フリーター対策は、日本が抱える喫緊の課題となっているが、反面、彼らの存在が日本経済を下支えしているのは皮肉でもある。フリーターはニートと異なり、働く意欲を持っているだけに、低廉な労働力確保に貢献しているのが現実だからだ。
日本の人件費は諸外国と比べると極めて高い。それが物価に跳ね返っているわけだが、フリーターが増えているおかげで、コンビニや外食産業界等では、パート等の低賃金労働者の恩恵に浴している。これが正規社員ばかりだったら、コンビニは24時間営業出来ないし、ファミレスやジャンクフード店は軒並みに値上げせざるを得なくなる筈だ。
フリーターと言っても、一律に片付けるわけにはいかないが、高邁な目的や理想を追求している者以外は、やがて自分が社会的に不利益をこうむる立場にいることに気付くだろう。だが、気付いた時にはリカバリー不能な位に格差がついていることを知らないといけない。30才、40才と高齢になればなる程、パートや契約社員としての就業機会すら少なくなるのが現実だ。
小泉首相は、「資本主義社会である以上、格差はある程度やむを得ないが、負け組が復活するチャンスを与えれば良い」というが、残念ながらこれは幻想でしかない。現政権が目指す方向は、アメリカ型の資本原理主義だから、強者にやさしく弱者には厳しい。弱者は復活するチャンスすら喪失することになるのが落ちである。
これでは人気に影響するので、 ポスト小泉の有力候補の安倍官房長官が、”再チャレンジ構想”を打ち出したが、中身は対症療法でしかない。人生とは死ぬまで働くことと思っている人は別として、70歳定年制など論外だ。再度、日本経済の高度成長を支えてきた日本企業の原動力が何だったかを問い直すべきだと思うのだが。