気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

銀耳 魚村晋太郎  

2007-11-27 23:28:41 | 交友録
包丁に獣脂の曇り しなかつた事を咎めに隣人が来る

モノレール終着駅を過ぎ昨夜天使を棄てた丘を見下ろす

あつたけどないのと同じ 絡まつたヴィデオテープの薔薇園のやうに

鯉幟でつくつたシャツを着てゆかう空の底なる夕べの酒肆へ

ふさぎたいからかも知れぬ、鬱ぐのは 釘の頭のしづむ木の蓋

(魚村晋太郎 銀耳 砂子屋書房)

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魚村さんの『銀耳』を再読。くりかえして読むと、そのたびに面白いと思う歌が違ってくる。一首の中に飛躍があって、すんなりとは読めない。深い。玄人好みの歌。
魚晋さんは、謎めいた人で、錦鯉でつくったシャツの似合いそうな人だ。ちょっと人間ばなれしてゐて、実はさかなかも知れないと、ふと思う。

美容院の椅子に抱かれまどろめば夢のみぎはにサギが来てゐる
(近藤かすみ)


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2 コメント

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私の一押し (あづまはや)
2007-11-29 15:46:41
 何回目の魚村晋太郎ですか。『銀耳』は私にとつても、何回読んでも新しい歌集です。清水の舞台から飛び降りるような思いで買った歌集でしたが、今から思えば、あの三千円は本当に安かった。
 次は、『銀耳』からの私の一押しの一首です。
子らは父を仕留めにでかけ薄ら陽の路上にランドセルが置きざり
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Unknown (かすみ)
2007-11-29 20:50:28
あづまはやさん こんばんは。
そろそろ魚村さんの次の歌集が出るそうですよ。
期待しています。版元は砂子屋さんだそうです。

路上にランドセルが置きざり・・・の句割れ句跨りが魚晋さんらしいです。
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