チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

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はじめての方は「チエちゃん」のカテゴリからお読みいただくことを推奨しています。 もちろん、どこからお読みいただいてもかまいません。

うらんぼんの夜/本

2021年08月26日 | 
著者:川瀬七緒(朝日新聞社出版)2021年

川瀬七緒さんは、私が応援している(応援?というのも変か?)福島県白河市出身の作家さんです。
私は「法医昆虫捜査官シリーズ」が大好きなのですが、最近では「賞金稼ぎスリーサム」や「仕立屋探偵 桐ケ谷京介」などの新シリーズ、おどろおどろの単発ものなど意欲的に執筆されています。

本作品は、「おどろおどろ」のジャンルに入るでしょうか。
おじいちゃん、おばあちゃんが活躍するのも彼女の作品の特徴です。

福島県県南に地方で暮らす女子高生遠山奈穂は、古い風習が残る田舎の村を脱出しようと計画を立てているが、夏休みの間中、農作業を嫌々ながらも手伝っている良い子だ。
そんな中、内(隣組的な集落)へ東京からの転居者がやって来る。
その家族には、奈穂と同い年の女の子がいるらしい。
どうやら学校も同じらしいのだ。気になって仕方がない。

さて、内には、古いお地蔵様が祀られ、十六歳以上の内出身者以外はお参りしてはならないという決まりがあった。
内のお婆ちゃんたちは毎日お地蔵様にお参りし、見張りをしていた・・・

最後の最後が一番怖い!夏の夜にぴったりな一冊!
「うらんぼん」とは「盂蘭盆会」から来る言葉。お盆のこと。



さよならの儀式/本

2021年07月30日 | 

著者:宮部みゆき(河出書房新社)2019年

久々に、本のカテゴリー投稿です。
いや~、作家さんの想像力・創造力はほんとにすごいなと思います。
この作品は「8Science Fiction Stories」というサブタイトルが付いているとおり、8つの作品からなる短編集です。
タイトルとなっている「さよならの儀式」は、人間生活のあらゆる部分にロボットが導入されてる近未来(?)が舞台。
ここに描かれている未来は、すぐそこまで来ているんだね~
でも、そういう時代になっても人間としての基本的な部分は変わらない。
変えてはならない。
それが、宮部さんの書きたかったことじゃないかと思ってます。
どのストーリーも、あなたならどう思う?と、疑問を投げかけられているような気がしました。

あ~、おもしろかった!



蘇我の娘の古事記/本

2020年12月08日 | 
著者:周防 柳(角川春樹事務所)2017年

タイトルに惹かれて借りてみました。
タイトルや装丁って、とても大事だと思います。それで、読者が手に取るかどうか決まるのだから。
私の場合、知らない(一度も読んだことが無い)作家さんの作品で「あ、これ!(なんかピンと来る)」と手に取り読んだ本は、ほぼ間違いなくヒットします。この作品もそうでした。
蘇我の娘の古事記(ふることぶみ)って何?

蘇我蝦夷(そがのえみし)の命で国史を編纂していた船恵尺(ふねのえさか)は乙巳(いっし)の変で殺された入鹿(いるか)の忘れ形見の娘コダマを我が子として育てていた。
盲目の少女コダマは、小兄ヤマドリがその目となっていつも傍に寄り添い、すくすくと育っていた。コダマは昔々の大王の物語を聞くのが大好きだった。
やがて、二人は成長し、互いに惹かれあってゆく。
ある時、出生の秘密を知った二人は本当の兄妹ではないことを喜び、結ばれる。
しかし、コダマとヤマドリの幸せは続かなかった。
大王の争いが二人を引き裂く・・・

作家さんの創造(想像)力ってすごいな~
どうやって古事記が出来たのか?の物語です。
こういうのもアリだと思います。

私、忘れてた。仕事辞めたら、飛鳥時代のこともっと勉強したいって思ってたんだ。😍 



雲霧仁左衛門/本

2020年10月23日 | 
著者:池波正太郎(新潮文庫)

実は、この夏たくさん本を読みました。
柚月裕子さんや川瀬七緒さん、東野圭吾さんなどなど。
宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズを読み返してみたり。
杉村三郎を読むと、ドラマ化主演の小泉孝太郎さんのイメージがどうしても浮かんでしまうんですけど、それもそのはず、なんと宮部さんが小泉さんを指名されたそうなんです。どうりで、イメージにぴったりだと思ってました。

あ、横道に逸れてしまいましたね。
今回、久々に時代物を読んでみました。
いや~、池波正太郎ワールド。最高ですね。
物語の世界にぐんぐん引き込まれてしまいます。

雲霧は盗みの掟 三か条 殺めず、犯さず、貧乏人から奪わず を守る本格派の盗人だ。
狙うは名古屋の豪商・松屋吉兵衛。その金蔵には二万両に及ぶ財貨があるともうわさされる。
雲霧はこの金を支度金として最後の大盗みを働いたのち、配下に引き金を渡し、盗みの世界から引退しようと考えていた。
配下七化けのお千代を引き込み役として、吉兵衛の女房とすることに成功する。
だが、火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の動きや、盗人櫓(やぐら)の福右衛門の横やりを察知した仁左衛門は、配下の者でさえもあっと驚く急盗み(いそぎばたらき)をやってのける。
ところが、盗み金は予想を下回る五千両ほどであった・・・

読者はかっこいいダークヒーロー雲霧を応援したくなります。火付盗賊改方の包囲網から逃げおおせて欲しいと願ってしまいます。とはいえ、そこは泥棒なわけですから、正義ではありません。
その辺りを池波さんは見事に描いてくれました!

NHKでドラマ化された仁左衛門役の中井貴一さん、よかったですね~
火付盗賊改方長官・安部式部役の國村隼さんもかっこよかったです。

往復書簡

2020年04月11日 | 
著者:湊かなえ(幻冬舎)2010年

かなり前に「告白」を読んで以来、有名作家さんなのになぜか手に取ることができなかった湊かなえ作品。
今回リクエスト本が届くまでの期間と思い、借りてみました。
往復書簡のタイトルどおり、やり取りした手紙という形式で語られてゆきます。
3つの短編からなる作品です。
う~ん、どんでん返しがあって、面白いのはおもしろいんですよ。
でも、な~んかダメ。私には合わない。
ああ、だから手が出なかったんだね。
おそらく、この作家さんは好きな人はたまらなく好きで、嫌いな人は大嫌いと両極端に分かれるのじゃないだろうか。

湊さんの作品は今後読まないと思います。(ごめんね)






鬼を待つ

2020年02月05日 | 
著者:あさのあつこ(光文社) 2019年

時折、無性に清之介に逢いたくなる。
遠野屋清之介は人たらしだ。
物語の中の人々も、読者さえもたらし込む。

大工の棟梁慶五郎が殺された。
喉元を一文字に切り裂かれ、その上には五寸釘が・・・
探索に乗り出す同心木暮信次郎と岡っ引き伊佐治。
だが、ほんの糸口さえもつかめない。
一方、遠野屋清之介は商用で訪れた大店八代屋で、亡くなった女房おりんとうりふたつの小女と出会う。
心を乱される清之介。
小女の正体は? 殺しの下手人は?

久しぶりに清之介に逢えて満足!
あ~、おもしろかった。




盤上の向日葵

2019年10月04日 | 
著者:柚月裕子 (中央公論新社) 2017年

東大卒のエリート棋士・上条桂介は、プロ棋士の養成機関である奨励会を経ず、実業界から転身し特例でプロになった。
不利な将棋でも耐えて受け続ける粘り強さもさることながら、我慢に我慢を重ねた終盤、一瞬の隙をついて、まるで火がついたように相手の玉を追い詰める寄せの迫力からついた異名は「炎の棋士」。
平成6年12月、上条は将棋の街天童市で竜昇タイトル戦最終戦に臨んでいた。

一方、平成6年8月、大宮市の山中で、白骨遺体が発見される。
その遺体が胸に抱いていたのは、時価六百万円の将棋の駒だった。
なぜ、そんな高価な将棋の駒が遺体とともに埋められていたのか?
元奨励会員の刑事・佐野は、将棋の駒を追うことに・・・

NHKBSでドラマ化されたので、読んでみました。
途中から、結末は想像できましたけどね。
あ~、おもしろかった!
柚月裕子さん、要チェックです。

夜明けの縁をさ迷う人々

2019年09月11日 | 
著者:小川洋子 (角川書店) 2007年
思いっきり泣ける本が読みたくて図書館の本棚を探してみましたが、どれがそれなのか判らず、タイトルが気になって借りた本がこれです。
ブラック・ユーモア的な短編集でした。
小川洋子さん、好きな作家のひとりですが、今回プロフィールを見て岡山県出身と知り、納得。
岡山県出身の作家さんといえば岩井志麻子さんが有名ですが、あさのあつこさんも岡山なんですよ。
作風は違いますが、私の中では同じ匂いがします。
強くて、頑固で、やさしい。岡山女、好きだなぁ。

それと、リクエストして半年待ってた思いっきり泣ける本の順番が回ってきました。
明日、借りてこようっと。
本を読む気力が戻ってきましたよ。



トキオ/本

2019年05月14日 | 
著者:東野圭吾 (集英社)2002年
少し古い作品ですが、初めて読みました。
私、こういう作品大好きです。
若き日の父親拓実の元に、タイムトラベルした息子トキオが逢いに来て、父親の危機を救うって話。
ガリレオや加賀刑事のシリーズものより、ずっといいと思います。
東野作品で、私が最初に読んだのは「白夜行」なんですけど・・・なんだろう?ストーリー展開がスティーブン・キングに似てるなって。
この作品もそういう所あります。
東野さん、キングのファンなのかな?

で、この作品の話に戻りますけど、現在(年取ってる)の父親拓実と若き日の拓実の性格が、違い過ぎです。カッとなる性格って、そうそう直るもんじゃありません。>< そこだけが、ちょっと?でした。
同じタイムトラベルものでは「パラドックス13」も好きな作品です。






おらおらでひとりいぐも/本

2019年03月30日 | 

著者:若竹千佐子 (河出書房新社) 2017年

図書館にリクエストしていたこの本、半年経ってやっと借りることができました。

それだけの人気本です。

そして、私、それだけ待てる年齢になりました。

これは『老い』をテーマにした小説です。

読んでいると、なんだか解らないけれど、涙が溢れてきます。

これは桃子さんの物語ではありますが、著者若竹さんの物語でもあり、読んでいる私・チエちゃんの物語でもあるし、貴女の物語でもあると思います。

私も、桃子さんのような境地を得ることができるのでしょうか?

ひとつだけ、最近思うことがあります。

それは、子どもの頃や若い頃には『死』がとてつもなく怖かったけれど、今はそうでもないということ。

たぶん、子どもを産み育てたことで、一つの役目を果たしたことがインプットされたからじゃないかと思っています。

それから、父を看取ったことも大きいと思います。

老いの先の死は、生から解放されて楽になるのだと。