作家も「하늘길(天への道)」という読みやすく、しかも深~い作品を書いてます。韓国サイトの読者評にも「쉬운글! 많은 생각!」とありました。
・・・ということで、やっと本題の小説について。実は本格的な小説は、一昨年やっと韓能5級合格というヌルボはまだそんなに多くは読んでなくて、そもそも語る資格があるのか、と自分でも疑問がイッパイ。
その点を承知していただいて、具体的にヌルボ推薦の作家や作品名を挙げるのではなく、小説を中心に良書を見つけるアタリのつけ方をいくつか挙げてみます。
①まず一番の方法は、実際に手にとって見てみること、・・・って当たり前ですか(笑)。
実はこのヌルボ、話題になる前に申京淑「オンマのために」や孔枝泳「るつぼ(도가니)」を購入したのは、書店(職安通りのコリア・プラザ、ソウルの教保文庫)でとくに裏表紙の惹句を読んで興味を持ったからです。上記の「ワンドゥギ」も同様です。
②韓国の新聞の読書欄から情報を得る。
ごく一例をあげると→こういう記事とか・・・。2009年12月3日の記事で紹介したカン・ジヨンの「新文物検疫所」という超オモシロ本を購入したのは「東亜日報」のパク・ソニ記者の記事を読んだのがきっかけでした。新聞の現物が手近になくても、インターネットで見られます、・・・って、ヌルボもそんなにマメにチェックしてるわけではありませんが・・・。
③教保文庫、YES24、アラディン等の韓国の書籍通販のサイトから情報を得る。
特にベストセラーとか、推薦書とか。まあ純文学のベストセラーを見ても日本作家とか他の外国作家の作品がやたら多いんですけどね。韓国人作家の作品については、本&著者の紹介に加え、レビューがけっこう役に立ちます。
④韓国文学を紹介している日本のサイトを参考にする。
たとえば、翻訳家よしはらいくこさんのブログ<韓国ブックカフェ>の中の「韓国の小説」「韓国のエッセイ」等。それから新潟大学の波田野節子先生の運営している「新潟で韓国と北朝鮮の現代小説を読む会」のリスト。
ヌルボが愛読しているブログ「晴読雨読ときどき韓国語」では、多くの韓国書を読んだ感想が載せられています。
子ども向きの本なら<韓国朝鮮子どもの文学&オリニネット>が絶対!
残念なのは、1990年代頃までの韓国の文学史を総合的に叙述したサイトはあっても(例えば三枝壽勝先生関係の→コチラや、→コチラ)、21世紀に入ってからの韓国文学を俯瞰するようなサイトがなさそうなことです。
⑤Innolifeのサイト中の書籍の通販は、各書籍に説明が詳しくついている点がいいです。また、同じInnolifeの「出版会だより」も大いに参考になります。
⑥韓国の文学賞受賞作をチェックする。
李箱文学賞・東仁文学賞・萬海文学賞など。どんな作家のどんな作品が注目されているか、とりあえず名前や作品名は頭に(なんとなく)入ります。
⑦韓国の現代作家たちについて書かれた本を読んで情報を仕入れる。
もちろんこんな本は和書にはないです。ヌルボが入手したのは、「詩人ウォン・ジェフン(원재훈)が会ったわれわれの時代の作家21人の幸福論」という副題のついた「私はひたすら文章を書き本を読んでいる間だけ幸福だった(나는 오직 글쓰고 책읽는 동안만 행복했다)」という本。作家21人の内訳は→コチラ参照。
おっと、この本まだ半分くらいしか読んでないということに今気づいた・・・。
⑧4月21日の記事「韓国の「今」の作家たち」で紹介した、2004年からYES24が実施している「ネチズン推薦 韓国の代表作家・若手作家」などから、今韓国の読者たちに人気の作家を知る。
上記文中で書名を具体的に挙げた本はどれも★5つですが、実際に購入したもののツンドクになったままの本や、読んだけどイマイチだった本はその倍以上はあるかも・・・。そんなもんでしょ。日本の本と同じで・・・。ま、本といい映画といい、試行錯誤を繰り返して目が肥えていくんですね。と最後に逃げを打って終わりにします。
あ、もうひとつ、
⑨韓国小説の翻訳書から情報を得る。というのがありましたね。たとえば「いま、私たちの隣りに誰がいるのか」には7人の若手作家の短編と、1991年に始まった日韓作家会議のこと等を記した中沢けいさんの一文も寄せられていて興味深いです。
いろんなアプローチの仕方がありますね~。
日本語の小説だと、結構読書が趣味という友だちが周囲にいるので、情報交換もできるし、実際に本の貸し借りもやるんですけど、韓国の小説となると、なかなか難しくて…。
実際に手にとって見てから買いたいのですが、うちの市立図書館には韓国語の本(原書)がゼロなんですよね~。ひどい状況です。
韓国語の本をちゃんと備えている図書館の方が例外的というべきでしょうね。
ただ、韓国のサイトを活用すればさまざまな情報が得られると思います。私も「使いこなす」という域にはまだまだほど遠いですが・・・。
nikkaさんは은희경と김애란を注文されたそうですが、実は私も少し前から은희경の「소년을 위로해줘」という小説を読み始めてます。まあ読了まで2カ月はかかるかも・・・。いや、もっと?