ザールの珠玉の田舎町(続々々々々々々々)

 
 ハンスさんは仏教美術を愛していて、東洋に赴くたびに骨董屋に足繁く出入りて、仏像や陶磁器のような古美術品を蒐集していたのだという。
 中国で購入した古美術品について、熱心に説明してくれるハンスさん。が、私たちには仏像や焼き物への関心があまりないし、知識もないし、語学力もないしで、ハンスさんについていけない。
 一息吐いて、「理解できてますか?」と尋ねるハンスさんに、私たちは悪びれなく、「ア・リトル(少しだけ)」と答える。
「OK、OK」とハンスさん。それでもめげずに懸命に喋り続ける。

 よく、日本人の英会話はボーリングのようだと聞く。大きな玉をただ一つ、一方的にボカンと投げたきり、黙ってしまう、というわけ。
 が、会話というのは、こういうハンスさんのように、話し好きの、できた人間を相手にして、ピンポンのように小さな玉を何度も繰り返し返していくほうが、上達するように思う。

 後でハンスさんが車でその周囲を回ってくれたのだが、メトラッハには、世界的に有名なビレロイ&ボッホという陶器メーカーの工房があって、見学も可能なのだという。
「こういう陶磁器には、関心あるのかい?」
「あんまり。絵のほうが好きです」
「オー」

 まだ時間がある、と答える私たちに、ハンスさんは、「じゃあ、シェンゲンに行ってみよう」と、私たちを案内する。

 To be continued...

 画像は、シェンゲン、協定記念碑。

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