市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

春の背骨光りつ伸びゆ揺籃と巣穴ひとしくアリスの母胎

2009-02-10 09:04:06 | Weblog
 朝に。




 大気がしめり、水分をふくむ。つめたさのなか、潤うもののやわらかさ。



 春へわたる時間。沈丁花、そろそろほころび初めて。



















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きさらぎの白夜の朝よ帆の指に太古の鰭ふる透きとほり見ゆ

2009-02-09 07:58:17 | Weblog


 朝に。



 銀鼠いろの雲がひくく空を覆う。


 ひかりつめたく大気をかげる。



 寒い。 自分の体温が朝の空気のなかへ散ってゆく。






 今日も、いちにち丁寧に……と思う。

 さまざまなめぐりの中にあって。




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惑星の大気まとへば孤独ならむ鳥の心臓夕星(ゆふづつ)となれ

2009-02-07 16:57:36 | Weblog


 夕暮れ


 
 ヨダカの星。



 三岸節子さんの絵など、思い出して。




















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追憶はなほガラスいろ残像の揺するぶらんこ春の無言歌

2009-02-06 16:13:34 | Weblog

 おしごとのあいま、公園で、ふるいぶらんこを見て。



 ときおり、現実の記憶よりも、演じたお芝居の感覚のほうが強く思い出される。


 「ガラスの動物園」


 ローラのことなど。


 テネシー・ウィリアムスのお姉さん。



 


 人気のない公園には、誰かの、たぶんこどものなわとびの縄が、忘れられていた。













 
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ひいやりと春の片身は舞ひ降りぬてのひらに思慕あたためて待つ

2009-02-04 08:19:56 | Weblog


 立春。



 空はしらじらと雲が覆う。低くつめたい風。なお春半ば。


 うらうらとした節分の昨日、そして冷ややかな今朝。


 寄せかえる波のように季節がうつろってゆく。



 道すがら、梅林。

 とおるたびに、満開の枝から早春の香りが聞こえる。


 嗅覚を聴覚。


 むかしは、香りを「聞いた」

 それはふしぎで、自然な感覚。


 ドビュッシーの音楽にもあったっけ。

 「音の香りが夕べの空にたちのぼるとき」


 もしも、視覚が消えたなら、音や匂いは、立体のような力を帯びて、感覚の世界にたちあがってくるのかもしれない、と思う。







 

 今日のつとめを、丁寧につつがなく果たせますように。


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寒椿みづからひらく未知ならむ風の見えざる風野あゆみつ

2009-02-02 13:07:49 | Weblog


 寒い日。


 風に吹かれながら1時間ほど外出介助を終えて。

 曇り日。


 
 たまさかお日さまが顔をのぞかせると、沈んだ色調の世界が一変してあかるむ。

 あたたかい。



 午後のおしごとはキャンセルになった。


 透明な冬の風は見えず、冬の枝をすりぬけるさやぎもない。


 空を渡り地面を吹きなびかせてうつろってゆく季節の動き。



 風の音。

 人の声のあたたかさ。


 
 






 
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アルファポリス