気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

門司 大辻隆弘

2007-11-16 23:51:56 | つれづれ
終点はつねにしづかで錆びついたレールの途切れたる果ては海

さつきから軽めのジャズが流されて浮桟橋にゆふぐれは来る

色づける欅の下に雨を避くすみやかに瀬戸を渡り来しあめ

青銅の蛇口は錆びてかつてここ出征軍馬水飲みし場所

くれなゐの喫水線をきしませて大連(だーりに)にゆく船は発ちたり

(大辻隆弘 門司 レ・パピエシアン12月号)

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最近定期購読を始めたレ・パピエシアン12月号から。
大辻さんのこの歌は、先月のNHKBSの列島縦断短歌スペシャルの中の門司歌会に出された作品。そのときに出来たらしい他の歌も含めて10首連作が、読める。

いま、『岡井隆と初期未来』を読んでいて、あと一息で読み終わるところ。終わってしまうのが惜しい気もする。丹念な取材活動をしておられて、謎解きのような面白さもある。大辻さんはいつ寝ておられるのかと思うほどの精力的な活動に頭がさがる。私の即詠は、ほんのオマケです。