歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

“キッカケは嘉納治五郎”で県会議員の家でした。

2008年05月19日 | 街の風景
先週の続きです。

天神坂を登り切ると、左手に木立に囲まれ“別荘風”の建物が、右手には三階建ての邸宅が現れます。


別荘風の建物が建っている処が“三樹荘”。“三階建の邸宅”が建っている処が“嘉納治五郎別荘跡”だそうです。


案内板があります。


これを読むと、我孫子の先駆者は嘉納治五郎で、嘉納が甥の柳宗悦を呼び寄せ、柳の学習院仲間の、志賀直哉、武者小路実篤が集まり、そして、バーナードリーチ。

そして、杉村楚人冠、村川堅固と云った人も集まって来たのでしょう。キッカケは“治五郎さん”だったようです。


明治、大正の別荘地としては、鎌倉、葉山、伊豆、箱根、そして軽井沢、と云った処がやはり“一等地”だったのでしょうか。

現在でも常磐線の“沿線イメージ”は“それなり”ですからね。

柳が大正3年(1914年)から7年まで我孫子で暮らし、その自然環境から大きな影響を受けたと語っているようですが、それにしては6年間で去っていったのは何故でしょうか。

柳が去った後は、田中耕太郎、河村靖山(陶芸家知りません)が住み、そして、昭和28年から、“村山正八さん”が住んでいるようです。


それで、その村山正八さんですが、坂の途中に刻まれていた歌を詠んだ、“祥峰さん”だったのです。この祥峰さん95歳で今もご健在のようです。

こちら嘉納さんの別荘跡は見学はOKです。民家の造りになっていますが、いったい何の施設なのでしょうか。

兎に角、庭に入って眼下に広がる景色を確認しました。高い所から下を見下ろすのは気持ちがイイものです。


“ふつうの人”は、いつも見下ろしていると、いつの間にか、“見下す”、“さげすむ”、そんな気持ちに成る、危険性があります。

“ふつうの人”は、いつも見上げていると、いつの間にか、仰ぐ、敬う、尊ぶ、そんな気持ちに成る、危険性があります。

話は飛びますが、昨晩のテレビで、砂漠の国“ドバイ”の事を取り上げていました。建設中の世界一高いビルを、誇らしげに語る“指導者”が映し出されました。

私は、画面に向かって「○○と煙りは高い所に登る」と、思わず呟いてしまったのです。実体経済がほとんど皆無の国です。

まさに砂上の楼閣を見ているようでした。

権力者は、デカイ、高い、が好きなようです。北朝鮮も、中国も、ドバイも・・・・・・。国家の“コンプレックス”の強さと、建物の、デカさ、高さは、正比例するのかも?

東京都の新宿庁舎はバブルの塔?、バベルの塔?、どちらにしても、まぁ、そんなところです。

それで、この三階建ての民家風の建物なのですが、見回していると、一階の隅の部屋に管理人風の人が居ました。

そちらに向かって歩き出すと、向こうも気が付いたようで、ガラス戸を開けて待っていました。


「ここは、見学は自由ですよねェ?」と、先ず一言。

「はい。こちらの場所は嘉納治五郎の別荘跡地です」 60代後半で、定年後、臨時雇用の管理人の雰囲気を漂わせています。元市役所の戸籍係りの係長風です。

「あの~。特に、その~、関連するものなどは、何か残っていますか?」

「いいえ。たんなる跡地ですから、何も当時のモノは有りません」

「そうですか・・・、ふ~ん。それで、この建物は、何ですか?」

「市で会議室として使っています」

「会議室? 会議室ねェ~。しかし、三階建で、民家風で、立派な建物ですねェ」と云うと、少し考える様子を見せ、躊躇い勝ちに、

「我孫子にお住いの方ですか?」と訊いてきました。「つくば市から来ました」と云うと、

「そうですか、実はこの建物はある県会議員さんの家だったものを、市が買い取ったのです」との説明をしてくれました。

それ以上、細かい事は訊きませんでした。「もしかして何か?」「ヤバイ事情が?」、「深入りすると生命に危険がおよぶ?」、何て妄想を描きながら、お礼を言って立ち去りました。

自転車に向かって、5、6歩進んだところで引き返し、ガラス戸を開けて、「スイマセン。トイレ貸して頂けます?」と訊いたのです。

“元戸籍係り係長風”の方は、誰も居ない後ろを振り返り、何かを確認ような素振りを見せてから、「イイですよ。どうぞ」と、招き入れてくれたのです。

一瞬、“怪しい男を招き入れ、何らかのトラブルが発生したら、この俺の責任はどうなるのか?”何て、考えていたのでしょうか。

兎に角、広い玄関、広い廊下、広い家でした。用を足して戻る時に、一瞬、迷ってしまいました。土木建設関連の議員の方だった?


お礼を云って、自転車に戻り、ペットボトルのお茶を一口飲んで、眼下の眺めを今一度確認して、嘉納治五郎別荘跡地を後にしました。

元戸籍係りのおじさん。ありがとう御座いました。県会議員の件はあまり口外しませんから、でも、ブログには書きました。


それでは、また明日。



コメント
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