気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

塚本邦雄歌集 思潮社

2007-11-15 00:37:41 | きょうの一首
原爆忌昏れて空地に干されゐし洋傘(かうもり)が風にころがりまはる
(塚本邦雄 裝飾樂句 カデンツア)

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わけあって、塚本邦雄歌集を読んでいる。
思潮社から出た現代詩文庫の短歌俳句篇の最初の一冊。
坂井修一、加藤治郎、藤原龍一郎各氏の対談、とても興味深い。
茂吉も、岡井隆も、もちろん小池光もしっかり読まなければと、日々思いつつ、今日は塚本を読む。
この一首の「不穏さ」にこころ惹かれる。原爆から数年たった時期の作品だが、原爆の熱風の激しさの名残りが伝わって来る。

もはや傘はこのビニール傘一本で足るらむ深泥池時雨るれど
(近藤かすみ)