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★沖縄への思い(2/2):復帰の深淵

2010-06-25 08:59:43 | 日記・エッセイ・コラム

 6月19日夜、NHKがある番組を放映した。タイトルは、「密使若林敬 沖縄返還の代償」。故佐藤総理の直使を務めた国際政治学者の若林が、沖縄返還のためには、核持込みの密約を「他策なしと信じた」交渉過程と葛藤をドキュメント・タッチで描いたものだ。

 彼は、1994年に「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」を出版し、国家機密を公にした。本の冒頭、「鎮魂献詞」として、『1945年の春より初夏、凄惨苛烈を窮めた日米沖縄攻防戦において、それぞれの大義を信じて散華した沖縄県民多数を含む彼我20数万柱の全ての御霊に対し、謹んでご冥福を祈念し、この拙著を捧げる』と記している。

 続く宣誓文には、『永い遅疑逡巡の末、心重い筆を執り遅々として綴った一篇の物語を、いまここに公にせんとする。 歴史の一齣への私の証言をなさんがためである。この決意を固めるに当たって、供述に先立ち、畏怖と自責の念に苛まれつつ私は、自ら進んで天下の法廷の証言台に立ち、勇を鼓し心を定めて宣誓しておきたい。』とある。

 「非核三原則」が評価され、ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作。著書出版の2年後、毒杯を飲み自らの命を絶った若林敬。政府が一貫して存在を否定し続けて来た機密文書が、政権交代で明らかになった。普天間基地移設問題は、沖縄返還に関わる歴史検証抜きには解決出来ず、まさに政治家のリーダーシップが問われ、国民共通の課題でもある。と同時に、放映されたタイミングに、メディア戦略の怖さと歴史のひだに飲み込まれる人間の哀れを感じている。


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