歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

"光る君へ" ⑦ 『星落ちてなお』心優しい道長しかし何故に倫子にだけは冷たいのか?  

2024年04月25日 | NHK大河ドラマ

はい、本日も光る君へです。

兼家は、自らのまだらボケを自覚し、出家し関白から退くことを息子たちに伝えます。

後継に指名されたのは長男の道隆。次男道兼は猛抗議するが、父兼家に『 おまえのような人殺しに一族の長が務まるものか ! 』と罵倒されます。

これは、息子に対して、ちょっと酷い言い方。これまで道兼には汚れ仕事をさそておいて、この仕打ちはいくら何でも、と、思うのですが、道兼も、道兼で、後継指名を確信していたのも、いくら何でも、です。

兎に角、父の兼家は、可もなく不可もない、平凡な長男を後継指名。可は無く、不可ばかりの、粗暴な次男へは汚れ仕事担当を指示。

三男の道長については、政治の裏も表も理解し、いずれ関白を継ぎ、藤原家を継承していくと、確信していたと思われます。倫子への婿入りその事前工作。

それにしても、私が日本史の参考にしている、あの佐藤優氏推薦の『いっきに学び直す 日本史 古代・中世・近世』東洋経済新報社刊には、

『兼通(兼家の兄)と兼家、道隆と道兼との争いなどあった。11世紀のはじめ、道隆の嫡男伊周(これちか)と争った道長(966~1027 ) は、これを排除して政治の実権を握り、同族の争いも終わった。道長とそれに続く長男の頼道の時代に、摂関政治は全盛期を迎える事となった』

との記述。

で、この本では、長男の道隆の、政治的・歴史的な役割は触れられていません。やはり、ドラマに描かれているように、ことわざ通りの "総領の甚六" を地で行ったお方だったのでしょう。

いや、もしかして、歴史的にも、"総領の甚六 のことわざ" が生まれた要因の一人だったのかも ? 何て、思ったり。

それにしても、上記の記述の10行下には、

『道長の後をうけて、頼道(道長の嫡男)が後一条・後朱雀・後冷泉、三天皇の摂政・関白として権勢をふるた。しかし、頼道はその娘を後冷泉の皇后としながらも皇子を生むことに成功せず。加えて、摂関家の荘園集中に対する国司たちの不満も激しくなり、藤原氏を外戚としない後三条天皇(1068年)が即位すると、藤原家の権勢は急速に衰退』

と、あります。道長で全盛を迎え、息子頼道で衰退。権勢を誇ったのは僅か半世紀程度、道長の時代は限って云えば、そのまた半分の、四半世紀程度だったのです。

そして、そして、何といっても、摂関家への荘園の集中です。これは富の集中です。摂関家には税金が掛からないのです。この時代は土地の私有は認められていません、しかし、貴族、社寺は例外として荘園と云う私有地を所有していたそうです。

政権の中枢が、税金を払っていなと云う矛盾。どこかの政権政党、そう自民党と同じです。これでは、国は乱れ、衰退します。こんな事を道長はやっていたのです。

そして、そして、倫子の登場する場面転換で、映し出される池を配した豪邸。道長は、倫子の父源雅信から継承し、雅信の死後拡張した「土御門殿( 敷地は約120m四方で四千数百坪 )」と呼ばれた大豪邸を構え、倫子と暮らしているのです。

それで、それなのに、道長ですが、このドラマでは、何故か、とても、とても、とても、思いのほか、権力には関心が薄く、改革意欲にあふれ、心やさしい良い人に描かれています。

そうでした。道長は”光る君”で、まひろの、紫式部の、恋する相手でした。

それで、父、兼家の死に、悲しみ号泣した道長。父の裏の権謀術数には否定的であったが、全体としての統治能力については、それなりに尊敬していた道長。

また、兼家は、藤原家の後継としては、道長が一番適任だとの想いを、それとなく道長に伝え、道長も、それとなく自覚していた。まあ、そう思わせるシーンが何か所かありました。

まあ、そんな、こんなの涙シーンでした。

それで、道長の良いひとシーンです。

権力闘争に敗れ、自暴自棄となった兄道隆を励まし、立ち直らせたり。

藤原家に恨みを抱く側室の明子が流産した際、優しい言葉をかけ、明子を恨みから解き放ち、心を引き寄せたり。 

でも、しかし、何故か、正室の倫子にだけは、とても、とても、道長は冷たいのです。この描き方に、今後の展開が隠されている? そうですよねェ? 静さん。

それで、二人の改革ですが、いろいろな抵抗にあい阻まれます。

まひろが、文字を教えていた貧しい少女は、手習いに来なくなり、様子を見に行くと、父親に、

『あんたが、うちの子に文字を教えている女子かい。余計なことはやめてくれ、うちの子は一生、畑を耕して死ぬんだ。文字何か要らねい』

と、激しく罵倒されます。

厳しい現実の前に、反論もできず、立ち尽くすまひろ。悲しそうにまひろを見つめる少女”タネ“ とても、とても、可哀そうでした。    

こどもを虐めるな!と叫びたくなりました。

そして、道長は、検非違使庁(犯罪者を取り締まる役所)改革を道隆に反対されり、中宮問題で、道隆と衝突しり。

二人の世の中改革は挫折しそうになります。

そして、そして、道隆の、総領の甚六の、独裁が始まります。

まあ、いろいろ考えたり、調べたりで、それなりにボケ防止になっています。

それにしても、道長と倫子の関係が気になります。

倫子ですが、道長が大切に持っていた文を、まひろに見せるシーン。まひろは明らかに動揺を隠せませんでした。

賢くしたたかな倫子です、”まひろ”の反応から、差出人は”まひろ”と確信したようにも見えました。

道長が倫子に冷たいのも、倫子の正体が、いまだ見極められない、そんな気がするのです。

謎の多い倫子。静さん、これまでの展開に、各シーンに、いろいろと伏線を忍ばせている筈です。そして、倫子が単純なお姫様なら、黒木華さんを起用しないと思います。

話が長くなりました。

これで本日は、お終い。

 

それでは、また。  

 

 

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"光る君へ" ⑥『進むべき道』アレとコレで石野真子と財前直見の変貌で律令体制の衰退へ

2024年04月18日 | NHK大河ドラマ

今回も、またしても、『光る君へ』のお話となります。

正直な話、そろそろ、もう、飽きてきつつあるのですが、兎に角、"光る君へ"は、いまのところ"ブログ更新"のネタとして、ボケ防止対策として、大事なのです。まあ、こんなことを冒頭から述べては、ホント、身もふたも・・・です。

ボケると云えば、先日、スーパーに買い物に行った際、到着直前で財布を持って来なかったのに気づきUターンとか、買い物忘れ防止の為に、事前に作成した買い物リストを忘れるとか、人の名前が出てこないとか、いろいろ危ないのです。

それと、録画したドラマを見るまでが億劫で、しかし、ところが、見始めると、これが面白くそれなりに楽しく見てしまう。また、ブログ更新も、書き始めるまでが億劫で、一二行書き始めると、それなり、スラスラ・スイスイとなったり、まあ、そんな、こんなの繰り返しの日々。

ところで現在、録画 (好きな時間に見る為) しているドラマですが、朝ドラの「虎に翼」、NHKBSドラマ10の「船を編む」の三本です。一番面白いのは、やはり「舟を編む~」ですかね。

「船を編む~私、辞書つくります~ (三浦しをん原作)」は、辞書編集者の、言葉へのこだわりが、情熱が、言葉の役割が、とても、とても、勉強になります。次回が最終回。それにしても、言語学者役の柴田恭兵(72歳)の容貌の変化に、歳月の流れを感じたりしています。

歳月の流れと云えば、光る君へでも、倫子の母役の石野真子とか、道綱の母役の財前直見とかに、歳月の流れを感じたりしています。まあ、毎朝、鏡に映る我が容貌にも、感じる事ですけどね。

トラと翼は、ヒロイン役が「伊藤 沙莉ちゃん」なので見ていますが、男社会と戦う女性の物語なので、女性が見る分には、それなりに面白い・・・と、しかし、男としては、それなりに・・・痛い。

伊藤 沙莉ちゃんですが、朝ドラ「ひよっこ」(2020年前期)から注目していました。米屋の娘で、米は食べずにパン食で、父親とのコミカルなやりとりが面白かったです。

それで、本題の「光る君へ」ですが、歴史的な背景とか、史実とドラマの関係とか、いろいろ勉強的な意味と、登場人物が多く、名前や、役職を覚えたり、それなりにボケ防止には役立っているような? そんな気がする今日この頃。

平安時代で、源氏物語で紫式部で、枕草子で清少納言で、"かげろう日記"で道綱の母で、摂関政治で政争謀略で 、いろいろと調べたり、考えたりで、ホント! ボケ防止。

それでは、13回『進べき道』です。

この市場での、"縫い針"と"カブ"の交換シーンですが、ここで、わたくし冒頭より引っ掛かったのです。物々交換が一般的だったの ? それとも、貧乏なまひろの特殊な事情? と思ったりしたのです。

調べて見ました。

708年に鋳造・発行された貨幣として"和同開珎"が日本最初の貨幣として教科書などに記されています。しかし、"一般的には流通はしていなかった" との説が有力で、貨幣が流通し始めたのは、鎌倉時代(1200年代前半 )に入ってからのようです。

"まひろ"の紫式部の時代は1000年前後で貨幣は流通しておらず、物々交換の時代だったのです。通貨を必要とする活発な経済活動も、貨幣の価値を保証できる強固な権力も存在していなかったのです。

はい、社会科のお勉強でした。

それで、市場でまひろは、文字が読めないために、親子が引き裂かれる悲しい現場に遭遇します。反物一反と子供一人が交換されるのです。

こういう、縄に縛られ悲しい表情の子供 ! 見ると、ホントに、ホントに、辛いです、悲しいです、可哀そうです。

そして、まひろは、読み書きを教えることで、世の中を変えていく一歩として、自分の使命として、"進むべき道"として行動を始めます。この女の子、とても、とても、可愛いで。

一方、道長の、"進むべき道"です。

領民に過剰な負担を強いて私腹を肥やす"国司"に対して、領民は中央政府に直訴。しかし、その訴えは簡単に却下される。

道長一人が「民なくば我々の暮らしもありません」として、詳しき審議すべきと発言するが無視されます。

二人は、世の中を変えるために、それなりに努力はするが、なかなか報われないのです。

そんな中、道長が婿入りしてからは数年間、会っていなかったまひろの窮状を耳にした倫子は、まひろを雇おうして、屋敷に呼び寄せるが、救いの手を断るまひろ。

別れた道長の屋敷で働くのは、いくら何でも無理筋の話。

その場で、倫子より意外な物を見せられるまひろ。自分が書いて道長に送った文を見せられたのです。道長は、ずっと、ずっと、大切にして、倫子と暮らす屋敷にまで持ってきていたのです。

道長は倫子に婿入りした後も、まひろを忘れていなかったのです。あの時の『妾であっても、まひろが一番』との言葉は嘘でなかった、と、気づくまひろ、動揺します。

忘れられない二人。幼いころに出会い、心を通じ合い、身も通じ合い、誓い合った二人。まひろの初めての男、道長の初めての女、忘れる事はできないのです。

帰り際、二人は、屋敷の中で出会います。

道長の屋敷を訪れたのですから、まひろとしては、もしかして ? は、それなりに覚悟していた筈。しかし、文を見せられた後ですから、かなりの動揺と混乱。

道長とっては、数年ぶりの、突然の再会です。動揺と混乱で呆然自失。

ここで、13回『進むべき道』はお終い。

それにしても、今回、まひろの文に書かれていた「陶淵明」の詩「帰去来の辞」も、道長の屋敷「土御門殿」も、私腹を肥やす「国司」も、すべてをひっくるめての「律令体制」についても、引っ掛かって来ました。

これは、また、いつかの機会に。

 

それでは、また。

 

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"光る君へ" ⑤ 妖しくも怪しい倫子! と 泣くまひろ! 怪演?の黒木華と好演の吉高由里子の対決 !

2024年04月11日 | NHK大河ドラマ

前回の続きです。

さすが、"ラブストーリー" の名手です、大石静さんです。

切れた、別れた、諦めた、と、思ったら、互いに、何度も、焼けぽっくりに火が付きそうになったり、消えかかったり、見ている者を、焦らします。

私としては、何故に道長? です。諦めの悪い奴だと思ったりしています。まあ、二人の関係は、最後まで、付かず離れずで、もつれ、絡まり、引きずっていくのでしょう。

それでは、第12回『思いの果て』です。

左大臣家の倫子を北の方とする、政略結婚を受け入れた道長。当時も、そして、今も、上級国民は、ほぼ政略結婚。

そも、そも、彼ら上級国民にとっては、今も昔も、政略としての結婚ではなく、結婚とは政略なのです。

それで、父から、道長との話を聞かされた倫子ですが、嫌がると予想していた倫子の口から、道長への想いを告げられ驚きの父、左大臣源雅信。

しかし、それにしても、この驚き方は、かなりくさい芝居でした。これは、雅信のキャラクター表現 ?  血筋としては一流で、人柄も良く、しかし、政治力は二流で、それなりに娘想いのやさしい父親ですかね。

彼の官位は従一位で、道長の父兼家とは、官位は同じですが、関白兼家の強引なやり方に、そして、官位は同じでも、天皇家につながる血筋で、家柄は上として、兼家を快く思っていない雅信。

ちなみに、官位は、正一位から少初位下まで30階に分けら一般的に、五位以上の官僚を「貴族」、三位以上の官僚を「公卿」と呼ぶそうです。紫式部 の父、藤原為時は、 正五位でギリ貴族。

この婚姻話は、兼家の血筋に、天皇家の血筋を入れ箔を付けるための、見え見えの政略結婚。可愛いい娘を、憎たらしい兼家の三男の嫁にするのは反対の雅信。

泣くほど好きでは致し方ないとして、倫子と道長の婚姻は進められる。倫子の妖しく、怪しい思惑を感じさせるシーン。

そして、"庚申待ち" の夜、人々は眠らない、眠ると腹の中にいる3種の虫が天に上り、天帝にその人の罪を告げると言われる中国の故事。大陸の昔の人はいろいろ考えるものです。

この夜、道長は、いまだ諦めきれないまひろに文を送り、密会します。

喜ぶ、まひろ、「妾でもいい、あの人以外の妻にはなれない」との思いを抱きつつ、密会の場に飛んでいきます。

『すまぬ、呼び立てて』

『いえ、私もお話ししたいことがあり、お会いしとう御座いました』

そこで、道長から告げられた言葉

『左大臣家の一の姫に婿入りすることとなった。お前には、そのことを伝えねばと思い参った』

想定外の言葉に、唖然、呆然、放心、虚脱、しばらく言葉も出ないまひろ。あの倫子さまでは、道長の心は奪われ、妾となったまひろは、忘れ去られると・・・。

『倫子さまは・・・大らかなすばらしい姫様です。どうぞお幸せに』

『幸せとは思わない。されど地位を得て、まひろの望む世をつくるべく、精いっぱい努めようと、胸に誓っておる』

『楽しみにしております』

妾でいいと言ってほしい道長。

『お前の話とは何だ?』

『道長様と私は、やはり、たどる道が違うのだと私は申し上げるつもりでした。私は私らしく、自分の生まれてきた意味を探してまいります。道長様もどうぞお健やかに・・・では』

すべては終わったと悟り、別れを告げ去って行くまひろ。

道長も、すべては終わったとして、その足で、倫子の居る屋敷へ向かう。

"しな垂れ掛かる" 倫子。愛の欠片もない、見え見えの政略結婚に対して、この反応、戸惑いつつも、"妖しさ" と"怪しさ" を感じつつ、抱き寄せる道長。

倫子との結婚で、道長の、

『幸せとは思わない。されど地位を得て、まひろの望む世をつくるべく、精いっぱい努めようと、胸に誓っておる』

思いは、少しずつ、権力闘争大好き人間に変貌していく、そんな気がするのです。倫子は、妖しくて、怪しい、したたかな女性だと考えます。

それで、突然ですが、ここで、"平安の世"とは、如何に ? と、先ずは気になっていた、人口構成を調べてみました。

平安時代の日本の人口は各種の推測値としては、600万~700万位のようで、平安京の人口の推測値は10万人位のようです。

平安貴族の人数は、上級貴族は30人 (三位以上)、中級貴族 ( 五位以上) は900人、そして下級貴族は4千人で、合計すると4,930人となる。 当時は位階を持つのはほとんどが男性であり、 つまりこの約5千人というのは、ほとんどが成人男性だそうです。

 

と、云う事で、全人口の1.5%が都に住んでいて、都に住んでいる中の10人に一人がが貴族だったようです。

これで、"平安の世" が、以前よりも、何となく、それとなく、少しだけイメージできた気がします。

それで、話を戻します。

これまで、泣いてばかりで可哀そうな "まひろ" 、"紫式部"も一度結婚したそうですが、数年で夫と死別、その後は独身で通したそうです。

それにしても、これまで、泣くシーンが多くありました。吉高由里子さん、とても、とても、涙のシーン、好演でした、素敵でした。

1988年7月生まれで35歳、娘役として、今が一番、脂が乗っています。やっぱり、時代劇向き ?

まひろ・紫式部が、権力闘争を背景にした、長編ラブストーリー「源氏物語」を書き上げたのは、現実には叶わなかった恋の欲求を、妄想と云う形で昇華したのが、源氏物語だった、ような思いに駆られる今日この頃。

それと、ついでと云ってはなんですが、倫子役の黒木華さんですが、1990年生まれで34歳。まひろの由里子さん、と、倫子(ともこ) の華(はる) さん、同年配の二人、役柄としても、女優としても、今後の対決が楽しみです。

はい、これで、本日の第12回『思いの果て』のお話はお終い。

それでは、また。

 

 

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"光る君へ" ④ 北の方と妾の間は無いのです ?  

2024年04月04日 | NHK大河ドラマ

前回の続きです。

第11回、『まどう心』です。

父為時は、政変で失職。"まひろ"は、左大臣の娘 "倫子" に口添えを願うが、いつもと異なる激しい口調で拒絶され、止められ摂政の" 兼家 "に直談判。

しかし、兼家からは、冷たく、厳しく、憎たらしく、拒絶され、これで、父の官職への道は、ほぼ完全に閉ざされます。

思いつく限りの方策は、すべて徒労に終わり、使用人は解雇し家事を自らが行い、もう、なるようにしかならないと、ほぼ観念したまひろ。

でも、しかし、もしかして、もしかして、道長が・・・、救いの手を・・・、かすかな期待を抱きつつ、日々を送るまひろ。

そんなある日、父・為時の同年配の友人"藤原 宣孝"が心配して、為時の留守にまひろの家を訪れます。

『婿を取れ。有望な婿がおれば何の心配もない』

『このようなありさまの家に、婿入りするお人なぞおりますでしょうか?』

『北の方(正室)にこだわらなければいくらでもおろう。そなたは博識であるし話も面白い。器量も・・・そう・・・悪くない。誰でも喜んで妻にするであろう・・・』

『私は、しょう(妾) になるのは・・・』

『私にも幾人の妾がおるが、どの女子も満遍なく愛しんでおる、文句を言うものなぞおらん・・・もっと男を信じろ、まひろ』

年老いて捨てられた妾の、悲しくも哀れな姿を見ているまひろ。

まひろは惑います。もしかして、できることなら道長の正妻に、北の方に、一縷の望みを託します。

そんな日々、歌会の席で、引く手あまたの倫子が、まひろに、

『わたし、今、狙っている人がいるの。両親は猫にしか興味が無いと思ってますけど・・・でも、必ず夫にします。この家の婿にします』

と打ち明ける倫子。

引く手あまたの倫子が、これまで断り続けた理由は、あらゆるつてを使って情報を集め、将来、権力を手中に収める、そんな器量の男を物色していた、と、思います。

それは、私が勝手に思ったのではなく、うすうす、そう思わせる脚本の、演出の、演技の、結果だと、そう思うのです。ホント、倫子は、賢さと、したたかさと、そして、怖さをも、併せ持つ女性。

ここで一言。

人間には、①支配したがる者 ②支配されたがる者 ③支配したくも、されたくもない者、この三種類に分かれる、と、考えます。または、野党的資質? 気質?の者と、与党的資質・気質の者に分かれる、と、考えます。

道長を、権力闘争大好き人間に変えたのは、この倫子の資質・気質の影響が大だと、そう思えて来ました。

そして、そして、待ちに待った、道長から届いた手紙。逢瀬の場に、淡い期待を抱きつつ、飛んでいくまひろ。

抱き合い、求め合う二人、長く、激しく、濃厚な口づけ、いや、"口吸い"、糸引くような口吸いです。これは、実際に舌を絡ませています。NHKとしては、かなり思い切った過激なシーン。

そして、道長は、

『妻になってくれ。遠くの国へは行かず、都に居て、政の頂を目指す。まひろの望む世を目指す、だから傍にいてくれ。二人で生きていくために俺が考えたことだ』

『それは、私を北の方にしてくれるってこと ? 』

『・・・・・・』

『ショウ ( 妾 めかけ ) になれと云うこと ?』

『北の方は無理だ。されど、俺の心の中ではお前が一番だ。まひろも心を決めてくれ』

『心の中で一番でも、いつかは、北の方が・・・』

『それでも、まひろが一番だ』

『耐えられない、そんなの !』

『お前の気持ちは分かっておる』

『分かってない ! 』

『ならばどうすると言うのだ ! どうすれば、お前は納得するのだ・・・言ってみろ・・・、遠くの国に行くのは嫌だ。偉くなって世を変えろ。北の方でなければ嫌だ。勝手なことばかり、勝手な事ばかり言うな』

捨て台詞を残し、道長は去って行くのでした。淡い期待は、木っ端みじんに打ち砕かれました。

妾となる事を拒絶した事で、道長との関係を終わらせてしまったまひろ。それでも道長への想いは残り、拒絶への後悔と、終わってしまった関係に涙するまひろ。

まひろと決別した道長は、父の兼家にたいして、ある決意を継げます。

どうする? どうなる? まひろと道長です。

第11回『まどう心』でした。

ここで、一つの疑問。

正室がだめなら、側室の手があると思うのですが、何故、妥協点として側室の提案はなかったのでしょうか?  受領貴族の娘だとしても、いきなり妾はないと思うのです。

そうでした。そもそも、ここで二人が結ばれては、ドラマは12月を待たずして、終わりを迎えてしまいます。ここで悲しい別れで前半の山場。

これから中盤は、まひろ、道長、倫子の三人の絡みで展開していく?

まあ、それは、それとして、そういう事なのだとして、この続きを期待します。

 

それでは、また。

 

 

 

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