エルツ城へ

 
 コッヘムに滞在中、エルツ城まで足を延ばすことに。エルツ城は、エルツ川の流れる緑の谷間にひっそりと佇む、ドイツでは名の知られた古城。山大好き人間の相棒が、観光局の写真を見て、是非でも行くと決めたところ。
 コッヘムから最寄りの駅、モーゼルケルン(Moselkern)まで鉄道で20分、そこからは徒歩1時間。半日かけての小旅行。

 モーゼルケルンまで、モーゼル川沿いを走る列車の車窓からは、川岸に連なる小高い丘が見える。この時期のモーゼル川の緑は、青々とした濃い緑ではなくて、新緑のような明るい、繊細な緑。モーゼル川の水も、褐色がかった澄んだペール・グリーン。
 岸辺には誰もいそうにないのに、駅が近づくたびに、駐車場にキャンピング・カーがずらりと並んで現われる。

 モーゼルケルンの駅は閑散としていて、そこから続く古い町並みは、いかにも田舎の鄙びた感じ。てくてく歩いてゆくと、やがてエルツ川が現われる。心地好い音を立てて流れる川水。
 それまで私が見てきたドイツの川は、いかにも大陸の川らしい、川床の勾配が緩やかで、水量が一定した、海のように船の行き来する、悠々と流れる川だった。エルツ川には、ドイツに来て初めて聞く、音声多重な川音があった。
 川沿いにはいかにもドイツらしい、洒落たふうな別荘やペンションが並んでいる。さらに進むと、道は木々に囲まれた、葉を散り敷いた土の道へと変わる。人工物がもう何もなくなる。そしてちらほらと、同じくエルツ城を目指すらしい人々の姿を見かけるようになる。

 山道に入る手前のベンチで、エルツ川を見ながらお弁当。私たちの昼食は大抵、ユースホステルの朝食のパンに、同じく朝食のチーズやハム、バターやジャムをサンドして包んだもの。それと果物。
 ドイツにはコンビニなんてないし、テイクアウトできるパン屋がいつもあるわけではない。小食で、食いしん坊でもない私たちには畢竟、このパターンのお弁当が昼食となる。

 To be continued...

 画像は、エルツ川畔、ベンチ前。

     Previous / Next
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )