ラファエルロの聖母を描きはじめた。
「大公の聖母子」
古風な表現だが、このマリアの顔はまさに、玲瓏珠の如し。優雅優美、柔らかく、ふくよかで暖かく、それでいて人間味からはひんやりとした距離がある。
これが画家の顔か、と吐息をつく。レオナルドとラファエルロは世に稀な美青年だったそうだ。
わたしはルネサンスのマエストロの中ではミケランジェロが一番好き。
今、ラファエルロを模写し始めて、彼に畏怖を感じている。50才のわたしより、38才で亡くなったはずのラファエルロは既に、はるかに、永遠に若い青年画家だが、底知れない表情。
だから天才なんだろう。
描きながら、わたしの魂が吸い込まれるように深く神秘的なマドンナ。
まるで能面の増女のよう。
今日も良い日だった。感謝。