チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

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はじめての方は「チエちゃん」のカテゴリからお読みいただくことを推奨しています。 もちろん、どこからお読みいただいてもかまいません。

おらおらでひとりいぐも/本

2019年03月30日 | 

著者:若竹千佐子 (河出書房新社) 2017年

図書館にリクエストしていたこの本、半年経ってやっと借りることができました。

それだけの人気本です。

そして、私、それだけ待てる年齢になりました。

これは『老い』をテーマにした小説です。

読んでいると、なんだか解らないけれど、涙が溢れてきます。

これは桃子さんの物語ではありますが、著者若竹さんの物語でもあり、読んでいる私・チエちゃんの物語でもあるし、貴女の物語でもあると思います。

私も、桃子さんのような境地を得ることができるのでしょうか?

ひとつだけ、最近思うことがあります。

それは、子どもの頃や若い頃には『死』がとてつもなく怖かったけれど、今はそうでもないということ。

たぶん、子どもを産み育てたことで、一つの役目を果たしたことがインプットされたからじゃないかと思っています。

それから、父を看取ったことも大きいと思います。

老いの先の死は、生から解放されて楽になるのだと。

 


海馬の尻尾/本

2019年03月21日 | 
著者:荻原 浩(光文社)2018年

俺には恐怖心がない。他人を可哀相とも思わない。キレッ、キレッのヤクザだ。
ある日、カシラにアル中を治すよう大学病院を紹介される。
病院なんか行きたくもねえが、これは命令だ。逆らう訳にはいかない。
医者は、俺の病気を「反社会性パーソナリティ障害」=サイコパスだと言いやがった。
そして、入院治療を受けろと言う。
一方、俺は待合室でやけに人懐っこいガキ梨帆(リホ)と知り合う。
そんな中、俺はオヤジ(組長)のゴルフの御供をした。
ゴルフ場に向かうオヤジのクルマに鉄砲玉が飛んできて、俺はカーチェイスの末に撃ったヤツを車ごと崖から転落させ、殺っちまった。
二人組の片割れをなぜか見逃してやったことで、俺の仕業であることがバレ、逆に俺は追われる身となってしまった。
カシラからしばらく身を隠せと言われて、俺が思い付いたたった一つの隠れ家は大学病院だった・・・

タイトル『海馬の尻尾』は(かいばのしっぽ)と読みます。
脳の器官の一つ『海馬』は、小指ほどの大きさで、記憶をつかさどる。
私はここに記憶を溜めるのかと思っていましたが、本によると記憶を蓄積するのではなく情報を取捨選択し記憶すべきかどうかを決める場所ということです。
そして、しっぽとは、視覚、聴覚、嗅覚などの外的な刺激に反応して、快、不快、恐怖、緊張、不安、痛みなどの情動を生み出す場所『扁桃体』のことを現しています。

荻原浩さんは、好きな作家のひとりです。
物語はハッピーエンドとは限らず、考えさせられたり、切なくなったりします。

あ~、おもしろかった!



マスカレード・ホテル/本

2019年03月03日 | 
著者:東野圭吾(集英社)2011年

この前、ヒロシと観に行った木村拓哉さん主演で話題の映画「マスカレード・ホテル」の原作です。
映画は、ほぼ原作に忠実でした。
ただ、やっぱり心の描写は活字に敵わないですよね。
それを(言葉なしに)映像で表現するのだから、役者さんはすごいです。
私は映画を先に見てしまうと、先入観で役者さんのイメージが抜けないから原作を先に読みたい派ですが、この本ではなぜか主人公新田刑事のキムタクさんは(イメージとして)全然出て来ませんでした。
それよりもホテルマン山岸尚美役の長澤まさみさんの顔がチラついてしまいました。
それと、新田刑事の相棒 品川署刑事能勢役に小日向文世さんのイメージがぴったりでしたね。

東京都内で起きた3つの殺人事件現場から不可解な数列のメモが発見された。
捜査本部は連続殺人事件とみられる暗号の謎を解き、第4の殺人がホテル・コルテシア東京で起こると推測する。
第4の事件を阻止すべく、捜査本部は捜査員をホテルマンとして潜入させることに。
警視庁捜査一課新田浩介は帰国子女の英語力を買われフロントスタッフとして配置される。
ホテル側では、新田の指導教育係として優秀なフロントクラーク山岸尚美を任命する。
怪しい『お客様』が次々と彼らの前に現れる。
果たして誰が犯人なのか? ターゲットは誰なのか?
映画観ちゃった後なので、面白さは半減でした~

マスカレードシリーズとして、他に「マスカレード・イブ」「マスカレード・ナイト」があるそうなので、早速図書館にリクエストしようっと。

ケモノの城/本

2017年11月04日 | 
著者:誉田哲也(双葉社) 2002年

以前読んだ「ヒトリシズカ」がおもしろかったので、読んでみました。
誉田さんて、結構猟奇的な殺人書いてます。

この作品は2002年に発覚した「北九州監禁殺人事件」をモデルに書いていると思われます。
拷問と虐待によってマインドコントロールしたあげく、殺して、死体をバラバラに処理させる・・・

グぇ~と思いながら、読んでいると・・・

TVでは、座間市のアパートで9人のバラバラ遺体発見!のニュース。

ゾーーーーッとした!



北九州監禁殺人事件が発覚したのが3月で、「ケモノの城」が発行されたのは4月、わずか1月で書き上げた!?
作家さんにも、ゾーーーッ 

めっちゃハマってる!『法医昆虫学捜査官シリーズ』

2017年10月16日 | 
好きなミステリー作家は宮部みゆきさんですが・・・
超人気なので、図書館で借りて読む派の私にはなかなか順番が回って来ないんです。

で、今一番ハマってるのが以前にも紹介した川瀬七緒さんの『法医昆虫学捜査官シリーズ』です。
どんな状況にもめげない主人公法医昆虫学者 赤堀涼子のキャラが大好きです。
肉バエ(クロバエなど)は生き物が死んでから10分以内にやって来て卵を産み付けるそうな。すごい嗅覚です。
このシリーズを読んで、虫に詳しくなりました!

現在シリーズ5作品があるのですが、写真は昨年刊行の「潮騒のアニマ」。
アリが謎解きの鍵です。
私は3作目の「水底の棘」が一番好きですね。
「潮騒のアニマ」からそろそろ1年なので、次回作に期待です!!!



無痛/本

2016年11月24日 | 
著者:久坂部 羊(幻冬舎)2006年

読書の秋を楽しみ、たくさん本を読んでいるところです。
昨年暮れに西島秀俊主演でTV化され、毎週おもしろく見ていたので、原作を読んでみたいと思っていました。
TV化で設定が少し変わっていたけれど、基本的には忠実にドラマ化されたようです。

医師為頼(ためより)は、人をじっと見つめるだけで病気を診断することができた。
犯因症。眉間にM字型に盛り上がった皺が見えたら、その人は犯罪を犯したか、あるいはこれから犯罪を犯そうとしている。

本当に人を見るだけで病気が分ったらいいでしょうね。
作者は、為頼にこんなことを言わせています。
病気は自然現象の一つであるから、治るものは治るし、治らないものは治らない。
放っておいても治る病気を治療して、医師は自分が治したつもりになっている。
癌でも手術や抗がん剤の治療をせず、自然にまかせると、そんなに苦しくはない。
薬漬けの治療をした結果、患者は死の間際まで地獄の苦しみを味わうことになる。

著者自身がお医者さんなので、現代の医療対する厳しい批判には重みがありますね。
続編「第五番」が出ているので、図書館にリクエストしてみようと思います。

ハリー・ポッターと呪いの子

2016年11月11日 | 
いつもの本屋さんに予約していた「ハリー・ポッター」の新作が届きました。
今日、届くとは思っていなかったので、うれしい~
ヴォルデモートとの戦いから19年後、ハリーは3人の子どもの父親になっています。
どんなお話なのでしょう?
呪いの子とは、だれなのか?
わくわく、ドキドキです。

今後、長い間読み継がれていくであろうこの「ハリー・ポッター」シリーズをリアルタイムで読むことができるなんて、なんと幸せなことだろうと思います。
この冬は、新作映画も上映されて、またもや魔法界へどっぷりの予感です。



はやぶさ、そうまでして君は/本

2016年10月06日 | 
著者:JAXA教授 川口淳一郎(宝島社)2010年

「生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話」とサブタイトルが付いています。
「下町ロケット」からのロケットつながりで読んでみました。
とはいうものの、はやぶさ自体はロケットではなくて、小惑星探査機というそうです。
実は、私、宇宙とか天体とか大好きなんです。
できるなら科学者とか研究者とかになりたかったなぁ。
第1章の冒頭に、2010年6月13日地球に帰ってきた「はやぶさ」が大気圏突入3時間前に撮影した画像が掲載されています。(上の画像)
この本を最後まで読んで、もう一度この画像を見たら、もう、涙、涙、涙です。

イオンエンジンの故障、燃料漏れ、通信途絶など様々な困難を乗り越え、約7年の歳月をかけて「やはぶさ」はミッションを成功させました。
川口博士は、奇跡だと書いています。
でも、私はそうは思いません。
幸運と思えるようなことが起こったかもしれないけれど、それはあきらめずに立ち向かったプロジェクトチームの勝利だと思います。
博士は、「はやぶさ」をわが子のようだとも書いています。
すっかり擬人化。感情移入しちゃってます。その気持ち、わかる!読んでてそうなっちゃったもん。
どうして君は、それほどまで、我々の指令に応えてくれるのか?
地球に向かう軌道の精確さ、大気圏再突入の精確さを追求することは、自身の最後、熱に焼かれて燃え尽きるという残酷な運命を徹底することにつながるというのに。そして、その冷酷なシナリオを書いているのが、我々だというのに。
どうして、そうまでして君は・・・・・。


今、「はやぶさ2」プロジェクトが進行中です。
小惑星リュウグウからサンプルを採取し、2020年に戻ってきます。
ワクワクするなあ。

下町ロケット/本

2016年10月01日 | 
著者:池井戸 潤(小学館)2010年

昨年、TBSでドラマ化された時にかなり視聴率高かったのに見逃してしまったので、原作で読んでみました。
同じ池井戸氏原作の「半沢直樹」は観てて、あれと同じノリですね。
ハラハラ、ドキドキさせられるけど正義と悪がハッキリしていて、楽しめる痛快小説かな!?

佃 航平は、7年前、父親の死に伴って家業の佃製作所を継いだ。
前職は、宇宙研究開発機構の研究員という変わり種だ。
中小企業の台所は苦しく、大手取引先からは取引終了を通告され、銀行からは追加融資を渋られる。
その矢先、大手ライバル企業 ナカシマ工業から特許権侵害の訴訟を起こされる。
第1回口頭弁論で、顧問弁護士田辺は専門外の裁判に歯が立たない。
このままでは、訴訟が長引き、資金繰りができずにに倒産してしまう・・・
そこで、銀行からの出向経理部長殿村は顧問弁護士を替えることを提案する。
航平は妻の推薦による神谷弁護士を頼ることにする。
その頃、宇宙ロケット開発事業を行う帝国重工では、ロケットエンジンの重要な部品であるバルブの特許権が佃製作所に先を越されたことを知る。
新たな部品の開発をしていてはロケット打ち上げに間に合わない。
佃製作所の内情を調べた帝国重工は、特許権を安く買いたたこうと画策を始める・・・


航平役、私のイメージでは阿部寛さんじゃないんだけどなぁ
おもしろかったので、下町ロケット2も図書館に予約しました。


押入れのちよ/本

2016年09月18日 | 
著者:荻原 浩(新潮社)2006年

愛しの座敷わらし」で印象に残っていた荻原 浩さんが、今年第155回直木賞を受賞されました。
ええ~!まだもらってなかったのかと意外に思いました。
映画化とかされていて、渡辺謙さん主演映画「明日の記憶」。(これで取ってると思ってました)

タイトルに惹かれて、借りてみました。
9つのホラー短編集。大正解!私好みの作品でした。

「お母さまのロシアのスープ」
お母さまは私たちの大好きなロシアスープを作るために、人と会うの。
でも、その時、私たちは納屋に隠れていなければなりません。
絶対に他人に見られてはダメ・・・
悲惨な戦争の一面を語る作品。

「コール」
親友同士で彼女を奪い合い、トランプでどちらが先に告白するかを決めた。
さて、その結末は・・・

「押入れのちよ」
本書のタイトルになっている作品。
破格の賃料で借りたアパート。その押入れには幽霊のちよが住み着いていた・・・

私が一番好きな作品は最後の
「しんちゃんの自転車」
真夜中に、遊びにやってきたしんちゃんと私はしんちゃんの自転車に乗っておたま池のほこらに行きました。
しんちゃんはとっても泥臭かった。だって、しんちゃんは・・・


こわいけど、ほのぼのするお話しが多くて、荻原 浩さん、私の好きな作家のひとりになりました。
直木賞受賞作品「海の見える理髪店」も短編集らしいです。