新平家物語に麻鳥という人物が登場します。この人物は崇徳天皇の柳の水を守る水守なのですが、折りに触れて登場する架空の人物と思われますが中々重要な人物で、崇徳が流刑地・讃岐に居る折も苦労して当地に流れ着き塀越しに笛を崇徳に聴かせる場面があります。あ、麻鳥が外にきてくれたのだ、と崇徳は感動します。また麻鳥が人買いから救う美しく可愛らしい少女・明日香ちゃんが後日、例の祇王となる運命なのですが、このように吉川文学は人の心をいとも簡単に昇華させていきます。人は魂、心、身体で構成されていますが、その心は真善美をいつも求めています。特に優れた文学、絵画、音楽は、固まって緊張している身体をいとも自然にほぐしてくれます。フロイドの14の防衛機制(抑圧、感情転移、逃避などの)が心の病の遠因ですが、この新平家物語は現代の厳しい人生を乗り越えていく勇気と知恵を与えてくれています。:<想定外の運命:404-3>:
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