はい、本日も光る君へです。
兼家は、自らのまだらボケを自覚し、出家し関白から退くことを息子たちに伝えます。
後継に指名されたのは長男の道隆。次男道兼は猛抗議するが、父兼家に『 おまえのような人殺しに一族の長が務まるものか ! 』と罵倒されます。
これは、息子に対して、ちょっと酷い言い方。これまで道兼には汚れ仕事をさそておいて、この仕打ちはいくら何でも、と、思うのですが、道兼も、道兼で、後継指名を確信していたのも、いくら何でも、です。
兎に角、父の兼家は、可もなく不可もない、平凡な長男を後継指名。可は無く、不可ばかりの、粗暴な次男へは汚れ仕事担当を指示。
三男の道長については、政治の裏も表も理解し、いずれ関白を継ぎ、藤原家を継承していくと、確信していたと思われます。倫子への婿入りその事前工作。
それにしても、私が日本史の参考にしている、あの佐藤優氏推薦の『いっきに学び直す 日本史 古代・中世・近世』東洋経済新報社刊には、
『兼通(兼家の兄)と兼家、道隆と道兼との争いなどあった。11世紀のはじめ、道隆の嫡男伊周(これちか)と争った道長(966~1027 ) は、これを排除して政治の実権を握り、同族の争いも終わった。道長とそれに続く長男の頼道の時代に、摂関政治は全盛期を迎える事となった』
との記述。
で、この本では、長男の道隆の、政治的・歴史的な役割は触れられていません。やはり、ドラマに描かれているように、ことわざ通りの "総領の甚六" を地で行ったお方だったのでしょう。
いや、もしかして、歴史的にも、"総領の甚六 のことわざ" が生まれた要因の一人だったのかも ? 何て、思ったり。
それにしても、上記の記述の10行下には、
『道長の後をうけて、頼道(道長の嫡男)が後一条・後朱雀・後冷泉、三天皇の摂政・関白として権勢をふるた。しかし、頼道はその娘を後冷泉の皇后としながらも皇子を生むことに成功せず。加えて、摂関家の荘園集中に対する国司たちの不満も激しくなり、藤原氏を外戚としない後三条天皇(1068年)が即位すると、藤原家の権勢は急速に衰退』
と、あります。道長で全盛を迎え、息子頼道で衰退。権勢を誇ったのは僅か半世紀程度、道長の時代は限って云えば、そのまた半分の、四半世紀程度だったのです。
そして、そして、何といっても、摂関家への荘園の集中です。これは富の集中です。摂関家には税金が掛からないのです。この時代は土地の私有は認められていません、しかし、貴族、社寺は例外として荘園と云う私有地を所有していたそうです。
政権の中枢が、税金を払っていなと云う矛盾。どこかの政権政党、そう自民党と同じです。これでは、国は乱れ、衰退します。こんな事を道長はやっていたのです。
そして、そして、倫子の登場する場面転換で、映し出される池を配した豪邸。道長は、倫子の父源雅信から継承し、雅信の死後拡張した「土御門殿( 敷地は約120m四方で四千数百坪 )」と呼ばれた大豪邸を構え、倫子と暮らしているのです。
それで、それなのに、道長ですが、このドラマでは、何故か、とても、とても、とても、思いのほか、権力には関心が薄く、改革意欲にあふれ、心やさしい良い人に描かれています。
そうでした。道長は”光る君”で、まひろの、紫式部の、恋する相手でした。
それで、父、兼家の死に、悲しみ号泣した道長。父の裏の権謀術数には否定的であったが、全体としての統治能力については、それなりに尊敬していた道長。
また、兼家は、藤原家の後継としては、道長が一番適任だとの想いを、それとなく道長に伝え、道長も、それとなく自覚していた。まあ、そう思わせるシーンが何か所かありました。
まあ、そんな、こんなの涙シーンでした。
それで、道長の良いひとシーンです。
権力闘争に敗れ、自暴自棄となった兄道隆を励まし、立ち直らせたり。
藤原家に恨みを抱く側室の明子が流産した際、優しい言葉をかけ、明子を恨みから解き放ち、心を引き寄せたり。
でも、しかし、何故か、正室の倫子にだけは、とても、とても、道長は冷たいのです。この描き方に、今後の展開が隠されている? そうですよねェ? 静さん。
それで、二人の改革ですが、いろいろな抵抗にあい阻まれます。
まひろが、文字を教えていた貧しい少女は、手習いに来なくなり、様子を見に行くと、父親に、
『あんたが、うちの子に文字を教えている女子かい。余計なことはやめてくれ、うちの子は一生、畑を耕して死ぬんだ。文字何か要らねい』
と、激しく罵倒されます。
厳しい現実の前に、反論もできず、立ち尽くすまひろ。悲しそうにまひろを見つめる少女”タネ“ とても、とても、可哀そうでした。
こどもを虐めるな!と叫びたくなりました。
そして、道長は、検非違使庁(犯罪者を取り締まる役所)改革を道隆に反対されり、中宮問題で、道隆と衝突しり。
二人の世の中改革は挫折しそうになります。
そして、そして、道隆の、総領の甚六の、独裁が始まります。
まあ、いろいろ考えたり、調べたりで、それなりにボケ防止になっています。
それにしても、道長と倫子の関係が気になります。
倫子ですが、道長が大切に持っていた文を、まひろに見せるシーン。まひろは明らかに動揺を隠せませんでした。
賢くしたたかな倫子です、”まひろ”の反応から、差出人は”まひろ”と確信したようにも見えました。
道長が倫子に冷たいのも、倫子の正体が、いまだ見極められない、そんな気がするのです。
謎の多い倫子。静さん、これまでの展開に、各シーンに、いろいろと伏線を忍ばせている筈です。そして、倫子が単純なお姫様なら、黒木華さんを起用しないと思います。
話が長くなりました。
これで本日は、お終い。
それでは、また。