ドイツ最古の都(続々々)

 
 思っていた以上に俗化されたトリーアで、へとへとに疲れてしまった私たち。大聖堂に入って、しばしの休憩。精神的疲労の後には居眠りが到来する相棒、大聖堂にて、長いあいだ瞑目する。

 宮殿からカイザーテルメン(皇帝の大浴場跡)へと続く公園は、周囲を囲む庭木がトンネルのようにトリミングされている、一面の緑の芝生。親子や若い男女たちが、バスタオルほどの布を敷いて、寝転んだり座ったりしながら日光浴。どうやら地元の人たちは、こっちの宮殿公園のほうで過ごすらしい。

 ドイツの若者たちもまた、若者らしい軽さ、馬鹿さを持っていて、ジーパンを腰の下までずらして履くし、コーラをがぶ飲みするし、小鼻や唇にピアスをするし、腕にタトゥーをする。
 タトゥーは流行っているらしく、町では怪しげなタトゥー屋を見かけるし、スーパーにはタトゥー・シールのオマケが付いたお菓子も売っている。トリーアで見た若者の腕には、「尊重」なんて漢字が彫って(貼って?)あった。

 別に行かなくてもよかったのに、せっかくだから、とカール・マルクスの生家へ。ガイドブックには、ごく普通の家なので見過ごしてしまう、とあったが、確かに、記されている何とか通りを歩いていても、見当たらない。
 うろうろしていた東洋人の二人連れに、中年の女性が、わざわざ車の窓を開けて身を乗り出して、声をかけてくれる。
「マルクスの家を探しているんでしょ? それならもっと向こうよ」
 ……つまり、マルクスの家なんて、観光客しか訪れそうにない場所ってことなんだろうな。

 ようやく駅に着いたら、たった1分前に列車が出たばかりだった。次の列車が出るのは50分後。まだ明るいとはいえ、もう7時になるのに。
 前日のコッヘムではあんなにアップ・ビートだったのに、マルクスの故郷トリーアに来てからは、最後までダウン・ビートだった。

 To be continued...

 画像は、トリーア、カール・マルクスの生家。

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