気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

空の空 つづき

2007-11-03 20:13:07 | つれづれ
老いふかき蛍光灯が一度二度まつたをしたるのちに点りぬ

死ねば終りゆゑ懸命に生きてゐるあたまの上の大鯉のぼり

海外に旅する歌に興味なき偏屈ぢぢいでもよろしいか

素裸の体重を眼にたしかむるときたましひは足を揃ふる

空の空その空の空さらにその空に空あるものぐるしさよ

この部屋のこのベッドにて終りたし水明りする障子を立てて

(竹山広 空の空 砂子屋書房)

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死を強く意識しながら、日々を丁寧に生きておられるのだと感じる。
二首目の、下句「あたまの上の大鯉のぼり」という飛躍、おおいに気に入った。
空の空のうた。空を見ると開放感を感じる人が多いだろうが、そうでない感受性が歌人である由縁だと思った。

大空を見上ぐる瞳その数とおなじ数だけある空の色
(近藤かすみ)