包丁に獣脂の曇り しなかつた事を咎めに隣人が来る
モノレール終着駅を過ぎ昨夜天使を棄てた丘を見下ろす
あつたけどないのと同じ 絡まつたヴィデオテープの薔薇園のやうに
鯉幟でつくつたシャツを着てゆかう空の底なる夕べの酒肆へ
ふさぎたいからかも知れぬ、鬱ぐのは 釘の頭のしづむ木の蓋
(魚村晋太郎 銀耳 砂子屋書房)
**************************
魚村さんの『銀耳』を再読。くりかえして読むと、そのたびに面白いと思う歌が違ってくる。一首の中に飛躍があって、すんなりとは読めない。深い。玄人好みの歌。
魚晋さんは、謎めいた人で、錦鯉でつくったシャツの似合いそうな人だ。ちょっと人間ばなれしてゐて、実はさかなかも知れないと、ふと思う。
美容院の椅子に抱かれまどろめば夢のみぎはにサギが来てゐる
(近藤かすみ)
モノレール終着駅を過ぎ昨夜天使を棄てた丘を見下ろす
あつたけどないのと同じ 絡まつたヴィデオテープの薔薇園のやうに
鯉幟でつくつたシャツを着てゆかう空の底なる夕べの酒肆へ
ふさぎたいからかも知れぬ、鬱ぐのは 釘の頭のしづむ木の蓋
(魚村晋太郎 銀耳 砂子屋書房)
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魚村さんの『銀耳』を再読。くりかえして読むと、そのたびに面白いと思う歌が違ってくる。一首の中に飛躍があって、すんなりとは読めない。深い。玄人好みの歌。
魚晋さんは、謎めいた人で、錦鯉でつくったシャツの似合いそうな人だ。ちょっと人間ばなれしてゐて、実はさかなかも知れないと、ふと思う。
美容院の椅子に抱かれまどろめば夢のみぎはにサギが来てゐる
(近藤かすみ)