朝鮮半島で、いま、これまでに無い大きな動きが広がっている。
発端は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が、元日の新年辞で平昌(ピョンチャン)冬季五輪に代表団を派遣する用意があり、そのために南北当局間の会談ができると発言。
この発言に韓国は大きな衝撃を受け、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領は即座に動き始めた。金正恩はその翌々日の一月三日に、南北間を結ぶホットライン(直通電話回線)の再開を指示し、その日のうちに再開が実施され、さらに、同じ日にそのホットラインからの電話で、北朝鮮の連絡員が「文在寅大統領」と呼称したという(聯合ニュース四日付「北朝鮮が初めて『文在寅大統領』と呼称 今後の動きに注目」)。
北朝鮮が公式発表や談話などで大統領の名前と大統領という肩書とを共に用いたのは今回が初めてで、これまでは「南朝鮮執権者」などと呼称していたのであった。この発言を韓国は注視。
同日、文在寅大統領は「平昌五輪とパラリンピックは韓半島の平和を知らせるラッパになるだろう。氷を砕いて道をつくる砕氷船のように危機を突破して平和に進む道を開く」と発言。
南北は協議を重ね、十七日の南北協議の共同報道文を発表、そこには「韓国と北朝鮮は、平昌五輪の開会式で朝鮮半島旗(統一旗)を掲げ、合同入場」と明記。
統一旗とは、白地の中央に空色の朝鮮半島と済州島を描き、軍事境界線なき朝鮮を表したデザインで、その鮮やかな旗からは「朝鮮は一つ」という主張が伝わってくる。
スポーツ大会などで韓国・北朝鮮両代表団が「コリア」チームとして共同活動を行う際に掲げられる他、両代表を応援する際などにも頻繁に使用されている。
さて、これらの動きは、もはや誰も止めることはできまい。休戦状態となっている朝鮮戦争を終結させる大きな動きになるはずだ。
これにひきかえ、日本は「戦争する国」に向かってまっしぐらだ。朝鮮特需とベトナム特需で高度経済成長を遂げたが、戦争することで新たな特需を狙う。
南北の動きに米国は表向き歓迎を表明しているものの、北の核・ミサイル開発は止まったわけではないので、北に対する執拗な牽制を仕掛けてくるだろう。
米国はキューバを巡ってスペインと戦争(取り合い)した後、途切れ目が見つからないほど戦争を続けた国である。米国の経済は戦争に依存しなければ、成り立たないのだ。
日本をそんな国にしてはならない。
聯合ニュース: 北朝鮮が初めて「文在寅大統領」と呼称 今後の動きに注目
時事通信: 南北協議の共同報道文全文
ハンギョレ: [社説]破格の北朝鮮新年の辞、“平和”の突破口開く契機に
東亜日報: 北朝鮮が南北通信チャンネルを再開、牽制する米国
ウィキペディア: 統一旗
統一旗 2003年ユニバーシアード